皆さんこんにちは。ルワンダで、教育格差の是正を図るe-Education Projectを進めているドガです。
過去2週間に渡り、同国の文化(生活)・政治について書き綴ってきました。そして、今回は「奇跡の国」と呼ばれるルワンダの経済について書かせて下さい。
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資源は無いのに成長
2006年以降、ルワンダのGDP成長率は年率6%弱を維持。1994年の大虐殺以降、人口1100万人の小国は、様々な政策を打ち出し今に至っています。
南アフリカやナイジェリアなど、アフリカで経済成長してきた国々の多くは、自国の天然資源に頼っていることが多いです。しかし、ルワンダに天然資源は全くと言っていいほど無いのです。
大きく貢献した政治
前回の記事では、カガメ大統領率いる政府が、汚職が少ない「クリーンガバメント」として有名、ということをお伝えしました。そのため、先進諸国からの信頼も強く、援助額は(ODA)アフリカでも群を抜いており、ルワンダのGDPの20%以上を現在でも占めています。
そこで得た資金を、観光産業の拡大・農業セクターの自由化などに支出し、所得向上・建設業の増加などに繋げていきました。
photo credit: Carine06 via photopin cc
Vision 2020
カガメ大統領は、”Vision 2020“という長期開発目標を掲げ、2020年までにルワンダを、「低収入の農業中心」から「ナレッジ・サービスを軸」とした、中所得国に育て上げることを目標にしています。
大統領の持つ強力なリーダーシップ、そして国民が一体となって目指すべき目標。この二つがしっかりと共有されている国はアフリカでもあまり無いのが事実です。
そこで鍵となるのが、ICT(情報通信技術)。ルワンダは、治安は”アフリカのスイス”、経済は”アフリカのシンガポール“、つまりIT国家戦略を掲げ、ハイテクITハブ国家にしようと考えています。
政府の長期計画”ルワンダICTプラン”によると、この10年間でICTイニシアチブを実行しやすい環境づくりを終え、ICT関連の新サービスの開発を目標としています。
IT起業家の集まるコワーキングスペース「kLab」
教育と農業が将来を担う!?
しかし、ICT立国を目指すとしても、IT系で職を創出することは困難です。そこで、僕も深く関わりを持っているのが農業でICTをフル活用する経済成長戦略(ICTx農業)。
ルワンダでは、未だに全人口の約80%が農業分野に就いており、降水量も多く、山岳地帯は多いですが、比較的農業に適した土地が数多く存在します。ルワンダ全土の農耕地の約50%は未だに未開拓で、今後、更に農業開発で発展できる可能性は大いにあると思われます。
さらに、携帯電話の普及率は45%を超え、最近では農民の人たちに毎朝テキストメッセージでその日の市場価格を伝える「esoko」プロジェクトも農林省主導で進められています。
そこで非常に重要になってくるのが、”テクノロジー”に対する教育です。先進国では当たり前に使われているインターネットでの検索方法や、SNSを駆使したコミュニケーションなど、アフリカの農村に住む人々にとっては初めての体験です。
僕たちのプロジェクトは現在、主に高校生の受験用のコンテンツを作成していますが、それと同時に農村での実践的な教育支援が、農業が盛んになってくると必要不可欠となってきそうです。
新たな可能性を発見!
ここまで、ルワンダという国についてお伝えしてきました。少しでも「アフリカ=貧困」などという固定概念を変えるきっかけになれば幸いです。
僕が現地の人たちと一緒に進めているe-Education Projectは、とにかく優先的ニーズがあるところに焦点を置き、今後に繋げていこう、と考えています。
高校生を対象にしたのは、このままだと都市部と農村部での教育格差が開いていくばかりだった、という優先すべき問題があったからです。しかし、前述した農業セクターでも、e-Educationの持つ映像授業というメソッドを応用し、よりプラクティカルで、実際の生活水準の向上に発展していくサービスも作り上げていく必要があると改めて思いました。
もちろん、e-Education単独で全てできるわけではなく、長期的な目線でプロジェクトを見て、他とのパートナーシップ、そして現地の人々が主体となるチーム作りが重要だと再確認しました。
今日も最後までお読み頂きありがとうございました!
『アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性 ~ジェノサイドから20年を経て~』
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