最近、Massive open online courses(MOOCs)という言葉を聞くことが多くなったような気がします。これは、ウェブ上で無料で参加できる大規模講義のこと。MOOCsをはじめ、ウェブ×教育の分野では国内外で多くのプレイヤーが出てきている分野です。
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無料で参加できるサービスが多いこともあり、どんどん世界中の学びの裾野は広く、深くなっていきます。大学の授業を映像を通じて、無償で提供しているところが多いですが、言語や技術など、多くの人が学びたいコンテンツを提供するサービスも出てきているのです。
この記事では、国内外でどんなサービスがあるのかをご紹介します。海外の無料オンライン学習サービス20個と、日本のEdTech系サービス20個を少しずつお伝えすることで、いま学びにどのような変革が起きているのか、その輪郭をつかんでいただけたらと思います。
海外の海外の無料オンライン学習サービス20選
1. Khan Academy
MOOCsの筆頭であるカーンアカデミー。ビルゲイツなども支援するNPOで、元々はYouTubeにビデオをアップしたことからスタートしたサービス。無料オンライン教育サービスであり、サイトアクセスは月間5400万ページビュー、ユニークユーザーは月間530万人(2013年2月時点)、動画の数は4,00本以上と注目です。
2. Coursera
コーセラは、スタンフォード大学の2人の教授がはじめた、世界中の60以上のの大学がオンラインで授業を発信しているプラットフォーム。東京大学も今秋から授業をは配信予定で、 スタンフォード大学やプリンストン大学など一流大学の講義と同じ内容がオンラインで学べることが特徴です。
受講期間の決まったコース形式ですが、10〜20分単位の講義で学ぶことができます。また実際に、授業で習ったことをディスカッションなど、たくさんの工夫が盛り込まれており、飽きさせないように工夫されています。現在、196カ国から190万人が同サービスに登録しているとのこと(2012年11月)。
3. edX
「edX」は、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で立ち上げた無料オンライン教育サービス。日本では、京都大学が日本の大学で初めてedX への参加を発表しています。
また、オンライン上での講義において一定以上の成績を収めると、大学側から正式な科目修了認定を受けることができるのが最大の特徴。昨年末時点で15万人の登録者がいるそうです。
4. Udacity
スタンフォード大学教授のセバスチャン・スラン氏が中心となって創業したオンライン教育機関。「わずか2つの講義で190か国から16万人を集めた」という実績は、ウェブ×教育界では有名な話かも知れません。多ジャンルの人生に役立つ講義と実社会で価値を持つ修了証書がその存在意義でしょう。
参考:スタンフォード大学発のオンライン学校「Udacity」が、真の教育革命を起こせる2つの理由
5. Udemy
Udemyは、2010年に創立された「誰もが先生になれる」オンライン教育サイト。シンプルに、講義をアップロードすることによって、誰でも講師になって講座を持てるというものです。
「ウェブ学習の民主化」を掲げ、講義数1000本以上を誇ります。講義の価格は無料から250ドルまでの間で価格設定でき、お金儲けをできることが、ポイントなのかもしれませんね。
6. Academic Earth
Academic Earthは、ハーバード大学、MIT、スタンフォード大学、オックスフォード大学など一流大学の授業の動画を無料閲覧できるオンライン教育サービス。ビジネス、マネジメント、会計、マーケティング、教育、心理学などのコースが人気となっています。
7. Codecademy
Codecademyは、コードを学ぶことのできるオンライン学習サービス。実際に手を動かしながら、ゲーム感覚で楽しく学べる上に、自分でコースを作って講座をすることも可能です。一つの言語で10~数十個のエクササイズがあり、徹底的に学ぶことができます。
8. creative LIVE
creative LIVEは、写真や編集ソフトウェアなど、専門的な知識を提供する専門教育型オンライン教育プラットフォーム。 クリエイティブな領域を扱い、ビデオ講義やライブストリーミング(生放送)を使用したリアルタイムの授業も展開しています。
200カ国以上からアクセスがあり、人気の授業は15万人が視聴するとのこと。ニューヨークタイムズをはじめとする名門紙やピュリッツァー賞の受賞者など、豪華なメンバーが講師としてかまえていて、レベル、質ともに高い授業が展開されます。
9. eduFire
eduFireは、オンライン上で、語学を教えてもらいたい、もしくは生徒に教えたい方向けの語学専門のオンライン教育プラットフォーム。
