秦 大輝 | トジョウエンジン https://eedu.jp/blog 途上国のイメージを豊かにするノンストップ・デイリーマガジン Mon, 30 Oct 2017 08:34:31 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.6.15 「See-D Contest 2013」発、世界を変えるプロダクトの”タネ”3選 https://eedu.jp/blog/2014/04/05/see-d-contest-2013-world-changing-products/ https://eedu.jp/blog/2014/04/05/see-d-contest-2013-world-changing-products/#respond Fri, 04 Apr 2014 23:00:54 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=20916 世界で本当に必要とされるモノを作って、必要とする人に届けたい。 世界には、水・医療・農工具など、最低限の生活必需品にアクセスできず、貧困に苦しむ人が大勢います。 「See-D Contest」は、日本の技術力と途上国のニ […]

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世界で本当に必要とされるモノを作って、必要とする人に届けたい。

世界には、水・医療・農工具など、最低限の生活必需品にアクセスできず、貧困に苦しむ人が大勢います。

See-D Contest」は、日本の技術力と途上国のニーズをつなげ、途上国が抱える課題を解決する製品をより多く生み出すことを目的として、立ち上げられました。

「See-D Contest 2013」が開催されました!

コンテストの参加者は、事前に実際に途上国の現場に出向いて、調査を行います。そこで課題を発見し、解決できるプロダクトとビジネスモデルを創出。その後、試作品を創り、専門家とブラッシュアップしていきます。

当日は参加者にとっての集大成、多くのグッドアイデアがプレゼンされました。弊団体の共同代表の三輪も審査員の1人として、参加しました。

今回は、発表されたプロダクトの一部、グッドアイデア3選をご紹介します。

1. Timostic〜ゴミ問題を解決する魔法の雨具〜

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東ティモールでは、ゴミの廃棄や非効率的な回収システムによって、街の至る所にゴミが捨ててあり、水質汚染など環境被害を起こさせる可能性がありました。

ゴミを再利用し雨具へ

ゴミの中からビニールを取り出し、洗浄し、数枚重ねて熱を加えると、軽量な防水性のあるシートができます。これを金型でかたどり、立体感のある製品に加工できます。それによってカッパのような雨具が制作できました。

これにより、今までは、高価なため、多くの人が購入できない雨具が、この方法によって低価格で購入することができます。

2. Hoitto〜ほいっと置くだけで、煙害を解決〜

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東ティモールでは、90%以上の家庭で3つの岩の上でたき火を行う「3点式かまど」で調理をしています。

しかし、このかまどは、煙の発生が多く、呼吸器疾患をまねき多くの子供達が命を落とす原因になっていました。

Hoittoを置くだけで煙害を解決

3点式かまどの上にHoittoを乗せるだけ、煙の量が減少します。

現地に根付いている3点式かまどの習慣はあえて変えず、アタッチメントできる形式をとることで、現地の人にとって使いやすいプロダクトになっています。

3. NOZOMINA〜菜の花から新しい産業を〜

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「菜の花はただの雑草」、そんな言葉を現地で耳にしました。東ティモールでは菜種など油がとれる種子を有効活用できていない状況があったのです。。

油産業を創ることで雇用創出を目指す

菜種や種子から搾油機を提供することで搾油を可能にし、油産業を新たに定着させることで雇用を創出する。

油を使った美容オイルなど、先進国に販売することも視野に入れています。

これからが本当のスタート

See-D Contestは”実践”を伴うということが、大きな特徴になっています。今回発表されたアイデアは机上の空論でなく、途上国を舞台に実践されていくのです。

日本の若者が世界を変えるプロダクトを創る。そんな未来がもう近くに待っています。

[See-D Contest]

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【マニラ活動記録Vol.15】マニラから帰国!自分を生きる旅を通じて、僕が見つけた大切なもの https://eedu.jp/blog/2013/05/22/dragon-manila-vol-15/ https://eedu.jp/blog/2013/05/22/dragon-manila-vol-15/#comments Wed, 22 May 2013 03:45:02 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=8652 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。 教室を見つけ、全てのミッションを終えたことは前 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。

教室を見つけ、全てのミッションを終えたことは前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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さよならを告げるとき

日本へ帰国する飛行機は早朝6時発。早く空港についた僕は、チェックインを済ませ、ロビーでその時を待っていました。

数日前、教室が見つかってからは、お世話になった方とこれから授業を実施していく上でお世話になる方に、日本に帰るということ。感謝とさよならの気持ち。それを伝えにあいさつ回りをしていました。

「レックス先生、今までありがとう!そして後任のアキをよろしくお願いします!」

がっちりした手で握手をしながら先生にこう言いました。

「こちらこそ!いつでも戻って来いよ!あなたに神のご加護があらんことを!」

見送ってくれる先生が見えなくなる時に、心からの感謝の気持ちが湧き上がってきました。僕はいい出会いをしたなと思いました。

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夜は更けて

気がついた時にはロビーから見える滑走路の向こうに朝焼けが出ていました。あたたかいオレンジ色の光が空港を包んでいて、なんだかそれを見ていると、

「ああ、終わったんだ・・・」

そんな風に感慨深くなってきて今まで走ってきた道が自然と頭に浮かびました。

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運命の出会い。そこから全ては、はじまった

半年前、運命の出会いがありました。世界一周の1カ国目“フィリピン”。

そこで目の当たりにした、学校に行く交通費が払えなくて、教育の機会に恵まれず、公用語の英語もしゃべれない女の子達の姿。

お金がないから、住んでいる場所が、田舎だから生まれた環境で人生が決まってしまう、そんな世の中。

僕は怒りにも似た、なんとかできないかという気持ちが自然と湧き上がってきました。そこでふと頭に浮かんだのがe-Education。

世界中にある教育の格差を根本から解決できる意義のあることをしている団体に何かお手伝いができないだろうか?帰国して軽い気持ちで面談の場所をもうけて頂きました。

そこで言われた「秦君が、フィリピンで立ち上げてみれば?」という予想外の一言が、僕を変えました。突き動かしました。

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僕がやる!その理由は・・

もちろん最初は「絶対無理!!!」と思いました。

TOEIC250点という壊滅的な英語力。低すぎる自己肯定感。成功体験なんてなくて、引っ張って先頭を走るリーダーシップもない。

こんな僕にできるわけがないじゃないか。

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できない理由を数えると、きりがないほどにありました。そして、おそらく将来、ぼくじゃなくてもきっと“いつか”この問題をだれかやってくれるだろう。

