みなさん、こんにちは。e-Educationの三輪です。
今年のお正月、「新年のご挨拶」という記事でもお伝えした通り、今年からバングラデシュを拠点に活動することを決め、先週日本を出発しました。
今回は、私がなぜこのような決断をしたのか、その理由や経緯についてご紹介させてください。
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キッカケは、あのテロ事件
私がバングラデシュを拠点にしようと思った大きなきっかけは、昨年7月1日に起こったテロ事件です。事件後、私は心の病気にかかりました。バングラデシュの若者たちがテロを起こしたあの事件が、自分たちのせいだと思ったからです。
そんなことあるはずもありません。ただ、それでも私たちはバングラデシュの高校生たちの大学受験をずっと応援して来た数少ないNGOであり、卒業生たちがテロの主犯格であった若者たちと同じくらいの年齢だったことを思うと、いろいろ考えてしまいます。
自分たちだったら何かができたんじゃないか、バングラデシュの若者たちが抱く社会に対する不満や不安を受け止め、彼らの負の感情をプラスのパワーに変えていく手助けができたんじゃないか、何度も何度も悔やみました。
「バングラデシュでこんなことが起こってしまって、本当にごめん」
テロ事件によって日本人が7人亡くなったニュースが流れると、現地のスタッフや、e-Educationの元卒業生たちから何度も謝られましたが、私たちこそ力になれなくて申し訳ない気持ちでいっぱいでした。これが精神的に病んだ一番の原因です。
そこからは体と心のバランスが崩れ、8月に大きく体調を壊し、9月には一ヶ月という長いお休みをいただきました。その間たくさんの方にアドバイスいただき、自分の深い部分と向き合って出た答えが「バングラデシュを拠点にする」という決断です。
答えはきっと現場にあり、日本人がどんどん離れていっている今だからこそ、私たちe-Educationが最前線で挑戦し、バングラデシュがとても平和で、最高にチャレンジングな国であることを証明しなければならないと思い、決断に至りました。
もちろんマイナスの理由だけではありません。現在バングラデシュでは様々なプロジェクトが動いており、2015年には教育大臣にも参加いただいた500人規模の学生向け教育カンファレンスを実施しました。
当日の熱気は計り知れず、若者たちの心に火をついた瞬間を目の当たりにし、こうやって学生たちに明るい未来の可能性を示すことが、そんな未来を作る主人公は自分自身であると気づいてもらうことが、今私たちがテロのない世界に向かってできる一手だと考えています。
ただ、もちろん若者の心に火を灯し続けるには、もっと戦略や工夫が必要で、日本人スタッフのフルコミットが不可欠であり、ここはぜひ私にやらせて欲しいと志願し、今回の決断に至りました。
こうして私は、大好きなバングラデシュで、大好きな仕事に打ち込むことを決めたのですが、もし私が一人だったらきっとこんな決断はできていません。
私が職場に戻ることができたのは、今楽しく仕事ができているのは、大切な仲間たちがずっと応援してくれていたからです。
仲間のために、夢を叶えたい
2016年のe-Education職員(左から薄井、吉川、三輪、中野、古波津)
「これから一ヶ月、絶対仕事をしないでください」
体調が少しだけ回復して職場に戻った昨年の8月、事務局長である薄井くんからこんなことを言われました。
薄井くんだけではありません。
「仕事は僕たちに任せてください」と、海外のプロジェクトを引っ張ってくれた吉川さん。
「安静にしないようだったら、家のドアにアロンアルファ詰め込みますからね」と、事件以降ずっと私の身体を心配してくれた中野さん。
「三輪さんが元気になってくれるまで、ずっと待ってます」と、私の戻るべき場所を教えてくれた古波津さん。
当時、私たちe-Educationはまだ資金も活動も安定していたわけではなく、一人欠けることがどれだけ苦しいことか、誰よりも分かっていたからこそ、みんなからの「休め」という提案をすぐに受け入れることができませんでした。
ただ、やっぱり体も心も思うように動かず、このままでは自分がお荷物になってしまい、余計みんなに負担をかけてしまうことに気づき、まずは1週間だけお休みをもらうことにしました。
そして1週間後。オフィスに顔を出してみると、みんなはいつも通り働いていて、私がやるはずだった仕事まで綺麗に終わっていました。
「ほらね、開人さんが少しくらい休んでいても問題ないですよ」
そんなことあるはずがありません。