語学だけではなく、SATやGREに向けた勉強にも活用可能です。また、他のいくつかのサービスと同様、誰でも講師になることができます。基本的には無料ですが、講師が授業料を設定することもできます。
10. knewton
knewtonは、オンライン学習を通して、自分に合った勉強方法を知るための分析型オンライン教育プラットフォーム。一人ひとりに合わせた学習方法を知ることができ、より効率的に学ぶことができます。
独自のアルゴリズムで、生徒一人ひとりの学び方の特性に合わせて講義のコースや種類を変えてくれ、自分に合った学習速度で学ぶことが可能です。この、一人ひとりに合った学習環境を提供できることが最大の特徴です。
11. learnist
learnistは、自分の知識を共有したり、双方的な知識共有をするための、参加型オンライン教育プラットフォーム。
自分が持っている知識を他人と共有できるコミュニティー型オンライン教育サイトで、ユーザー同士の活発なコミュニケーションが特徴です。
http://learni.st/category/featured
12. Skillshare
Skillshareは、勉強したいことがあり、オンライン上で誰かに個人的に教えてもらいたい人向けのコミュニティーサービス。
ビジネスコースだけではなく、趣味的なコースも受けられ、無料以外にも、クオリティーの高い有料授業も数多くあります。さきほどの「learnist」同様、コミュニティー型であることが価値であり特徴です。
13. Treehouse
Treehouseは、ウェブデザインやiPhoneアプリ関係の知識など、専門的なオンライン教育サイトです。
$29と$49のプランがあり、ユーザーのサービス利用度によってサービス内容を選ぶことができます。つまり、専門的でありながらも、自分の実力にあった学びができることが素晴らしいと思います。
14. Voxy
Voxyは、英語を学ぶ専門的なオンライン教育プラットフォーム。自分で英語学習のペース配分ができるよう、学習環境を構築できること、つまり、学習プランを立てられるため、学生や忙しい社会人でも使うことができます。
15. 2tor
2torは、オンライン上で有名大学が提供する学習プログラムを体験できるサービスです。大学の学位をオンライン上で取得することができるのがポイントで、通常の大学に近い感覚で講義を受けられるとのこと。
また、大学側に運営ノウハウやシステムの構築などB to B向けのサービスも展開し、ボストン大学やワシントン大学など、有名大学の学位をオンライン上で受講そして取得できることが注目されているポイントです。
16. saylor.org
saylor.orgは、哲学、心理学、数学、政治学、経済、コンピュータ科学などのコースが280本以上揃う、オンライン教育サービス。ボリュームのあるコースが並び、自分のペースで学習を進められます。専門家がつくっているコースなので、内容も充実し、学べるものも大きいのです。
17. duolingo
duolingoは、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語がゲーム感覚で勉強できる語学専門のオンライン学習サービス。リスニングもライティングもスピーキングも交えて学習できることが大きな特徴。これによって、これまでの語学学習よりも習得が早くなるかもしれませんね。
18. Class Central
Class Centralは、最初の方で紹介したCoursera やUdacity、edXなどの授業が一覧できるウェブサービスです。MOOCsなどのサービスがでてきて、便利になったはいいものの、自分にあった授業を探すことができなければ意味がないので、検索ができるのはかなりいいですね。
19. W3Schools
W3Schoolsは、ウェブ言語や制作まで、ウェブに関する内容を網羅する世界最大のオンライン学習サービス。初級者から上級者まで対応し、自分で実際に手を動かしながら知識を身につけていくことができます。
20. TED-Ed
“Ideas worth spreading(広める価値のあるアイデア)” のミッションでおなじみのTEDが運営するオンライン教育サービスです。
TED-Edミッションは “Lessons worth sharing(共有する価値のあるレッスン)” 。TED-Ed が制作したオリジナルのビデオはもちろん、ユーザがカスタマイズしたオリジナルのレッスン動画も観ることができるのがユニークです。
国内のEdTech関連サービス20選
日本発や日本人が立ち上げたEdTech系サービス20個をいくつかのカテゴリに分けて紹介したいと思います。
言語系サービス
1. Rarejob(レアジョブ)
「25分129円~」「業界No.1の講師数」などが売りの、マンツーマン格安オンライン英会話を提供するレアジョブ。6月には、KDDIやYJキャピタル、サイバーエージェント、サイバーエージェント・ベンチャーズ、グローバル・ブレイン、三菱UFJキャピタルから3億3000万円を調達したなど話題が絶えません。
