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CSRコンサルタント・安藤光展さん

個人ブログ「CSRのその先へ」で積極的にCSR情報を発信し、大手ブログメディアにも記事を配信しているCSRコンサルタントの安藤光展さん。

昨年12月には初となる書籍『この数字で世界経済のことが10倍わかる – 経済のモノサシと社会のモノサシ』を出版され、今後ますます注目される安藤さんにインタビューを行いました。

前編では、仕事や活動のことを中心に、国内外のCSR(企業の社会的責任)やそのトレンドについても伺いましたので、ぜひご覧ください(聞き手:佐藤慶一)。

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安藤さんの3つのお仕事

佐藤:まず、安藤さんがどのような活動や仕事をしているのか伺ってもよろしいでしょうか。

安藤:ぼくは、大きく分けて3つの仕事を行っています。

1つ目は社会貢献やCSR分野のウェブメディア運営やコンテンツ制作。2つ目が執筆活動です。個人ブログやビジネス系・オピニオン系の外部メディア(ハフィントンポスト日本版 / Yahoo! ニュース個人 / アゴラなど)への寄稿、さらには書籍の執筆などがあります。加えて、『宣伝会議』など商業誌へ記事を書くこともあります。

最後は、CSRコンサルティングやCSR研修といった企業向けのサービスを提供しています。たとえば、今年の1~3月にはさいたま市のCSR研修を担当したり、企業でのCSR研修を行ったり。以上の3つが、僕のメインの仕事になります。

佐藤:3つの仕事の割合はどのようなものなんでしょうか?

安藤:時間がかかるのは、メディア運営と執筆活動です。後者については、社会貢献やCSRに対する認知や理解向上を見据えて、個人ブログをはじめとするお金の発生しない執筆活動も多く行っています。

メディア運営については、アジアのCSRとソーシャルグッドの話を取り上げる「CSRビズ」というメディア、インターネット広告代理店セプテーニ子会社の株式会社セプテーニ・ベンチャーズが運営する「gooddo(グッドゥ)」という社会貢献プラットフォームに関して、コンテンツ制作や周辺のイベントを含めてお手伝いをさせていただいています。

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「アジア×CSR×ビジネス」をテーマにしたメディア「CSRビズ

環境という側面からCSRを勉強

佐藤:そもそも安藤さんがCSRに関心を持ったきっかけはなんだったのでしょうか。さらにはCSRを仕事にしようと思った転機についても伺いたいです。

安藤:ぼくは、26歳で独立しました。その少し前の2008年頃、デザイン会社に関わっていたのですが、エコをはじめ環境活動が盛り上がっていて、デザインやポスター、ウェブサイトなどを通じて訴えかけていました。

そのとき、環境やエコといったものが、今後ますます重要性が増すと思いました。そういうこともあり、環境という側面からCSRを勉強し始めました。

独立したてのときは、社会貢献や社会課題に取り組む人々や団体をほとんど知りませんでしたが、勉強してCSRを支援する立場に回りました。それがここ5年くらいの話です。まとめると、関心を持ったきっかけは当時の環境系の広告などになりますね。

佐藤:2008年に独立、26歳ですか。

安藤:この8月に丸6年、そして7年目に入るというところです。かろうじて生活できています(笑)。

佐藤:独立したてから、CSRの仕事を行っていたんですか?

安藤:最初は、フリーでウェブ制作を請け負うというかたちでした。元々は、CSRや社会貢献にはピンときていませんでしたね。

大学時代に児童福祉のサークルに入っていたこともあり、福祉系の問題などは触れていましたが、それがCSRとか社会貢献と結びつくとは思いませんでした。

佐藤:最初にCSRの仕事をしたのはいつですか?

安藤: 2年目くらいに、デザイン会社のコンテンツをつくろう、ということだったと思います。自分自身なにか持っているわけではないし、CSRや社会貢献についても理解していませんでしたが、食とか農業には興味があったんです。

独立してすぐに半農支援を行う「ハタケティブ協会」を立ち上げたのですが、それがもしかすると、一番はじめだったと思います。そこから、なんで農業って閉鎖的なんだろうとか、食とか農業の社会性ってなんだろう、そんなことを考え始めました。

本当は半農でビジネスができたらよかったんですが、あまりうまくいかず、ここ最近はストップしています。

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ブログ「CSRのその先へ

2009年からブログでの情報発信をスタート

佐藤:独立してCSRの仕事をやりながら、個人ブログ「CSRのその先へ」も積極的に更新されています。ブログをはじめたのはいつで、その背景の思いを聞かせてください。

安藤:ブログを始めたのが独立して1年後なので、2009年8月ですね。社会貢献について少しずつ書き始めました。主に「食とCSR」とか「食と社会貢献」といったテーマを中心に執筆していました。

ぼくはアカデミックな背景があるわけではないので、現場でCSRについて考え、日々書き留めていました。この8月でブログでの情報発信をしてから5年目になりますね。

開始当初からしばらくは週に1本の更新でした。一年半前くらいにほぼ毎日更新にしたところ、アクセスが伸びるようになり、いまでは月間2.5万人、5万PVくらいのメディアになっています。

