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WHOによると海外ではアジア、アフリカを中心に年間3万5千人~5万人が死亡しているという狂犬病。
そのような中、岐阜大が、途上国で発生が深刻な狂犬病を予防するため、従来よりも安全性の高い、犬用の新しい生ワクチンを開発、実用化に向けた試験を始めたことを発表しました。
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従来の生ワクチンは狂犬病のリスク
同大応用生物科学部人獣共通感染症学研究室の伊藤直人准教授は「人の狂犬病予防には主な媒介動物である犬の予防接種が重要。早期に実用化して発展途上国での接種を促し、死者を減らしたい」と話しています。
予防接種は、死滅させた狂犬病ウイルスを含む安全な不活化ワクチンを注射するのが一般的。生きた弱毒ウイルスを含む生ワクチンは、低コストで製造でき、経口投与が可能な半面、安全性に問題があるため、人の周りで生活する犬には使用されていません。
従来の生ワクチンはウイルスを形成するN、P、M、G、Lの5つのタンパク質のうち、Gのアミノ酸の一つを入れ替えて弱毒化したウイルスを含んでいます。
しかし、動物の体内でこのアミノ酸が元に戻って強毒化し、狂犬病を起こすリスクがあるのです。このため、海外ではキツネやアライグマなどの野生動物に使用が限定されています。
安全性の向上に成功
同研究室では、Nタンパク質でもウイルスを弱毒化する2つのアミノ酸を発見。大腸菌を用いた遺伝子操作で弱毒変異させ、従来のGタンパク質の変異と組み合わせて生ワクチンの安全性を向上させることに成功しました。
新たな生ワクチンは国内の製薬会社との共同研究で開発、特許を申請中。伊藤准教授は「安全性の問題が解決されれば、生ワクチンは理想的。途上国の野良犬対策で普及が期待できる」と話しています。
[岐阜新聞]
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