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こんにちは!e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。

前回の記事は、回想録として、昨年の夏、開発NGO「Gawad Kalinga」でインターンをしていたときのことを書かせていただきました。今回は、再びミンダナオ島プロジェクトにテーマを戻し、現地での様子を綴っていきたいと思います。

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疲れが見え始めた現地チーム

ミンダナオ島プロジェクトは、「Open High School Program(OHSP)」で使用される、「モジュール」の解説用DVDを作成。それをミンダナオ島全土のOHSPでプロジェクト展開を目指しています。

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OHSPの様子、全国の公立高校で展開

しかしながら、全科目・全範囲を網羅している「モジュール」は量が膨大であり、そのためコンテンツ作成にも大きな労力と時間を要します。

そのため、現在カガヤンデオロとカミーギン島でチームに分かれ、それぞれ「モジュール」を分担しながら授業を作成しています(モジュール1~3はカガヤンデオロ、4~6はカミーギン島といった具合です)。

そして撮影の度に、コーディネーターである僕は片道5時間をかけて毎週カガヤンデオロとカミーギン島を往復していました。

これは、撮影担当の講師を調整し、授業の準備を一緒に行うためです。また、撮影当日は彼らをモチベートしながら、コンテンツを改善するために議論を重ねました。何度か両教育局の先生方同士で合同会議を開いたこともあります。

9時間立ちっぱなしで、議論をはさみながらの撮影は、毎回しんどいものです。

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しかし、目の前で100%授業に取り組んでいる先生とともに、最高のコンテンツを作るのだという気概を持ち、近い将来、ミンダナオ島全土の若者がこの映像授業を使って勉強するのだと考えれば、一時も気を抜くことはできません。

僕は毎週、スケジュールをやり繰りして片道5時間かけて、カガヤンデオロとカミーギン島を往復。そして、撮影と編集そして両チームの調整に奔走していました。

一方で、撮影や編集に関わる現地の先生方にも疲れが見え始め、モチベーションが下がっていました。チーム間でコンテンツの質に明らかな差が生じたり、先生方の授業の準備ができておらず、撮影日を延期しなくてはならない事態が何度か起こりました。

「何のために5時間もかけて毎回通ってるんだろうか、現地にとって必要だから、一緒に力を合わせて良いプロジェクトを作ろうとしているんじゃないのか」

僕自身の心身の疲労もピークに達する中、それは悔しさや怒りと言うより、悲しさのような感情でした。自分のコーディネーターとしての力量不足や、プロジェクトのゴールがメンバーと共有しきれていない状況に対してです。

超強力なパートナー出現

ミンダナオ島プロジェクトが停滞する矢先、ユニクロのCSRの一環である「Clothes For Smiles」という企画で、プロジェクトへのサポートが決まりました。

そして、マニラ支社長である久保田さん、執行役員の新田さん、そしてCSR部マネージャーのマギーさんとお会いする機会をいただいたのです。久保田さんは、非常にパワフルな頼れるアニキといった雰囲気で、チームをまとめる上で重要なアドバイスをいくつか下さいました。

「現場を動かそうとは考えない。行動の一つひとつを指示するのではなく、その仕事に求められる期待や基準、そしてヴィジョンを共有することが重要だ」ということを話されました。

先ほどの通り、プロジェクト現場の士気が下がり、コンテンツ作成も滞る中で、僕は心身ともに疲れきっていました。そんな折、この久保田さんの言葉は、チームで物事に取り組む上でもっとも大切な基本を、あらためて僕に気づかせてくれたのでした。

「母親」のようなリーダー

さらに、会食をしたレストランがまた非常にすばらしい出会いの場であったのです。みなさんは「UniQuase」というマニラにあるレストランをご存知でしょうか。

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壮絶な人生を送ってこられた中村八千代さんが、青少年に雇用の機会を創出し、路上生活や人身売買など様々な危険にさらされた子どもたちの数を減らすことを目的に、2010年にフィリピンで設立した社会的企業です。

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そこでは、若者の自立を目指しながら、経済都市マニラで健康志向の食事を提供しています。八千代さんの「母親の愛」にも似た強烈なリーダーシップを目の当たりにし、僕はプロジェクトに関わってくれるさまざまな現場のメンバーを思い出しました。

そして、「彼らには彼らの仕事、時間軸や文化があるのだから、焦ることなく大きくかまえていよう。じっくり彼らと良いプロジェクトを作っていこう」と気持ちを新たにしたのでした。

その他にも、大学講師やNPOの代表の方にもお会いし、その日の夜は、非常に賑やかな交流会となったのです。

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先日マニラにて

プロジェクトに懸けるアキの「想い」

マニラでの一時滞在中、僕は、マニラプロジェクトのアキが残してくれたDVDコンテンツも見ることができ、さまざまな気づきを得ることができました。

また、フィリピン大学の受験を終えた生徒らのビデオレターも残されており、地域は違えど、プロジェクト担当者として生徒の声を聞くことができたことが、非常に大きな励みとなりました。

ミンダナオプロジェクト、エンジン再始動

こうして、久保田さんをはじめとする素晴らしい出会いに恵まれ、マニラプロジェクトからも大きな励ましを得た僕は、気持ちを新たにして再びミンダナオ島に戻ったのでした。

次回の記事では、心新たに出発した僕が、あらためて現地のメンバーと一歩ずつプロジェクトの実現に向けて、再スタートを切ったことに関してお話できたらと思います。

本日もご愛読くださり誠にありがとうございました!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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