でも、”今”僕がアクションを起こせば、目の前の人に機会を提供できることができる。少なくとも僕がこれからあう目の前の子どもたちは。

僕がやらなきゃ。そんな根拠のない使命感を持つようになっていました。そうして、決意したのです。

「僕がやる!」

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でも決めたからといって、何も楽になる訳なんかなくて、その日から前にも増してプレッシャーで、ずっと何かを背負った気持ちでした。

その旅はずっと壁の連続だった

2012年10月30日。僕はフィリピンに旅立ちました。そこからは、僕の想像もつかないくらいのたくさんの壁。

一難去ってまた一難。最初から最後までずっと壁の連続でした。

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通じず理解もできない英語でヒヤリングし続けたこともあれば、信じた人に裏切られ、詐欺にあったことも。あとちょっとで結果がでそうな時に撤退したこともあったかな。

仲間とぶつかったこと。学校に訪問して、軽くあしらわれたこと。クリスマスでプロジェクトが進まず部屋に立てこもったこと。

また、裏切られたこと。先生がみつからなかったこと。一人で悩みつづけたこと。

信じられないほどの壁の連続に、「僕にはやっぱり無理なんじゃないかな」。そういう風に、よく思っていました。

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それでも、「いつか上手くいく。」と信じて僕はここまで来ました。信じようとしてここまできたという方が正しいかもしれません。

壁を乗り越え続けました。1つひとつそのスピードは人より遅かったかもしれないけど、一歩一歩上りました。ついに政府・学校・最強講師、全ての許可、契約を結んで、やっとここまで来れました。

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僕が、「前へ!」進めた理由

ある時、僕は夢を見ました。ちょうどマニラに来て1ヶ月くらい。

「秦にこのプロジェクト任せて失敗だった。」

日本で支えてくれているe-Educationのメンバーが、怠けている僕に言いました。この夢が、期待してくれている人のために頑張らなくちゃともう一度思わせてくれました。

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また、英語の勉強を辞めようとした時、学校で英語のスピーチコンテストの練習をしてる友人の姿が目に浮かびました。

そんな時には、俺の努力ってまだまだだと思って再び机に向かいました。

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そして、近況をfacebookで報告すると、「がんばれよ!」って言ってくれる人たちがいました。

本当に落ち込んでいたとき、孤独で誰もこの国には味方がいないと思ったとき、その言葉がどれだけ嬉しかったか。

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そして、「俺の国のために、ありがとう。」と、いつもそう言って協力してくれる現地の先生たち。

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「早く授業をうけたい!!!」

期待してくれている生徒たち。

僕には、そんな存在がいました。今まで生きてきた中で出会い、新しく会った人達との出会い、それが前へ進む根拠になりました。

感謝というものを身にしみて感じました。

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この旅がくれたもの

この旅は僕に、いろんなものをくれました。

心温まる人との出会いや、続けること、一歩でも進むことの大切さ。数えられないくらいにたくさんのことがありました。

その中で一番大きかったこと。

それは、人生への誇りでした。

半年前、僕は「いつかやろう」、「誰かがやってくれる」というような言葉が口癖でした。そして、そんな自分が嫌いでした。

でも、背伸びして、一歩踏み出して、思っていたことが、だんだんかなっていって、そして、見た事無い世界や経験を見てきました。

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今、自信を持っていえること。

「僕は、今、自信のある人生を生きてる」

勘違いかもしれないかもしれないけど、信じています。

自分自信のこと、自分の生き方。それが少し好きになりました。

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日本に帰国、そこで待っていたもの・・・

飛行機で愛着のあるマニラを飛び立ち、東京の最寄り駅についたのは、もう日がくれた後でした。

あの時通った踏切。半年前に悩んで通った路地裏、そして、この角を曲がると川沿いの道。

あれから6ヶ月近く、日本では厳しい冬が1つ過ぎていました。それでも肌寒い3月の東京の夜。

「ああ、終わったんだな・・」

少しあたたかい風が吹いた気がふいた気がしました。ふと見上げた僕の目の前には、満開の桜の花が広がっているのでした。

いつかではなく、今。

本当にやってきてよかったなと思いました。

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[マニラ活動記録 第1章 秦大輝編  完]

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【マニラ活動記録Vol.14】半年間の仕事の終わり。裏切りの向こうにあった、世界に1つだけの教室 https://eedu.jp/blog/2013/05/15/dragon-manila-vol-14/ https://eedu.jp/blog/2013/05/15/dragon-manila-vol-14/#respond Wed, 15 May 2013 03:00:29 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=7938 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。 政府の許可をなんとか取得できたことは前回の記事 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。

政府の許可をなんとか取得できたことは前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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想いのバトンは新しい仲間へ

アイルランドとフィリピンをつなぐスカイプが終わった。

僕は、3月に大学を卒業が決まっていて、4月から社会人として働かなければならないことは決まっていました。ですので、プロジェクトを現場で引っ張っていってくれる後任の仲間を2月から募集していて、今日のスカイプでその後任が決定したのでした。

新しい仲間の名前は伊藤聡紀、通称“アキ”。立命館大学の4年生で1年休学し、アイルランドに語学留学をしていた時にホームページの募集記事を見て、応募してくれたのです。

教育と途上国というものに想いを持っていた彼の情熱は顔を会わせて話したことはないにしても、ひしひしと伝わってきました。彼なら、信頼できる。

「これからよろしくね!」と言った時に、悩みがとれたというか、しらない間にたまっていた荷物がおりたような、そんな感覚になりました。基盤が整った。それをしみじみと感じていました。

ああ、全て無事に終わったなと思っていました・・・・このときは・・

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撮影日確定!しかし、まさかの…

「5月に50時間、教室をおねがいします。」

先生の予定を調整したので、授業を撮影する教室を外国資本の語学学校に頼むために電話しました。そこは、ずっと僕にアドバイスをくれたアテネオ大学(フィリピンの私立の1位)のティムの紹介で格安での提供を約束してくれた語学学校。

