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どうもこんにちは。e-Educationミャンマー担当の佐々翔太郎です。

今日は、ミャンマーの地方出張でのある気づきから生まれた新しいプロジェクト『Live the Dream』立ち上げに至るまでの軌跡をお伝えできたらと思います。

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チンでの気づき「みんなやる気なくない?」

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どこか覇気のないチンの生徒たち

僕はe-Educationの活動地であるチン州のハカという街で3週間プロジェクトに取り組む中で気づいたことがありました。

「チンの生徒たちって、セーダン試験(=高校卒業試験)を突破するかしないかの前に、そもそも勉強する気がないんじゃないか?なんで受験生なのに授業中落書きしてるの?なんで日中ふらふらしてるの?」

確かに劣悪な学習環境ということもあるかもしれません。しかし、やる気のない生徒たちがたくさんいることもまた事実でした。

セーダン試験突破率が10%前後なのは“劣悪な学習環境”だからじゃなくて“やる気がない”ことが大きな理由なんじゃないか?

e-Educationはこれまで「やる気のある学生」の勉強をサポートし、教育格差の是正に取り組んできました。

しかし、本当の教育格差は、この勉強するやる気そのものじゃないのか?やる気のない子を応援することも教育格差是正への道なんじゃないのか?そんなことを毎日のように考えました。

やる気がない原因は、夢の欠如と道のりの不透明感

「やる気がないのは、一体どうしてなんだろう?」

何度も考えてみたところ、僕もやる気がない生徒だったことを思い出しました。

僕がやる気がない時。失敗した時。何か壁にぶつかった時。親にガミガミ言われた時。

逆に、僕がやる気がある時。好きな女の子と席が隣になった時。好きな女の子がランクが一つ上のクラスにいた時(すみません。女の子ばかりでした)。周りにバカにされた時。ライバルが頑張っている時。テレビで同い年が活躍しているのを見た時。カッコいい人を見つけた時。

色々ありますが、私のこれまでの経験から、やる気がない人がやる気が出る時は①誰からから認められたい・評価されたい時、②こうなりたいという目標ができた時のどちらか、もしくは両方なんじゃないかと思います。

特にチン州の生徒たちは、こうなりたいという目標を持てていないがためにモチベーションが低いのではないか。目標があったとしてもそこまでの道のりもはっきりとしておらずモチベーションが維持できていないのではないか。このような仮説を立てました。

そして、その仮説を裏づけようとチン州の数校でアンケート調査を実施します。

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チンの学校でのアンケート調査

尋ねた項目は主に以下3つ。

  1. 夢はありますか(あればその夢は何か)
  2. (夢がある場合)その夢への道のりは明らかですか
  3. 行きたい大学、学部はありますか

結果は概ね予想通り。

夢(目標)がある生徒は少なく、あったとしてもそこまでの道のりも明らかではない、という結果が得られました。また、「英語教師になりたい」という生徒が大学では「土木を勉強したい」と言うなど、夢への道のりが描けていない具体的事例も実際に見受けられました。

そこで、夢がなかったり、夢への道のりがはっきりしていないから、やる気が出ず、勉強にも力が入らない、という仮説にもある程度確信が持てるようになってきました。

そうであるならば、生徒たちのやる気がない原因である夢の欠如・夢への道のりの不透明感という根本問題を解決することで、若者が生き生きと何かに向かって頑張るという状況を作り出したい、と考えるようになりました。

もちろん、このようなミャンマーの厳しい環境にいる子どもたちは明日を生きることが精一杯で未来に夢や希望など見出せと言うことなんて単なる綺麗事かもしれません。

でも、「何かやりたい!」と思った時に踏み出せる土壌は必要だと思うし、その「何かやりたい!」を僕は応援したい。こう強く思いました。

過去の自分と重なって見えたチンの子どもたち

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下ばかり向く過去の僕

彼らが厳しい環境下で未来に対して希望を見出せず彼らが厳しい環境下で未来に対して希望を見出せず、ダラダラと過ごす毎日。そんな彼らの様子はいつかの僕に、国は違えど似て重なりました。

今まで一緒に暮らしていたはずの父親が突如消え、家族同士が法廷で戦い続けることになってしまった複雑な家庭環境。失った大人への信頼、未来への希望。僕は一時期学校にも行きたくない、部活にも行きたくない、誰とも、スーパーのおばちゃんとも会話したくない、そんな日々がありました。

しかし、僕は今ここに居ます。荒削りとよく言われますが、ここミャンマーという未開の地で何とかやってます。なぜ、ここまでやってこれたのか。冷静に振り返って大きく分けて要因は3つあると思っています。

