みなさん、こんにちは、e-Educationフィリピンプロジェクトインターン5代目のジェイミーこと中川千絵美です。

突然ですが皆さんは、人生の岐路に立ったことはありますか?2年前、私は大きな岐路に立っていました。それは周りのみんなと同じように就活するか、自分のやりたいことをやるために挑戦するか、というものでした。

そして、後者を選んだ私はフィリピンに渡航、e-Educationインターンとして波乱万丈な一年間を過ごし、この8月に帰国しました。

今回の記事は、そんな波乱万丈なフィリピンでの挑戦で、私がどんなことをして、何を得てきたのかについての記事です。そして特に、2年前の私のように、

「本当は挑戦したい。けど、迷っている」

そんな方に読んでいただきたい記事です。

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私はこのまま、なにも世界を見ずに社会人になっていいのか?

一年前の記事にも書いたように、私は大学二年生の時に東京にある国際人権NGOでインターンをしました。そこでの経験もあり、将来は社会課題を解決できる人間になりたいと思うようになりました。

しかし、大学卒業後どんな道を選べばいいのか?そもそも私は、社会課題の現場に行ったこともないし、その課題を解決しようと積極的に動いたこともありませんでした。
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本当は、日本にも社会課題の現場はたくさんあるのですが、当時はそれほど意識できていませんでした。また、国際人権NGOのインターンでは社会課題を解決するために働いていたわけですが、当時の自分は、現場が遠すぎてその実感がありませんでした。

「私はこのまま、なにも世界を見ずに社会人になっていいのか?」

一生のお金も時間も限られたちっぽけな自分がどうすれば、たくさんの課題を抱えたこの世界をよくできるのか?

考えても、全然わかりませんでした。

そして気づきました。「考えてもわからないなら、実際に行動しないと!」

そして、大学4年生の後期というギリギリの時期にe-Educationのインターンとしてフィリピンに渡航することを決めたのです。

出発直前の中川。自分なりのフル装備で出発したのですが、今見るとよくわからない格好をしています。笑

大きく社会を変える上からのプロジェクトと、小さな草の根のプロジェクト

ミンダナオ島で活動するe-Educationのインターンは私で5代目。フィリピンプロジェクトは代を重ねるごとに大きくなっていて、5代目の私は本当にたくさんのプロジェクトに携わることができました。

例えば、企業様と一緒に協働するプロジェクトや、JICAが関わる国家規模のプロジェクト。また、現地カウンターパートがフィリピン教育局なこともあり、物事を上から大きく変えるようなプロジェクトにたくさん携わりました。

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大きなプロジェクトの式典。教育局長や学校長も勢揃いしました。

しかし、一方で、本当に現場の声が聞こえるのは草の根的なプロジェクトでした。

例えば、カミギン島での映像授業のプロジェクト。毎週教室に通っては、現場でトライアンドエラーを繰り返しました。

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思い出いっぱいのカミギン島のプロジェクトについてはこちらの記事に譲ります。

映像授業を「Lisod kaayo(めっちゃ難しいよ〜)」と言われ続け、へこむことも多かったカミギン島での半年でしたが、最後には先生と生徒の笑顔を見ることができました。

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映像授業を使う先生と生徒たちの笑顔

先生や生徒たちの笑顔や、小さいけど確実な現場の変化が、私のパッションにもつながりました。

あの子の夢を応援したいから、私は進み続ける。

半年のカミギン島での活動の後、私はカガヤンデオロという大きな都市でプロジェクトを行いました。カガヤンデオロでもたくさんの生徒・先生と関わったのですが、特に紹介したいのが、彼です。

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彼はオノラトくん、18歳の中学1年生です。実はオノラトくんは、幼い時家族がバラバラになったことで、一度中学校にいくことを諦めています。その後、再び中学校に通いたいと思ったのですが、その時に彼はすでに18歳。

また、経済的にも苦しいため平日は働かなければなりませんでした。そのため彼はOpen High School Program(OHSP)に通うことを決めました。

OHSP Class room2

OHSPは全国の中学校で行われています。先生不足の学校が多く、100人の生徒を一人の先生が教えないといけないこともあります。

OHSPはフィリピン政府が主導で行なっているプログラムで、何らかの理由で平日の学校に通えない生徒が、週に一回学校に通うことで中学校卒業を目指すものです。

日本でいう定時制を超凝縮して、週に一回にしたようなものでしょうか。OHSPにはオノラトくんのような事情を抱えた生徒が多く通っています。

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授業の合間の一コマ。このように椅子を持ってきて外で勉強することもあります。

私は、オノラトくんが通うこのOHSPで、掛け算の歌プロジェクトを行なっていました。掛け算の歌プロジェクトは、掛け算もあまり身についていない、数学嫌いなOHSPの生徒たちが歌と踊りを通して算数に楽しく触れられることを目指したプロジェクトです。

掛け算の歌

踊りながら掛け算の歌を歌う生徒たち。

私は毎週日曜日、朝8:00から始まるOHSPに行き、彼らが掛け算の歌を歌うのを見てはちょっとずつ歌を改良したり、時には一緒に踊ったりしました。そうして生徒たちとの距離も近づいて行きました。

そして、ある時OHSPの生徒たちにインタビューをしてみました。その時にインタビューをさせてもらった一人がオノラトくんでした。

普段はシャイで控えめなオノラトくんが、照れながらも私の前で夢を語ってくれたのです。

オノラト

それは「先生になりたい」という夢でした。

私は彼のその夢をきいたとき「ああ、こんな生徒のことを私は応援させてもらっているのか!」と胸が熱くなりました。そして「この子たちの夢が叶うところをいつか見てみたい!」と強く思い、それが私の活動の原動力にもつながりました。

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OHSPの生徒と先生。生徒も先生も一緒になって掛け算の歌を練習してくれました。

約2ヶ月行なった掛け算の歌プロジェクト。この2ヶ月間でなんとクラスの生徒の70%のスコアとタイムが上がりました。

何よりも嬉しかったのは生徒一人一人の頑張りが見えたこと。最初掛け算が全然できなかった生徒たちが、自分で歌詞カードを持って帰って練習したり、100ます計算の練習を自主的にやり、その結果がテストに出たときの彼らの笑顔が見ることができた時は本当に嬉しかったです。

忘れていた、究極の選択。その回答は…?

