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みなさんは、日本で不登校や引きこもりなどを経験した人が抱える課題に取り組むキズキグループをご存知でしょうか?

「何度でもやり直せる社会をつくる」というミッションを掲げて、そのような人々の学習支援を行う「キズキ共育塾」の運営など、日本国内での支援業務を行っています。

実は、そんなキズキには、青年海外協力隊、学生NGO、インターンなど、途上国支援を経験した職員が多く在籍しています。

今回は、そんな海外経験を有する職員がなぜ国内の課題に取り組む様になったのか2回にわけて2人のストーリーをご紹介します。

海外での経験を日本で生かして活躍されている様子がこれからキャリアを作る方の参考になれば幸いです。

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現地のことは現地の人間が解決する

第一回でご紹介するのは、キズキ共育塾大阪校の教室運営スタッフ、鎌中俊充(かまなか・としみつ)さんです。

鎌中さんは、「途上国支援がしたい!」という思いを小さい頃から持っていたわけではありません。

大学院を修了するまでのことを、「漠然と人のため、社会のためになることや社会貢献をしたいとは思っていたんですけど、具体的な目標はずっとありませんでした」と振り返ります。

そんな心情のまま、高校を卒業し、東京大学で建築学を、同大学院では技術経営学を学びます。

「途上国に行きたい」と「教育で社会貢献したい」の両立のためルワンダへ

そして大学院修了後に「これまでの自分と全く異なる環境である途上国に住んでみたい」という気持ちが強まってきました。

鎌中さんはその理由を、

「『途上国で何かをしたい』いう思いが先にあったわけではなく、『新しいことを知りたいという好奇心』によるものだ」

と語ります。

では途上国に行って何をするか。

当時、「大学の学部は、もっと真剣に考えてから選べばよかった。『教育』や『勉強』についてあまり考えてこなかったから、学部選択はちょっと失敗してしまったな。とは言え自分は『勉強する環境』には恵まれていた。環境(以前)の段階で勉強できない人たちもたくさんいる」など、教育や教育環境について思いを巡らせるようになっていました。

そこから、「失敗をした僕だからこそ、次世代のために、教育(環境)について社会貢献を行う必要があるんじゃないか」と考え始めていたのです。

ここで「途上国に行きたい」と「教育(環境)に関する社会貢献をしたい」が結びつき、「途上国に行って、現地の教育環境に貢献する」という具体的な行動が頭に浮かびました。

そして鎌中さんは青年海外協力隊に入り、アフリカのルワンダで学校の先生と、理科の授業の仕方を一緒に考える活動を行うことになりました。

ルワンダで「教育環境を変えるための支援」を目指す

当時、「先進国」がルワンダの理科教育で問題視していたことは、「教育内容や教材の質が低いこと」でした(鎌中さん曰く、「実際に低かった」とのこと)。

一方、現地の先生は、「教師の給料が低いこと」が問題だと思っていました(これも鎌中さん曰く、「実際に低すぎた」とのこと)。

そうしたギャップもある中、現地の先生たちのことは、鎌中さんの目には「悪く言うつもりはないけど、低い待遇からか、受動的で支援待ちだなあ。これでは教材だけが立派になっても、教育環境は結局変わらないだろうな」と映りました。

そこで「授業の仕方を考えるだけではなく、教育環境そのものを変える支援を行う必要がある」と思うに至りました。

実験で理解できる授業を!

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鎌中さんには、日本人である自身の価値観を押し付ける支援を行うつもりはありませんでしたし、途上国の人の主体性を奪ってはいけないとも思っていました。

①現地の問題は、将来的には現地で解決する必要がある
②そのためには、直接的な支援だけではなく、将来的な問題解決能力を身につけるための支援が必要である

という考え方です。

そこで「単純に授業の仕方を考える(変える)だけではなく、それを通じて、現地の先生自身に質の低い教育環境を変える意識を持ってもらおう」と考えました。

現地の先生の意識が変わると、やがて現地の先生自身が教育環境全般の向上に向けて自分たちで行動したくなり、いずれ支援そのものが不要になる、ということです。

さて、当時のルワンダの先生たちは、「最低限のレベルの、板書だけの授業」を行っていました。

ルワンダの歴史と現状を考えると、先生たち個人を責めることはできません。日本人である鎌中さんから見ると、教える立場にある先生たちも、理科そのものについても、教育(方法)についても、充分な教育を受けていなかったのです。

鎌中さんは、「先生たちがきちんと知識を持ち、楽しんで教える(働く)ことができてこそ、教育(環境)への意識が変わる」と思いました。

そして生徒のみならず先生も理科の授業を楽しめるような、「理科の知識を実験で理解できる授業」を提案しました。

「人は変わる」と実感し、赴任期間を終える

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実験授業の「支援」を続けるうちに、先生たちの意識はだんだんと変わっていきました。

