Photo: Ecoppia
環境意識の高まりと共に注目を集めている太陽光エネルギー。中東やアフリカなどの途上国でも、太陽光発電の活用が進められています。
今回ご紹介するのは、その代表的な国の一つ、イスラエルにある太陽光発電所に世界で初めて導入された、全自動のパネル掃除ロボットです。
Photo: Ecoppia
太陽光発電と言えば、日本でしばしばピックアップされるのは、発電に適した土地を調査して取得したり、パネルを一帯に設置したりといった稼働前のプロセス。
しかし、稼働後の発電パネルのケアが、太陽光発電が抱える大きな課題となっていることはあまり知られていないのではないでしょうか。
とりわけイスラエルのように、砂漠地帯に太陽光パネルを設置しているところでは、パネルに付着した砂ぼこりや土によって、発電効率が最大で35%も低下してしまうこともあり、この課題は深刻でした。
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そんな中、イスラエルの企業「Ecoppia」が開発したこちらのロボットは、パネルのケアに関わる様々な問題を一度に解決するものとして注目を集めています。
すでに、イスラエル国内の砂漠地帯にある東京ドーム約2個分の広さの太陽光発電所に100機設置され、稼働を開始。クリーニングが全自動化された世界初の太陽光発電所となりました。
それでは、このロボットがどのような課題を解決しようとしているのか、ロボットの特徴と共に見てみましょう。
Photo: Ecoppia
一つは、メンテナンスに余分な資源を費やす必要がなくなることです。
従来のクリーニング作業では、パネルを洗浄するために砂漠地帯ではとりわけ稀少な水と電気を使用していました。
しかしこのロボットでは、柔らかいマイクロファイバーの羽を回転させることで水を使わずに砂ぼこりや土を除去することが可能になっています。
また駆動のために必要な電源は個別の太陽光パネルから供給され、そのパネルも自らクリーニングできる設計がなされているのです。
このように、これまで必要だった資源の削減につながることが期待されます。
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もう一つは、リモートコントロールによる全自動でのパネルのクリーニングが可能になり、メンテナンスにかかる時間と労力が大幅に小さくなることです。
これまでこの発電所では、毎回人手をかけて、約8ヘクタールの広大な敷地に設置されたパネルを最長5日がかりで清掃していました。
しかしこれほどの時間と労力を頻繁に費やすことはできないため、年間のクリーニング回数はわずか9回にとどまっていました。こうしたメンテナンス不足が、先に書いたような発電効率の大幅な低下につながっていたのです。
6畳ほどの広さのパネルの汚れを1分間で99%除去できるこのロボットの導入により、身体的にも時間的にも負担の大きかった従来の作業が大きく改善されることになります。
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イスラエルは、2020年までに電力の10%を再生可能エネルギーによるものにするという高い目標を掲げています。
こうした画期的なプロジェクトの登場によって、途上国における再生可能エネルギー分野の技術開発は一層活発になってくるのではないでしょうか。これからも注目していきたいところです。
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