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こんにちは!e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。

前回の記事では、現地の大学生が立ち上げた映像授業プロジェクトをご紹介させていただきました。今回の記事では、ついにミンダナオ島プロジェクトでも、コンテンツ作成を開始したことに関して書かせていただけたらと思います。

全学年・全教科を網羅する膨大なテキスト

ミンダナオ島プロジェクトの映像コンテンツ作成は、少々変わったアプローチをとっています。

ドロップアウトを対象とするOHSPでは、簡易テキスト「モジュール」が使用されます。「モジュール」は全学年・全教科を網羅するので、簡易テキストといえどその量も膨大になります。

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一教科につき約20以上ものモジュールがある

ミンダナオ島プロジェクトでは、この膨大な「モジュール」の解説用DVDを作成します。しかしながら、撮影に協力いただく先生の負担も非常に大きいのものとなるのです。

そこで映像コンテンツを作成する際は、教育局、現地の高校の協力のもと、モジュールを単元ごとに区切り、それぞれの単元をそれぞれの学校が担当することにしました。

例えば、「物理」では23の「モジュール」があり、それら全てを一人の教師で担当することは到底できません。

そこで、23の「モジュール」を5つのグループに分けるのです。それらを2つの高校の6人の先生が、各モジュールを担当・作成しながらローテーションしていくことにしました。

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パイロット校での会議の様子

コンテンツ作成における工夫

このアプローチにはいくつかメリットがあります。

  1. 教師がコンテンツ撮影の際、お互いにアドバイスや議論や重ねることで「競争性」を持たせコンテンツの質を高めることができる
  2. プロジェクトを他校に広める際、提携先の高校の先生方にも撮影に協力していただくことで、プロジェクトに対する「オーナーシップ」が喚起される
  3. 膨大な「モジュール」に対して、限られた人的・時間的リソースを効率化できる

現在、ミンダナオ島プロジェクトは、カガヤンデオロ市とカミーギン島の二つの行政地区で展開される予定です。そのため僕は毎週この二つのまちを往復しながら、コンテンツ作成やプロジェクトの実施に向けて準備を進めています。

コンテンツ作成にかける先生方の想い

撮影に参加した先生方は、より良いコンテンツを作るために平日も議論を重ねながら準備を進め、休日返上で撮影に協力してくださっています。

また先日、カガヤンデオロ市の先生方が、カミーギン島を訪れ、先生方同士で合同会議を開き、e-Educationの方向性や映像授業の活用法、コンテンツ作成のノウハウの共有などを行いました。

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先日の合同会議では猛暑の中、停電が起きてしまい屋外で行いました

映像授業ならではの撮影のコツを発見・共有

現地では、全ての先生が諸手を挙げて映像授業に賛成してくれるわけではなく、多少なりの批判や反発もあります。日本人の学生がいくら映像授業の良さやプロジェクトの可能性を説明しても、全てをきれいに伝えることは非常に難しいのです。

また撮影におけるコツやナレッジと言えるものも非常に伝えにくいこともあります。映像授業では、先生方はたしかに画面越しの生徒に対して授業を行いますが、実際の生徒を前に授業をしているわけではないからです。

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画面越しの生徒の学びをいかにサポートするか

そのため撮影では、画面の前で勉強するであろう生徒が、「モジュール」のどんな点でつまずくのか、どうしたら理解がはかどるかなどを、先生方と議論しながら撮影を進めます。

また、どのように画面越しの生徒に話しかけ、どのタイミングで質問を投げかけるかなども撮影における大事なポイントです。「映像授業」には、現実の「生授業」のような学びに対する「強制力」がないため、生徒を惹きつけモチベートするそうした工夫が不可欠だと考えています。

そうして蓄積された「撮影のコツ」は、ニュアンスを伝えにくい一方、それらを他の学校の先生方とも共有できれば、コンテンツの質はぐっと高まります。

地域を超えて最高のコンテンツを目指す

先日の会議では、現地で実際に撮影に関わってくださった先生が、現地語を使って、現地の先生に映像授業のメリットやコンテンツ作成における「目に見えないコツ」を議論・共有してくださり、非常に充実した会議となりました。

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会議の後は、早速カミーギン島の先生方からも、「早く次のDVDを作ろう」という声をいただき、ミンダナオ島プロジェクトは、コンテンツ作成に向けて着々と撮影が進んでいます。

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会議後、カミーギン島にて

さて一歩ずつコンテンツ作成に向けて進んでいるミンダナオ島プロジェクトは撮影を進めながら、同時に編集作業に入ります。もちろん全てがやはり順調に行くこともなく、次回の記事ではそうしたちょっとしたハプニングも交えながらお話できたらと思います。

本日もご愛読くださり、誠にありがとうございました!


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