鎌中さんに「これまでわからなかったことがわかるようになった」と言う先生も出てきました。

先生たちは、諸々の不足・不満はありつつも、「自分でも理科の楽しさや重要さを生徒にどう伝えればよいのかわからない」と悔しさを覚え、悩んでいたのです。

もちろん、現地の先生たち全員が鎌中さんの「支援」に納得してたわけではありません。

ですが、意識を変えてくれた先生は確かにいました。

「人は変わる」と実感し、ルワンダ人の先生たち自身がルワンダの教育環境を変えていってくれることを願いつつ、鎌中さんは2年間の赴任を終えました。

途上国支援と国内支援に共通すること

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帰国後について、鎌中さんは、「教育環境の重大さを認識したので、教育に関連する仕事をしたい。ルワンダと質こそ違えど、日本にも教育環境に関する諸問題はある。この10年で東京も海外もある程度経験できたので、地元の大阪も見たくなった」と考えていました。

また、「『①現地の問題は、将来的には現地で解決する必要がある』ということは途上国支援も国内支援も同じで、日本の教育(環境)に関することは、日本人が主体的に取り組まなければならない」とも思っていました。

ちょうどそのタイミングで、キズキ共育塾大阪校が教室運営スタッフを募集。

「『何度でもやり直せる社会をつくる』というミッションを持つキズキなら、目の前の生徒さんや講師の役に立つとともに、『教育環境』という大きな課題にも取り組める」

――そう思った鎌中さんは、キズキに応募し、現在に至ります。

途上国支援とキズキの支援に共通すること

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そして鎌中さんは、「『②直接的な支援だけではなく、将来的な問題解決能力を身につけるための支援が必要である』という考え方は、キズキ共育塾の支援とも重なる」とも言います。

困難を抱える生徒さんを見ると、講師やスタッフは「助けたい」「なんとかこの生徒さんのためになりたい」と思います。

ですが、そこで「講師が直接助ける」と、生徒さんはいつまでも自立する力が身につきません。

一例として、大学受験をするには願書の提出が必要です。

「願書って、何をどう書いたらいいのかわからない…」と言う生徒さんには、講師は、「生徒さんの代わりに願書を書く」のではなく、「願書の書き方や、書き方の調べ方を一緒に考える」ようにしています。

そうすることで、生徒さんは「適切に人に頼ることを知り、かつ頼りきりにならない」ように成長し、自立していくのです。

目の前の個人を支援するとともに、教育環境を変えていきたい

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現在の鎌中さんは、キズキ共育塾のスタッフとして、不登校・ひきこもり・中退などを経験した本人や保護者から相談を受けたりしています。

相談に来る人は、追い詰められて視野が狭くなっている人も少なくありません。

例えば、「学校に毎日行くのが当たり前」という価値観に縛られているから「不登校になった自分はもうダメだ」などと悩んでしまう、というようなことです。

これは、その人個人の思い込みによることもありますが、世間の風潮のためでもあります。

鎌中さんは、そうした困難を抱える人に対して、大学や海外での経験をもとに「世界は広いですよ。価値観は一つじゃないですよ。学び直しもできますよ」
ということを伝え、支援しています。

そして「キズキで働く中で、直接支援だけではなく、もっともっと、個人の尊厳を守ったり、学び直しができたり、日本の教育環境を変えていけたらなと思っている」と思いつつ、キズキで働いています。

鎌中さんは、途上国支援とキズキの仕事を通じて、
「①現地の問題は、現地で解決する必要がある」は途上国も日本も同じであること、
「②問題解決能力を身につけるための支援が必要である」は途上国支援もキズキの支援も同じであることを実感しました。

途上国支援に興味のある人は、国内支援にも向いているということではないでしょうか。

おわりに

いかかでしたでしょうか?

途上国支援と日本の課題への取り組みの共通点が見えてきたのではないでしょうか。

海外に出るからこそ、いままで当たり前だったものが当たり前でないんだと気づき、日本の課題も見えるようになってきます。

その日本の課題に取り組みたいと思ったとき、海外での経験は決して無駄なものとはなりません。鎌中さんのように海外と国内の共通点を見出す力が、海外経験をもとに日本で活躍する秘訣なのかもしれませんね。

また、もうひとり、海外での経験をもとに熱い想いを持ってキズキに参画された職員のストーリーも紹介しています。ぜひ、合わせてご覧ください!

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途上国の教育課題を若者の力で解決する

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