こんにちは!本日もご愛読くださり誠にありがとうございます。
e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明(たてあき)です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。
前回の記事では、僕がもう一年間ミンダナオにコミットしようと決意するに至った3つの要素のうち、二つ目の「事業スケールアウトと授業クオリティ向上のためのより大きな予算の獲得とそのための具体的な準備」に関してお話しました。
今回は、三点目の「現地の生徒の将来の自立サポートを含めたパッケージとしての事業コンセプトの改善」に関してお話したいと思います。
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事業を持続的にするために重要な予算
前回の記事でも述べた通り、①「既存の事業チームの強化・活性化」と②「映像授業のクオリティの向上」は、どちらも既存事業のグッド・プラクティスを実現する上で不可欠だと考えています。
そして、北ミンダナオで生まれたグッド・プラクティスをミンダナオ全域やフィリピン国内にスケールアウトしていくには、そのためのまとまった大きな予算が必要となります。
そのため、僕は次の大きな3つのセクターからの予算獲得の構想をはじめました。一つ目は「国際協力機関」、二つ目は「現地政府(フィリピン政府)」、そして三つ目が「民間企業」です。
国際協力機関やフィリピン政府との連携強化を目指す
現在、e-Education ミンダナオ島事業は、貧困などによりドロップアウトした高校生を対象とするオープンハイスクールプログラム(OHSP)という既存の公共プログラムを、映像授業を活用してカスタマイズするというコンセプトで現地の教育局と連携しながら事業を展開しています。
OHSPは教育局主導による公共プログラムであり、全国で展開される、いわばドロップアウトした高校生のための「教育インフラ」です。
OHSPでの授業風景
全国の学校で展開されるOHSP、すべての学校を映像授業によってカスタマイズしようとすれば、そこには国家事業規模の予算が必要になってきます。そのためには、現在の企業助成金を通じた事業展開よりさらにもう一歩踏み込み、国際機関やフィリピン政府を通じた公的資金の注入が有力な選択肢となります。
国際機関やフィリピン政府との連携を強化するために
こうした国際機関や現地政府を通じた公的資金を通じて事業展開して行くためには、現地での事業においてグッド・プラクティスを実現し、それを中央政府や国際機関へボトムアップして行くことが道筋の一つです。
また、実際、現地の教育局と連携しながら痛感するのは、現行事業の抱える構造的限界です。つまり、「貧しいながら平日は働き、なお勉強を続けるドロップアウトした高校生をサポートすることは素晴らしいことだ」という共通のヴィジョンはありながらも、教育局には膨大な通常業務もこなしていかなくてはなりません。
つまり、教育局という大きな組織を動かし、より効果的な事業展開を目指して行くための、より強力なインセンティブが重要となります。
これは単純に「日比の国際協力」という大義や人件費だけで解決できるものではなく、現行事業が「実利」を生み出すような構造的なインセンティブが必要だと考えています。
「実利」を伴う事業展開を目指して
そこで考えついた一つの解が、ビジネスニーズに沿ったスキル習得も併せて提供できる事業プログラムにしていくというものでした。
フィリピン教育省は2016年から新教育制度「K—12」を施行します(詳しくはこちら)。これまで義務教育期間が10年だったものが、12年に延長されることで、基礎学力の底上げと国際市場における競争力の向上を目指すものです。
この新制度の中で、新たに延長される2年間のうち、産業人材育成を主なコースとして始動する動きがあります。(科目としては、船員養成、調理師、介護、看護、エンジニアなどが検討されています)。
北ミンダナオのとある高校に新設されたエンジニア養成コース
この産業人材育成コースとの連携、つまりこのコース向けにe-Educationフィリピン事業が映像授業作成・提供を行うことができれば、フィリピン国や現地の若者にとって「実利」を生む、そんな生徒の将来の自立支援を含めたより包括的な取り組みが可能となるのではないかと考えています。
大学受験や卒業資格試験のサポート、そして産業スキルの習得など、「映像授業」を通じた生徒へのサポートは様々な可能性があると思います。
次回の記事では、フィリピン国における政府の政策方針やビジネスニーズと、現行事業との接点を摺り合わせながら、事業コンセプトの改善に向けて具体的に動きはじめたことに関してお話したいと思います。
本日もご愛読くださり、誠にありがとうございました!
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