みなさん、こんにちは!
e-Education Projectマニラ担当の磯部香里です。フィリピンの首都マニラの公立高校に通う高校生たちに「最高の授業」を届ける活動をしています。
前回の記事では、セブ島・マニラでの出会いや経験を通して、プロジェクトへの気持ちを改めることができたお話をしました。
今回は、実際に始まった授業の様子をお伝えします。
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授業はインタラクティブに
まず、本年度の授業で意識をしたのが映像授業にプラスして、インタラクティブ(一方向ではなく双方向)な授業を行うこと。
映像コンテンツを使用することで、生徒たちは場所を問わず自分のペースで勉強することができます。
しかし、映像授業だけだと生徒が質問することができません。そして、1つの映像コンテンツに収録できる内容や問題に限りがあり、演習などができないという点があります。
そこで、現地の大学生のボランティアを募集してチューターとして授業を進め生徒の勉強のサポートを行い、そして演習問題を作り生徒が映像授業を見たあとに更に問題を解き力を付けるようにしました。
生徒とチューターの関係を深くする
また、生徒と授業を進めるチューターがしっかりとコミュニケーションを取れるように心がけました。
毎回の授業でのコミュニケーションはもちろん、各学校ごとにe-EducationのFacebookグループを作り、そこでチューターが宿題をだしたり、質問に答えたりと生徒となるべくコミュニケーションをとり、チューターの大学生を「お兄さん」「お姉さん」のような存在でいてもらうことにより、生徒が授業に作り上げるような関係を目指しました。
そして2月に複数の学校で授業を始めてから、試行錯誤をし、各学校の生徒や環境に合わせながらチューターと授業を進めてきました。
授業を実施しているいくつかの学校での授業の様子を写真を使ってご紹介します。
説明は丁寧に、生徒がわかるまでしっかりと!
フィリピンの高校は4月から6月が夏休み。夏休みから授業を開始した「ケソンシティ高校」では、おなじみパトリックが授業を行っています。
残念ながら夏休み中ということで、パソコン室やプロジェクターを使用することが不可能なため、現在はパトリックのパソコンを使って映像授業をみんなで見ています。
映像授業をキリの良いところで止め、パトリックが重要なポイントを再度説明したり、簡単な問題を出したりとさらに生徒が理解しやすいよう丁寧な授業を心がけています。
「今日はパトリックが物理についてとても丁寧に教えてくれたんだ!授業楽しかったよ。こんな機会をくれてありがとう!」と生徒からメッセージをもらうほど、パトリックの授業は評判です。
生徒とのコミュニケーションは毎日欠かさない!
将来、高校教師を目指しているロメルがチューターをしている「アグイナルド高校」。
ロメル自身、以前高校生対象の塾講師をしていたこともあって生徒とのコミュニケーションの取り方がとても上手く、常に生徒のことを考えています。
Facebookグループではほぼ毎日生徒に問題を出したり、生徒たちを元気づける言葉をなげかけたりと、私自身びっくりするほどFacebookが盛り上がっていました(笑)
ロメルは数学が得意ですが、理科科目は少し苦手です。そこで彼は、理科科目の映像授業を授業の始まる前にチェックし、彼自身がまず復習し授業に臨んでおり、チューターにとっても映像授業は良いツールであることに気づかせてくれました。
また、女の子の生徒たちからは「数学のシャーウィン先生のはにかんだ笑顔が素敵!」とフィードバックをいただきました(笑)
校長先生も驚いた生徒のやる気!
パヤタスと言われるゴミ山の近くにあるパルマ高校。
学校へ向かう途中には、ゴミを積んだ大きなトラックが行き交い、道路の脇ではゴミを処理している人がたくさんおり、鼻をつまんでしまうほどの異臭がします。
パルマ高校は昨年もe-Educationの授業を実施した学校ですが、実は本年度の実施打診の際に校長先生から厳しいお言葉をいただいていました。
「生徒が本当に出席するの?今後のe-Educationの授業の実施は夏休みの授業の様子を見て決めるわ。とりあえず夏休み中は2週間の授業だけね。」
今回の夏休みの授業の生徒の出席率で、今後のプロジェクトの実施が決まると言われてしまい、正直なところ不安でいっぱいでした。
しかし、パルマ高校の担当であったジェトロは、生徒たちをびっくりするほど巻き込んでいました。
平日の朝8時から12時まで、2週間に渡っておこなわれた授業は25人の生徒が参加を希望し、毎日20人前後の生徒が授業を受けていました。
彼は、映像授業の他に授業中に使うことのできるクイズなどを独自で作成したり、生徒を複数のグループにわけ、一番多く正解したチームにはキャンディをあげるといった工夫をして生徒の競争心と集中力を上げていました。
そして最終日、校長室に行き6月以降の実施に関して話したところ「是非、6月以降も続けてね」というお言葉をいただくことができ、生徒も喜んでくれました。
学生ボランティアの質の良さ
毎回、それぞれの学校の授業をのぞきに行く度に、生徒たちがとても楽しそうに授業を受けている姿、そしてチューターが楽しそうに教えている姿をみると、大変なことも嫌なことも全て飛んでしまうほどエネルギーをもらいます。
何より、生徒たちが「本当に授業を受けて良かった!楽しいよ!」と言ってくれるのが一番嬉しいことであり、生徒にとって本当に価値のあるプロジェクトなのだなと自信を持てるようになりました。
私には教えることも、問題を作ることもできません。このような授業ができているのは、ボランティアとしてチューターを勤めている学生ボランティアのみんなのおかげであり、本当に感謝でいっぱいです。
プロジェクトはまだまだ通過点
とはいえ、本プロジェクトはここからが本番です。
6月には、マニラ・ケソン市での15校の実施を目指し、チューターのボランティアメンバーを集め、チーム体制を整えなければいけません。
実施校が増え、それに伴いボランティアメンバーが増えたときどのようにプロジェクトを動かしていくのか。
次回は、マニラプロジェクトが今後目指すチーム作りについてお伝えできればと思います。
本日もお読み頂き、ありがとうございました!
もう後悔しないために。もっと多くの笑顔を作るために。私はマニラへ向かいます(立命館大学3年・磯部香里)
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