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こんにちは!e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。

前回の記事は回想録として、昨年の夏、はじめてフィリピンを訪れ、開発NGO「Gawad Kalinga」でインターンをしていたときのことを書かせていただきました。今回は、インターンにも慣れ始めた僕が、出国前から温めていた「企画」を実施したことについてお伝えします。

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日本人としてできるプラスアルファ

日々の授業に加え、「文化交流クラス」や「補修クラス」を実施し、インターン生活は非常に充実したものとなっていました。一方で、僕は日本から来たインターン生としてできる「プラスアルファ」がまだまだあるはずだと考えていました。

とはいえ、CJ小学校は、フィリピン最大の開発NGO「Gawad Kalinga」の運営ということもあり、資金面・物資面では目に見えて大きな問題はありませんでした。「教育開発団体」が運営する学校によく見られる、「お金や教科書や先生が足りない!」という危機迫った状況ではなかったのです。

より良い学校を目指して

ただ一つ、僕が出国前のヒアリングの段階から気にかかっていたことがありました。それは情操教育の一環として重要な「体育」や「図工」がなかったということです。

CJ小学校は、教育開発としての「最低限の教育の機会を子供たちに提供する」という第一ステップはクリアしていました。むしろ「正規教育に準じるようなより質の高い教育」を目指す段階にありました。

そこで僕は「情操教育」をテーマに、新しい取り組み・企画を実施したいと考えました。しかし、そのときすでにインターン期間は残り1ヶ月を切っており、インターン生が準備できる予算も非常に限られています。

小学校運営者に「情操教育」の重要性を理解していただき、生徒や先生、保護者そして僕たちインターン生自身も思いっきりワクワクできる「集大成」となるようなものは何だろうか。

そこで僕は、CJ小学校設立以来、前例のない「体育祭」を企画・実施しようと考えたのです。この背景には、僕自身が「体育祭」が大好きだったということもありました。

限られた時間で最大のインパクトを

準備段階では、まず校長先生に「情操教育」の重要性や、「体育祭」というアプローチの効果をプレゼンすることからはじめました。

実施競技は、先生方やインターン生の意見を考慮し、「徒競走」や「台風の目」などに加え、一番の目玉競技として「創作ダンス」を盛り込みました。

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巷を賑わせた「江南スタイル」

全員で作り上げる「体育祭」

また小学校にはグランドがなかったので、村長さんに掛け合い、村の広場を一日貸していただくことになりました。さらに、当日の昼食や音響設備などは生徒のお父さん、お母さんたちが準備してくれることとなりました。

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村の方々と一緒に

そして何より、生徒らが自主的に「創作ダンス」の振り付けや衣装を決め、年長生が後輩たちに手取り足取りダンスを指導している様子は、本当にうれしいものでした。

このダンスでは、5年生の男の子二人が自主的にダンスリーダーに立候補してくれ、生徒らをぐいぐい引っ張っていってくれたのです。

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男子リーダーのイライジャとラミール

そして準備の間、日本にいるアイセックの仲間から定期的にアドバイスをもらい、時に発破をかけてもらいながら、通常業務と並行して「体育祭」の準備をなんとか進めていきました。

こうしてCJ小学校は、先生、地域住民、インターン生、保護者、そして生徒らが一丸となってはじめての「体育祭」を作り上げ、当日は大盛況でした。

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女子創作ダンス「ワカワカ」、ワールドカップでもよく流れておりました

現地でできあがった新しい「仕組み」

この甲斐あってか小学校の運営者はその後、グラウンドの設置と「体育」の充実を決めました。そして、CJ小学校には、その年から「体育祭」という新行事が加わったのです。

ここで記事を書きながらふと思ったのですが、実は体育祭を企画・実施したアプローチと、e-Educationミンダナオ島プロジェクトのアプローチは全くと言っていいほど同じです。

  1. アイデアを現地の有力リーダーに売り込む
  2. 現地の有力リーダーを中心に関係者らが役割分担してプロジェクトの「仕込み」をする
  3.  若手リーダーも現れ、現地の関係者らが一丸となって「主体的」にプロジェクトを動かしていく
  4. 現地関係者の間で新しい文化・仕組みとして「持続的」なプロジェクトとなる

その間の関係者とのヴィジョンの共有やモチベート、関係調整は日本人担当者の重要な役割です。そして上記プロセスに並行して、日本のメンターの存在が不可欠です。

時には単なる理想論・無理難題だと思えるようなアドバイスもありますが、それらをなんとか実行しようと挑戦していく過程の中で、現地での効果的でクリエイティヴな「仕掛け」や「取り組み」が生まれます。

日本にいるメンターがいるからこそ、現地で見落としがちな新しい視点に気づき、より良いプロジェクトを目指すことができるのです。こうして現地でできあがった新しい文化・仕組みこそが現地における「イノベーション」の一形態なのではないかと僕は考えています。

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次のステージ、ミンダナオ島へ!

さてこうしてCJ小学校の新しい文化としてできあがった「体育祭」。僕はその間、ミンダナオ島での宗教紛争や教育事情に関する話を耳にしながら、次のステージとしてミンダナオ島で「教育開発」をテーマとした取り組みができないかと考え始めるようになりました。

CJ小学校でのインターンと「体育祭」の実施を経て、ちょっとした自信をつけた僕は、出国前から考えていたe-Eduactionプロジェクトの立ち上げを本気で考え始めることになりました。

次回の記事では再びミンダナオ島プロジェクトにテーマを戻し、現地の様子をお伝えしていきたいと思います。

本日もご愛読くださり誠にありがとうございました!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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