フィリピン在住の正社員が100名ほど、累計ユーザーは17万人と順調にその数を伸ばしているようです。記事はもちろんのこと、評判・体験談まとめなどもすでにたくさん出回っているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
2. Langrich(ラングリッチ)
こちらもスカイプを使ったオンライン英会話を提供するラングリッチ。「毎日話して月額4,980円」「じっくり話せる完全マンツーマン制」「いつでもどこでも学べる英会話」の3つが特徴。教材サイトもいいですね。
また、セブ・ラングリッチカレッジという語学スクールも開いており、フィリピン・セブ島という最高の学習環境で学ぶことができます。ぜひチェックしてみてください。
3. Best Teacher(ベストティーチャー)
ベストティーチャーは、「自分が普段話している日本語をすべて英語にすれば、英語は話せるようになる」というコンセプトで、言いたいことをスクリプトにする「テキストチャットレッスン」と、その表現を実践する「ビデオチャットレッスン」を繰り返して、学習する英会話レッスンサービスを提供しています。
ベストティーチャーは、最近はあまり更新されていませんが、公式ブログのコンテンツも素晴らしいクオリティのものが多くあるので、英語学酒に関心のある方は読んでみることをおすすめします。
参考:新感覚のオンライン英会話『ベストティーチャー』は、お手本のようなリーン開発で生まれていた【連載:NEOジェネ!】
http://www.best-teacher-inc.com
4. iKnow(アイノウ)
アプリや多様なコンテンツを通じて、正しい英語のインプットを促進するサイト「iKnow」。ユーザー数は120万人以上で、ユーザーの声のところの著名人や有識者が豪華です。
また、「Yahoo!英語 powered by iKnow!」というヤフーと提携したサイトもあります。
5. スパニッシモ
これまでオンライン英会話サービスが続きましたが、スパニッシモはそのスペイン語版。NPO法人SPANISIMO JAPANとして運営しています。旅が創業のきっかけと言うストーリーは素敵ですのでぜひ目を通してみてください。
参考:世界一周中に起業した26歳の若者達。スペイン語オンラインレッスン事業、スパニッシモ創業者(有村拓朗氏&吉川恭平氏)
6 lang-8(ランゲート)
ランゲートは、異なる母国語を持つ者同士が相互添削するSNSサイト。2007年から約6年かかっての50万ユーザーを獲得しているとのこと。
ランゲート関しては、以下の記事が個人的に好きです。
小中高生向けサービス
7. 受験サプリ
受験サプリは、リクルートが運営する受験勉強をオンラインでできるサイト。高品質低価格が最大の持ち味で、月額980円でいくらでも受けられる「プロ講師の講義動画」、無料で好きなだけダウンロードできる「解説付き過去問」、いつでも受験でき、その場ですぐ採点できる「無料センター模試」がその特徴値なっています。
競合である、月額980円の小中学生向けコースを開設しているNTTドコモの「ドコモゼミ」や教材の配信、学習、採点までのサービスをすべて専用タブレット端末1つで可能としジャストシステムの「スマイルゼミ」とどのように対峙していくのか楽しみです。
8 Life is Tech!(ライフイズテック)
Life is Techは、中学生・高校生向けにIT教育を提供するサービス。長期休みに、名門大学のキャンパスでプログラミング・ITキャンプを行っています。今年の夏は1000名が参加するそうで、これから目が離せません。
8. eboard(いーぼーど)
eboardは、誰でも、いつでも、自由に学べる無料の学習サイト。授業動画と問題で自分のペースで学んでいけるので、一人一人の学びを支えることができます。
9. mana.bo(マナボ)
マナボは、中高生を対象としたオンタイム学習プラットフォームです。「いま聞ける、すぐに理解(わか)る」というキャッチコピーを掲げ、生徒がわからない問題に直面した際に、講師と生徒のタブレットを用いてすぐ解決できるというもの。
今年5月には、サイバーエージェント・ベンチャーズなどから3,800万円の資金調達を受けるなど注目のサービスとなっています。
10. FLENS(フレンズ)
タブレット学習を推進するフレンズ。ネットワーク対戦型のゲーミフィケーションを取り入れ、反復学習ができる「FLENSコンテスト」をサービスとして提供しています。
11. Studyplus(スタディプラス)
スタディプラスは、勉強が楽しくなる新しい学習スタイルを提案するSNS。勉強を記録してグラフで可視化、タイムラインで仲間と共有し、励まし合えるサービスなので、コンセプト通りの楽しいお勉強が実現します。
それを証明するように、今春には、広告宣伝費を使わずに会員数が10万人を突破したことでも話題となっていました。楽しく勉強に打ち込め合える人がどれだけ増えるのか、今後とも注目です!