オーナーは僕たちの苦労をねぎらって、他の施設の5分の1の費用での利用を認めてくれていたのでした。それが1ヶ月前に決まっていて、授業の日程が決まったことを伝えるために連絡しました。

しかし、スムーズに終わることを、ゆるしてくれないのは、最後まで続くのでした。そこで、またまさかの言葉。

「使っていいよ!・・ただ、値段はアンフェアだよ。やっぱり。少なくとも500ペソはもらわないと。

それは、当初の約束の10倍以上の値段だったのでした。以前の約束について、僕はオーナーに懸命に主張していました。

「たしかにそうだ。でも状況は変わったんだ。俺たちはビジネスでやってるんだ。そのくらい分かってくれ。」

理不尽とした言いようのないようなことでした。頼る人がいないことを知っているオーナーはつけ込んで“金”を要求したのでしたのでした。

「ふざけんな」

また信じた人に裏切られて、時間もないことにつけこまれて、ばかばかしいな。もう何でいつもこうなのか。

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くやしくて、くやしくて。人間にがっかりして、僕は考えることが嫌になりました。半年間過ごした部屋の天井をみながら、あきらめにも近い気持ちを感じていました。

誰かにこのつらさを聞いてほしくて

このつらい想いを、誰かに聞いてほしくて、一緒に怒ってほしくて、1階にいた借りている家の住人のデイビッドに話にいきました。話を聞き終えた、デイビッドは、共感してくれて、一緒に悩んでくれました。

「で、いま何が必要なの?」との質問に僕は「授業に使えるホワイトボードについた部屋が必要」と答えました。

ちょっとした沈黙。そして、デイビッドはこう言いました。

「なら、うちの空き部屋改造して、教室つくろうぜ!それなら安く押さえられるじゃん!」

最初、急なことで、理解することができませんでした。目の前には奇跡がおきていました。半年間一緒の屋根の下で過ごした、友情を感じました。1人で部屋に入ってガッツポーズしました。

3時間前の失望は、どこにいったのか。こんな幸せなことはないと思いました。

最後の仕事。ただ1つの教室

あの奇跡から3日経ちました。そして今ホワイトボードが取り付けられ、僕の教室ができました。世界に1つだけの教室。ここから希望が生まれる。

深夜2時、ホワイトボードを眺めながら、ここまで来たんだ・・そう思いました。僕のやれることは終わった。僕の半年間の仕事は終わりました。「俺、頑張ったな・・・」と思いました。

今日は窓から涼しい風が吹いていました。

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【マニラ活動記録Vol.13】一難去ってまた一難! 政府からの許可取得に向けて教育局へ https://eedu.jp/blog/2013/05/08/dragon-manila-vol-13/ https://eedu.jp/blog/2013/05/08/dragon-manila-vol-13/#respond Wed, 08 May 2013 03:00:40 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=7628 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。 撮影に協力してくれる国内最高の講師陣が見つかっ […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。

撮影に協力してくれる国内最高の講師陣が見つかったことは前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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一難去って、また一難

「やっと先生達の許可が取れた。2ヶ月間の努力の結果高い壁を克服したんだ。」

その日は嬉しくて仕方ありませんでしたが、その一方でひっかかることがありました。

一難去ってまた一難ということは、このプロジェクトにはつきもの。先生が見つかり報告に実施校へ訪れた際、校長先生は僕にこういいました。

「あっ、そういえば、政府の許可ってとってる?」

政府からの許可については賛否両論がありました。ある人は「必要がない」といい、ある人は「とらなきゃダメだ!」という具合に。

僕にとっては許可が必要ないという意見の方が手続きが少なくて済むなど都合が良かったので、その問題には見て見ぬふりを続けていました。

そうした中、今になって政府へ事後報告をすることで、状況を悪化させてしまいプロジェクトが中止になるのではという不安もあったのは事実です。実は、心の中では、ずっと政府に許可をとった方がいいことは分かっていました。

ただ、なんとなくやっかいで面倒くさそうなペーパーワークを想像すると、気がひけるところがありました。また、許可が下りなかったらどうしようと思う気持ちから、見て見ぬ振りをしてしまっていたのです。

ここで、許可が下りなかったら、プロジェクトがここまできて没になってしまうかもしれない。ただ、確かに隠れてやることもできるけど、せっかくいいもの、最高の授業を作るのがこのプロジェクトの目的。

だから、政府公認で、びくびくして怯えないで、一人でも多くの生徒に見てもらうように奔走したい。その想いが勝っていました。怠惰でやってこなかった自分を恨みました。僕はいつもこうです。

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最前の準備をして、教育局へ乗り込む

もちろん、このタイミングでプロジェクト中止にはならないようにしっかり対策をたてることも考えていましたが、やるしかないと!いうよりは、やらないとヤバいという強迫観念が僕を動かしました。

ひとまず提案の前に、許可を出せる人間とのアポイントをとる必要がありました。アポイントを出している最中に提案書をビッチリつくって、提案に備えようと思いました。

簡単な1枚の紙に、団体紹介とリクエストと書きました。1枚の紙でも、これによってマニラプロジェクトの将来が決まる。何度も何度も見直しました。

そこに過去の実績などが記載してある団体パンフレットをホッチキスしました。とりあえず最初はこれでアポイントを取得しよう。最悪な状態にならないようにと願いながら、教育局へ向かいました。そして受付に提出したのでした。

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しかし、まさかの書き間違えが発覚

「さっきの書類に不備があったから、取り替えてほしい。」

2日後、僕は冷や汗を書きながら、教育局の窓口にいました。授業実施の期間を書き間違えるという重大なミスをしまったのです。

何でいつもこんなミスをしてしまうのかと、自己嫌悪に陥りながら、必死に書類を取り替えてほしいとお願いする。

教育局中をたらい回しになりながら、提出した書類のありかを探す。3つ目の部署は許可を出せる決定者がいる部署でした。

助手のような女性の方が、そう言ってファイルを確認していました。もちろん不安で不安で落ち着くことはできませんでした。

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「ちょっとこの部屋入って待ってて」と言われ、いきなり別室へ。

