Yes it is chance

気がつけば今年も半分以上が過ぎました。みなさんにとって、今年はどんな変化がありましたでしょうか?

私自身はというと、NPO法人e-Educationの代表という立場は変わっていませんが、生活の拠点を海外に移すという大きな変化がありました。

そしてもう少し範囲を広げて、私のまわり、NGO/NPOという業界全体に目を向けてみると、経営者の退任・キャリアシフトが相次いでいます。

果たして、このような状況はピンチなんでしょうか?それともチャンスなんでしょうか?

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尊敬する先輩経営者たちのキャリアシフト

今年に入って、私が尊敬する先輩経営者たちが相次いでキャリアを変えるというニュースが続いています。

認定NPO法人Teach For Japanの松田悠介さん。NPO法人SVP東京の岡本拓也さん。認定NPO法人ジャパンハートの吉岡秀人さん。

どなたも心から尊敬する経営者であり、3年前に私がe-Educationの代表になってから何度もアドバイスいただいてきた兄ような、恩師のような存在です。

そんな先輩経営者たちが今年、相次いで代表を退任してキャリアシフトするという話を耳にしたとき、まるで革命が起こったのかのような衝撃がありました。

「NGO/NPO業界で、何かが起こり始めている」

こう思いつつも、果たして明るい話題なのか暗い話題なのかも分からず悶々としていたところ、NPO法人クロスフィールズ代表の小沼大地さんが以下のような記事を書かれました。

NPO経営者の退任について、ポジティブな側面とネガティブな側面が客観的にまとめられているので、ここは思い切って「この状況は、誰にとってもチャンスである」という主観的かつ感情的な意見だけお伝えできればと思います。

退任した人たちにとってのチャンス

突然ですが、「トライセクター・リーダー」という言葉をご存知でしょうか?

端的に言えば、民間や行政といったセクターの枠を超えて活躍するリーダーのことを指す言葉であり、アメリカの副大統領を経てアップルの取締役になったアル・ゴア氏や、世界銀行→マッキンゼー→財務長官の首席補佐官→Facebookというキャリアを歩むシェリル・サンドバーグ氏などがその代表例として挙げられます。

彼らの共通点は、異なるセクターにおいてキャリアを積んでいることであり、見方を変えるなら、何度かキャリアを変えているからこそ、異なるセクターをつなぐリーダーになった、とも言えるでしょう。

ここに大きなヒントがあると思うのですが、複雑な社会課題を解決するためには、異なるセクター、異なる立場にある人たちが力を合わせる必要があり、今いる場所から離れて新しい視点や経験を獲得することは、社会を変えるためには間違いなくプラスになるはずです。

Teach For Japanの松田さんは、これからスタンフォード経営大学院のフルタイムExecutive MBAコースに進学されるそうで、これまでの経験を世界のリーダーたちと議論しながら昇華されることでしょう。

SVP東京の岡本さんは、現在次なるキャリアを模索しているようですが、先日お会いした時は今まで以上に柔かい雰囲気を纏われており、社会の課題を「どのようにして」変えていくのか、働き方や生き方も含めて探求されている印象を受けました。

ジャパンハートの吉岡さんにはしばらくお会いしていないものの、常に現場を中心に据えて活動し、持続可能なNPOの仕組みについて非常に鋭い視点を持たれていたことを考えると、今回の退任(に伴い、顧問という立場で現場を中心に活動される方針)は、ホラクラシーとといった新しい組織づくりへの挑戦な気がしてなりません。

異なるセクターに渡る。組織から個人に活動の主軸を置く。組織の構造自体にメスを入れる。先輩経営者のキャリアシフトを、このような挑戦だと想像(妄想)すると、やっぱりワクワクしてきますし、彼らに並ぶ経営者になりたいと心から思います。

新しい経営者・経営層にとってのチャンス

「彼らに並ぶ経営者になりたい」と書きましたが、元々私は経営者を目指していたわけではなく、e-Educationの活動もプロボノに近い形で関わってきました。

しかし、関わるに連れてもっともっと組織の変革を、その先にある社会の変革を一番近い場所で感じ取りたいと思い、2013年の10月に前職JICAを退職してe-Educationの活動に専念し、2014年の7月をもって代表理事に就任しました。

あれから3年。もちろん苦しいことや辛いことはありましたし、今も目の前の課題と向き合う毎日ですが、それでもこの3年間は最高に素晴らしい時間であり、素敵な仲間と一緒に挑戦できることは幸せ以外の何ものでもありません。

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先ほどご紹介したNPOの代表交代、経営層の変更について全ての事情を知っているわけではありませんが、それでも新経営者・経営層の人たちとお会いする中で感じたことがあったので、ぜひここで紹介させてください。

まずTeach For Japan新CEOの白田直也さん。まっすぐな目とアーティストのような空気がとても印象的で、本当に子どもたちのことが、教育の現場が大好きなんだろうなと感じました。元々Teach For Japanのプログラムを通じて教育現場に入った白田さんだからこそ、これからプログラムやサービスに「深さ」が生まれることでしょう。

続いてSVP東京の新代表を就任した藤村隆さん。藤村さんはe-EducationがSVP東京の支援を受けていた時からずっとお世話になっており、どんな人とも心地よい距離をつくるバランス感覚に感動していました。今では100人近い組織になったSVP東京が今まさに必要な力であり、さらに多様性ある団体に進化していくと確信しています。

