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ミャンマーに駐在されていて、かつ軍や体育学校の学生に柔道を指導している戸田祐樹さんにインタビューを行った前回の記事では、お仕事や生活、柔道について聞くことができました。

今回の記事では、なぜミャンマーで柔道指導に携わっているのかを中心に詳しくお伺いました。

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出会いをきっかけに

ーー戸田さんって、すぐに相手の国の文化にとけ込み、尊重し、楽しく過ごしていますよね。昔から海外や外国人と交流するのが好きだったんですか?

海外が好きな理由か・・・

生まれた環境が一つあるかもしれないですね。僕は、横須賀という米軍基地のある街で生まれ、父がよくアメリカへ出張に行っていました。ですので、物心ついた頃からアメリカには興味があったんです。そして先に話た通り、大学3年夏に2人のアメリカ人男性に出会いました。

彼らの見返りを求めず、純粋に人を楽しませ、もてなしてくれる姿勢に凄く心を動かされました。そして、いつしか「僕もこうした大人になりたい」と思うようになったんです。

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ミャンマーでも柔道をできることを知る

ーーそのような経験から、ミャンマーで柔道指導などを楽しく行えているんですね。元々、ミャンマーで柔道指導に関わろうと思っていたのですか?

実は、ミャンマー赴任前に大学の監督のもとへ挨拶にいくと、「ミャンマーで柔道やるのか?」と聞かれたんです。正直、「閉鎖的な国」「異文化を受け入れない国」と思っていたから、「え、あるんですか? あるならやりたいですが・・・」と最初は驚きました。

そして監督から講道館国際部を紹介していただき、ミャンマーで過去に指導されてきた2人の方とお会いしたんです。そういったきっかけからミャンマーで練習に参加(指導)させてもらい、本当にミャンマーという国に感謝しています。

「終わった選手」だった

言ってみれば、僕なんて「終わった選手」だったんです。親に柔道を勧められ、5歳から柔道をやっていましたが、大学1年で選手を辞めてマネージャーになったんです。

僕は、日本体育大学出身なので、「日体大 柔道部」と言うと「バリバリやってたじゃないですか?」と驚かれるが、実際練習なんてほとんどしていなかったんです。

ミャンマーのナショナルチームの選手とは、僕の柔道のレベルでも互角にやり合えるレベルなんですよ。僕は高校の関東大会出場レベルなので、そのくらいといったらわかりやすいかな?

軍人らはそれよりも更に下のレベルですから、投げられることはまずないです。ナショナルチームは投げたり投げられたりというレベルです。彼らにとって一緒に練習できる指導者がいたほうが良いみたいですね。

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柔道を教える戸田さん

僕の変則的な組み手(左組の奥襟を持つ)が、ミャンマーでは希少価値が高いようで、ナショナルチームをはじめ、僕の組み手が苦手な選手がいます。

タイ人に僕の様な組み手をする選手が多いらしくて、変則的な組み手で練習できることに喜んでくれているみたいです。将来は、彼らを国際大会で優勝できるレベルまであげたいですね。

「終わった選手」とされていた僕を必要としてくれ、日本のピーク時期以上に技術レベルが上がっていると思います。僕はこの地を「柔道再生工場」と勝手に名づけています(笑)

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仲間と再会出来る日を目指して

ーー本当に楽しそうですね(笑)戸田さんは、これからどのような道を進みたいとお考えなんですか?

スポーツ関連の道だと思います。今年4月ニューヨークに行ったとき、スポーツNPO(love.fútbol)などを訪問しました。

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love.fútbolアメリカ担当・Drew氏との一枚

帰宅後、お世話になっている彼らから「ユウキくんもいつか、そういう道に進むのかもね」と言われました。一人は幼児教育のスペシャリストです。ハーバード教育大学院の教授を経て今はニューヨーク大学で働いています。僕は言いましたよ。「あなたを超えますから」と(笑)

再会を願って

今、旅行会社で働いていますが、もともと僕は大学の頃、スポーツアナウンサー志望だったんです。スポーツの力で世界を変えたかったんですよ。でも、結局アナウンサーにはなれませんでした。

大学4年の秋、アナウンサーの夢を諦めた時、「次は世界を舞台に活躍したい。アナウンサーになった面々に負けないくらいに・・・」と強く決意しましたね。当時の悔しさが糧になっているのは間違いないです。

ワイドナー図書館

ハーバードの図書館

社会人になって世界の舞台で活躍する人たちを見ようと、ハーバード・ビジネススクール(以下HBS)の授業にも出たんです。HBSの学生や教授らが何を言ってるか、どんな討論しているか、正確に全部理解なんて出来ませんでした。でも「・・・これが、世界か!」と思いました。

世界で必要となるのは「個の力」「どれだけ単独で難局を打開できるか」ミャンマーにきて、さらにそう思います。

将来は、世界で活躍し、結果を残し、テレビ局に招かれた時、スタジオで当時一緒に競り合ってきた仲間といつの日か再会できたら嬉しいと思っています。


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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