待つこと数分。探していた書類をもった少し年配の女性の方が現れました。おそらく、彼女もまた助手の人だろう。そう思っていました。

「君のレター読んだよ!これって子どもたちはタダで受けれるの?」

「そっ!そうです!もちろん。」

そして時期の間違えもその場で訂正しました。何でそんなことを聞くんだろう、そう思っていました。すると「やっていいよ!」との返事。

「あっ私、この部署の所長です。すごいいいプロジェクトだからぜひやってよ!」

その人はまさかの、アポイントをとっていた人、つまり、決定ができる権力を持った人だったのでした。思わぬ形で、実施の許可がおりたのでした。僕はあっけにとられながらも、心から“ホッ”としていました。

肩の力が抜けていくのを感じながら「本当に良かった」そう思いました。つまり、それは、この国で一人でも多くの生徒に授業を届けることができるということを指していたのでした。

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僕がこの国を好きな理由

僕は今まで挑戦するとき、またこのプロジェクトをやると決めた時、

「それをやって何になるのか。本当に意味があるのか」
「若いお前ができるはずがない。」
「この問題はどうするのか」

そう言われました。それは、僕の将来の失敗を防ぐ優しさだったかもしれませんが、一歩に歯止めをかけることも多かった気もします。ただこの国では違いました。

「それっていいね!」
「とりあえずやってみなよ!」
「お前なら出来るよ」

と、僕のチャレンジの後押しをしてくれることが多かったです。楽観的といえば、それまでですが、何となく僕にとってそっちの方が生きやすかったです。

僕はこの国の人の後押しのおかげで、生きているスリルというか、ドキドキを感じれました。壁を越えたあとの、いい景色。全身で感じる感動を味わえました。

何はともあれ、僕は知らないうちに、いろいろな人のたくさんの後押し、そして期待を背負っていることに気がつきました。さあ、もうちょっとで基盤ができあがる。感傷的になりそうな夕焼けを見ながら、僕はそうしみじみ思いました。

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【マニラ活動記録Vol.12】国内ダントツの進学校「フィリピンサイエンス高校」でついに最強講師と契約? https://eedu.jp/blog/2013/05/01/dragon-manila-vol-12/ https://eedu.jp/blog/2013/05/01/dragon-manila-vol-12/#respond Wed, 01 May 2013 03:00:22 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=7222 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。 国内最高の先生探しの交渉がうまくいかなかったこ […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに大学受験対策の映像授業を提供するため、日々走り回っています。

国内最高の先生探しの交渉がうまくいかなかったことは前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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フィリピンサイエンス高校って知ってる?

藁にもすがる思いで、知り合いにいいアイデアがないかと、一斉に助けを求めるメッセージを送りました。その中で返ってきたメッセージが以下のもの。

「フィリピンサイエンス高校って知ってる?知り合いいるから紹介するよ!」

一筋の光でした。もちろん、フィリピンサイエンス高校は知っていました。

国内ダントツ1位の進学校で、国内最高峰のフィリピン大学への合格率99.2%。日本で例えたら、開成と桜蔭を足して、2で割らずに、公立にしたような高校でした。

ただ、日本の公立高校のイメージから、あまりこういう事業に協力をしてくれるイメージがなかったので、正直期待はできていませんでした。

しかし、もうこれしかない。今の僕のできることは1つ、この高校にかけてみることしか残っていませんでした。

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独特の雰囲気でのプレゼン

1週間後、フィリピンサイエンス高校のロビーで、教務課の責任者の先生を待っていました。

上手くいくわずかな可能性にかけている反面。相手にしてもらえない。期待して裏切られたくない。そんな複雑な感情で先生の登場を待っていました。

「君がハタさん?今日立て込んでて忙しいから、手短かにね。」と、現れたのは教務課のジョセ先生。

いつものフレンドリーなフィリピンの人の印象ではなく、あまり笑顔なくシリアスな感じの風貌。忙しさがにじみでていました。いつもと違う緊張感を僕は感じていました。

簡単な挨拶をして、緊張のプレゼン。真剣な眼差しの先生。事業を説明して、今困っていること、なかなかうまく行かない現状。そして先生の協力を得たいことを率直に伝えます。

「貧しい子どもたちのチャレンジを応援したいんだ!・・・」

先生は、じっと考える様子。しばらく沈黙が続く。ああ、今日も無理か。

やっぱり期待しすぎなくて、良かったな。勝手に自分の中でそう思っていました。

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すると「分かった。協力するよ。俺に何ができる?」と一言。

まさかの回答。予期せぬ展開でした。先生紹介の依頼をしてほしいとすぐ言いました。すると、

「分かった!! 今日は忙しいからちょっと待ってて。」

ジョセ先生はそう言って、次の予定に向かっていきました。

心温まる先生からの想い

家の帰り道、お礼メールと先生の紹介を忘れないように、ジョセ先生に送る。するとこんなメールが。

今日は忙しくて、あまり時間割けなくてごめん。自分たちの国のために努力している君の姿を見て、感動したよ!僕の国のためにありがとう!実は僕も若い時、海外で一人で努力した経験がある。君の気持ちが良くわかる!だから応援したくなったんだ。

そんなメッセージとともに、フィリピンサイエンス高校の最高の講師の連絡先もついている。

「彼らには僕の方から連絡をとってある。みんな協力してくれるって!」

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鳥肌が立ちました。プロジェクトが進まなかった時間は2ヶ月近く。その日々のつらさや悩んだ時間を思い出していました。

そして、先生の優しさ。自然と目頭が熱くなっていました。

ついに国内最高の先生4人と契約へ

「以上が契約書になります。何か質問ありますか?」

ちょっとした質疑応答の後で、先生方はサインを書いていく。その姿はまさに2ヶ月探し求めたものでした。

目の前には、フィリピンの国内最高の先生4人が頼もしい表情で立っていました。

ここまでのつらさが浮かび上がります。つらくても、辞めなかったこと。無理だと思っても足を止めなかったこと。自分で自分をほめたくなりました。

ついに、ここまできた。そう思いました。

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【マニラ活動記録Vol.11】予備校、NGOと失望の連続。 最強の講師探しはさらなる難航へ https://eedu.jp/blog/2013/04/24/dragon-manila-vol-11/ https://eedu.jp/blog/2013/04/24/dragon-manila-vol-11/#respond Wed, 24 Apr 2013 03:00:32 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=6381 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。 マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経緯は、前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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予備校との交渉は結局ダメだった

