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みなさん、こんにちは!

e-Education Projectマニラ担当の磯部香里です。フィリピンの首都マニラで暮らす貧しい高校生たちに「最高の授業」を届ける活動をしています。

前回の記事では、授業を進めていくうちに気が付いた「ハイパーローカル」な視点について書かせていただきました。

今回は、授業、映像コンテンツ撮影、そして実施校拡大に向けて動いていた際にぶつかった「困難」とそれでもプロジェクトを進める「理由」についてお話したいと思います。

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ひたすら学校を訪ねる日々

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フィリピンは3月が年度末。3月に入ると学校の先生が忙しくなるため、それまでに実施校の確定に向け動くよう、アドバイスを受けていました。

先生が忙しいと、学校へ行っても話すことができません。とにかく先生に時間がある時に、実施確定を行おうと学校へ訪問する日々が始まりました。

主な実施地であるケソンはかなり大きな市です。1つの学校と1つの学校が離れていたり、時には1時間以上かけて学校へ行かないといけない場合もあります。

限られた時間のなかで効率よく、なるべく多くの学校へ行こうと地図を広げながらスケジュールを立て、各種交通機関を駆使して一日5校〜7校の学校を訪問し、校長先生や他の先生にプロジェクトの説明、そして実施の打診などを行いました。

なかなか会えないことも

電話でアポイントメントをとって学校へ行っても、校長先生や担当の先生がいないときがありました。電話をかけてもなかなか出てくれない学校もあり、その時は直接学校に行って「先生いますように!いなかったらまた次の日…」と、何度も何度も学校に足を運んでいました。

時間が経つに連れ、校長先生が忙しくなり、会える確率が少なくなっているのを感じるようになりました。

上手く話が伝わらないことも

校長先生と話ができても、プロジェクトの真意がしっかりと伝わらないこともありました。

「e-Education Projectの映像授業を使って、大学に進学したい生徒の夢や目標をサポートしたいです!」

こういって資料を使いながら、わかりやすいように説明したつもりでしたが、先生の反応は予想外のものでした。

「パソコンとプロジェクターを用意して欲しい」
「電気代はどうするの?そっちが支払ってくれるの?」
「学校の先生へのお給料が必要だよ」

と、厳しいことを言われたこともしばしばありました。

しっかり説明したつもりでも十分ではなかったり、「日本の団体=幅広く支援してもらえる」といったイメージがあったのかもしれません。

「生徒のためのプロジェクト」という真意が、なかなか伝わらなかったことに自分の力不足を感じました。

撮影もなかなか進まない…

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学校訪問と同時に、新しい映像コンテンツの撮影も行っていました。

高校へ訪問したあと、夕方から撮影をしたり、土曜日を丸ごと使って撮影を進めたり、空いている時間に編集をしたり。三脚が入った袋を担ぎながら、学校を訪問していた日もありました。

「もっと良いコンテンツを早く提供したい」

そういう思いで計画を立てていましたが、撮影に協力してくださった先生方も忙しく、思うように撮影が進みません。

撮影日時が決まっても、撮影の準備が予定日までにできていなかったり、前日に撮影日の変更の連絡が来たり、当日急に来れなくなったりと、常に「今日はしっかり撮影できるのだろうか」という不安でいっぱいでした。

現地メンバーも学校で大忙し

現地の大学生メンバーも年度末ということで、期末テストなどがあり、かなり慌ただしく過ごしていました。

「今週は3個もテストがあるんだよ〜」

こう言っているメンバーに、すでに任せている授業実施以外の、撮影や編集、学校の訪問などをお願いすることは私にはできませんでした。

現地メンバーの自主性を尊重し、もっと様々な作業を任せたかったのですが、なかなか上手くいかない状況にもやもやとしていました。

焦りしか感じない毎日

早くプロジェクトを進めないといけないのに、なかなか進まない現状。

学校訪問、授業、撮影と、毎日一日中動き回っており、帰宅する頃にはクタクタで気付いたら朝だったという状況が何日も続き、精神的にも体力的にも余裕がない日々が続きました。

「もう今日疲れたから学校行きたくない」

こう思った日もありました。

でもなぜ私が活動を続けることができているのか、そこにはこのプロジェクトに対する大きな想いと確信があったからでした。

ある生徒との出会い

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昨年度に、e-Education ProjectのDVD授業を受けたアンジェロという生徒がいます。

彼は将来医師になりたく、そのためにフィリピン大学を受け、見事医学系の学部に合格しました。

実は、彼のお母さんが再婚をし、現在は義理のお父さんと義理兄弟と暮らしています。

「お母さんは僕より新しい家族と過ごす方が好きなんだ。こんな僕でもフィリピン大学に行っていいのかな…」

そういって話す彼は、あまり目を合わすことをしないほど、消極的な生徒でした。

正直、どのように声をかけていいのかわかりませんでした。

でも、一通りいろんな話をしたあと「アンジェロがたくさん勉強してきたから合格できたんだよ!自信持って!応援してるよ!」と伝え、そろそろ帰る時間になるときでした。

ずっと下を向きながら話していた彼が、私の目を見て、握手をしながらこういってくれたのです。

Ma’am Kaori, thank you so much for this opportunity.
(e-Educationで勉強させてくれてありがとう。僕絶対に諦めないから!)

ずっと下を向いていた生徒が、前を向いて自信に満ちあふれた声で「ありがとう!」と言ってくれたのです。

このプロジェクトの実施価値が確実にある、と確信した瞬間でした。

e-Educationが子ども達の支えになることの確信

以前の記事でもお伝えしたのですが、昨年の実施に関して、多くの生徒や先生からe-Educationで勉強して自信がついたというフィードバックをいただきました。

e-Educationの授業を受けたことで、「自分はここまで勉強したんだ!」という自信が生まれます。

この経験が、「私はもっとできるかもしれない!」と、今後の人生で何かに挑戦する時の大きな支えになるかもしれません。

子ども達に大きな影響を与えるプロジェクトだと確信を持ち、本当に妥協はしたくありませんでした。

そんなとき、一通の連絡が…

そんな思いを抱えながら実施確定に向け動いていましたが、3月中旬にもなり、「今は忙しいから4月初めに来て!」と言われるようになりました。

今月はもう交渉は厳しいかもしれないな…そう考えていた矢先、ミンダナオプロジェクト担当の建明さんから連絡が入りました。

「べっち!セブ視察にいこうとおもってるんだけど、一緒に行かない?!」

「セブ?!セブってあのリゾートのセブですか?」

なぜセブなのか、そして何をするのか、その真相は次回お伝えできたらと思います。

本日もお読み頂き、ありがとうございました!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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