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左からヨガ、尾崎、カリス、三輪さん

こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事では先生達との出会いとプロジェクト予算決め、そしてマスターの歴史や背景についてご紹介させて頂きました。

今回は、新たな先生探し、そして迎えた壁についてお話ししたいと思います。

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BTAとの交渉

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いつもBTAに行くとお菓子を出して下さいます

先週撮影をお願いしていた塾「BTA」に、決まったスケジュールや予算の計画について連絡します。すると、お願いしていた英語、数学、経済について協力してくれるとの返事が!現地パートナーのアイさんが別に話をしてくれていた様子でした。

詳しいカリキュラムについてなど、具体的な話をするためにミーティングのアポイントメントをとり、一息つきます。

「ミーティングをしたら、あとは撮影を進めるだけだ!」

ここまでは順調です。この時は計画が狂うことなど全く予想していませんでした。

新たな先生探し

BTAに承諾をもらい、基本となる授業は撮影できそうです。僕は更に、新たな先生を探そうと考えました。

数学と英語は、自分の受験経験上、特に問題を解く量が重要になります。その2教科のコンテンツの拡充は、生徒の成績アップの大きな助けになるのではと考えたからでした。

数学の先生は誰が良いのか、あれこれ考えてふとパートナーのリアンに相談すると「俺にとってベストな先生は、自分が通っていた高校の数学の先生だ」
とのこと。よくよく聞いてみると、リアンの出身高校である第77国立高校はインドネシア大学に毎年30人程度合格者をだす進学校で、数学の先生は彼が人間的にも尊敬する先生だという話です。

「リアンが言っているのだから間違いない」

リアンにお願いしてアポイントメントをとり、早速一緒に77高校へ向かいました。

第77国立高校

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スポーツ大会をやっていました

77高校はジャカルタの中央部で、電車とバスで乗り継ぎ2時間程度の場所にありました。本当に走るのだろうかと疑いたくなるようなバスでの旅を終えてようやく辿りついた学校は、日本の学校と同じくとてもにぎやかな場所でした。
早速職員室に向かうと、久々のリアンの登場に職員室の雰囲気が明るくなります。

「久しぶりね」「元気?」「今何やっているの」「彼は誰?お友達?」「そういえばあなた日本語学科だったわね」

先生方が次々にリアンに声をかけます。ある先生は、「リアンは優秀だったのよ」と嬉しそうに僕に紹介してくれました。

一通りの挨拶を終え、ついに数学の先生のもとへ伺います。
お名前はソラヤ先生で、きらきらとした目が印象的な女性でした。

リアンは、僕やe-Educationのこと、今行なっている活動のこと、そして先生にお願いしたい事を彼女に説明してくれました。

リアン:「先生、協力して頂けませんか?」
ソラヤ先生:「あなたの言う事なら。お金はいらないわ」

素晴らしい返事を頂きました。僕はリアンがこの活動を全て説明してくれたこと、そして先生から良い返事を頂いた事で本当に幸せな気持ちになりました。

突如立ちこめる暗雲

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インドネシアは3月頃まで雨期です

ここまで大きな問題もなく順調に進めて来たプロジェクトでしたが、そのペースは予想もしないところから崩されました。

まず、重要パートナーのアイさんが感染症で入院、2週間以上動けない状態になりました。丁度同時期、自分もついに体調を崩し、数日間寝込みました。

頼れるのはリアンやテヨ、ヨガといったインドネシア大学生メンバーですが、この時期は12月末で、期末試験真っ最中。忙しくて皆ほとんど時間がとれない時期に入っていました。撮影を始めようかという場面でプロジェクトの進行がストップしたことにかなり焦りを感じていました。

ミーティングまでも…

少なくともBTAとのミーティングは進め、カリキュラムを決定する必要があります。なんとか体調を戻し、約束していたミーティングへ行こうと用意していた矢先、携帯が鳴ります。

BTA:「今日は出来なくなった。4日後金曜日にリスケできないか」

焦る気持ちを抑えつつ返信します。

僕:「わかりました、金曜日に必ずミーティングしましょう。」

数日後、再び携帯が鳴ります。

BTA:「申し訳ないが来週の月曜日にしてくれ」

来週では予定が大幅にずれてしまいます。

僕:「なんとか今週出来ませんか」

BTA:「この時期はとても忙しいんだ。申し訳ないがよろしく頼む」

迎えた月曜日。

BTA:「申し訳ない、来週にしてくれ」

僕:「どうしてですか?」

BTA:「先生達が全ての仕事を終えて旅行に行ってしまった。先生を集められない。」

年末年始の予定が空っぽになりました。

ヨガが気付かせてくれた事

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考えていた予定がなくなり、プロジェクトが止まりました。

「どうすれば良いのだろう・・・」

初めて迎えた壁は、体力的にも精神的にも衰弱していた自分にとって高く感じました。日本の友人が休暇を楽しんでいる様子をFacebookで見て「なんでインドネシアに来たんだろうな」と思わざるを得ませんでした。

プロジェクトをやる意思が消えそうになり。答えを求めるように、協力者のヨガにこんな質問をしました。

「なんでヨガはプロジェクトに協力してくれているの?」

返って来た答えは僕をはっとさせるものでした。彼自身の言葉を伝えたいため、英語のメールをそのままご紹介します。

 I come from a rural area where education does not take priority for many people. Most of them still hold the thought that working is the most essential thing everyone should strive for, putting education aside. Going to University of Indonesia turns out to be something near completely impossible for us, but I believe in God’s power to change life.

 I started to study English so hard that I did not come out much from my room. I utterly immersed myself into study and thought that I was to change the lives of my family. I lost the two English competitions at first, but I started to become much more challenged to win. A year later, I became the 1st winner in English Olympic, 1st winner in English Speech and ranked the 1st in the try-out test for the university admission in University of Brawijaya. I still definitely remember when I was first declared to be accepted in UI.

 That was the most incredible thing I never thought would have happened!!! That is why, I am sure that students in Sekolah Master can do the same thing like I do. They deserve for better future.

田舎出身で、誰もが教育の可能性を諦めている環境で育ったヨガ。しかし勉強すれば人生を変えられると信じて必死に勉強した彼は、最終的に英語弁論オリンピックで1位をとり、模試でも良い結果を残してその高校から初めてインドネシア大学への推薦を勝ち取りました。

「マスターの生徒にも、勉強を通じてより良い未来を築いて欲しい」

そんな彼の想いに触れて、忙しさに追われどこかへ沈んでいた想いが自然とわき上がってきました。ヨガ、本当にありがとう!

「マスターの生徒の未来を、少しでも良いものにする手助けをしたい!」

来週は少し寄り道してインドネシアの年末年始についてお話したいと思います。

お楽しみに!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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