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過去20年間で、世界経済が途上国にも影響を与え始め、逆に途上国から影響を受け始めるようになったことは言うまでもありません。

そんな中、2012年にInterbrand社が発表した「世界最高の100のブランド企業」では、途上国の企業と中国の企業は、どれ一つとしてランクインしていませんでした。

今回は、少し視点を変えて、途上国企業がグローバルブランドを作り上げるにはどうすればいいのかについて考えていきたいと思います。

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欧米企業の時代は終わった!?

上に紹介したリストでは、ブランド企業トップ100を全て先進国企業で埋め尽くしました。しかし、「Brand Breakout」という新書では、2人の学者が、「途上国企業はブランド力を付けるための技術(Art of Branding)を学び始めている」と反論しています。

特に、いくつかの新興国のブランドはすでにグローバルに広がりました。例えば、ヨーロッパのサッカーの試合を見ている最中に、「Emirates」のサインを見ないことはありませんね。

欧米企業はいまだにプレミアム価格の高いブランド力を保持していると考え過ぎなのではないでしょうか。しかしながら、「新興国企業が近い将来に欧米企業を追い越し、そして途上国企業がその後を追いかけてくる時代も近い」と著者は語っています。

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トップ5は全て米国企業です

新興国ブランドは、日本企業に学べ!?

「新興国企業がブランドで欧米企業に勝負するには、まず過去の成功例から見て学ぶべき」と前述の2人の著者は言っています。

その一例として、トヨタソニーなどの日本企業が進んできたステップをまずはケースタディにし、加えて韓国のサムスン、ヒュンダイなどから具体的なブランド企業の育成方法や道のりを学ぶべきとしています。

消費者からの支持を得ること

次に、ビジネスカスタマー、つまり取引先・顧客・消費者にフォーカスし、彼らの支持を得るための努力することが大事です。

例えば、インドのMahindra&Mahindra社は、当初はトラクター製造企業でしたが、顧客の要望に答え、今ではインド有数の自動車メーカーとなりました。

新興国の強みを活かすべし

ディアスポラ(元の国を離れて暮らす人の総称)の道をビジネスルートと利用するのも、また一つの新興国がブランド力を高める方法かと思われます。

このグローバル化された世界で、人々が世界各国移動しているということを最大限に活用した事業運営を展開するのもこれまた新興国の強みです。

フィリピン発の巨大ファストフードチェーン店Jollibee社は、アウトレットをカタールからカリフォルニアまで世界中にオープンさせました。こうすることで、どこで誰もがその企業の存在を知り、知名度を上げ、ブランド力を高めていくことにつながります。

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世界で2500店舗以上あります

買収もまた一つの方法です。新興国企業は、既存の欧米ブランド企業を買収し、自社のブランド力として迎え入れることも大いに有力な手段と考えられると思います。

インドのTata Motors社がジャガーランドローバー社を管下に収めたり、最近だと中国のBright Food社が米国Weetabix社を買い取った例などがあります。この買収によって、Tata Motorsの名が世界中に知れ渡った事は言うまでもありません。

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途上国イメージを破壊すること

最後に、途上国企業のブランド力の付け方として、自国(途上国)の低品質などといったポジティブな評判不足を打開することも挙げられます。

一つは、国の伝統を全面に出し、ポジティブなブランドイメージを植え付けることです。Havaianas社はブラジルのサンダルメーカーですが、地元のキレイなビーチのイメージで欧米を中心に全世界で幅広い支持を得ています。

また、政府の国策に頼ることもできるでしょう。例えば、インド政府の”驚くべきインド”キャンペーンや台湾政府の”イノバリュー”スローガンなどにうまく乗り、企業が国の良いイメージと共に世界進出していくのも十分有り得ることでしょう。

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何が起きても決して諦めないこと

新興国企業がブランドを仕立て上げていくには、様々な障害があることは事実でしょう。

マーケットシェアとコストだけ考える古い考えだけで成功することは考えにくく、成功した欧米企業と同じステップを踏む事もオリジナリティを奪い、途上国ブランドを確立させることはできないでしょう。

しかし、既存のブランド企業のような量勝負では無く、新興国らしさを十分に出した“質勝負”で、新興国・途上国企業がそれぞれのブランドを世界で作り上げていく事に期待したいですね。

[The Economist]


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