12. ednity(エドニティー)
エドニティーは、学校のクラス向けのプライベートSNSサービスです。まだα版をリリースしたばかりですが、クラス単位で学び合ったり、クイズ感覚の小テストの作成と回答、成績管理を簡単にできるなど、先生と生徒にとって、様々な特徴があります。
“公開範囲はクラス内”という部分がどのような影響をもたらすのか、個人的には興味深いです。また、ファウンダー佐藤さんの「“教育系”スタートアップというまとめについて思うこと」というブログエントリーの”EdTechサービスののくくり”に関する考察は、非常に参考になりますので、ぜひご一読してみてください(この記事は紹介記事ということで厳密なカテゴリ分けなどはしませんでしたが)。
大人向けサービス
13. schoo(スクー)
インターネット生放送を活用した学習サービス「schoo WEB-campus」は、「みんなで一緒に学ぶ」をコンセプトに、オンラインならでの、新しい学びのカタチを発信しています。学生数は25,000人以上で、双方向型授業、全国どこからでも参加できることが特徴です。
個人的に生放送に参加できないことが多く、レポートを読むことの方が多いです。また、エンジニア、放送ディレクター、コンテンツディレクター、デザイナーなど幅広い職種で採用活動をしています。
14. ShareWis(シェアウィズ)
シェアウィズは、 全てのレクチャーを無料で学習することができる、社会人向けのオンライン学習サービスです。学習の進捗は「知識の地図」に記録されていき可視化することが出来るようになります。
総閲覧者数10万人、アカウント取得者数2万人とのこと(2013年5月)。教育系のプラットフォームとしてさらに進化していきそうです。
参考:“学び”を”新しい冒険”に変える。成果が可視化される無料学習サービス「ShareWis(シェアウィズ)」
15. SENSEI NOTE(センセイノート)
センセイノートは、先生が「知恵を持ち寄る」ことで、先生と先生のつながりから生まれる課題解決のカタチを目指しています。サービスはまだリリースされていませんが、先にポータルサイトを立ち上げるなど動きを見せています。
16. Street academy(ストリートアカデミー)
「教える」と「学ぶ」をつなぐ、スキル共有プラットフォームサイト「Street Academy(ストリートアカデミー)」。教えたいスキルや知識を持っている個人が、自由にレッスンやワークショップを提案し、参加者を募れる、学びのコミュニティ・プラットフォームを目指しているとのこと。
先日リニューアルされ、ウェブサイトががらっと変わりました。ロゴはクラウドワークスを活用したとのこと。。また、ストリートアカデミーブログも更新頻度、クオリティともに素晴らしいので、ブログマーケティングの参考にもなりそうです。
IT/プログラミング系サービス
17. ドットインストール
ドットインストールは、3分動画でマスターする初心者向けプログラミング学習サイト。すべての動画が無料で見ることができるので、プログラミングをゼロから始めたい方にもおすすめです。142ものレッスンを2000本以上の動画を通じて学ぶことができます。約8万人の登録ユーザーを抱えているとのこと。
18. IT家庭教師のアイティ
アイティは、Webサイト制作やプログラミングといったIT技術をオンライン上で1対1で学べるIT家庭教師サービス。今秋、β版のリリースを予定しているとのことです。
19. Techacademy(テックアカデミー)
テックアカデミーは、すべての人にIT教育を届けることをミッションに、ITスキルアップの機会を提供しています。現在時点の講座を見てみると、「UX/UI講座」「iPhoneアプリ開発講座」「Webライティング講座」などが準備されています。
また、「教育×テクノロジー」関連トピックスを扱うウェブメディア「TechAcademyマガジン」も運営し、この分野に関心のある方はチェックしておきたいような記事が更新されています。ぜひ関心のある方はチェックし、講座にも参加してみてはいかがでしょうか?
グローバル系サービス
20. Quipper (クイッパー)
クイッパーは、学習コンテンツをクイズ形式で出題するアプリです。誰もが持っている知識を、アプリでクイズ形式のものにしてみんなで楽しもうという取り組みです。
クイッパーは、DeNAの共同創業者渡辺雅之氏が開発者にも関わらず、イギリス発のサービスという点があります。そのためにコンテンツは英語のものが多いです。ユーザー分布はおおよそ、アメリカが30%、イギリス20%、30%がその他ヨーロッパ(スペイン・フランスetc)、20%その他アジア(タイ・日本など)となっているそう。
教育コンテンツをiPhoneやAndoroid端末のアプリに配信するプラットフォームを展開しており、アプリはすでに累計400万ダウンロードを達成し、5000のコース、20万の問題、2億の回答が集まるなど海外で盛んに使われている。
参考:DeNA創業者はなぜ学習アプリ「Quipper」をロンドンでローンチしたのか
今回紹介した20個以外にも、知育アプリのサービスを開発している株式会社スマートエデュケーションやファンタスティック株式会社などにも注目してきたいです。
世界の学びはどんどん広がり、深くなる
以上、海外20、国内20のサービス紹介、いかがでしたでしょうか?
このウェブマガジンを運営する国際教育NPO「e-Education」も、時にはEdtechのイベントなどに呼ばれることもありますので、この分野には関心が高いです。みなさんは気になるサービスや特徴などありましたら、ぜひ共有して、ウェブ×教育の波を大きくしていきましょう!
シリコンバレーに続け! 今から注目しておきたい発展途上国のITスタートアップ企業30選
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