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初めて映画を観て喜ぶカンボジアの少年

「国際協力」という言葉を聞いて、みなさんはどんな活動をイメージしますか?

学校、病院の建設や水、道路などのインフラ整備。先進国の知識を用いた農業指導や、IT技術の普及を目指した活動など。技術の進化が著しい今日、国際協力の活動というのは以前よりも多岐にわたるものとなってきています。

今回は、World Theater Project(運営・NPO法人CATiC)という「途上国に映画を届ける」活動をしている教来石小織(きょうらいせきさおり)さんの取り組みについてご紹介します。

(聞き手:小川哲志)

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映画を通して、「夢の種まき」を

現在、World Theater Projectは、現地に駐在している副代表の山下龍彦さんとカンボジア人の「映画配達人」が中心となり、カンボジアの農村地域に映画を届ける活動をしています。

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発電機を運ぶWorld Theater Projectのメンバー

「子どもたちが楽しんで観ることができる」という前提の元、目標に向かって努力する大切さを教えてくれるものや、夢の選択肢が広がるような映画を選んでいます。

電気の通わない場所でも上映ができるよう発電機を持ち込み、映画館のない場所に、スクリーンとプロジェクターを用いて即席の映画館をつくり、現地の子どもたちに映画を上映しています。活動は年々拡大しており、現在までに約100ヶ所、そして、10,000人を超える子供たちに映画を届けています。

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みんなで映画を観る子供たち

2012年に、本活動を始めた教来石さん。活動を始めたきっかけには、彼女の映画への想い、そして、一つの原体験がありました。

「将来の夢は何?」

10年前にアフリカでホームステイした際、村の少年少女にそう尋ねたところ、返ってくる答えが少ないことに気が付きました。

そして、次に訪れたカンボジアでも、各村の子どもたちにインタビューすると、返ってくる答えは「先生」「医者」「仕事に就くこと」がほとんど。子供たちから出てくる「夢」の数が日本の子供たちよりも少ないことを不思議に思いました。

そして、その理由が、周りにある憧れの職業が先生や医者しかおらず、他の「夢」を知らないからではないかと気付きました。

教来石さんは、その時、自分が子どもだった頃のことを思い出したと言います。子供の頃、教来石さんは映画の中に出てくる登場人物に憧れ、弁護士や医者、刑事など数えきれないほどの夢を持っていたそうです。

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代表教来石さんとカンボジアの少女

自分が子供の頃、映画を観てたくさんの「夢」を持ったように、途上国の子供たちにももっといろんな「夢」を持ってほしい。

こうして、教来石さんは映画を通して、途上国の子どもたちに夢を届ける活動をはじめました。

ストーリーが持つちから

World Theater Projectの「途上国に映画を届ける」活動の裏には、教来石さんの一つの強い想いがあります。

「ストーリーは、人を、そして社会を変える」

活動を始めてから、教来石さんはある一人のカンボジア人のストーリーを知り、その想いを強くしました。

それは、カンボジアで日本語ガイドの仕事をしているリアさん。World Theater Projectを支援している日本人の方から教来石さんの活動の話を聞き、応援してくれるようになりました。

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左・リアさん、右・教来石さん。シェムリアップのゲストハウスの前にて

農村の村に生まれたリアさんは、裕福とは言いがたい家で育ちました。そんな中、リアさんのお母さんはリアさんを学校に通わせました。リアさんが「学校に行かずに家の手伝いをしたい」と言っても学校に行くように言い聞かせたそうです。当時リアさんの村では、「学校に行く」ことの大切さを知らない親たちが多く、リアさんのお母さんは「家の手伝いをさせずに学校に行かせるなんて馬鹿みたい」と言われていたそうです。

「それでも私がリアにしてあげられることは、勉強させることしかなかった」とリアさんのお母さんは涙を浮かべ当時のことを振り返ります。

リアさんは懸命に勉強を続け、学校を卒業し、カンボジアでは安定した職の一つとされる日本語ガイドとして活躍するようになりました。今はお母さんを都会に呼び寄せ、立派な家に住んでいます。

リアさんとお母さんのサクセスストーリーは、やがてリアさんの村に広がっていきました。現在、村の親たちは子どもたちに「リアみたいになりなさい」と言って学校に行かせているそうです。

リアさんのストーリーは村人の教育に対する考えを変え、ひいては、その村を変えることができたのです。

「ストーリーには、人を、そして社会を変える力がある」

ストーリーを伝えることができるコンテンツの中でも、映画の力は大きいと教来石さんは言います。教来石さんたちが届けている映画コンテンツは全て、権利元と交渉し、上映権を得た上で、現地のクメール語吹替え版を作成しているものです。字幕ではなくあえて吹き替えにすることで、まだ字を読むことができない子でも、映画を楽しむことができているそうです。

幼い頃から映画が大好きだった教来石さんの想いは、今、映画とともに途上国へと届けられています。

映画を通して、先進国と途上国を結ぶ

カンボジアから始まったWorld Theater Projectは、今後活動を広げ、他の途上国の子どもたちにも継続的かつ定期的に良質な映画を届けていくべく奮闘中です。

課題は活動を支えるための活動資金。World Theater Projectでは、継続的に活動を支援してくださる寄付会員を募集しています。

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World Theater Projectの会員証

食糧やワクチンなど、生きる上で必要なものを提供する活動ではないWorld Theater Projectの活動は、なかなか理解を得るのが難しく、寄付が集まりにくいというのが現状です。

そのような現状の中、World Theatre Projectは、ある一つのテーマのもとでファンドレイジングを行っています。

「映画を通して、先進国と途上国を結ぶ」

先進国で映画を観たら、そのお金の一部が団体の寄付になり、そして、そのお金で途上国の子供たちに映画が届けられる。そのような、先進国に住む人も途上国に住む人も映画を楽しむことができるモデルを構築しようとしています。

他にも、日本国内で映画関連のイベントを多数開催し、一部の参加費を団体の活動費としてカンボジアへと送っています。今まで、「スター・ウォーズ」や「パディントン」など様々な映画をテーマにしてイベントを開催してきました。

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団体が主催した『スター・ウォーズ』イベント。中央にいるのが、スター・ウォーズ第一人者の河原一久さん、映画パーソナリティの伊藤さとりさん

また、収益の一部を寄付してくださる映画上映会や映画イベントを開催している他団体との提携も行っており、途上国の子供たちに映画を届けられる仕組みづくりを様々なアプローチで行っています。

また、本インタビューにご協力してくださった教来石さんが執筆された本が先日、出版されました。団体がどのように設立され、その後、どんな活動をしてきたのか。3年半のことが綴られた『ゆめの はいたつにん』(センジュ出版)が発売されています。収益の一部は団体への寄付となるとのこと。興味を持たれた方はぜひ手にとってみてください。

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代表教来石さんが書いた『ゆめの はいたつにん』

「映画を通して、先進国と途上国を結ぶ」

年会会員として寄付を行ったり、単発での寄付をするだけでなく、映画関連イベントを開催するスタッフをやったり、団体のイベントに参加するなど、World Theater Projectへの関わり方は様々あります。

ぜひ今回紹介した活動を応援したい、もっと知りたいという方は、団体のホームページをご覧ください。

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途上国の教育課題を若者の力で解決する

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