期待をして、裏切られることの連続。どんなにあがいても変わらない未来。越えられないかもしれない壁を1人で登っていくことはこんなにつらいものだとは思いませんでした。

予備校での交渉を諦めたその帰り道、ふと座ったベンチから見上げた晴れ間ひとつない曇り空をみながら、「こんな晴れることのないような曇り空でもいずれ、いつか晴れる時がくる」と考える。

そうして、自分自身を鼓舞したい。信じたいという想いがもうちょっとだけがんばってみようという気にさせました。

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第2の手段は教育系NGO

この1週間前、友人の紹介で3つほど教育系のNGOで、公立高校の支援をしている団体があるということで、アポイントをいれて訪問しました。

2つのNGOは大学受験のためのコンテンツ作りに協力することは難しいようでしたが、1つのNGOは好意的に受け止めてくれてくれました。

具体的には、教材作りから国内最高の先生の出演の調整までやれるかもしれないということを言ってくださって、稟議(りんぎ)をしてくれるということになっていました。

1週間経っていたので、「稟議はどうなりました」とメールで確認。すると、「まだボスからの返信がない。忙しいからね!すぐ確認するからちょっと待ってて。」との返信。

しょうがないと思いながらも、何度も期待を裏切られてきた僕は、嫌な予感がしました。そしてそのメールから1週間後、また同じメールを送ると、

「ごめんまだ確認がとれてない。すぐに確認するから待ってて!」

その予感は確信に変わりました。授業実施のためには2月中には確実にテキスト作成と先生の確保が終わっている必要があるのに、このままではまずい。

動きが遅いこともあり、もうNGOには頼ることができないなと思いました。また、その確信は、考えうる先生を探すための手段がなくなったことを示していたのです。

つまりは、絶望でした。

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偶然耳にした歌詞のメッセージ

意気消沈していた僕は、部屋にもどって「勇気が出る曲」と検索でうっていました。そんなことをしないとやっていられないという想いがありました。

その中で、“負けたら終わりじゃなくて、やめたら終わり” そんなくさい歌詞がありました。

あんまり好きなアーティストではなかったということもあって、普段は、「何いってんのこいつ?」というような歌詞も、その時の僕には「そうであってほしい。きっとそうかもしれない。」という想いにさせてくれました。

長い下積み時代を送って、いつか歌手として大成すると努力していた人。そして、勝ち取った人がみつけた成功のための大きなメッセージが「続けること」の重要性。

根拠なんてないかもしれないけど、そうだと信じてみたい。あとちょっとだけ頑張ってみようと思いました。

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みなさん助けて下さい

今まで出会って積極的にアドバイスをくれたフィリピン人10人にこのようなメールを送りました。

「これだったら可能かもしれないという手段がダメになってしまった。もう何もアイデアがないのですが、どうすればいいですか?」

すると、「ごめん分からない。ただお前の挑戦、応援してる頑張って!!」とすぐに返信がありました。

そんな感じで分からないということと応援しているとう旨のメールは多く届きました。

「やっぱり無理か・・」そう諦めていた深夜1時、1通のメッセージが届いたのです。送信者はフィリピン大学の大学院生のミグ。

「いい考えがある。」

期待はしていませんでした。何度も裏切られたから。しかし、そのアイデアは僕の未来を明るく照らすかもしれない、最後の頼みの綱になるのでした。

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【マニラ活動記録Vol.10】飛び込み営業するも、著作権との戦い!? 予備校街で最強の講師探せ! https://eedu.jp/blog/2013/04/17/dragon-manila-vol-10/ https://eedu.jp/blog/2013/04/17/dragon-manila-vol-10/#respond Wed, 17 Apr 2013 03:00:45 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=5996 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。 マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経緯は、前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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クリスマス休暇を振り返って

結局この3週間、何も進みませんでした。今まで「つらくても前へ!前へ!」という事を常に意識しながら、ここまで走ってきたにも関わらず。。

常に少しでも進める事の意識はクリスマスのまっただ中でも頭から離れず、何をするにしても罪悪感。つらいもので、常に自己嫌悪な日々が続きました。

動き出さないといけないという怖さ

1月7日、ついにクリスマス休暇が終わり、仕事が開始するという日。時計の針は朝10時をさす。以前の活動の日は6時に起きていたのに、この3週間の怠惰がその習慣を身につけさせていました。

「動きたくない、外に出るのがだるい。」

心では動かなければならないことは分かっていましたが、久しぶりに飛び込んで英語を使って交渉をすることに気が乗らず。たった一歩がとても重かったのでした。

久しぶりに出た朝の空はくらくらするほど、まぶしくて、すぐに日陰にはいりたいという欲求にかられました。面倒くさいと思う気持ちもありましたが、それでも僕の少しだけの義務感が、足を予備校へと向かわせたのです。

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いざ予備校街に、飛び込み営業へ

最初の訪問先は、以前にアポイントをつけていた予備校のAHEAD。参考書も発刊するような超大手の黄色い看板でおなじみの予備校です。日本で言う駿台予備校のようなところでしょうか。担当の人にあいさつをして、プレゼンをします。

「こっ、こんにちは!!!」

久しぶりに話す英語、違和感とミスばかりの文法、言いたい事が簡単に表現できない。そんな中での必死のプレゼン。

「若いのにすごいことやってるじゃん!すごいいいプロジェクトじゃん!」

プレゼンを聞いた担当の女性は感動してくれていました。意外な反応に期待がふくらみます。そして満を持して、こうお願いしました。

「映像授業のカリキュラムを作るために、授業をしてくれる国内最高の先生を探しています。あなたの予備校の先生を紹介してくれませんか?」

返事を聞くまでは、いつも不安でどきどきします。それに対して、担当者はこういいました。

「・・・ごめん。それはできないかな・・個人的には協力したいんだけど・・・」

覚悟はできていましたが、すこし気分が落ちました。そして、次の予備校へ。しかし2校目の予備校でもこう言われました。

「確かに君のプロジェクトはいい。ただ、うちはビジネスでやってるんだ。著作権の問題があるから、無理だよ。」

これ以降、たらい回しにされたりもしながら、2週間。結局10件近くの予備校から断られました。

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ついに先生を紹介してくれる予備校が見つかる?

