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「地元の素材を使って、地元の人を雇用して、プロダクトを作りたい」

そう話すのはkru khmer botanical代表 篠田ちひろさんです。

豊かな資源に恵まれながらも、それらを使った商品が少ないカンボジア。隣国で作られたものがカンボジア産として売られていることもしばしば。今回、カンボジアで可愛いだけでなく、高品質で洗練されたプロダクトを作っておられる篠田さんにインタビューしました。(聞き手:立石美帆)

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ボランティアの限界を感じた

立石:高校生の頃から国際協力に関心を持って途上国でのボランティア活動をしていたそうですが、どうして起業しようと思ったのですか?

篠田:ボランティアの限界を感じたことがきっかけです。いつなくなるか分からない寄付金だけでは不安定でしたし、また寄付してくださる方の意向も汲まなければならないので、現場で本当に必要とされていること、自分たちのやりたいことができなくなることもあります。

また、本業の傍らで行うことになるので、継続することも難しいです。もちろんビジネスも失敗すれば潰れてしまいますが、できるだけ長い間、お金を回してプロジェクトを続ける仕組みが作りたかったので、ビジネスとして挑戦しようと思いました。

学生時代に私自身が何をするにも中途半端だったので、今回は最後まで諦めずに生業として覚悟を決めて行おうと決断。場所については「何がなんでもカンボジア!」というわけではありませんでした。

しかし、大学生の頃に旅行で訪れた時のことを思い出し、日本の考え方や働き方などの価値観に縛られていた私を、解放してくれるんじゃないかなと思い、カンボジアにしたのです。

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素敵なハーブとの出会い

立石:私も石けんや、良い香りの虫除けスプレーを愛用していますが、Kru Khmerのはじまりを教えてください。

篠田:カンボジアの薬草を使った「チュポン」と言われるスチームサウナがきっかけでした。すごくハーブの香りに癒され、サウナ内はとても暑いのですが発汗作用があってスッキリしたんです。カンボジアのハーブに魅せられ、この素材を生かした物作りをしたいと思いました。

その後、調査をはじめると、昔からクメール伝統医療というものがカンボジアには存在することがわかり、「クルクメール」と呼ばれる療法師のもとで、ハーブの名前や効用などを一年間学ぶことに。

最初、私一人で始めたのですが、この頃にはカンボジア人のスタッフ1名が一緒に取り組んでくれるようになりました。そして2009年に、Kru Khmerの最初の商品が完成。それが日本でもカンボジアのハーブを気軽に楽しめるバスソルトとバスティーです。

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田舎の人々をたくさん雇用したい

立石:ショップでは素敵な笑顔で接客する女性スタッフたちがいて、工房には心を込めてプロダクト作りをするスタッフ、そしてマネジメントをするスタッフ、みんなが自分の仕事に誇りをもっている姿がとても印象的でした。スタッフさんの採用、そして教育について教えてください。

篠田:村へ採用のために行ったときには、人身売買の仲介人と勘違いされたこともありました。お母さんも一緒に実際にシェムリアップまで見学に来ていただいて、やっと理解していただきました。

貧富の差が激しいカンボジアで、少しでも田舎の人々を雇いたかったのです。最終的に3人のスタッフを採用し、今は12人のスタッフとともにKru Khmerを運営しています。

スタッフ教育は本当に難しいです。当たり前だと思っていることが、当たり前ではないこともあります。たとえば石けんをつくる行程で、一週間後に石けんを裏返すという作業があるのですが、月間カレンダー片手に教えても、一週間後がいつなのか、というのがわからなかったり。

日めくりカレンダーが一般的なカンボジアでは、イメージしにくいのかもしれません。そこで、スタッフにスケジュール帳を渡して、その日やるべきことなどを管理してもらうことにしたのです。できないことに怒るのではなく、「どうしたらできるか」を常に考えてきました。

スタッフ教育に関しては、生活するための知識も伝えています。たとえば、村では馴染みのない銀行について、そしてスケジュール管理にも関連しますがメモする習慣、他にも栄養の知識などもそうです。毎日、当番制で食事を作るのですが、その日のことだけでなく、翌日何を作るかも考えながら市場で買い物することも苦手なように感じます。

これもタイムマネジメントやスケジュール管理に役立つことで、物事を長期的に捉えられるようになってほしいと思い、スタッフ教育に関しては今年もっともっと力を入れていく予定です。

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もっと多くの人にカンボジアの魅力を伝えたい

立石:ハーブを使用したプロダクトだけでなく、今やアクセサリーや水草を使った涼しげなバックの販売、そして今後はスパ事業の展開も考えておられるとのことですが、最後に、そんな篠田さんの今後の夢を教えてください。

篠田:これまで20人ほどのスタッフを採用しましたが、これからも少しでも多く、貧困家庭出身で、満足に教育を受けられずチャンスがなかった人々を中心に採用していきたいです。

同時に、作物を作っている農家と契約して、より多くの農家さんが安定した収入を得られるようにしたいと思っています。そして、みんなで作ったプロダクトを通じて、カンボジアの良さを多くの人に知っていただきたいです。

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Kru Khmer

カンボジアの観光の街シェムリアップの中心地にショップ、工房がありますので、カンボジアに来られる際はぜひ行ってみてくださいね!

http://krukhmer.com/


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