Voyage2 morinaga

お腹がすいて死んでいく子ども。栄養不足で死んでいく子ども。

「食」と「栄養」で途上国に貢献したい、という強い思いで活動を続けてきた森長史人さんは、その子どもたちを取り巻く厳しい環境と向き合ってきました。

途上国の飢餓と栄養の問題には、いろいろな打開策が講じられ、様々な団体が取り組まれんでいますが、資金が途中で尽きるなど、海外からの支援だけでは解決できないことが徐々に分かってきました。

そんな中、森長さんが所属するアライアンス・フォーラム財団は2009年からスピルリナというアフリカ原産の「藻」の地産地消ビジネスモデルを作ることで、この課題に取り組んでいます。

どうやってプロジェクトが始まったのか?これまで困難があったのか?

森長さんの挑戦、そして素顔に迫ります。

(聞き手:徳永健人)

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「食べる」が当たり前でなくなった日

ーー森長さんが国際協力の道を歩むようになったきっかけは何ですか?

遡ると、自分が大学を選ぶときのキッカケが大きく関係しています。もともと英語が好きだったということもあったのですが、英文学科とか国際政治学とかいろんな分野がある中で、「国際開発学を学べる」という学部を見つけて、そこで勉強がしたいと思ったのがきっかけでした。

学校に入って周りの友達が海外でボランティアをしていたり、周りにいろんな留学生がいたりしていろいろな方から刺激を受けました。私は大学に入るまで、もともと海外に行ったことがなかったので、国際協力のことを、何となくのイメージでしか捉えていなかったのですが、大学1年生の冬休みに行ったWFP(World Food Program:国連世界食糧計画)をサポートする市民ボランティア団体主催の写真展に参加したことが、私の人生を大きく変えました。

その時の写真展は、WFPがアンゴラで難民への食糧支援を行っている活動紹介でした。

「飢餓状況だと、人ってこんなにやせ細ってしまうのか」
「僕がこうして5秒数える間に1人が飢餓に起因する理由で死ぬのか」
「WFPが年間で支援する食料よりも、日本の食料廃棄量の方が多い」

このような飢餓の様相を目の当たりにして、私は衝撃を受けました。これまで国際協力の勉強をして、知っているつもりになっていたのですが、私は全然途上国のことを知らなかったのだと強く思いました。

私にとってそれまで「食べる」ということは、ごく当たり前のことでした。どんな人間でも生きるために絶対に必要なのに、それがないということの絶望を私は感じました。

世界には、一方で、先進国のように肥満状態の子どもたちもいます。パソコンや携帯は無くても生きていけますが、食べ物はなければ当然死んでしまいます。世界の中で本当に必要なもの、本質的な部分が矛盾しているという現状をなんとかしたい、そこに貢献する一助になりたい、という想いが芽生え、国際協力の現場で働きたいと思うようになりました。

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現場で経験を積み、開発学を学び、いざアライアンス・フォーラム財団へ

ーーその後、会社に入社し、大学院へ進学したということですが、そのまま大学卒業後すぐにNGOなどで勤務しなかったのはなぜですか?

国際協力分野で貢献したいと思ったとき、やはりマネジメントの能力や最低限のビジネススキルとしての技術が必要だったからです。最初の就職活動も、できるだけ途上国の現場に近いところで働ける会社に就職したいと考えて、就職先を決めました。

就職先は、政府のODAプロジェクトを受注し、アフリカなどの途上国で水井戸掘削など給水施設を作る土木会社でした。6年間勤務し、そのうちの約半分、3年弱、ケニア・エチオピア・南スーダンに駐在し、経験を積むことができました。その後、もっと開発援助の学びを深めたいと考えて開発援助の研究ができるイギリスの大学院へ進学し、卒業後アライアンス・フォーラム財団へ入団しました。

そして今、最初に自分が関心を持った途上国における「食」・「栄養」の分野で、ザンビアで活動しています。

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ーーいま、アライアンス・フォーラム財団ではどんな活動をされているのですか?