①周りの人たち

家族、友達、学校の先生。特別な言葉をかけてくれたわけではないですが、言葉なんてなくても伝わってきました。

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祖父と僕

②野球

野球は自分にとって大きな心の拠り所でした。もちろん部活に行きたくない、そんな時期もありましたが目の前に一生懸命に、我武者羅になれるものがあったから気も紛れました。

辛くても、悲しくても、バットを振っていれば何とかなりました。厳しい監督の下、悲しんでいる暇なんてなかったのかもしれません。見返してやる・お世話になった人に恩返しをする、そんなチャンスをくれたのも野球でした。野球には本当に感謝しているし、スポーツって素晴らしいと思います。

現実に疲れてしまった時、少し休憩させてくれる場所であると同時にまた、明日の現実に力を与えてくれるものです。そんなスポーツの力はここミャンマーでも同じであると思うし、将来はスポーツに関わるビジネスに興味を持っているのも事実です。

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高校野球に熱中した佐々少年

③先人のカッコイイストーリー

僕はテレビやYoutubeなどでドキュメンタリーをよく見ていました。その中で、自分と似たような境遇にある先人たちの挑戦を知ることができました。

例えば、プロサッカー選手の長友佑都や本田圭佑。彼らは片親です。

ソフトバンクの孫正義社長。彼は在日韓国人と差別されていました。彼に関しては少し状況は異なるものの、少年時代に変えることのできない困難を抱えていたという点でとても共感しました。

そんな、自分と何かしら似通った過去をもつ彼らは今、この世界で僕たちに大きな感動を与えてくれています。

「僕と同じような状況にいた彼らでもこんなかっこよく生きているんだ。こんなに多くの人に希望を届けることができるんだ。じゃあ、俺にもできるんじゃないか?」

同じ境遇にいた先輩たちが「君にもできる!」と励ましてくれていたのです。次の日には、そんな彼らを夢見て頑張ることができました。

ミャンマーで今、取り組むべきことは?

これらの要因により僕はここまでやってこれました。ではミャンマーの子どもたちにとってはどうか。

家族を大切にするミャンマーの人たちにとって、人の繋がりはとても強いです。もちろん恵まれていない家庭環境の子たちもいますが、僧院をはじめ孤児を受けれている教育機関もたくさん存在します。

次に、スポーツです。ミャンマーでは体育の授業がなく学校が多く、部活動といった文化も聞いたことがありません。ただ、普段から外で遊んでいますし、放課後になるとサッカーを楽しんでいる生徒たちもいました。

最後に、格好いい先人のストーリーについてですが、これは日本と比べて決定的に不足しているように感じます。伝記などの書物は少なく、テレビ業界もまだまだ発展途上で、そもそもテレビがない家庭も多いです。つまり、カッコイイ先人がいたとして、そのストーリーを伝える手段がないのです。

これを踏まえ、僕たちe-Educationとしてアプローチするべき課題を格好いい先人のストーリーの伝達不足に絞りました。

ミャンマーには書物やテレビは十分に無いけれど、実はほとんどの人たちがスマホを持っています。そしてFacebookに夢中です。

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Facebookに夢中なミャンマー人

「スマホやFacebookを通じて、若者たちを応援することができないか?」

カッコイイ先人たちが画面を通して若者を励まし、若者が夢を抱く。そして、その若者が今度は次の世代の若者をモチベートしていく、循環型の社会。それはきっと昔はできませんでした。

でも今なら、どんなに世界の果てに住んでいる人でもスマホを手に入れることでき、世界の最先端と繋がることができます。

「これだ!」と直感し、新しいプロエジェクトを立ち上げようと決めました。

新プロジェクト”Live the Dream”

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立ち上がった”Live the Dream”

『Live the Dream』

これが新しいプロジェクトの名前です。日本語訳は『夢を生きろ』。

僕らが目指している未来、そしてこのプロジェクトの全容は次回の記事でご紹介します!

どうぞお楽しみに!

皆さんへのお願い

『Live the Dream』を立ち上げるに当たって、ボランティアスタッフのMinとMayはアイデアだけで何もない状態の時から無給で付いて来てくれました。

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ボランティアスタッフのMinとMay

そんな彼らに少しでも恩を返したくて、今、僕個人名義でpolcaというサイトで小規模クラウドファンディングをしています。

この記事を読んで少しでも共感いただけたら、ぜひ1口300円からの応援をよろしくお願いいたします!

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