「でっかい人だぁ!」
「Hi! Who are you!?」
「~~~~~~!!(ネパール語で聞き取れない)」
教室のドアを開けた瞬間、子どもたちの活気、エネルギーに圧倒。
先日、東京都・阿佐ヶ谷にあるネパール国外として世界初のネパール人学校に行ってきました。
取材中、明るく元気な子どもたちの様子や先生方の言葉の節々から彼らを想う真っ直ぐで優しい気持ちが伝わってきて、とても心温まる時間を過ごさせていただきました。
今回は、ネパール人学校「エベレストインターナショナルスクールジャパン」の魅力や取り組みについて紹介したいと思います。
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世界初!ネパール人のためのインターナショナルスクール
2013年4月、エベレストインターナショナルスクールジャパン(EISJ)は世界で初めてのネパール人学校として東京都阿佐ヶ谷に設立されました。
設立された背景には、在日ネパール人の急増に伴い高まったネパール式教育へのニーズがありました。
開校時生徒数30人でスタートした当校は、現在、幼稚園児から小学校6年生まで200人近い子どもたちが机を並べ勉強しています。
また、最近ではネパール以外にもインドやバングラデシュなど近隣の国からの子どもたちや、幼稚園には国際交流の場を求め日本の子どもも通っています。
学校設立に携わり、現在は校長先生を務めるプラディブタパさんに当時の想いや背景についてお話を伺うことが出来ました。
中央:タパ校長先生,右:広報担当の小澤先生
ネパールでは、よりよい労働条件を求めたり、家族への仕送りを行うために海外に出稼ぎに行くことが珍しくありません。そのため、親が日本へ出稼ぎにきて、子どもはネパールに残り離れ離れに暮らす家庭がとても多いです。子どもを日本に連れてくればいいと思うかもしれませんが、ネパール式の教育を提供する学校の無い状況ではそれも難しかったんです。教育制度が異なるうえに、英語もネパール語も話せないとなったら帰国後の進学に大きく影響しますから。しかも、日本のインターナショナルスクールはとても高い。「離れ離れに暮らさざるを得ない彼らをどうにかしたい。彼らが安心して子どもを預けられる学校を作りたい。」そんな想いから設立されたのがエベレストインターナショナルスクールジャパンだったんです。
近年、メディアを通して日本への海外労働者流入に伴う社会課題に触れることも多くなってきました。それらの課題に対してまっすぐな志、責任感を持ち実際に取り組むタパ校長先生の話を聞き、心が熱くなると同時に、コミュニティーにいるひとりひとりがそのような課題を当事者意識を持って考えられるようになっていければいいなと感じました。
私も身近にある社会課題に対して自分のできる行動を考え、少しずつでも実践していけたらと思います!
ネパール式カリキュラムとは
壁には英語、ネパール語、日本語の掲示が並ぶ
EISJでは、帰国後もスムーズにネパールでの教育に移行できるようにネパールの教育制度に合わせた授業を行っています。
お話を聞く中で特に印象的だったのがその”スピード”。
なんと小学校就学前から、英語やネパール語に加えて算数や理科の勉強も少しずつ始めるそう!
ネパール本土、特に首都カトマンズ周辺では小学校入学時には英語とネパール語を同水準で使えるようになっていることがスタンダードだそうです。
よって、EISJでも当然ネパール語と日本語の授業以外はすべて英語で授業が行われていました。
3か国語をマスターできるような学校、なかなかの英才教育ですよね。
また、普通の授業に加え、工夫を施した面白い取り組みを行っています。
例えば、多読授業もその1つ。
来日時期も入学時期も異なるため日本語の到達度に差のあるクラスでは、子どもたちがお互いにお気に入りの絵本を選び、読みあいます。
たくさんの文章に触れることで日本語になれると同時に、子どもたち同士で支えあうことによる相乗効果も期待できます。
そのほかにも、ネパール伝統行事を授業に組み込んだり、ダンスの授業を取り入れるなど新しい工夫を凝らしています。
授業の一環でネパールのお祭りを祝う
ネパール式カリキュラム導入だからこその課題
ネパール式教育へのニーズを受け設立されたEISJ。そこに、日本でネパール式教育を実施しているからこその困難が存在しているのかどうか、お話を聞いてみました。
最も大きな問題となっているのは、”国内での進学“に関して。
今後、高校課程までは生徒の成長につれ伸ばしていく予定だそうですが、その後の大学は外部に進学することになります。
そこに生じる問題がカリキュラムの違いによる学習内容の違い。
これからの取り組みの中でいかにネパールと日本のカリキュラムをすり合わせ、両方のニーズを満たせる学習方を確立できるかが課題になります。
もうひとつ、課題になっているのが”日本人とのコミュニティ交流“です。
近年の在日ネパール人の増加数は驚くべきものであり、過去5年間で3倍にもなっています。
国内にネパール人コミュニティが確立されてきているからこそ、その中に閉じこもり生活することもできてしまうためそこに交流が生まれにくい状況があります。
ネパールのカリキュラムを導入し、学校というコミュニティを確立しているからこそ、生まれてしまう課題。
時として、閉鎖的であることを指摘されることもある日本人ですが、ネパールに限らず増加している在日外国人の方々との交流を積極的に受け入れることにより異文化理解促進など学べることもたくさんあります。
コミュニティ同士の交流を通じて、お互いの良いところを学び合い、支え合うことができる社会になっていけば、これから新しく日本に来る人たちもみんなが気持ちよく暮らしていける国になるのではないでしょうか。
ネパール語のボードゲームで遊ぶ子どもたち
ネパール人コミュニティーがたくさんある阿佐ヶ谷
EISJのある阿佐ヶ谷にはたくさんのネパール料理レストランやネパール雑貨屋さんなどが並んでいます。
取材後、スパイスの香りに誘われてネパール料理レストランでお昼ご飯を食べたのですが、そこでネパール人オーナーの方にお話しを聞くことが出来ました。
取材後に立ち寄ったネパール料理レストラン
学校が出来たことにより、少しずつネパール人が集まり始め、彼らのためのネパールに関連したお店も増え始めたそうです。
今では阿佐ヶ谷は、EISJが中心となり、小さなネパールタウンとして日本とネパールをつなぐ架け橋となっているのですね。
エベレストインターナショナルスクールジャパンがあるおかげで子どもを連れてネパールから日本にわたってくることが出来る人たちがたくさんいます。また、設立から3年がたち、実際にネパールへ帰っていった子どもたちからもエベレストインターナショナルスクールジャパンで学んでいたことで勉強についていけるといううれしい声も届くようになりました。文字通りこの学校が懸け橋となれていることが本当にやりがいです。
優しい笑顔で語るタパ校長先生。
まだまだこの学校で新しく挑戦していきたいこともたくさんあるそうです。
これからのEISJの成長がとても楽しみです。
みなさんもぜひ阿佐ヶ谷でネパールの温かみを体験してみてくださいね!
お弁当はやっぱりネパール料理!!
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