断られ続けたなか、回った予備校の1つに、優秀な経営者が運営するリードという予備校がありました。いつも通りダメもとで頼んでみると、

「やってあげるよ!明日共同経営者から許可もらえるから、また連絡して!」

鳥肌がたつほど嬉しくて、どんなに厳しくても、運は動き続ける人を見放さないと思いました。そんな頼りの先に朝、連絡をとりました。

しかし夕方になっても、なかなか連絡が返ってきていません。おかしいな・・と思って電話をかけても出ない。

授業中かと思って、終わりそうなタイミングで連絡。全く通じない。その後何度も連絡しても通じない。電話番号が間違えているのか。

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1週間以上経ち、偶然予備校の前を通っているとき、そこのオーナーが偶然前に歩いていました。すぐに駆け寄り、こう質問したのです。

「例の件、どうなりましたか!!?」

まさかの反応が返ってきました。

「ごっ!ごめん!連絡できてなかった。実はダメだったんだ。メール返せなくてごめん!」

多分、彼女は建前で僕に約束していたのでした。そして、そんな言葉を本気にしている僕。彼女にとっていつもメールを送ってくる煩わしいやつ。そんな位置づけでした。

がっくりしました。断られる毎日の中で、1つの喜び、この期待がどれだけ僕にとって救いだったのか。

あきれてしまい、一気にやる気がなくなり、途方にくれた僕は帰宅の途へ。 期待を裏切ることがこんなにも、罪なものなのかと心から実感しました。長いトンネルはまだ続いていくのでした。

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【マニラ活動記録Vol.9】人生最低のクリスマス!? プロジェクト本格始動直後に起きた不測の事態 https://eedu.jp/blog/2013/04/10/dragon-manila-vol-9/ https://eedu.jp/blog/2013/04/10/dragon-manila-vol-9/#respond Wed, 10 Apr 2013 03:00:11 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=5492 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。 マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経緯は、前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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「沖本さん、1ヶ月半おつかれさま!!」

12月13日。トライアルが成功に終わった次の日。一緒に頑張ってくれた沖本友香さんが就職活動のため、日本に帰らないといけない日がやってきました。

苦しかったミンダナオでの撤退。大学で100人以上に飛び込んでインタビューした事。そしてやっと本当に心から取り組みたい課題を見つけた喜び。

いろんな事を思い出しました。1ヶ月半、楽しいときも、つらい時も一緒に頑張ってくれました。

「e-Educationやれて良かった!これで満足して日本に帰れる!本当にありがとう!!」

そう言ってくれた事が純粋に嬉しくて、本当にやってきてよかったなと思いました。そして、こんなことを僕は沖本さんに言いました。

「一ヶ月半、本当にありがとう!後は任せて!絶対成功させるから!」

僕は歩みを止めてはいけない。なぜなら、一緒に頑張ってくれた仲間がいるから。その期待が僕の動かないといけない根拠になっていくんだなと思いました。

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予備校街に突入

フィリピンにも日本と同じように予備校は存在します。有名どころで言うと、MSAやLSCやAHEAD。それ以外にもマニラの予備校街には多くの予備校が存在していました。

トライアルの効果も相まって、実施する高校は口約束ではありますが、実施する約束を取り付ける事が出来ていました。次の目標は、最高の授業を撮影すること。

かつて国内最高峰の授業の作成のために、バングラディシュやヨルダンでは、予備校の先生の協力を得ていました。
なので、マニラでも予備校街に訪問して、コンテンツの作成とナンバー1講師の出演依頼をすることになりました。
もちろん、コネもないので、僕のやる事は1択!飛び込んでいくことでした。

沖本さんとお別れした翌日。提案書を持って、ナンバー1の予備校のMSAの前にたっていました。

「飛び込みこえ〜怒られたらどうしよう・・」

決心がつかず、予備校の前を行ったり来たりしながら、10分くらい経っていました。回りを気にしながら中の様子をうかがっている姿は客観的にみると、不審者そのものだった気がします。

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逃げる理由を探す自分を押し殺し、思い切って飛び込んでいきました。

“踏み出さないと何も変わらない”

この旅で学んだ一つの大きな事実が僕の背中を押しました。

受付の人がキョトンとした顔でこっちに気づきました。そして、いきなり受付に来た僕、相手からみると外国の人が言った突拍子もない言葉、

「あっ、あの!こんにちは!!そっ、相談したいことがあるんですが!!!社長いますかっ!!?」

すばらしいプロジェクトだね!じゃあ・・

しどろもどろになりながらプロジェクトについてと依頼したいことについて、受付の人に事業を紹介しました。

「おお!すごいいいプロジェクトじゃん!!取り次ぐよ!」

「えー!!ほんとに?」

まさかの展開に興奮しました!その日、オーナーはいないということだったので、次に会う日程について相談しました。するとまさかの返答。

「オーナーはクリスマス休暇で、今年はもう休みに入っているから、”来年”きて!」

「来年!!?クリスマス休暇長過ぎでしょ!」

そんなことを言いましたが、どうしても来年でないと調整できないということでした。MSAの次は国内2番手LSCにいってみました。そこでもこう言われました。

「すごいいいね!じゃ来年、来て!」

4日間、予備校を大量に回った結果、言われたことは全て同じ事でした。

「じゃ来年にまた来て!」

クリスチャンが大半を占めているフィリピンと言う国では、クリスマス休暇というものは恐ろしく盛大で長期にわたるものだったのでした。帰り道、フィリピン大学で出会った友人偶然会ったので、それについて聞いてみるとこう答えました。

「クリスマスは仕事しないよ!もちろん学校も休みだしね!」

それは僕にとって恐れていたこと。つまり、その事実は、「3週間プロジェクトが進まない」という事を意味していました。

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最悪のクリスマス

もうプロジェクトが進まなくなって1週間が経ちました。あの日の後、学校もやすみに入り、アポイントも全く取れないようになってしまいました。

1週間、部屋に閉じこもっていました。パソコンをずっといじっていました。

ここまでプロジェクトは順調でした。3月までにプロジェクト基盤が完成する事なんて、余裕だと思っていました。スピードを持って、事を進めている事実に大きな充実感がありました。

