皆さんこんばんは。ルワンダのドガです。
前回の記事では、ルワンダe-Education Projectが中盤に差し掛かった後の展望について書かせて頂きました。
そんな中、僕は同時並行で別の農業プロジェクトを進めており、これが長期的にe-Educationと深い関わりを持つことになってきました。
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根本の問題解決
ルワンダの人口の約80%は農業セクターに雇用されています。僕は農村部と都市部を繋げるマッチング事業も行なっており、実際の農場での生産性を上げることを目指しています。
農家であれば誰もが直面する生産性という大きな課題。この課題を解決するために、IT立国ルワンダの冠言葉であるICTを活用しようと決めました。
3つの農業課題
ルワンダの農業における課題は大別すると以下3つに分けることができました。
(1)気候の変化に対応できない
ルワンダでは現在、主要作物(じゃがいも・トウモロコシ・キャッサバ等)の収獲損失は25%から40%であると言われています。つまり、農民は劇的に変わる気候や収獲コンディションに対する農業解決策を知らないために、最終的な生産量・収穫量が減ってしまうと言われています(特にポストハーベストーー収穫後の保存方法等です)。
(2)収穫高を評価する仕組みがない
アフリカの農村部では特に、Evaluation (査定)プロセスをする、という習慣がありません。昨年度の収穫高から今年の収獲にどのように繋げていくかなどの評価をしないことから、毎年の収穫量が異なってきます。そのためよく同じ失敗を繰り返す事があり、効率性もあまり上がりません。
(3)マーケットを知らない
ほとんどの農民の人たちは、自分の作物が売れる可能性のある「マーケット」を知りません。そのため、自分の農家で収獲している農産物が今日、どこでいくらの値段で売れているか、という情報を知りません。村と村の間を行き交い売買をすることもありますが、これにはもちろん多大なるコストがかかり、非効率です。
解決策ーーAGRO-FIBA プロジェクト
これら3つの農業課題を解決するために新しく立ち上げた「AGRO-Farm In Bytes Application (FIBA)プロジェクト」。その目的は以下の通りです。
- 作物を収穫後にどのように処理し、保存していくかの最良の方法を自動的に、定期的に農民の人たちに提供すること。
- 全ての収獲の効率性を高めるために、生産量や保存作物等を中央で管理(Centralise)し、可視化すること。
- 農民の人たちが様々な問題をエキスパート(農学者)に聞く事ができ、エキスパートがそれらに解答できるようにすること。
- 農民とコーペラ(組合)をリンクさせ、事業となってくるマーケットに繋げること。
- 政府・ドナー・NGO・金融/保険機関にこの農民の人たちが情報を共有したりできる機会を提供すること。
基本はICT
ルワンダの深刻な農業課題を解決するために生まれた「AGRO-FIBAプロジェクト」。この中心となるプラットフォームは、僕が現在一緒に活動しているルワンダのベンチャー企業M-Ahwiii ltdです。
USSDプラットフォームを駆使し、携帯電話端末でテキストメッセージを主に交わし、情報交換等をすることができるアプリケーションを開発しました。これを農民の人たちが使い、コンピュータ(タブレット)を用いてマーケット情報を見たり、収獲方法についても学ぶ事ができるようになっています。農村でITが活用され、さらに彼ら彼女たちの農業生産率が上がるのは一石二鳥となっています。
“情報格差”それは、コンピュータなどで扱う情報を持つ人と持たない人との間で生じる格差のことで“デジタルデバイド”とも呼ばれています。e-Educationでも以前、Webアプリケーションを使った先生どうしのアプリを開発したのは、まさに同じ問題意識からでした。
この農業プロジェクトの活動地域は、首都から車とバイクで4時間ほどの「ザ・田舎」をターゲットにしています。そのため、電源から電子機器の使い方までのパッケージをセットで提供するボトムアップな方法を駆使しています。
言ってしまえば、「農業の教育」に挑戦している新しい事業。e-Educationとも間接的に関わりを持っており、次回からはもっと深くルワンダの可能性について掘り下げて考えていきたいと思います。
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