ブログではCSRを軸にしたコンテンツしか書いていないので、アクセスを2倍、3倍にするというよりは、ちゃんと平日毎日更新できるようにすることをまずは目指すと。それが今年の目標ですね。

人材に向けたCSRがトレンド

佐藤:CSR分野の情報発信を積極的にされていますが、日本企業、または海外企業のCSRの現状やトレンドも伺ってよろしいでしょうか。安藤さんがCSRに関して活動を始めてから5~6年経ちますが、どのような変化があったでしょうか。

安藤:日本も海外も2000年後半のCSR事業の中心は「環境」でした。もちろんいまでも重要なキーワードになっています。

日本ではCSRに力を入れる企業が増えてから、環境はもちろんのこと、人材へのアプローチが目立つようになりました。これは海外でも日本でも大きなテーマになってくることでしょう。

また、日本は遅れていますが、人権問題やブラック企業の問題、これらは人材や人権といったテーマに入ります。加えて、アベノミクスの3本の矢の一つでもある、女性が活躍する社会。ダイバーシティやセクハラ、パワハラの問題もCSRとしてアプローチが始まっています。

“内側に向けて”ということもひとつのトレンドです。ブラック企業や労務問題はいまホットなトピックであり、誰でも自分ごとに考えることになってきています。残業自体はいいですが、残業代が出ないとなると問題になりますよね。そのため、トレンドとしては人材に向けたCSRが挙げられますね。

佐藤:CSRとなると、NPOと企業の協働も重要なポイントの一つだと思いますが、日本は進んでいるのでしょうか。

安藤:これは難しいですよね。おそらく急激に進んでいることはないです。よくあるのは、企業からNPOや社団法人に寄付をするとか、社員ボランティアの制度をつくる、そういうのは進んでいます。

しかし、NPOと一緒にプロジェクトを進めようというのは、あまりないです。どちらかというと、NPOがパートナーとして企業のお金で社会貢献する、というかたちはよくありますよね。

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無印良品「くらしの良品研究所」

無印良品のCSRが好き

佐藤:日本でどのあたりの企業がCSRに力を入れているのでしょうか。

安藤:一般的に進んでいるというのは、東洋経済のCSRランキングが参考になりますね。ブログにも書いたんですが、2012年のデータでは、トヨタは社会貢献支出が137億円といった数字です。

2014年は、1位がNTTドコモ、2位が富士フィルム、3位が日産自動車、トヨタは5位でした。NTTドコモは東北支援やジャストギビングと組んで活動を展開したり色々な取り組みをされています。

いち消費者としては、無印良品のCSRが好きですね。最近オーガニックコットン製品を扱ったり、CSRコンテンツの連載も現場感があって好印象です。コンテンツのつくりかたもうまく、頷くようなものが多いです。中小企業でもがんばっているところはありますが、社会的なインパクトを考えると、大企業の話がメインになってしまっている現状はありますね。

また、オーガニックコットンをはじめ途上国の農業支援も増えている印象があります。ビジネスとして、そのような製品を環境意識の高い人に販売するというのは間違っていないと思います。ポイントとして、現地の根っこを押さえて、直接経営して、安くオーガニックコットンを契約するというのは、増えていますね。

途上国関連、特に農業系についてのCSRはこれからも増えてくることでしょう。途上国のメインの産業はまだまだ一次産業なので、いまからアプローチしていき、地域に根ざしたビジネスモデルの構築を行うことは面白いですよね。

CSRやビジネスとして途上国と関わることを考えると、農業や水などが、途上国と接点を持つという意味では有効になるのかなと思います。

(インタビューおわり)

前編では、安藤さんの活動をはじめ、国内外のCSRについて伺いました。後編では、NPOの情報発信やブログ運営のポイントなどをお伝えします。

5/14開催 「ジャンプインアジア交流会」

そんな安藤さん、さらにはe-Education Project共同代表である三輪も登壇するイベント「ジャンプインアジア交流会」が5月14日に開催されます。

ジャンプインアジア交流会概要】「アジアのソーシャルな側面を学び、新たなるビジネスチャンスを発見しよう!」をテーマに、「ソーシャルグッド(社会貢献)」領域の活動を6名のプレゼンターが発表します。

アジアのソーシャルグッドを理解し、ビジネスにおけるチャンスとリスクを可視化し、今後のビジネスに生かすことのできる機会です。

【日時】 2014年5月14日(水) 18:00~22:00(17:30開場)
【主催】 ジャンプインアジア交流会事務局(シンガポールビズ株式会社)
【場所】 アクセス日本橋セミナールーム
東京都中央区日本橋室町1-5-3 福島ビル6F
東京メトロ銀座線 三越前駅 A4出口 徒歩1秒
日本橋三越正門ライオン像斜め前
【料金】 6,000円(懇親会費込み / 当日支払い)

【プレゼンター】

詳しくは、ジャンプインアジア交流会のイベントページをご覧ください。


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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