マイクロソフト主催の学生ITコンテストである「Imagine Cup」にオマーン代表、カタール代表として2組の女性だけで構成されたチームが選出されました。
私たちが持つ、”アラブ女性”というステレオタイプとは異なる彼女たちの姿から、いま中東諸国の女性に起こっている”ある変化”について探っていきたいと思います。
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オマーン、カタールから女性だけのチームが出場
オマーン代表チームの一人であるAsya Aljabriが、最初にアプリの開発を始めたのは、9歳になる従弟が失読症であると分かってからでした。彼女はこの従弟のために何かできないかと考え、2人の友達と一緒に「ReadX」という失語症の子どもの学習を助けるアプリを開発。
その後、Aljabriのチームは見事「Imagine Cup」のオマーン代表として選出。今年の7月8日〜11日までロシアのサンクトペテルブルクで開催された世界大会へと出場することとなりました。
世界71か国の代表チームが集まった世界大会において、チームメンバーが全員女性であったのはオマーン、同じ中東諸国であるカタールそしてポルトガルの3チームだけでした(ポルトガルは女性1人によるチーム)。
大会期間中、多くの参加者はこの女性だけでされた2つのチームが、中東諸国から来たことを知って驚いていたと言います。
中東から生まれる女性起業家
「正直ここに来るまでは、私たちがそれほど注目を浴びる存在だとは思っていませんでした」
20歳になるカタール代表のLatifa Al-Naimiはそう語ります。彼女のチームは「Artouch」というカタールの乏しい美術館環境を改善するためのデバイスを開発しました。
カタール大学では男性よりも女性が多くコンピューターサイエンスとコンピューターエンジニアリングのクラスを受講していたと言います。過去10年間、カタール政府とオマーン政府は女性教育とSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathの略称)に多くの資金を投資してきました。
「(中東では)教育の質を上げようとする強い動きが、特に現代社会において重要だと考えられる分野において加速しています」
中東における教育改革を記した本「Youthquake」の著者であるIsobel Coleman氏はそう語っています。
オマーン代表とカタール代表の彼女たちは、コンピューターとコンピューターサイエンスのクラスがなかった頃のことはもう思い出せないが、高校のクラスで初めてプログラミングを習った時の衝撃は今でもはっきり覚えていると言います。
中東のいくつかの国において、私たちがこれまで持いたステレオタイプは劇的に変わりつつあるようです。Coleman氏は次のようなことを言っています。
(湾岸諸国は)私が知る限り唯一、STEMの領域において女性のほうが男性よりもパフォーマンスを示している地域です。私が思うに、私たちは今後、多くの女性起業家がこの地域から生まれるのを目にするでしょう。
アラブ女性の”いま”とは
世界大会において、中東からの女性チームは惜しくも入賞こそ逃しましたが、今回参加したチームメンバーは一様に、将来は起業家になりたいと語っています。
もしかすると、そんな彼女たちの夢を妨げる一番の要因は、私たちのような外国人が持つアラブ女性に対する誤解なのかもしれません。テクノロジーカンパニーの設立を考えているオマーンのSafa Almukhaini氏はこう語っています。
私は人がどれだけ驚くか、ということにいつも驚いています。なぜなら女性が起業することは私たちにとって、もはやそれほど珍しいことではないからです。もちろんそれは簡単なことではありませんが、十分に達成することができます。女性がやりたいことができる環境はすでに整っています。
もしかするとアラブ女性こそ、今後のIT界をけん引する存在なのかもしれません。
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