こんにちは!e-Education国内・ファンドレイズ担当の久保唯香です。
私は今、SOCAP(Social Capital Market:Social Goodな事業と経済を創り上げるために、社会的起業家、投資家、金融・政府・非営利団体の関係者が一同に会す、世界最大規模のカンファレンス)に参加するために、サンフランシスコに来ています。
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前回の記事では、「Impact Accelerator Program」の様子をお伝えしました。今日は、ついにカンファレンス1日目。
開会前のプレイベントから、1日目最後のイベントまで12時間。その間、ひたすらだれかと話す・聞くということを繰り返しました。まさにこれは、カンファレンスならぬ「アン」・カンファレンス(既存の会議形式にとらわれず自由に話し合う会議)です。
あなたにとって、インパクトとは?
さて、今回参加したセッションは以下の通りです。
- The Power of Sharing (Exploring the Digital Sharing Economy at the Base of the Pyramid)
- Managing Impact for the Long Term
- The Doctor is out: Health Happens Where You Live, Work and Play
- Indigenous Culture & Health
- Indiegogo Crowd funding Social Impact Reception
セッションとセッションの間には長めの休憩時間が設けられており、各種飲み物、食べ物がそろっている「Impact Hub」にて、ネットワーキング(それぞれが話し合い、意識・アイディア・経験を共有、議論すること)が行われます。
はじめのセッションは、BoP層へのアプローチとして注目されているインターネットを通した資金調達についてでした。
The power of Sharing(NESsT主催)
いつでもどこでも目的の物事に簡単にアクセスし、友達にシェアしたりコラボレーションできるだけではなく、売り買いまでできる世の中になりました。
このテクノロジーを途上国の問題解決に応用しようというのが「デジタルシェアリングエコノミー」です。どんなに良いものがあっても、値段が安くても、これまで途上国に住む人々は、そのような商品にはアクセスすることができません。
しかし、テクノロジーは、この問題を解決することができる可能性を秘めています。例えば、自転車。途上国でも馴染み深い携帯電話を使って、自転車の貸し出しを行っている現地企業があります(Hanzhou Public Bicycle)。
「シェア」という行為が、携帯電話というテクノロジーによって可能になったわけです。このデジタルシェアエコノミーには、大きな強みがあります。
まずは、オープンであること。2つ目は、コストが抑えられるということです。
たとえば、みなさんご存じの「Wikipedia」。現在では、世界中で利用されています。Wikipediaによって、私たちはインターネットにさえアクセスできればどんなことでも、たいていはまとまった文章から知ることができるようになりました。
このアイデアを活用したのが、「クラウドファンディング」です。これは、テクノロジーをつかってお金の流れをつくる仕組みです。
The Power of Sharing (NESsT主催)のワークショップには、世界中から非営利団体、研究者、開発関係者、そして4つのクラウドファンディングファームCatarse, Wikipedia Zero, Open IDEO, KIVAからスタッフが参加しました。
持続的なファンディングにするために
ワークショップは8:00~12:00までの長丁場。しかし、それを思わせないほどの濃いディスカッションが繰り広げられました。
一番の課題は、「クラウドファンディングの持続性」と「ハイパーローカルな事業体づくり」。テクノロジーそのものは、投資家や寄付者の関心を惹きつけることはできません。1回1回のキャンペーンのリピート率は、徐々に低下していくのが通常です。
果たして持続的な手段は、クラウドファンディングに存在するのでしょうか。人々の関心をつなぎとめるために、何が活用できるのでしょうか。まさに、私たちがいま直面している問題が、ここにありました。
Catarseのトップページ
Catarseは、ブラジルに根差したクラウドファンディング事業を展開しています。コミュニティ別のカテゴリーがあったり、現地の言語に特化しています。友達、家族、資金調達を行う人や事業のファンが寄付や投資をすることになるため、コミュニティとローカルさをとても大切に扱かっています。
Wikipedia Zero
Open IDEO
一方、Wikipedia Zeroはすでに世界中に広がりを持つ、Wikipedia財団が主体となっている事業です。携帯電話でWikipediaにアクセスできるよう、仕組みづくりに取り組んでいます。さらに、Open IDEOも海外展開を見せている事業です。
Kiva
Kivaは、クラウドファンディングの先駆けといわれている事業です。Kivaの場合には、従来のマイクロファイナンスだけではなく、市場のニーズをつかみ新しい取り組みを行うことが最重要課題なのだそうです。
日本の寄付市場を変えるのはコミュニケーション?
私は、クラウドファンディング事業主一人ひとりに、こうつぶやきました。
「日本の寄付市場は小さい。この市場を変えないと、クラウドファンディングを導入したとしても、うまくいかないと思います。持続的ではありません。これは日本の文化であり、考え方なんです。仕方ないんです」
「そんなの、アメリカだって一緒よ」
ランチタイムに、ふと近寄ってきたNPO経営者が私に言いました。
「そんなの、やり方次第なんじゃないの?コミュニケーションよ、コミュニケーション」
そうかもなあ、と思う出来事でした。
Indiegogo
Indiegogo Crowd funding Social Impact Reception
その夜、もう一つの有名なクラウドファンディングサイト「Indiegogo」のレセプションパーティがありました。今度は、Indiegogoのスタッフと資金調達を行う非営利団体スタッフのパネルディスカッション。
ミッションがないなら、クラウドファンディングは使うな!
非営利団体のスタッフは、繰り返します。
時間とお金の無駄だ。事業をやりたいだけなら、クラウドファンディングは向かない。でも、ビジョンがあって、ミッションがあって、ゴールがあるのであれば、それを伝えるべきだ。お金を出す人とお金を使う人が、一つのミッションを通して繋がることができる。それがクラウドファンディングだ。
e-Educationはどのように映る?
さて、会場では、たくさんの人が交差します。セッションでは、右にも左にも人がいて、ワークショップやレセプションなんかに行けば、きょろきょろしている人がたくさんいます。
起業家か、投資家か、企業の人か。1分間のエレベーターピッチ(簡潔なプレゼンテーション)を繰り返すことになります。
そんな中で、e-Educationは、どのように映るのでしょうか。もちろん自分でピッチをするので、厳密にどのように思われているかはわかりませんが、よく言われることがあります。
「それはうちの国でもできるよ!」
つくづく、ニーズが強いと感じます。それから、何回か繰り返すうちに、これは抑えておこうと思ったポイントがあります。
まず、e-Educationは、インターネットがつながらない地域の子どもたちが対象だということ。オフラインの子どもたちは、途上国の大部分を占めます。ここにニーズを見出したことを簡潔に伝えます。
次に、現地の教育機関と大学生が活躍すること。SOCAPでは、すでにいくつか教育関係のプロジェクトにも出会いましたが、自信を持てたのがこの2点でした。
1分で自分を伝えるエレベーターピッチ
会場のあちらこちらで、このエレベーターピッチが繰り返されています。難しく、また、工夫のしがいがあります。なんとか最終日までに、納得のいくピッチができるようになりたいです。
また、SOCAPには、専用のアプリが用意されており、SNSとして活用すれば、参加者がオンラインで繋がることができます。このネットワークを通して、私にもアポイントメントが入りました。
アプリもうまく活用して、SOCAPを楽しんでいきたいです。
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