ただ今、物理的に進めることができない状況。全く何も進みません。

心では、しょうがないと思いながらも、何もしないできないことにあせりと罪悪感を覚えていました。

「このままでいいのか・・出来なかったら、仲間に何て説明しよう。」

ベッドに横になると、そんな風にいつも思っていました。できない理由を探すようになっていました。

イルミネーションでいっぱいの街。浮かれて踊っている人たち。そんなロマンチックでにぎやかで素敵な風景。ただ今の僕にはそれをどうしても好意的に思うことが出来ませんでした。

事が進まないことがこんなつらいことがとは思いませんでした。気持ちは日に日に沈んでいきました。次第に外に出る事がいやで、部屋に閉じこもるようになってきていました。

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【マニラ活動記録Vol.8】スラムの学校でトライアル授業実施! フィリピン大学合格に向け、本格的にプロジェクト開始 https://eedu.jp/blog/2013/04/03/dragon-manila-vol-8/ https://eedu.jp/blog/2013/04/03/dragon-manila-vol-8/#respond Wed, 03 Apr 2013 09:00:26 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=5271 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。 マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経緯は、前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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撮影に協力してもらえませんか?

「ロレンゾ先生!!トライアル授業の撮影に協力してもらえませんか?」

マニラのゴミ山近くの高校でニーズのありそうな希望を感じた10分後。すぐに学校を出て、パヤタス高校を紹介してくれたケゾンサイエンス高校のロレンゾ先生にそんなメールを送っていました。

電話で確認したら早いものの、英語で通話することが苦手だった僕はそんなメールという手段を今日も使ったのでした。

本当にニーズがあるかを最終的に判断すべく、実施する予定のコンテンツを仮に作る必要がありました。今回のオファーはトライアル授業として実際に子どもたちに見せて、反応を見るためでした。

早くロレンゾ先生から連絡来ないかと、ずっと携帯をにぎりしめ、ドキドキとした高揚感というか不安というか。了解の返事を待っている時間、祈っても何にもならないということは分かっているのに、いてもたってもいられない状態でした。

移動中のバスの中でやるべきな他の仕事は手に着きませんでした。握りしめてた携帯が震えたのはその10分後でした。「俺でよかったら協力するよ!明後日はどう?」との返信がありました。

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トライアル授業撮影がスタート!

初撮影は2日後に行われました。「こんにちは!フィリピン大学の入試で大事な三角関数の授業を始めます!」

そんな言葉から、はりつめた雰囲気の教室でビデオを前で先生は授業を開始しました。撮影序盤は何かトラブルが起きそうで、不安で不安で仕方なくて、カメラをつないだ三脚を動かす手は緊張でスムーズに動かすことが困難でした。

しかしながら撮影は無事順調に進みで、50分の撮影はあっという間に終了。その夜、慣れない編集の作業をやっていました。初めて使う「iMovie」の操作をグーグルで調べながら、一通り完成するのに5時間近く。いざ、プレイヤーで流してみるとなかなか動画がスムーズに流れませんでした。

どうなってるのか?日本にいる友人に質問したら「拡張子変えたらいいんだよ!」との回答。

“拡張子ってなんだよ!?”

中高での情報の授業は毎回自分のパソコンだけフリーズをするというくらい、パソコンが苦手な僕だったのでなかなか上手くいかない動画作業にイライラしていました。

日が昇りはじめた頃、試行錯誤しながら納得いく映像が完成したときには、「やり遂げた」という達成感がありました。

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実際に学校でのトライアル授業の実施

5時間後、僕は生徒30人の前でプレゼンをしていました。DVD作成後、先生にトライアル授業を実施したいといったところ、その日に時間をもうけてくれていたのでした。

「みなさんこんにちは!今日は皆さんに大学受験対策のためのDVDを持ってきました!見て感想を教えて下さい!」

丸暗記した棒読みの英語で、自己紹介とDVD授業の説明をした僕は、早速パソコンにDVDを入れます。生徒たち喜んでくれるかな。そんな不安で落ち着かない。「大丈夫かな・・」

授業は無事スムーズに流れ出しました。初めて見る映像授業に、もの珍しさから好奇の目で釘付けになる生徒たち。全く笑わないし、じっと見ています。

「どんな気持ちでみているの気だろう?退屈なのかなあ・・」

文化が違うフィリピンの生徒たちの反応が表情からほとんど何も読み取れません。不安な時間は5分しかたっていないのに、とても長く感じました。

大きく変わった子どもたちの瞳

緊張した時間は1つの出来事で大きく変わりました。突然、1人の女の子が席を立ったのです。

すると後ろに置いていたバッグからノートを取り出し始めました。そして、再び着席し、板書をメモし始めたのです。

それにつられて全員がノートを取り出しました。そして必死に彼らも彼女に続いていきました。

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パソコンの中の先生が答えを言うと、

「おお、当たった!正解した!!!」

みんな夢中に板書して、答えの度に歓声をあげていました。自分の作ったもので感動してくれている生徒達の姿、目を輝かせているその瞳を見たとき、なんとも言えない達成感を味わいました。

そして授業が終わった時、数人の生徒たちが「これ無料で見れるの?」と聞いてきました。「うん、そうだよ!」と言い返すと、その子はこう言ったのです。

「僕はフィリピン大学行きたくて、そのために予備校に通いたいと思っていたんだ。でもこの前家族にそのこと言ったら、お金がなくて無理っていわれたんだ。もしこの授業が受けれたら僕はとても幸せだよ!絶対やってよ!!」

この言葉にしびれました。この日に授業を見せた計60人は全員、映像授業を受けたいということをアンケートに答えていました。

マニラの若者に希望の灯火を

「三輪さん!僕、ここでやっていきますよ!」

Facebookでメッセージでマニラプロジェクトを日本から支えてくれている副代表の三輪にそんな旨を伝えていました。

どんな貧しい状況でも、可能性にチャレンジしたいと勉強をしている子たちがたくさんいる。

映像授業でフィリピン大学合格という夢を叶えるチャンスを提供したい。

貧富による教育格差の壁を壊し、マニラ中のスラムに住む若者の心に希望の灯りをともしたい。

ここで絶対やっていくんだ!そう、心に決めました。マニラプロジェクトの本当のスタートです!

