パラグアイの伝統民芸品です
Hola! e-Educationパラグアイプロジェクト担当の田才諒哉です。日本の反対に位置する国パラグアイにて、南米初のドラゴン桜を咲かせるために活動しています。
前回の記事では、パラグアイに到着してからのこと、パラグアイの日系社会についてお話させて頂きました。
今回は、現地の教育事情について調査するべく行った、日系人へのインタビューから見えてきたパラグアイの大学受験制度についてお話したいと思います。
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日本語で調査するための作戦
「日系人の大学生を探す」
前回掲げたミッションを達成するため、日系人の方々が集まるイベントにお手伝い役として参加させて頂き、そこで日系人の大学生に接触するという作戦に出ました。
イベントには、約100名ほどの日系人の方々が集まり、会場では日本語が飛び交います。まるでここが日本であるかのようにすら感じさせます。
日本からパラグアイに移住してきた方々、いわゆる1世の世代の高齢者の方々が多かったものの、中には数人の若者たちもいました。さっそく声を掛けてみます。
僕:「今、パラグアイで何をしていますか?」
日系人の若者:「学生だよ。アスンシオン国立大学に通っている。」
あっさり作戦は大成功。しかも、アスンシオン国立大学とは、パラグアイNo.1の国立大学で、日本では東京大学にあたる、国内最高峰の大学です。
これは色々と調査するしかない!さっそくこの日出会った日系人のアキにインタビューを開始しました!
アキにインタビュー!
左側がアキ
僕:「アキは今何年生?」
アキ:「農学部の1年生だよ。」
僕:「じゃあ大学に入学したばっかりだ!大学入試はどうだった?」
アキ:「まだ受けてないよ。これから試験を受けるんだ。」
僕:「これから?じゃあまだ大学には通ってないのかな?」
アキ:「ううん、毎日大学で授業を受けているよ。今は大学入試のために大学で勉強しているんだ。」
僕:「!?!?!?」
さっぱり状況が掴めません。大学で授業を受けているのに大学入試は受けていない?でもこれから入学試験がある?
さらに詳しく聞いてみると、パラグアイの大学の変わったシステムの現状が見えてきました。
「お金」という最大の壁
パラグアイには、1989年まで、アスンシオン国立大学とカトリック大学の2つの大学しか存在していませんでした。最近になり、私立大学がたくさん設立されるようになったそうです。
そして、見えてきたパラグアイの大学入学のための最大の壁は「お金」です。
私立大学には入学試験はなく、お金さえ払えば基本的には誰でも入学することができます。また、国内最高峰のアスンシオン国立大学も、最初の1年間は授業料を払えば誰でも入れるというのです。そして、1年後に大学入試が行われ、その試験をパスしたものだけが、ようやく正式なアスンシオン国立大学生になれるのです。
分かり易く言うと「仮入学」のような制度です。その仮入学の1年間の間に、大学で大学受験のための勉強をするというのです。また、バングラデシュやスリランカなどと同様、多くの学生が学校の授業のみならず、予備校にも通っているとのことでした。
この制度、言い方を換えれば、「お金のない学生は、大学入試のチャンスすら得られない」ということです。
なぜなら、大学入試を受けるためには、1年間の仮入学をせねばならず、そのためには、入学金や授業料が発生するからです。
お金のない貧しい学生は、大学受験のためのスタートラインにも立てないのでした。
他の地域とは異なる南米の教育事情
バングラデシュからスタートしたe-Education Project。現在は、東南アジアを中心に10カ国でプロジェクトが行われています。
バングラデシュでは、貧しい農村部から国内No.1大学への合格者が出ました。フィリピンやインドネシアでも、大学合格者が出ています。
そして今年から新たに始まったパラグアイプロジェクト。舞台は南米。どうやらこれまでとは勝手が異なるようです。
もし、映像で大学受験コンテンツを作成しても、結局お金がなければ大学に入ることができないパラグアイの教育システム。さすがにこのシステムを壊すことはできません。
大学だけでなく、もっと幅広くパラグアイの教育の現状を知る必要がある。そう思い、さらに教育について調査を進めていくことにしました!
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