皆さん、こんにちは!e-Education Project共同代表の三輪です。
先週は、途上国の子どもたちに映像教育を届ける手段として、インターネットとDVDの違いについてご紹介しました。
本日は、私たちが途上国の子どもたちに対して、DVDを無償で提供している理由についてご紹介します。
過去に一度、途上国で映像教育ビジネスに挑戦して失敗した経験も交えながらお伝えしましょう。
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DVDで収益化を図ろうとしたら・・・
失敗しました。
アジア最貧国バングラデシュで始まったe-Education Project。貧しい農村で暮らす高校生たちに、有名予備校の先生の授業をDVDで届けたところ、多くの生徒たちが難関大学受験に合格しました。
この成功をもとに、もっと事業を拡大しようとした2年目。日本の企業から協力資金も頂き、現地に株式会社を作り、収益化するための年間計画も整い、万全の状態で挑んだはずが・・・大失敗に終わりました。
生徒がほとんど集まらなかったのです。1年目の成功事例を乗せたパンフレットも配布したのですが、生徒の数は10人未満、初年度の3分の1以下でした。そして村の人たちから、厳しい非難の声も受けました。
「e-Educationは貧しい人たちから、お金を取るのか?」
事業を拡大して継続させるためには、(ソーシャル)ビジネスが最も優れた手段だと考えていました。しかし、最も重要な事業目的を見失いかけていたのも事実でした。
途上国ならではの問題も発生
予想外の問題も発生しました。
私たちが作ったDVDが、遥か遠くの街で発見されたのです。もちろん、私たちがその街にDVDを届けに行ったわけではありません。なぜこのような事態が起こったのか、原因が分かりますでしょうか?
答えは違法コピーです。バングラデシュのみならず、途上国では“海賊版”と呼ばれる違法コピーが多く、映画や音楽のCDやDVDの多くが格安で販売されています。
村のPCには、DVDをコピーするソフトがインストールされていました
また違法コピー対策が取られている国も少なく、「知的財産権」といった言葉はまるで意味を成しません。このような状況化でDVDを中心とした映像教育ビジネスを進めることは困難だと考えました。
「公共化」の道
ビジネス化に失敗してから一転、映像教育事業を継続&拡大させるために様々な挑戦を続けてきました。NGOとの連携、国際機関との連携、そしてフィリピンの貧困地域ミンダナオ島で新しいモデルが誕生しました。
それが市の教育局と連携した公共モデルです。現在、ミンダナオ島では、市の公認プログラムとして、e-Educationのローカルコーディネーターが配置されており、授業の撮影も無償で行われています。
「貧しい子どもたちのためなら、もちろん無償で協力するよ!」
協力してくれる先生たちの想いに胸を打たれ、貧しくても頑張る子どもたちのために、私たちが何をすべきか、何をしたいのか、改めて考える大きなキッカケとなりました。
2013年1月、ミンダナオ・カガヤンデオロ市教育局と正式に提携開始
ビジネスの可能性は、まだ諦めていない
公共モデルという新しい道が見えたものの、もちろん多くの問題が残っています。PCやカメラをはじめとしたインフラ整備、授業の質の担保など、課題は山積みです。
先進国からの支援なく事業を継続させるために、私たちは今、再度ビジネス化を検討しています。ただし、これまでとは異なり、貧しい生徒からお金を徴収するのではなく、他の手段を検討しています。
DVDに広告を入れる形で企業からの協力を得る方法、DVD以外の手段で利益を出し、その利益をDVD事業に還元する方法など、ゆっくりですが試行錯誤を続けています。
大切なことは目的を失わないこと
私たちは大きな失敗をしました。
それは収益化に挑戦したことではなく、事業の目的を見失ったことです。この反省をもとに、現在は何のために事業を行うのか、メンバー全員が定期的に確認し合うようにしています。
誰の為に、何のために、DVDを届けるのか?
この質問を常に持ちながら、目的を実現するための手段を探し続けていこうと思います。
【次回予告】私たちの5つのこだわり
いかがでしたか?私たちがDVDを無料で届ける理由がお分かりいただけたでしょうか?
最後にも触れたように、収益化を諦めた訳ではなく、今も可能性は探し続けています。もし何か良いアイデアがありましたら、ぜひコメントお願いします!
そして来週からは、私たちe-Education Projectのメンバー全員で共有している「5つのこだわり」についてご紹介できればと思います。NGOのマネジメントに興味のある方にもぜひ読んで頂きたい内容です。
また、この「代表コラム」のコーナーでは、読者の皆さんからの質問やご意見もお待ちしております。もし私たちe-Educationの活動にご興味ある方はぜひSNSでコメントいただければ幸いです。
ではでは、また来週!
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