アライアンス・フォーラム財団では、ザンビアで高栄養の食用の「藻」である「スピルリナ」を活用した慢性栄養不良改善に取り組んでいます。

少し難しい話になりますが、私が写真展で衝撃を受けた、アンゴラのやせ細った子どもたちは「急性栄養不良」による飢餓で亡くなっていました。しかし、実情としては栄養不足による「慢性栄養不良」の方が、途上国の多くの子どもの死因になっていることが判明しています。もちろん一概にそうとは言えない要因も多いのですが、私たちがこの課題を解決するために着目したのがスーパーフードであるスピルリナです。

私たちは、ザンビアの人々がスピルリナを地産地消することで、援助に頼らず、自らの手で栄養問題に気づき、改善することを目的としています。また、彼ら/彼女ら自身が、スピルリナを生産・販売することで、持続性のある、自立可能な事業を立ち上げたいと考えており、今回のクラウドファンディングに挑戦することになりました。

詳しくは、ぜひクラウドファンディングのプロジェクトページをご参照いただければと思います。

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一人で考え抜く仕事を乗り越えて

ーー現地の活動で、一番大変だったことはなんですか?

生活自体にそんなに苦労することはありません。私の活動は、途上国のザンビアとはいえ、首都で活動しているので、皆さんが思うような過酷な生活ではないですね。

ただ、大変なことと言えば、ザンビア滞在の日本人職員は私一人で、全てにおいて自分で予定を考えて活動を展開しいなくてはいけなかったのがものすごく大変です。特に赴任から最初1年半の間はずっと1人でマネジメントやモニタリングを兼務しつつ実施する必要があったので(笑)

ただ、振り返ったらですが大変だったというよりも、こうして僕に任せてもらって、プロジェクトの全てを担当させてもらえるということはとても光栄です。

仕事は、常に順調に行くわけではないですが、今では現地のパートナーたちとの関係性も構築でき、このプロジェクトの実現に向けザンビアの人々と一緒に協力しながら頑張っています。

ーーこれからの活動ではどういったことに挑戦していきますか?

団体としては2009年から積み上げてきた事業・スピルリナ・プロジェクトをしっかりと形にしていくことが直近の目標であり、挑戦です。

スピルリナを普及させるためにこれまでやってきたこと、ザンビア人のザンビア人による自立した地産地消を目指すということ。今後はこれを実現・定着させるために活動を続けていく必要があると考えています。

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自ら自国の課題を解決できる仕組みを目指して

ーー今回のクラウドファンディングにかける意気込みをお聞かせください。

2009年から続けてきたプロジェクトがようやく形になります。

アライアンス・フォーラム財団で取り組んでいるこのスピルリナ・プロジェクトは、ザンビアの現地の方々の、ビジネスとして始まるプロジェクトです。つまり現地に雇用を生み、現地の人に技術を移転し、販売することで、ザンビア人によるザンビア人のための自立した栄養不良問題を解決するモデルの実現を目指しています。海外援助に頼らなくてもザンビア人自ら自国の問題を解決できる仕組み作りなのです。

私の目指す国際協力とは、「かわいそうな途上国の人を自分が助けてあげよう」というものではありません。もちろんきっかけとして、その動機はあるのかもしれませんが、そういった「施しの支援」は、途上国の人にとっては「援助依存」を生んでしまいます。やはり彼らが自立できるような仕組みを考えて、持続性のある支援をしていく必要があると考えています。

そして今回のクラウドファンディングの新着情報等の投稿などを通じて、「ザンビアでこんな人たちが頑張っているんだ」、「こんな日常や幸せがあるんだ」というところを見てもらい、いろいろな人に国際協力の興味を持ってもらえるきっかけになればいいなとも感じています。

自分が国際協力の道を志したアンゴラの写真展のように、このプロジェクトを知ってくださった方にとって何かのきっかけになれば、と思います。是非いろんな方にプロジェクトページを見ていただきたいです。

(インタビュー終わり)

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『VOYAGE PROGRAM』での挑戦

『VOYAGE PROGRAM』は、国際最大規模のクラウドファンディングサービスを手がけるREADYFORが新たにはじめた国際協力活動応援プログラムであり、アライアンス・フォーラム財団は第2回参加団体に選出されました。

森長さんたちは「藻」が世界を救う?ザンビア産スピルリナで、栄養革命を!というプロジェクトの成功に向け、現在活動資金を集めています。

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応援したい方・関心のある方はぜひプロジェクページをご覧ください!

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途上国の教育課題を若者の力で解決する

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