最後に、代表交代のみならず理事メンバーも含めた経営層全体の入れ替えを行なったジャパンハートについては、もう見事としか言いようがないですが、中でも嬉しかったのが同世代の佐藤抄さんが理事になったことです。佐藤さんは以前クラウドファンディングで協働事業を作った時に大変お世話になり、当時から良い意味で他動的に新しい事業を作っており、きっとこれから組織全体として新しい挑戦が増えていくに違いありません。

こうやって新しい経営者・経営層を眺めてみると、彼らの経営参画によってどの団体も新しい「色」がつき始めている印象があり、それが自分のことのように嬉しく感じられるのは、やっぱり私もいわゆる2代目経営者だからでしょう。

私が代表になった2014年は迷いの連続でした。誰に言われたわけでもないのに、創業者(前経営者)を超えなければというプレッシャーを感じ、それによってどんどん心も足取りも重くなり、自分が辞めた方が団体は良くなるんじゃないかと思ったこともありました。

それでも「自分らしくいけばいい」と背中を押してくれた先輩経営者たちのおかげで、私は自分らしい「色」を大好きなe-Educationという団体に加えることができた気がします。

ちなみに、「自分らしくいけばいい」と言ってくれたのは、他でもない松田さん・岡本さん・吉岡さんの3人であり、彼らからバトンを渡された新経営者・経営層の皆さんは、きっと今までにない「色」を組織に加え、もっと大きな社会変革を起こしていくと心から信じています。

これからNPOへ転職する人にとってのチャンス

今回の代表交代や経営者の退任の話は、何も組織内の話だけはありません。

誰かが組織を離れる、ポジションを変える、ということは、少なくともそのポストが空いたり、新しい人が加わる(関わる)スペースが生まれることを意味します。

新しいスペースが生まれれば、そこには新しい「風」が吹きます。私たちe-Educationもまさに今新しい「風」が吹き始めており、ここで自慢の仲間を1人紹介させてください。

彼女の名前は椎木睦美。大学を卒業した後、青年海外協力隊としてマラウイの教育現場で活動し、帰国後e-Educationに就職しました。

途上国の経験については申し分なかったのですが、社会人としての経験は他の候補者に比べて少なく、私たちもまだまだベンチャー体質(さらに言えば男性のみの職場)であったことから、彼女が楽しく活躍できるか正直不安もありました。

しかし、入社してすぐにメンバーに溶け込み、大学生インターンともあっという間に距離を縮めていきました。さらに驚いたのは、入社2ヶ月で新規事業を考案し、それをベースに応募した三菱UFJリサーチ&コンサルティング主催のソーシャルビジネス支援プログラムで入賞したのです。

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写真は三菱UFJリサーチ&コンサルティングのFacebookページより引用

ちなみに、その新規事業はもともと私たち職員が何度も挑戦しようとしては踏みとどまった内容であり、そんな過去の議論は気にせず、自分がやりたいと思った事業に向かって真っ直ぐ進む彼女をみて、新しい「風」を確かに感じました。

3年前、e-Educationの職員は私1人でした。それから1人ずつ職員が増えていき、今では6人になりました。椎木をはじめ、新しく入ってくれる職員は必ず新しい「色」と「風」を持っており、それが組織を進化させていくということを学んだ3年間でした。

もし今、NPOへの転職を考えている方がいたら、それはきっとチャンスです。NPOの経営者・経営層が変わるタイミングは必ず新しい「風」が生まれやすい時期であり、良かったらぜひ一緒にNGO/NPOを盛り上げて生きましょう!

【e-Educationも新しい仲間を探しています】
現在、私たちe-Educationも新しい職員(2名)を募集しています。ご興味ある方はぜひ以下のページから募集内容をチェックしてみてください。

退任の賛否よりも遥かに大事なこと

ここまで「この状況(NPO経営者の退任)は、誰にとってもチャンスである!」という感情的な意見を並べてきましたが、当然ピンチな側面もあると思っており、今激動の中にいるNPO職員の方々や応援者・協力者の人たちにとっても退任について賛否が分かれることだと思います。

ただ、ここからさらに感情的な意見になりますが、退任が正しい選択だったかどうかは割とどうでもよく、それよりも「選んだ道を最高にする」といった意思と行動の方が遥かに大事です。

もしかしたら選ばなかった選択肢の方が比較的容易に目標へたどり着ける道かもしれません。ただ、別の道を選んだとしても、頑張れば目標へ辿り着けることは十分ありえますし、これが仕事の面白さだと最近よく思います。

大事なのは個人が、鏡に映る「自分」こそが主役だということ。自分で決めたゴールと選んだ道をどこまで楽しく、面白く走りきるかが重要で、その道が正解かどうかなんて関係ありません。

経営層から離れる人も、新たに経営者に入る人も、そして新たにNPOに入る人たちにとっても、起点はいつも「自分」と「今」であるはずであり、私は絶対NGO/NPO全盛期がこれから来ると信じていますし、それに向かって行動し続けると決めています。

私たちe-Educationは、世界の果てまで最高の授業を届けるというミッションの実現に向かって、今後も「団体史上最高」を更新していき、国際協力の歴史を変えるような挑戦を続けていきますので、興味を持ってくださった方は、ぜひ採用募集ページをご確認ください!

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途上国の教育課題を若者の力で解決する

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