近年、途上国の未来を担うようなアイデアが、アフリカから続々と生まれてきています。
ロックバンドU2のボノが創設した、貧困救助のためのNGO「ONE」は、アフリカ発のイニシアチブを支援するための「ONE アフリカアワード」を2008年に設立しました。
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ミレニアム開発目標達成に一番大きく貢献しているとされるチームには、10万ドル(約1000万円)が賞金として与えられるというアワードです。「ONE アフリカアワード 2013」の優勝チームが発表されたので、他の5つのファイナリストチームと一緒に紹介します。
1. コミュニティスクール – ザンビア
ザンビアの首都ルサカにて、政府が学費を負担する公立の学校でも教材費や給食費を払えない孤児のために、1992年にZOCS(Zambia Open Community School)は、コミュニティ・スクールとして設立されました。
それ以来ZOCSは、コミュニティが一体となって自分たちの学校を作る活動を促進しています。今では、3000のコミュニティ・スクールがZOCSによってまとめられており、38つの郡で約7万人の子供たちが通っています。
2. 南北を農業でつなぐ – マリ
DEFIS(Doper l’Entrepreneuriat par la Finance Innovante et Solidaire’s)は、マリの北と南を農業で繋ぐ活動を主に行なっています。
仕組みはシンプルで、農業が盛んな北側から、南部の人たちが収獲されたものを買うという事前買い取りのシステムです。そうすることで、北側の人たちの所得が増え、内戦中で銀行が閉まっていたとしても、援助金に頼る必要がなくなります。
南側では、これで得た作物を使って新たなビジネスをスタートさせることができ、WIN-WINのモデルが確立されます。
3. スラムの所得向上 – エチオピア
JeCCDO(Jerusalem Children and Community Development Organisation)は、エチオピアの都市部のスラム街に住む人たちの所得を持続的に上げる解決策を提供。
1996年以降、コミュニティベースの団体(CBO)を設立しており、今では148のグループがエチオピアの5つの地域で活動しています。
4. エイズ・マラリアの撲滅キャンペーン – ナイジェリア
Friends Africa(Friends of the Global Fund Africa)は、エイズ・TB(結核)・マラリアなどの病気の撲滅キャンペーンを行なっています。
Global Fundとパートナーシップを組み、民間セクターや政府機関も巻き込み、「One アフリカアワード 2012」のファイナリストとなりました。
5. 平等な医療アクセスの提供 – ブルキナファソ
RAME(Réseau Accès aux Médicaments Essentiels)のミッションは、政策に、平等に人々の医療機関へのアクセスを提供するように影響を与えることです。
2009年には、RAMEのキャンペーンから、政府が抗エイズ薬を無料で国民に提供する政策を発表するまでに至りました。
6. 社会の貧困撲滅ネットワーク – タンザニア
ANSAFは、「社会の貧困撲滅」という大きなビジョンのもと、農業政策などを中心とした国の経済発展についてのディスカッションをするネットワーク。今回のアワードの優勝チームです。
50人以上のメンバーで成り立っており、農業組合・NGO・政府関係者など多くのプロフェッショナルが、タンザニアの農業発展のために日々討論しています。実際、タンザニア政府予算の10%を、主に小作人の農業セクターに使う際にはANSAFを通されています。
政策提言などの他、小作人のためのバリューチェーンや市場の開発なども行なっており、フェアな価格で農産物を買い取る役目も担っています。
ANSAFの事務局長のオーデックスさんは、優勝後にこう語っています。
この賞は、タンザニアとアフリカの農民たち全員のものです。彼ら彼女たちが、日々努力して、それぞれの国の食糧自給率を上げようとしているから、与えられたものです。
アフリカ人主体のチームがファイナルに多く残った
今年で6回目となる「One Africa Award」は、毎回アフリカ人主体のチームが多くファイナリストとして残っている傾向があります。
最近では、先進国からやってきたNGOや政府団体が、スケールの大きな活動をするのが注目されがちです。しかし、生まれ育った土地・環境・国を知り尽くし、現場の問題と解決策を一番分かっているのはやはり現地の人のような気がします。
特に、優勝したANSAFは、タンザニアの中のそれぞれのスペシャリストの知恵を出し合い、最高の結果を出そうとしています。今後の国際協力の仕方として、現地の人の声を改めて聞き直し、解決策を先進国の人と恊働で考えていく形が求められていきそうです。
[ONE.org]
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