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こんにちは!e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しています。

前回の記事では、高校生250名へのトライアルを行い、その後、現地行政との提携を試みたことをお話しました。明快なトライアルの「成果」に大きな関心を示す一方で、提携には難色を示す現地の行政。その後プロジェクトは一体どうなったのでしょうか。

現地の行政との正式な提携へのこだわり

現地の高校生250名を対象としたトライアルを経て、OHSP(Open High School Program:フィリピン政府が展開している、貧困などの理由でドロップアウトした高校生を対象としたオルタナティブな学習機会を提供する教育プログラム)と、e-Educationプロジェクトの相性はバツグンだと確信した僕は、現地の教育局と提携を試みました。

e-Educationミンダナオ島プロジェクトは、OHSPを映像授業によってカスタマイズするプロジェクトです。

全国で展開されている既存のOHSPと、e-Educationが公式に協働することができれば、より良い教育の機会を、一人でも多くの若者に、パブリックサービスとして広範囲に提供することができると考えました。

そのため僕は、現地の行政と書面を介して正式に提携関係を構築することに、とにかくこだわったのです。

提携に慎重なOHSPの責任者パラオン博士

トライアルの結果に、カガヤンデオロ市全体のOHSP総責任者のパラオン博士はたしかに高い関心を持ってくれました。しかし、e-Educationとの提携には難色を示したのです。

パラオン博士は、「たしかに映像授業を活用してOHSPをカスタマイズするのは素晴らしいアイデアだと思うわ。ただ提携関係を結ぶためには正式機関とでないと難しいのよ。」と言うのでした。

e-Eucationプロジェクトは、日本ではたしかに、ある程度のインパクトや知名度こそあります。しかし、フィリピンでは、なんの肩書きもない一学生がゲリラ的に取り組んでいる、いまだに小さなプロジェクトに過ぎず、信用してもらえなかったのです。

アツさんの師匠「米倉先生」現る!

そこで僕は早速、副代表のカイトさん(三輪開人)に相談し、一橋イノベーション研究所所長の米倉誠一郎先生を紹介していただきました。

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米倉先生(前列右端)とアツさん(後列左)

米倉先生は、代表のアツさん(税所篤快)の「師匠」にあたる方です。米倉先生に、ミンダナオ島プロジェクトのバックサポートとコンテンツ強化にあたっていただくことが決まり、僕は意気揚々と再びパラオン博士のもとを訪れたのです。

2度目となるパラオン博士への訪問を果たすも

「たしかに大学機関となら正式に提携関係を結ぶことができるわ。でも、実際にプロジェクトを進めるのはあなたであって、果たして本当にプロジェクトを実行できるか、残念ながら信用するのが少し難しいわね。」

このように言われ、僕はすぐさま次の一手を考えることにしました。当時、僕は、アクロ校長のいるルンビア高校をパイロット校の1つとして考えていました。

ルンビア高校があるルンビア地区は、超巨大台風(Sendong)の被害者が大量に移住してきた山間部。そのため生徒数も激増したという背景があります。

避難者の生徒の中には、親や兄弟を亡くした子、家族を助けるために働いている子もいます。さらに生徒数の激増による教師・教室不足は、授業の質の低下を招くなど、ルンビア高校は生徒側も学校側も様々な問題を抱えていました。

こうした問題が山積するルンビア高校を立て直すために、その人望と教育者としての手腕が買われ、白羽の矢が立ったのがアクロ校長でした。

アクロ校長と僕は、より良い教育の在り方や映像授業の可能性などを度々話し合っていました。しかし、映像授業やICT教育を実施するためのパソコンがないというというのが大きな問題点でした。

教育局に実行力とスピードを示す

そこで僕は、ルンビア高校のパソコン環境を整備し、プロジェクトの実施環境を準備することで、パラオン博士に、僕のプロジェクトに対する覚悟と実行力を認めていただこうと考えました。

その矢先、幸いにも、マニラプロジェクト担当の秦くんから、ICTを活用した教育・就業支援と日本のリユースPCの寄贈をマニラで行っているNPO法人Class For Everyoneの代表である高濱宏至さんを紹介していただいたのです。

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NPO法人Class For Everyone 代表の高濱さん(真ん中)

副代表のカイトさん、高濱さんそしてアクロ校長の迅速な意思決定と対応のおかげで、パラオン博士との2回目の話し合いから2日間というスピードで、ルンビア高校へのリユースPCの寄贈案件をまとめることができました。

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届いたPCを手にするルンビア高校の生徒たち

ガヤンデオロ市教育局と正式に提携!

またアクロ校長は、その人望と手腕から、教育局のトップであるエレナ局長の大きな信頼を得ています。

そのアクロ校長の大きな後押しと度重なる話し合いを経て、e-Educationミンダナオ島プロジェクトは、ついにカガヤンデオロ市教育局と正式に協力関係を結ぶことができました。

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左からアクロ校長、マヌエル局長補佐、エレナ局長

さて、なんとか無事に現地の教育局と協力関係を構築したミンダナオ島プロジェクト。1つの「仕込み」を終えた僕は、プロジェクトの本格始動に向けた準備と「就職活動」のために一時帰国します。

次回の記事では、日本での新しい出会いと、そしてフィリピンへの「再出発」に至るまでに関してお話させていただけたらと思います。本日もご愛読くださり、誠にありがとうございました!

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帰国前日マニラのロハス通りにて


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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