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「社会起業家」という言葉を聞いて、どんな人を思い浮かべるでしょうか?

ノーベル平和賞を受賞されたグラミン銀行創業者のムハマド・ユヌス氏をはじめ、日本にも数多くの社会起業家が、社会の課題を変えるために活動を続けています。

しかし、「社会起業家」という言葉が広まる一方で、彼ら/彼女らの挑戦を支援する手段はまだ確立されていません。今回は、そんな道なき道を進むことを決めた、濱川明日香さんの取り組みについてご紹介します。

(聞き手:三輪開人)

Unsung Heroes of Compassion(謳われることなき英雄)

社会起業家の挑戦をサポートするために、一般社団法人Earth Companyを立ち上げた濱川明日香さん。起業のキッカケは2014年2月23日に遡ります。

「Unsung Heroes of Compassion 2014」

チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ師が、途上国で人道支援を行う活動家たちに対して”Unsung Heroes(謳われることなき英雄)”として表彰する賞に、濱川明日香さんと夫の濱川知宏さんが選ばれました。

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4年に一度、世界で50人だけが与えられるという大きな賞であり、受賞の話が来た時は「私たちは到底この賞に値しません」と選考委員会の方に連絡をしたそうです。

しかし、選考委員会からの返信は、濱川さんの未来を大きく動かす言葉となりました。

「この賞を受賞した人たちは、その後も継続して社会を変えるための活動を続けています。だから、これは単に過去の取り組みに対して贈られる賞ではなく、今後の挑戦に期待する賞でもあるのです」

こうして参加した授賞式で、起業に至るもう一つの大きな出会いがありました。

一人の友人を応援するために、Earth Company立ち上げへ

アメリカのサンフランシスコで行われた「Unsung Heroes of Compassion」の授賞式。1名だけゲストを招待することができる式典に、濱川さんは東ティモールの大統領補佐官として働くベラ・ガルヨスさんを招待しました。

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ベラさんは濱川さんがハワイの大学院で気候変動に関する研究をしていた時の友人。ふたりがそれぞれ描く『後世に残せる未来』について、夜な夜な語った仲です。幼少期に5ドルでインドネシア軍に売られたり、思春期にはあらゆる虐待に耐えた上亡命し、当時インドネシアの植民地であった母国の独立と解放を目指して奮闘してきた彼女の情熱に触れた明日香さんは、当時から、いつかベラが何か大志を抱いて行動する時は、絶対にサポートしようと決めていたそうです。

そんな同志をサンフランシスコに招待したところ、彼女から新しい挑戦の話を聞かされます。

それは、自然もインフラも人の心も崩壊した状態で独立を果たしたこの国で育つ子供たちに、自然を育むことで『心』を育みつつ、豊かな自然と共存する新しい未来を創るリーダーを育てる環境学校「ルブロラ・グリーン・スクール」の設立構想。

「『まさにこれだ』と直感しました」

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大統領補佐官として働く傍ら、以前と変わらぬ想いで自分の決めた道を歩み続けるベラさん。約束されていた政府からの助成金が降りなくても、私財を投げ打ちながら人づくり・国づくりを諦めない友人の活動に胸を打たれ、濱川さんは彼女の活動を応援することを決意しました。

濱川さんは夫の知宏さんと共に、数人の仲間を集め、彼女の挑戦を支援すべく、団体を立ち上げました。これが一般社団法人Earth Companyの始まりです。

クラウドファンディングREADYFOR?の力を借り、計503万円という資金を集め、メディアへの寄稿、新しいパートナーシップ作りの補助など、様々な手段でベラさんの挑戦を応援し続けました。

支援を始めてから約1年。ルブロラ・グリーン・スクールが無事開校した時、濱川さんは新しい決断をします。

団体は潰れても、人は生き続ける

Earth Companyの新しい挑戦。それは新しい社会起業家の活動支援でした。

しかし、アジアや太平洋で活動する社会起業家は島の数よりも多く、限られた予算や時間の中で支援できる人を選出しなければなりません。
何度も議論を重ね、最後に支援先に選んだのはインドネシア・バリ島に拠点を置く「貧しい女性の駆け込み寺」ブミセハット助産院の代表を勤めるロビン・リムさんでした。

ロビンさんは、2011年、米国最大のニュース放送局CNNがその年に一番人類・社会に貢献した人を称える「ヒーロー・オブ・ザ・イヤー」を受賞されています。

でも、濱川さんたちがロビンさんを選んだのは経歴ではなく、彼女自身とのやり取りの中で感じた圧倒的な熱量でした。
途上国における妊産婦死亡率は、なんと先進国の300倍。そんな窮状に立ち向かうべく、ロビンさんは一人でも多くのお母さんと赤ちゃんの命を救うためにブミセハット助産院を設立し、貧しい妊産婦に産科医療を無償提供しています。

現在はインドネシアとフィリピンをはじめ、世界各国へ活動の輪を広めるロビンさんの挑戦を応援するため、Earth Companyは支援活動を開始しました。

団体ではなく、起業家自身に対する支援を徹底しているEarth Company。その理由を尋ねると、次のような答えが返ってきました。

「人を動かすのは人」

それは「Unsung Heroes of Compassion(謳われることなき英雄)」での学びでもありました。

人を惹きつけるのも、人の心を突き動かすのも、『人』。団体ではなく、『人』に漲る壮大なポテンシャルに投資する。逆境に打ちのめされず、たとえ団体が潰れてしまっても、一生をかけて、勇敢に情熱と信念を貫く起業家を応援する。それがEarth Company・濱川さんの進む、新しい社会起業家支援の道なのです。

(インタビュー後編へ続きます※明日3月2日(水)公開予定)

支援をお願いします!

今回のインタビューでもご紹介したブミセハット助産院の代表を勤めるロビン・リムさんの挑戦。

毎日どこかで5000人の赤ちゃんと800人のお母さんが妊娠・出産中に亡くなっていますが、助産院のサービスが届けば9割以上の命を救うことができます。

そんな理不尽に20年以上取り組んできたロビンさんの活動を応援したい、もっと知りたいという方はぜひEarth Companyの応援ページをご覧ください!

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Earth Companyの応援ページを見る »


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