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広大なミンダナオの大地

こんにちは!本日もご愛読くださり誠にありがとうございます。

e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明(たてあき)です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。

前回の記事では、僕がもう一年間ミンダナオにコミットしようと決意するに至った3つの要素のうち、三点目の「現地の生徒の将来の自立サポートを含めたパッケージとしての事業コンセプトの改善」に関してお話しました。

今回は、フィリピン政府の政策方針やビジネスニーズと、現行事業との接点を摺り合わせながら、事業コンセプトの改善に向けて具体的に動きはじめたことに関してお話したいと思います。

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プロジェクトのコンセプトの改善を目指して

前回の記事で述べた通り、現地の教育局と連携しながら痛感するのは、現行事業の抱える構造的限界です。

つまり、「貧しいながら平日は働き、なお勉強を続けるドロップアウトした高校生をサポートすることは素晴らしいことだ」という共通のビジョンや想いはありながらも、教育局の職員の皆さんは膨大な通常業務もこなしていかなくてはなりません。

このプロジェクトを拡大していくために必要は何か?教育局という大きな組織を動かし、より効果的な事業展開を目指して行くための、より強力なインセンティブが重要だと考えたのです。

これは単純に「日比の国際協力」という大義や人件費だけで解決できるものでありません。現行事業が「実利」を生み出すような構造的なインセンティブが必要なのです。

「実利」を伴う事業展開を目指して

そこで考えついた一つの解が、ビジネスニーズに沿ったスキル習得も併せて提供できる事業プログラムにしていくというものでした。

フィリピン教育省は2016年から新教育制度「K—12」を施行します(詳しくはこちら)。これまで義務教育期間が10年だったものが、12年に延長されることで、基礎学力の底上げと国際市場における競争力の向上を目指すものです。

この新制度の中で、新たに延長される2年間のうち、産業人材育成を主なコースとして始動する動きがあります。(科目としては、船員養成、調理師、介護、看護、エンジニアなどが検討されています)。

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北ミンダナオのとある高校に新設されたエンジニア養成コース

この産業人材育成コースとの連携、つまりこのコース向けにe-Educationフィリピン事業が映像授業作成・提供を行うことができれば、フィリピン国や現地の若者にとって「実利」を生む、そんな生徒の将来の自立支援を含めたより包括的な取り組みが可能となるのではないかと考えています。

ミンダナオ北部で考えうる産業ニーズとは?

では、実際にそうしたフィリピン社会やSAEAN市場における産業ニーズに沿った教育事業を構築して行く上でどのような分野に人財が求められるでしょうか?

僕は早速現地の教育関係者のみならず、様々なフィリピン経済に関わる方々にお話を伺いに行きました。

肥沃な大地が広がるミンダナオではやはり、農水産加工品事業のポテンシャルが高く、ココナッツやパイナップルといった従来の主要輸出品に加え、パッションフルーツなども含めたジャムやジュースなどの加工品付加価値商品が魅力です。

また近年ニーズが高まりつつ有るウナギの養殖ももうすぐ開始されそうです。こうした動きを後押しするように、とある日本の開発コンサル会社が、農水産加工品向け工業団地と水力発電プラントを現地の電力会社と恊働受注したというニュースも聞きました。

ミンダナオ

肥沃な大地が広がるミンダナオ

さらにフィリピンは世界でも有数の船員・看護師輩出国であり、船舶事業・看護・介護の分野も大いに可能性が感じられます。

マニラや東京でも産業ニーズを模索

こうした現地での「下調べ」を踏まえ、僕は一旦東京でもフィリピン全体における産業ニーズに関して、各方面から話を聞き、現在のアイデアをブレストすることにしてみました。

日本の最大手情報通信の企業や、人材関係、教育関係の企業、経産省、学校関係者、ソーシャルビジネスに取り組んでいる方などをまわり、マニラに戻ってからも、JETRO、情報、人材、船舶系の企業の方にお話を伺いに行きました。

最後にはフィリピン中央教育省の方にもお話を伺い、フィリピン国における映像授業の持つ可能性についてお話を伺いに行き、徐々に情報が集まってきました。

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フィリピン中央教育省の事務次官の方と(右はマニラ事業担当の磯部)

将来を見据えた事業構想

こうして一通り走り回ってみて考えたことは、まず北ミンダナオに関しては少なくとも後5年はどうやら明確な産業ニーズが見えづらいということでした。

その最も大きな原因は、「物流」整備の遅れでした。ここ数年は大型のインフラ開発の案件も話にはあがっていないとのことで、可能性次第では日系企業の招致も手段の一つとして北ミンダナオの社会発展に寄与したいと考えていた僕にとっては中々に厳しい現実でした。

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不動産開発が計画されている山間部の方へ視察に行った際。前夜の豪雨で川は淀んでいました

しかし、フィリピン全体で産業ニーズを考えれば、そこには非常に大きなポテンシャルが眠っているということもわかってきました。

そこで僕は、今後の事業の可能性に関して、再度構想を練り直し、どのような事業がはたして現地にとって価値を生み出すかを再構築することにしました。

さて、次回の記事では、事業のコンセプトをあらためて再検討しはじめたところからお話ししたいと思います。

本日もご愛読くださり、誠にありがとうございました!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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