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【マニラ活動記録Vol.7】やっぱりスラムにニーズはあるかも!? 大きなゴミ山を前に感じた湧き上がる情熱! https://eedu.jp/blog/2013/03/27/dragon-manila-vol-7/ https://eedu.jp/blog/2013/03/27/dragon-manila-vol-7/#respond Wed, 27 Mar 2013 11:00:01 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=4860 こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。 ニーズを探して田舎にいった時の経緯は前回の記 […]

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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

ニーズを探して田舎にいった時の経緯は前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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残り2週間!このままでは終われない

朝起きると、憂鬱な気分。ここ最近は、そんな朝を迎える事が多かったです。

「マニラの郊外の田舎にニーズはなかったです・・」日本にいる副代表の三輪と毎週行う近況報告をかねたスカイプミーティングでそう伝えていました。前の記事でも書きましたが、ニーズがなかったら撤退すると決めていたので、期限まで残り2週間しかない状況でした。

「価値があると心から思えるものでないとやらない」とも決めていたこともあり、撤退も悪い事ではないと思うようにしていました。

この時に僕を動かしていたのは、そんな「モチベーションはまだ見ぬ子どもたちの笑顔!!」といった崇高な想いではなく、「このまま何もせずに帰る事がダサい。口だけって思われたくない」という学校のみんなや昔からの友人への体裁だけでした。

お恥ずかしい話ですが、僕はそんなダメな人間です。この日も体裁としての思いだけが、僕を部屋の外に動かす力になっていました。

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ヒヤリング調査を継続した先に

午前中にはフィリピン大学の学生に紹介された、マニラの進学校のケゾンサイエンス高校のロレンゾ先生にお話を聞くアポイント。いつも通り事業について説明し、田舎にはニーズがなかったことを伝えた上で、他に映像授業でどんな可能性があるかを伺いました。

先生から色々なアイデアをもらいましたが、どうもしっくりくるこない。今日も収穫はないかなと思っていた時、「一応、この近くの公立高校に行ってみれば?もしかしたらニーズが眠っているかも知れないよ。」とロレンゾ先生は言いました。

それを聞いたときは正直、そんなことはないだろうという疑う気持ちがありました。ロレンゾ先生もその提案を言うときはダメもとで見てみたらという感じでした。

正直、苦労して探しているものがそんな近くにあるはずがないと思いました。僕は日本で公立高校に通っていた時、私立との差をあまり感じたことがなく、状況は変わらないかとあまり期待する気持ちにはなりませんでした。

距離がこんな近い場所で、圧倒的な格差なんかあるのか?と疑問に思いながら、他の先生とのヒヤリングが入っている僕は、沖本さんに電話。

僕:「なんかニーズがあるかもしれないから、行ってみてもらっていい?・・今から

沖本さん:「え!?・・うん!わかった」

僕は、特に期待することもなく、次のヒヤリングに向かいました。

現地にニーズがあるかもしれない

その日のヒヤリングも終わった帰りのタクシーでのこと。「今日もなにもなかった」そう憂鬱な気持ちでいるところに、沖本さんから電話がかかってきました。

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いつも、メールなのに珍しいな・・何だろうと思いました。電話をとって聞いた一声に鳥肌がたちました。

「秦氏!!! ニーズあるよ!!! たぶん!!!」

まさかの連絡。沖本さんはまたアポなしで学校に訪問して、校長先生と話していたようでした。いろいろ話を聞いていると、明確には分からないのですが、沖本さんがここまでテンションが上がっていたことはなかったので、かなり信憑性がありました。

今まで期待して結局ダメで落ち込んだことしかなかったので、「あまり期待しないようにしよう」と予防線を張るべきだと思う自分がいました。ただ、そうは心で分かっていても体が期待してしまう。

その日は不安と期待でなんだか落ち着かない気持ちになっていました。次の日の朝、沖本さんと再度その高校を訪問することを決めました。

学校で見た景色

「ようこそ!パヤタス高校へ!」

校長先生の秘書の先生が迎えてくれました。事業についてはしっかり沖本さんが説明していたようで、早速高校の現状を知るために、案内してもらうことになりました。

教室を案内してもらうと、そこには驚くべき光景が広がっていました。

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小さな教室いっぱいに敷き詰められたイスと中に入りきれず廊下から授業を聞いている生徒たち。80人以上の生徒の瞳が、1つの黒板に注がれていました。

授業の様子を見つつ、先生に学校や生徒の状況を伺いました。学年1600人近くで、1クラス80人もの生徒。それは私立の2倍の数字だということや、昼夜2部制で回しているために、授業時間は私立高校の3分の2以下の6時間ということなどが分かりました。

話を聞いていくうちに、私立高校と公立高校の教育の機会の格差が分かってきました。

初めての風景、湧き上がる情熱。

「見せたいものがある」

そう言って、一番奥にある校舎の3階に案内されました。そこには、人生で初めてみる奇妙な光景が広がっていました。大きな人工の「山」が広がっていました。

「あれ実は、すべてゴミなんです。マニラ中のゴミがあそこに集まって山をみたいになっているんです。そして、この高校の生徒の25%以上はあそこの近くのスラム街からきているんです。つまりあまり裕福でない子ばかりなんです。」

またベランダの下には塀を隔ててとたん屋根でできたスラム街が広がっていました。

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「この高校でフィリピン大学の受験に挑戦する人もいるんです。たった10人ですが。そして、私立の子達が行ける予備校に、彼らは通うお金がないんです」

本題の受験に関するこの回答に、僕の期待は確信に変わっていったのでした。

僕たちのやろうとしてる映像授業ってこの場所でこそニーズがあるんじゃないか。貧しさに負けずに自分の可能性にチャレンジしようとしている子どもたちがいる。そして、その存在に気付いて、解決策を持っているのは世界に自分だけ。

そして、先生は僕たちに「子どもたちのために、そのプロジェクトうちでもやって欲しい」と言いました。

しびれるというか、なんか言い表しづらい感情ですが、すごく興奮していました!

昨日までの憂鬱や後ろめたさをすっかり忘れてたかわりに、アドレナリンがみなぎり、今の僕には忘れかけていた使命感が戻ってきました。

「ここでプロジェクトを絶対やりたい!」と、ゴミ山が見えるベランダの上から自分自身にみなぎる強い意思を感じていました。

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