East timor tazuko miyara

アジアで最も若い国、東ティモール。

2002年に独立を遂げた大洋州の小さな国には、現在も多くの課題に直面しています。

そんな東ティモールで5年以上教育支援を行っているソプラノ歌手の宮良多鶴子(みやら たずこ)さん。

どういった想いで教育支援を行っているのか?お話をを伺ってきました。

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東ティモール首相からの誘い

ーーまず、宮良さんのお仕事について教えてください。

歌うことが私の仕事です。

ソプラノ歌手として、地元沖縄と各地を結ぶ演奏活動を続けながら、離島の子ども達へのコンサートをしており、学校や病院、施設でのボランティア活動も活発に行なっています。

現在は、ご縁あって東ティモールでも毎年コンサートをしております。

ーー東ティモールを訪れたキッカケは?

2008年、東ティモールのグスマン首相のご招待によって、東ティモールの独立宣言日式典コンサートに出演しました。

もともと東ティモールで活動されていた陸上自衛官の方々と繋がりがあり、彼らの依頼を受けて作った「オ・ライ・ティモール」という歌を、大使が首相に紹介してくれたことで生まれたご縁です。

2週間の滞在の中、首都のディリでの式典コンサートにに加え、ロスパロスの学校や施設など地方でもコンサートを実施しました。

ーーなぜ地方にも足を運ばれたのですか?

出国前に見たYoutubeの映像がキッカケでした。独立前の紛争の中、赤く染まった海で泣く子供を映した映像です。

こういった子どもたちが今どんな暮らしをしているのか、どうしても会いに行きたくて、大使館の方々と一緒に2週間で6箇所の村を回りました。

その中で訪れた孤児院ではコンサートを実施しました。対象は孤児院で暮らす100人以上の子どもです。2006年の大きな暴動で親を殺された子どもや、家でDVをうけてきた子など、彼らは心に深い傷を負っていました。

私が歌い始めると、子どもたちはキラキラした笑顔で笑い出し、一緒に歌ってくれました。あの笑顔は今でもハッキリ覚えています。30分だけという約束で許可されたコンサートだったのですが、結局3時間歌いました。

コンサートが終わってかえろうとすると、孤児院の子どもたちが「帰らないで」と泣きだしました。私も同じ気持ちでしたが、当日の私には何も彼らを支える力がありません。だから、必ず帰ってくるよと約束して分かれました。

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東ティモールと沖縄の子どもたちの心を繋ぎたい

ーーそれ以来ずっと東ティモールでの教育支援をしているのですか?

その通りです。

日本でコンサートを実施して集めた寄付金や支援物資を集めて、これまで10回以上東ティモールへ渡っています。

東ティモールにはトランジットで必ずインドネシアのバリ島に寄るのですが、まだバリを観光した経験はありません(笑)

現在は「オ・ライ・ティモールの会」のプログラムとして、沖縄の子どもたちと一緒に東ティモールへ行くこともあります。

ーーなぜ沖縄の子どもたちと一緒に?

東ティモールと沖縄にはたくさんの共通点があるんです。島、平和、そして子どもたちの抱える問題です。

ある沖縄の学校では、いじめをはじめとした問題が学級全体に広まってしまったが、「この子たちに新しい風を吹き込みたい」と校長を呼ばれて東ティモールでの活動を伝えたところ、子どもたちが一気に変わったんです。東ティモールの写真を渡したところ、自分たちで東ティモールのことについてまとめた新聞を作り出し、学校全体の雰囲気が大きく変わりました。

彼らにもっと現地の様子を伝えたくて、小学校6年生の子どもたち4名を連れて、東ティモールを訪れました。短い期間でしたが、彼らはどん欲に学ぶんです。最後は別人のように成長し、学校での帰国報告会では「幸せの基準はものじゃなかった」と素晴らしい発表をしてくれました。

この経験を各地で話したところ、東ティモールの小学校と交流をしたいと強く希望する沖縄県内の学校が何校も現れ、2011年10月には、沖縄県那覇市立真和志小学校と東ティモールの地方都市ラウテム県ロスパロスにあるトリンタ・デ・アゴストNo.11小学校との姉妹校が締結されました。

現在は東ティモール児童たちを沖縄に呼び、双方向の交流が行われています。

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詳細はオ・ライ・ティモールの会のWEBサイトをチェックしてください

継続することが何よりも大切

ーーこれから実現していきたいことは?

たくさんありますが、まずは東ティモールからもっと多くの人を呼びたいです。数人の子どもたちが東ティモールから来ることで、何百人、何千人という沖縄の子どもたちの心が変わるんです。

しかし、一度のプログラムでは意味がありません。私はこの活動を継続させることが非常に大切だと思っており、両国の子どもの未来をかえることができるなら、何が何でも協力するつもりです。

ーー最後に一言お願いします。

「歌で世界中の人たちの心を繋ぐ架け橋になりたい」と思って仕事をしていますが、私は歌うことしかできません。

日本と東ティモールを本当の意味で繋ぐためには、もっと多くの人の協力が必要であり、このインタビューを読んでいただいた方にもぜひご協力いただきたいです。

オ・ライ・ティモールの会のWEBサイト私のホームページでイベントなどの情報を発信しておりますので、良かったらぜひご覧ください。

(インタビュー終わり)

宮良さんのエピソードをもっと知りたい方へ

今回インタビューさせていただいた宮良さんが登壇された「ジャンプインアジア交流会」のレポートはこちらでも掲載されています。

[レポート]ジャンプインアジア交流会 2014年5月例会「アジア × ソーシャルグッド」 | CSRビズ

次回のイベントは、6月18日(水)です。バンコクから来日される2名の専門家と、頻繁にタイに出張している税理士1名の総勢3名のスピーカーがくるそうです。タイのビジネスや最新情報に興味がある方は、ぜひどうぞ!

ジャンプインアジア交流会6月例会(6月18日開催)


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