そして月日は流れ、いよいよ帰国日になりました。

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帰国前にはお世話になった人たちに色紙に書いたメッセージをプレゼントしました。
(注)本当にこい一年間のエピソードをこの記事ではめちゃくちゃ圧縮してお伝えしています。もっと知りたい方はぜひe-Educationのイベントなどに遊びに来てください。

帰るための荷物を整理していると、一冊のノートを見つけました。
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それは「e-Educationノート」

e-Educationのインターンに受かる前のことから、フィリピンでの実際のプロジェクトのことまでつらつらと書いていたノートです。

使い切ってからは全く開いていないノートを久々に開くと、e-Educationのインターン最終面接を受けたあとのメモを見つけました。

ノート2

「自分のため」か「途上国のため」か

e-Educationのインターンになるにはたくさんの面接を経なければなりません。そして、その最後の面接が我らがe-EducationのCEO、三輪開人によるものなのですが、そこで毎回インターン生が聞かれる質問があります。

それが「あなたは、『自分のために』インターンにチャレンジしますか?それとも『途上国のために』チャレンジしますか?」という究極の質問なのです。

途上国で教育支援プロジェクトに携わりたいと思う人であれば、確実に迷うであろうこの質問。私はこの究極の質問「自分のため」と答えました。

世界を変えられない自分を、少しでも変えられる自分に。そんな思いを開人さんの前で宣言し、私はe-Educationにジョインしたのでした。

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フィリピンプロジェクトインターン6代目のけんちゃんと7代目のまゆちゃん。e-Educationにはいろんな思いを持ったインターン生が集まります。

「世界を変えられる自分」、そんな自分になれたのか?

結論からいうと、渡航前に考えていた、世界を変えられる人間像-それは、フィリピンの社会を一年で大きく変えてしまうような人間でした-とは違いました。

しかし、「世界を変えられない自分を、少しでも変えられる自分に」、その目標は達成できたということができます。

小さなbetterが世界を変える

七転八倒しながらも全力で過ごしたフィリピンでの一年間。ですが私個人が「変化を起こせた」「残してこれた」と言えるものは、本当に少ししかありません。

それでも、そのような小さな変化、小さなbetterの積み重ねが世界を変えるのではないかと思うのです。

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生徒の笑顔が増えることも、小さなbetterの一つです

最初に書いたように、e-Educationは国家規模のプロジェクトや、企業様とのプロジェクトなど「上から」インパクトを与えていくプロジェクトも多く持っています。

しかし、それらのプロジェクトは、小さなbetterの積み重ねがないと成り立たないのです。

例えば、生徒のちょっとずつの変化だったり、先生が少し笑顔になれたり、感謝と尊敬を込めたコミュニケーションをとってカウンターパートの人と信頼関係を築いていったり、そんな本当に小さなことです。

でも、そんな小さなbetterがなければ、大きなプロジェクトもできないし、社会も変わっていかないと思うのです。

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矛盾の全くないBestな世界はある意味ユートピア的で、一つの課題を解決したらまた新たな課題が見えてくる、それがこの社会の構造なのかなと思います。

だからこそ、1ミリの小さなbetterを積み重ねて1センチに、それが積み重なって1メートルになっていく、そんな行動が社会を変えるのではないでしょうか。

一年の活動を通してこのことを実践してきた私は「世界を変えられない自分を、少しでも変えられる自分になれた」と胸を張って言うことができます。

最後に、もう一つ大好きな言葉を

最後に、もう一つ大好きな言葉をお伝えします。

それは

自信はないかもしれない、でも行動する勇気は出せる

という言葉です。

これは、プロジェクトが全く進まず、マイナス思考になり、前に進めなくなったときに、私の上司、吉川雄介さんに言われた言葉です。

吉川さん

写真右が吉川さん。時に厳しく、優しく、父親のように私を見守ってくれました。

たしかに、私は若者で、フィリピンの人にとってはよそ者で、一年休学して単身フィリピンに乗り込むような馬鹿者で。

経験も積んでなければ、残してきた実績もない、だから自信はないのは当たり前。でも、そんな私でも、何か変化を起こすための行動する勇気は出せるはず。

この言葉のおかげでそう考えられるようになりました。そして毎日毎日勇気を出して実際に行動し、小さなbetterを積み上げることができました。

チューター

現地でチューターとして活躍してくれている大学生たち。彼らも小さなbetterを積み重ねる仲間です。

だから私はこの言葉を、最初に伝えたような「岐路に立っている人」に伝えたいのです。

もしあなたが何かに挑戦したい、でも自信はない。

そんな風に思っているのであれば、勇気を出してとりあえず行動してみてください。本気で動けば、必ず応援してくれる人が出てきてくれます。

そして、さらにその中でもe-Educationの一員として挑戦したい!と思ってくださる人がいれば、こんなに嬉しいことはありません。

なんだか、最後に宣伝のようになってしまいましたが、この記事が2年前の私のような人の背中を押すことができればいいな、と強く思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

Salamat kaayo!

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ジェイミー2


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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