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Photo: AsiaOne

先日、安倍首相が中東・アフリカの4ヶ国を歴訪しました。

4ヵ国目は、アフリカ連合(AU)の本部がある、東アフリカのエチオピアの首都・アディスアベバでした。そこでの安倍首相のアフリカ政策スピーチが、印象的だったのでご紹介します。

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TICADでの約束を果たすために

安倍首相は、故ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領の言葉を借り、聴衆の人々に言いました。

人は希望を失ってはならない。失うとき人は、運命に自ら働きかけることをため、その奴隷と化してしまう。

昨年5月に日本で開催された、アフリカ開発会議(TICAD)で発表した日本の今後のアフリカ支援に関しては、

2012 年に、5年で10億ドル、出すとお約束しました。今回、同じ期間にお出しする円借款の額を、2倍、20億ドルにすることにしました。

と、新たな日本の政策も発表し、日本がアフリカを重要なパートナーだと思ってることを強調しました。

一人ひとりを大切にする日本

「日本の企業だけだ、働くとはどういうことで、何が労働の喜びか、『倫理』を教えてくれるのは」。私は感動しました。(中略)「一人、ひとり」の、内なる動機に基づく努力を、大切にすること。また、命令などなくても努力する人間「一人、ひとり」を、最も重要な資源と考えること。ーーそれは、日本企業の神髄でした。

日本企業がアフリカ進出する際、この経営理念も一緒に持ってくる、ということを安倍首相は強く語りました。その後、いくつか例をあげています。

例えば、漁船につける船外機を売るとします。漁師の漁撈指導まで、普通はやりません。でも、行動半径を広げることを可能にする漁法を漁師に伝授したとすると、回り道でも、船外機の売れ行きはむしろ安定するでしょう。日本の会社は、そういう売り方をします。カスタマー「一人、ひとり」に、技術をわがものとする、真のエンパワーメントを、自ら図ってもらおうとする思想です。

この「一人、ひとり」をを大切にする日本企業がアフリカに来ることで、本当のWin-Winの関係を築き上げることができると話しました。

「カイゼン」という思想

安倍首相はここで、「カイゼン」という言葉を持ち出します。

この言葉をこの場面で使った安倍首相のスピーチ力はさすがのものだと感じました。日本のトヨタの経営理念の一つとして有名ですが、「カイゼン」がどのように「ボトムアップ」の日本企業を作り上げてきたのかについて話しました。

「カイゼン」は、何しろ徹底的にボトムアップ。トップダウンではありません。そこにあるのは、草の根を支える「一人、ひとり」に対する信頼です。人間に対する普遍的信頼に基づく思想が、カイゼンなのです。

日本企業の古くから伝わる伝統が、いかにアフリカでの国際協力のキーとなりうるのか。

カイゼンとは、アフリカが、本来の姿を再発見するわざなのだといえるかもしれません。(中略)日本と、日本企業と深く付き合ってくだされば、アフリカが、その本来備わる力をテコに伸びて行くことが、きっと容易になります。未来への、確かな種子を手にできると信じます。

若者に明るい未来を

また、TICADでも討論の焦点になった、アフリカの若者の未来についても言及。日本とアフリカ間との定期的な留学生の受け入れや、人材育成支援など、様々な例をあげました。

日本とアフリカをつなぐネットワークを育ててもらおうとするイニシアチブです。

女性が輝くアフリカ

「アベノミクス」は、「ウィメノミクス」を抜きには成功しない。日本にとって女性の活用は、ラクシュアリーなどでなく、ネセシティです。

日本にとっても、アフリカにとっても今後、女性の経済参加は必要不可欠であると強調しました。

アフリカ女性が輝くとき、アフリカは、必ずや、光り輝きます。

女性生徒の就学率を増やし、医療現場での環境改善、研修、日本の「人間の安全保障」の精神を伝えていきます。

日本とアフリカをつなぐ

スピーチの最後には、現在情勢が悪化している南スーダンのために、約2500万ドル(約26億円)の新たな支援も準備中とのことです。

さらに、エチオピアのハイレマリアム首相と前日に会談し、アディスアベバと、東京との直行便を運行することも決定。これは、2020年のオリンピックで、多くのアフリカの人々を東京へ呼び込むことも見通されてのことでしょう。

私自身、アフリカの輝かしい未来に向けた努力を力強く支援するため、必要なら何度でも、アフリカを訪れたいと思っています。

日本、日本企業が具体的にどのようにしてアフリカ開発に携わることができるのか。中国との差別化を図るために’ボトムアップ’を強調しましたが、これこそまさに日本の最大の強みだと思います。

今後は実際に、日本がアフリカと新たなパートナーシップを組み、お互いの発展に貢献していく形が生まれることを期待したいです。

[外務省]

<訂正:1月26日>
(訂正前)東アフリカのタンザニアの首都・アディスアベバでした。
(訂正後)東アフリカのエチオピアの首都・アディスアベバでした。

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