みなさん、こんにちは。e-Education事務局長の薄井です。
前回の記事では、国際協力NGOがビジョンに向けて強い推進力を持ち続けるために必要な視点や思考法についてご紹介しました。
今回も引き続き、なかなかイメージしずらい「国際協力NGOの国内業務」を解説しつつ、現在の仕事に役立っているなと感じたオススメ書籍をご紹介していこうと思います。
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企業と少し違う、NGO特有の人材育成領域
複数の途上国に拠点を持ち活動しているe-Educationでは、海外事業に多くの人員が配置されており、日本の本部機能は少数精鋭で限りなく効率的に運用する必要があります。
その本部機能の中で最も重要と断言できる分野が「採用&人材育成」です。e-Educationが行う教育支援において、もちろん資金や技術も大切な要素ですが、それ以上に「人」こそがe-Educationの資産とも言えます。
ここでNGOが企業と異なるのは、有給の職員だけでなく、ボランティアスタッフ(学生インターン含む)の皆さんへ成長の機会やかけがえのない経験を提供し、組織が持つエネルギーを「大きく」そして「ぶ厚く」することを目指す点です。
昨年は国際協力NPO3団体で合同イベントを開催
e-Educationの活動には20代や30代の若い世代が多く参画してくれており、私も時には採用担当者として、そして時には相談受付係として、いろんな顔で彼らと関わっています。
そうした中で、大学を休学して1年間途上国で活動するインターン生から、働きながら週末などを利用して広報協力してくださる社会人ボランティアの方まで、多くのe-Eduationメンバーに共通するポイントがあるなと感じています。
それは、世界と日本の両方に課題意識を持っていることと、新しい価値を創造(もしくは提示)したいという意志が強いことです。
母校・早稲田大学でゲストスピーカーを務めた時の様子
これからの日本と世界を見据えて
現在20代や30代のボランティアスタッフの方々にとって、「これから一個人としてどのように生きていけば良いのか」というトピックはとても重要です。
e-Educationとの関わりを通じて何かしらの「気づき」や「ポジティブな変化」を得てもらえたら良いなと思い、インターン選考に工夫を凝らしたり、活動の中に様々な形で対話の機会を差し込んだりと、常に組織を改変してきました。
そして、私自身20代のひとりの日本人として、これからの変化の多い時代に対応できるようインプットとアウトプットの両方で感覚を鋭くするよう努めています。活動内容や制度だけでなく職員一人一人が魅力的であることが、冒頭の「エネルギーを”大きく”&”ぶ厚く”」にとって最善手だと感じているからです。
そこで今回は、「これからの社会」と「これからの私たち」について深い示唆に富み、日々を過ごす上での重要な視点を学んだ書籍『佐藤可士和の新しいルールづくり』をご紹介します。
ルールを描けばゲームに勝てる
この本では、幅広い世代で人気の高い佐藤可士和さんと齋藤孝さんが、「世界はすでに新しいルールで走り出している」という前提に立ち、対談形式でこれからの生き方や一個人としての在り方を深く探究していきます。
ここからは、この本から学んだことについて一部参考になった箇所を引用しつつご紹介します。
(1) ルールを捉え直してゲームに向き合う
ここで言うルールとはゲームの細かい規定ではありません。そもそもどうやったら勝ちなのか、何をもってして勝ちとするかなど、根本的な勝負の構造をどう構築するかということを言っています。
やっぱり基本は「好き」でいいと思うんです。大事なのは自分の「好き」に自信を持つこと。たとえばこのコップを「あ、これ、好きだな」と思ったということは、少なくともこれを作ったデザイナーとはコミュニケーションができているってことですよね。
ルールとはただ単純に従うべきものではなく、自分で考えつくっていくものであるときちんと認識できている人はどれだけいるでしょうか?
与えられたルールの中での競争ではなく、「皆さん、私の考えたこの新しいルールってとても良いと思いませんか?」という発信を、利己的でなく利他的な文脈でできる人材が求められていると私は受け取りました。
(2) あたり前からの脱却方法
新しいルールをつくるためには、あたり前を疑うことが必要です。そしてあたり前を疑うためには、普段からあたり前のことを言わない、聞かない、考えない、ということも重要かな、と思います。「あたり前」の癖がついてしまうと、なかなかその枠から抜けられない。
質問についても、三つ考えて、その中から一つ選んで言えば、かなりまともな質問ができるんですよ。(中略)それと同じでアイディアも思いついて、すぐ言っちゃう人っていると思うんですよ。それを「ちょっと待ってみる」と。「三つ考えてから一つ言おう」という、その練習をしておくといいかな、と思いますね。
いわゆる「アイデアマン」と称される人たちを深く観察してみると、必ずしも「天性の発想力」に支えられているわけではなく、純粋に「思考量」や「視点の数」が多いことに気付かされます。
日々の心がけが積み重なり、数年の間に気づいたら大きな差になっているという代表的な事例だと思います。
(3) 「バランス」と「平均」は違う
バランスというのは漢語でいうと「中庸」ですね。平衡感覚というよりは、「中庸」なんです。「中庸」は「一番いいところ」という感じです。(中略)極端なものって、結局、生物界では不利になるんですよ。生き残る可能性が低い。
(「中庸」という表現は、)バランスというと、多くの人が「真ん中をとる」とか「平均」というように思っている誤解をとくのに非常にわかりやすいですね。
新しいルールをつくると言っても、それは決して「社会通念を無視した極端な発想」ではありません。むしろそれとは真逆であると言及されています。必要なのは「多くの人に受け入れられるルール」をつくり出す力なのです。
いかがだったでしょうか?学生にも若手社会人にも、そしてそうした若手をマネジメントする立場にあるベテラン社会人の方々にも参考になる点があったのではないでしょうか?
これからも、なかなかイメージしずらい「国際協力NGOの国内業務」を解説しながら、オススメ書籍をご紹介していこうと思います。
それでは、次回もお楽しみに。
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