私しか知らない情報があり、きっとクライアントさんに聞かないと進まない仕事があったにも関わらず、動けない私に変わって謝罪し、仕事を引き取って前に進めてくれていたことがすぐに分かりました。
「彼らのために、早く全快したい」
ようやく腹をくくり、それから数週間、仕事から完全に離れました。実家の近くの病院に通いながら治療に専念し、身体の調子が戻ると今度はずっと行きたかったインドネシアのバリ島にあるウブドを訪ねました。
ウブドは本当に素敵な場所で、緑に囲まれたカフェで本を読んだり、人生ではじめてヨガレッスンを受けたり、ゆっくりした時間の中で自分と向き合いました。
社会のためでも仕事のためでもなく、今自分が何をしたいのか掘り下げて出てきた答えが「バングラデシュに行きたい」という気持ちです。
すると、やりたいこととやらなければならないことが自然と繋がり、自分と仕事と社会がまるで一本の線に繋がって見えるようになりました。そして、その線の先には、途上国の子どもたちの笑顔だけでなく、休暇をくれた仲間たちの笑顔をハッキリと思い描くことができました。
これは、テロ事件後に苦しくなってしまった理由の一つが見えた瞬間でもあります。あの時苦しくなってしまったのは、「自分のせいだ」と自身を責める一方で、悔しさや苦しさを仲間にしっかり打ち明けることができない弱さにありました。
みんなが悔しくなかったわけがありません。途上国が好きで、バングラデシュが好きだからこそ、e-Educationの仲間になってくれたみんなが、自分と同じように悩まないはずがないのに、まるで自分だけの痛みのように苦しんでいたことを深く反省しました。
自分を家族のように思ってくれ、苦しみも一緒に背負ってくれる仲間だからこそ、みんなで最高の仕事をして、感動の瞬間をもっと一緒に味わいたい。バングラデシュで挑戦することをきっと喜んでくれる仲間のために、夢を叶えたい。
心から納得のいく答えが生まれ、私は1ヶ月の休暇を終えて仕事に戻ることができました。
大切な仲間と一緒に、夢を叶えたい
「来年から、バングラデシュを拠点に活動したい」
復帰してすぐ、職員会議で休暇中に考えたことを伝えると、「きっとそう言うんじゃないかと思っていました」とみんなに笑われました。誰も反対せず背中を押してくれることがすごく嬉しくて、その日の夜は家に帰ってからずっと泣いていました。
その日だけではありません。30歳の誕生日に合わせて小さなパーティーを開いたのですが、大学の頃の友人やNGO仲間が集まってくれ、全員がバングラデシュ行きを応援してくれて、この日もパーティー会場のトイレで泣きました。
30歳の誕生日を記念したイベント
年末に開いた感謝祭には、これまでお世話になってきた方々が駆けつけてくれ、こんなにもたくさんの人たちに応援してもらえるものなのかと、イベント中にまた涙が出てきました。
NPO法人2周年記念の感謝祭
私の夢は、もうとっくに私だけの夢ではなく、みんなの夢であり、みんなと一緒に実現した方がきっと楽しい。
こんな風に思えるようになったのは、ずっと私を、e-Educationを応援してくれるみなさんのおかげです。
さらに、日本出発直前には、ソーシャルセクターの第一線で活躍する起業家・経営者みなさんが私の壮行会を開いてくれました。Teach For Japanの松田さん、SENSEI NOTEの浅谷さん、カタリバの今村さんに至っては、壮行会当日を含めて毎月1回近いペースで一緒に銭湯&飲み会に誘ってもらい、毎回楽しくもいろんな学びがあり、本当に感謝しかありません。
「バングラデシュは任せました!」
壮行会の別れ際、皆さんから激励をもらう中、みんながバングラデシュの課題を解決したいと思っていて、それを私が今仕事にできていることが凄く幸せであり、バングラデシュで挑戦することは決して一人のプロジェクトではないことを改めて感じました。
私たちe-Educationは途上国で教育支援を行なっている団体であり、母国である日本の子どもたちの夢を直接応援できているわけではありません。ただ、尊敬する仲間が日本の教育課題を解決するために頑張っていて、彼らの分までバングラデシュで頑張れることが、何だかすごく嬉しく、力が湧いてきました。
大切な仲間が応援してくれるから、私は好きな場所で好きなことに挑戦することができる
この想いを忘れず、バングラデシュの果てまで最高の授業を届けられるよう、全力で頑張ってきます。
これからもぜひ応援よろしくお願いいたします!
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