Kenya olysetnet

突然ですが、あなたは「命懸け」で仕事をしたことがありますか?または「命懸け」で仕事をしたいと思いますか?

この質問に「はい」と答えられる方は少ないかもしれません。そんな中、まさに命懸けのプロジェクトがアフリカで進行しています。ケニアで蚊帳を爆発的にヒットさせた、住友化学のプロジェクトです。

今回は書籍『日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る』で描かれている、住友化学の挑戦をお伝えします。

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ほんとうに市場はあるのか?

蚊を媒体とした病気マラリアが慢性的に流行しているケニア。防虫剤が織り込まれたポリエチレンの蚊帳『オリセットネット』を売ろうとプロジェクトを一念発起したのが、日本の化学メーカー住友化学でした。しかし、積み上がるのは在庫の山、山、山…。思うように売れません。

もともとオリセットは、WHO(世界保健機関)などの援助機関を通じて、現地の人々に無料で届けられていました。そんなオリセットをアフリカの小売市場に広めるのは至難の技。しかも、現地のスーパーでいちばん売れていたのは、昔ながらのただの蚊帳。防虫剤の薬剤加工はなく、値段も安く、新品なのに穴が開いているものもあります。

「ほんとうに蚊帳は売れるのか?」

そんな疑問すら生まれてしまう四面楚歌の状態から、プロジェクトは始まったのでした。

目標は、シェアNo.1

そんな中、事業部長の水野の言葉が、社員の心に刺さります。

「ナンバーワンや。決まっとるやろ!」

水野の目指す最終目標は、シェアNo.1。では、一体どうやってNo.1を獲りにいくのでしょう?

当時ケニアの小売市場で売られていたのは、薬剤が練り込まれていないポリエステルの蚊帳ばかり。一方オリセットは、蚊が弱る薬剤が練り込まれたポリエチレンの蚊帳。

そこで住友化学は「ポリエステルの時代から、ポリエチレンの練り込み蚊帳の時代へ」という考え方を広める作戦に出ました。同じ土俵で競合他者と争うのではなく、業界スタンダードそのものを変え、新しい時代の”当たり前”を自らつくりにいくという戦略です。

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photo from オリセット®ネット開発プロジェクト(住友化学株式会社)

途上国に、新しい当たり前を

オリセットの開発には、遠く1970年代から、社員たちの多大なる努力が費やされてきました。約40年間もの綿密な調査、マーケティング、熱いチームワークが実を結び、ついに2011年には世界初となるケニアでの発売を迎え、発売後たった3ヶ月で市場シェアトップの座を射止めたのです。

ほとんど誰も開拓したことのない市場へのはじめての参入。決して治安が安定しているとはいえない、テロや爆弾と隣り合わせの環境。オリセット事業は、まさに「命懸け」の仕事といえるでしょう。

あとがき

いかがでしたでしょうか?

毎年、年間5〜6%の経済成長を続け、アジアの2倍の人口増加をみせるアフリカ。この本には、そんなアフリカに日本企業が進出するための戦い方のエッセンスが詰まっています。

また、現地の人々の命を守るために、まさに命懸けで戦う社員の生きざまは、私たち読者に大きな勇気を与えてくれます。

あっというまに読了してしまう、熱くて迫力に溢れた一冊。これを機に、アフリカやソーシャルビジネスについて、考えてみるのもよいかもしれませんね!

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