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こんにちは!e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。

前回の記事では、僕がなぜ「教育開発」という夢を掲げたのかについてお話させていただきました。今回は、実際に僕がミンダナオ島のカガヤンデオロという街に飛び、現地で実際にプロジェクトを立ち上げた起点についてお話させていただけたらと思います。

紛争とフルーツの島「ミンダナオ島」

突然ですがみなさんは、「ミンダナオ島」という場所を耳にしたことがありますか。もしかしたらテロ・紛争関係のニュースで聞いたことがあるかもしれません。

7107もの島々から構成される多島海国家フィリピン。その中で二番目に大きな島であり、経済・政治の要衝であるルソン島(マニラやケソン市などがある島)に住む方にミンダナオ島のことを尋ねると、みんな決まって「あそこは危険だから絶対行っちゃダメだ」と釘をさしてきます笑

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そんな危険な香り漂うミンダナオ島。14世紀にイスラム教を受容して以来、東南アジアにおけるイスラム教勢力の要衝の1つとして、現在に至るまで幾度にわたりスペインやアメリカ、フィリピン政府そしてカトリック勢力との争いが繰り広げられてきました。

こうした複雑な歴史的背景も相まって、ミンダナオ島はルソン島に比べ不安定要素が多く、そのため経済的にも遅れをとっているといわれ教育にもその影響が及んでいます。

ただ一方で、島の立地的・地理的特徴から台風による被害がルソン島に比べ少なく、その穏やかな熱帯気候を活かした農業・林業や漁業が盛んで(パイナップルで有名なデルモンテ社の巨大プランテーションなども)、ミンダナオ島は山々や川、海に恵まれたとても美しい島です。

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ココナッツサラダを作る子どもたち

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とれたてのココナッツジュースはほんとうにうまい!

「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンに飛んだ理由

ではそもそもなぜ僕が「教育開発」という夢を掲げた上で、フィリピンに飛んだのでしょうか。理由は以下の2つです。

  • 東南アジア随一の英語大国であること(公用語が英語)
  • 東南アジアの中で経済規模が大きい一方、その格差もとりわけ大きいこと(フィリピン国内の9割の富を1割の人間が有すると言われる)

シンプルに言うと、例えばBOP層における勉強する強い意志のある学生に、何かしらの教育プロジェクトを通じて「教育の機会」を提供する際、フィリピンならば、根深い格差社会でもがく若者が「教育の機会」を活用してよりグローバルな世界に飛び出していける明快な「成功モデル」をつくることができるのではないかと考えたからです。

そして、フィリピン最大の開発NGOであるGawadKalingaでインターンをしながらフィリピンの格差社会を目の当たりにし、e-Educationプロジェクトをどこかで立ち上げられないだろうかと模索していた中、ミンダナオ島のことを度々耳にするようになりました。

そして僕の中で、宗教や経済、教育といった様々な分野の問題が山積するミンダナオ島のどこかの街でプロジェクトを立ち上げてみたいという想いが少しずつ募っていったのでした。

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インターン中、フィリピン大学の学生らと交流した際

教育開発のエキスパート「アモール博士」との出会い

実は当時、幸いにも中学以来の剣道部仲間だった僕の親友が、ミンダナオ島のカガヤンデオロという街で留学していました。「映像授業を活用した教育プロジェクトやりたい」という僕の想いを聞いた彼は、ミンダナオ島で屈指の教育開発の専門家であるアモール博士を紹介してくれたのです。

「GawadKalinga」でのインターンを終えて間もなく、僕はその親友の紹介のもとアモール博士に会いに行くために、ミンダナオ島カガヤンデオロに飛びました。

アモール博士は非常に温和な方で、映像授業を活用した教育プロジェクトに関する僕の拙いアイデアベースの話を真剣に聞いて下さり、なんとも面白い提案をしてくださいました。

「素晴らしいアイデアね。私もオープンハイスクールプログラム(OHSP)という教育プログラムを立ち上げるから、そこであなたの映像授業を活用したプロジェクトのパイロット(試験、トライアルという意味)をやってみましょう。」

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アモール博士と

オープンハイスクールプログラムという教育プログラム

OHSPとはフィリピン政府が全国各地の学校などの教育機関で展開している、貧困などの理由でドロップアウトした高校生向けの教育プログラムです。

現地のニーズに見合ったかたちで柔軟にプロジェクトを展開したいと考えていた僕は、すぐにOHSPに関する資料をアモール博士からいただきました。そして、OHSPと何らかのかたちでコラボするプロジェクトができないかと模索し始めたのです。

ただ、この時点で僕はまだe-Educationプロジェクトの正式な一員ではなく、ゲリラ的にニーズを探しプロジェクトのコンセプトを練っているという段階でした。

e-Educationの一員として立ち上げるという誇りと責任

当初は、もしかしたら僕1人の単独のプロジェクトとして自分だけでやれるかもしれないということも考えていました(今振り返るととんだ自信過剰ですが)。すでに各国で実績を持っていたe-Educationプロジェクトの一環として正式にプロジェクトを立ち上げた方が、プロジェクト自体のインパクトや将来性が大きいと思いました。

そこでアツさんカイトさん(代表の税所篤快と副代表の三輪開人)に提案書を提出し、作り直してはまた提出して、3度目の提出を経てついにアツさんとスカイプを通じプロジェクトの立ち上げ実行を認めていただきました。

またその後すぐにカイトさんとスカイプ面談を通じてあらためて許可をいただいた上で提案書をブラッシュアップし、ついに「e-Educationミンダナオ島プロジェクト」が立ち上がるに至りました。

こうした経緯でなんとか「e-Educationミンダナオ島プロジェクト」が正式に立ち上がりました。次回の記事では、マニラから超強力な「助っ人」が現れたことをご紹介したいと思います。

立ち上がったばかりのプロジェクトは、まだまだニーズ調査もコンセプトも穴だらけ。そこで彼らの助けがなければ今のミンダナオ島プロジェクトはありえませんでした。そんな「助っ人」が登場する次回もどうぞお楽しみに。本日もご愛読くださり誠にありがとうございました!

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途上国の教育課題を若者の力で解決する

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