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Photo courtesy: Globetops

先日ご紹介した、ラテンアメリカやアフリカのコーヒー農家をモバイル技術でサポートする取り組みのように、情報化の動きは途上国の一部でも花開きつつあります。

しかし、パソコンなどの情報デバイスに対するニーズは依然としてまだまだ満たされていないようで、国際電気通信連合(ITU)の報告によれば、途上国における1世帯当たりのコンピューター普及率は30%程度にとどまっています。

今回ご紹介する「Globetops」は、パソコンが不要になった人と必要としている人とをマッチングすることを通して、途上国内のニーズと環境への配慮に同時に貢献するようなリサイクルシステムの構築を目指しています。

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途上国の環境に暗い影を落とす「電子廃棄物問題」

先のITUのデータによれば、先進国における1世帯当たりのコンピューターの普及率は約80%。パソコンが普段の生活や仕事に欠かせないモノとなっている現状がうかがえます。

しかし、こうした先進国におけるパソコンの高い普及状況は、一方で途上国の人々の健康や環境に暗い影を落とす問題を惹き起こすこととなりました。それが、パソコンやタブレット、デジタルカメラなどの電子機器の廃棄物を意味する”E-waste”です。

この問題に焦点を当てた国連の取り組み「StEP(Solving the E-waste Problem)」で実施された調査によると、昨年排出された電子機器の廃棄物は全世界で4,890万トン、重さにしてエジプトのピラミッド約8個分にも上ると言います。

また、国際刑事警察機構(インターポール)が発表しているように、ヨーロッパで出された電子廃棄物は、一部が違法な形でアフリカの途上国に持ち込まれ、不法投棄されていることが分かっています。

さらに問題はこれにとどまらず、そうした廃棄物に含まれる鉛や水銀などの有毒な化学物質が、周辺の住民の健康や生活環境に深刻な影響をもたらすことも懸念されているのです。

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Photo courtesy: Globetops

「Globetops」の3つのユニークポイント

Globetops」は、このような電子廃棄物問題に一石を投じることをミッションの一つに掲げ、まだ使用可能にもかかわらず処分されたり放置されたりしているようなパソコンをリサイクルし、途上国で活躍させることを目指してスタートしました。

現在、インド、ギニア、ハイチ、そしてアメリカ合衆国内の4地域を対象にプロジェクトが展開されています。

不要なパソコンの寄付をウェブサイト上で募り、提携企業やボランティアスタッフの協力のもとでメンテナンスを施した上で、パソコンを必要としている途上国の人々の元に届けられるという仕組みですが、注目したいユニークなポイントが3つあります。

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Photo courtesy: Globetops

①プロフィールを通じて寄付先を自ら選択

第一に、パソコンを必要としている人(レシピエント)のプロフィールがウェブサイト上で公開されており、どの人物に自分のパソコンを提供したいかを、寄付する人(ドナー)が自ら選択・決定できる点です。

レシピエントのプロフィールには、①使用できる言語、②パソコンを必要しているプロジェクト名、③プロジェクトの詳細、④そのプロジェクトでパソコンが必要な理由、の4点が本人の言葉で記載されています。

例えば西アフリカのギニアでレシピエントとして登録している下の女性のプロフィールを見ると、英仏2カ国語と2つの現地語を話し、首都コナクリに拠点を置く女性団体の代表を務め、現地の伝統的な食物を通じた栄養教育に取り組んでおり、パソコンはそうした活動の広報や記録のために利用したい、などと書かれています。

このように、ドナーがレシピエントの置かれている現状を知り、目的と意義を十分に理解した上でパソコンの寄付を決定できるようになっているのです。

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Image: Globetops

②操作スキルを習得できる研修も提供

第二に注目したいのは、パソコンを受け取ったレシピエントが、基本的な操作技術やインターネットの利用方法、メールアドレスやMicrosoft Officeのソフトウエアのセットアップの仕方などを習得できる研修を受講できる点です。

研修は対象各地域に設けられた”Hub”(ハブ)と呼ばれる拠点で実施され、料金はなんと無料。情報技術についてのリテラシーの向上が期待できる、画期的な”付録”ですね。

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Photo courtesy: Globetops

③双方向のコミュニケーションを実現

第三に着目したいのが、伝統的な寄付事業では難しかった、レシピエントとドナーとの関係構築や相互交流が可能になっている点。

直接連絡を交わして、パソコン到着後にレシピエントのプロジェクトがどのように変化したか報告・確認し合うこともあれば、時には、パソコンを手にした瞬間にレシピエントが見せた歓喜の様子がビデオに収められ、ドナーのもとに届けられることもあるようです。

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Photo courtesy: Globetops

アンバランスなモノの在り方に目を向けることを第一歩に

まずパソコンから始めましたが、携帯電話でもできるし、靴でだってできると思います。モノは世界中に十分な数あるんです。ただ本当に必要なところにない、ということですよね。

「Globetops」のファウンダー、Beckyさん(写真後列右から二人目)はこう話します。

冒頭に紹介したように、電子廃棄物問題は規模が非常に大きいため、草の根的な活動で解決を図るには限界があります。

しかしそれでも、「Globetops」のような取り組みを知り、可能であれば参加することを通して、様々なモノの在り方をめぐるアンバランスな状況に一人ひとりが問題意識を向けてゆくことが、解決に向けた第一歩としてやはり大切ではないでしょうか。

[truthAtlas]


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