みなさん、こんにちは!e-Educationインターンで、フィリピンのミンダナオ島で活動しています、ジェイミーこと中川千絵美です。
突然ですが、皆さんは音楽は好きですか?私自身は大学からピアノをはじめ、音楽のすばらしさに魅了された人間の一人です。
カミギン島ではピアノを弾く機会があまりなく、
日本から持ってきたピアニカを代わりに吹いています。
そんな音楽大好きな私が、今回はNPO法人セブンスピリットの代表・田中宏明さんにインタビューをしてきました。
セブンスピリットは、音楽を通してセブ島にすむストリートチルドレンのライフスキル育成に取り組んでいるNPOです。
実は、トジョウエンジンでは4年前にもセブンスピリットのことを記事に書かせていただいています。4年たった今回は、セブンスピリットのこの4年間での躍進、そして田中さんご自身の活動に対する考え方をお聞きしました。
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「よそ者」からコミュニティに溶け込むセブンスピリットへ。
――活動を始めた当初から今までで感じるセブンスピリットの変化はありますか?
活動を始めた当初は、とくに知り合いもいない状態でまさに「よそ者」からのスタートでした。しかし、参加してくれる子どもたちが増え、活動年数を重ねるにつれ、スラムのコミュニティに溶け込むセブンスピリットになりました。
街角からショッピングモールやホテル、はたまたセブの刑務所でまで、様々な場所で演奏を行っています。
生徒が教室にいるときは、子どもたちのお母さんも教室に来ます。違うスラムのお母さん同士が知り合いになって情報交換をしたりしていて、セブンスピリットを中心としたコミュニティができていると感じています。
また、イベント事になると親御さんたちも手伝ってくれます。最近だと、クリスマス会のイベントでお母さんも子どもも総出で楽しんでくれました。お昼すぎから始めて夜の10時までずっとやっていて「どんだけやってるねん!!」という感じでしたが。(笑)
写真:クリスマス会の様子。一人ひとりの笑顔がまぶしい!
子ども同士のふれあいの中で生まれる、教室での規律
――活動の中で、子どもたち一人ひとりの変化はどのようなものを感じますか?
セブンスピリットを始めたばかりのころの子どもたちは、立てといったら座って、座ってといったら立つ、というような感じでなかなかまとまりがありませんでした。しかし、今では子どもたちが独自に教室のルールを決めてます。
教室に貼ってあるルール。弦楽器の部屋は弦楽器の子たちが、という風に子どもたちが自分たちで決めている。
セブンスピリットに入ったばかりの子は、上の子たちを見て、楽器の扱い方や教室でのルールを学んでいます。団体立ち上げ当初は子どもたちのロールモデルとなるような人がいませんでしたが、今では教室の中でそうしたサイクルができています。
教室での練習の様子。年齢にかかわらず、みんな真剣な表情で練習に臨んでいます。
来年からは、ついにセブンスピリットから大学に進学する子が出ます。この子たちが、またセブンスピリットで働くこともあるんじゃないかな、とも思っています。
笑顔と涙の日本公演
――2017年の活動の中で一番印象に残っているものをおしえてください。
4月に日本で演奏を行ったことですね。全部で33人の子どもたちを日本に連れていき、東京はじめ関東の学校や公民館で子どもたちが演奏会をしました。
この日本での公演は3年前から企画していて、子どもたちもこれを目標に練習していました。念願の日本での公演がかなって、演奏しながらうれしくて泣いていた子もいましたね。それにつられてお客さんも泣くという。(笑)
フィリピンでは普通の大人でもなかなか日本に来られないことを考えると、スラムの子どもたちが日本にくる、というのは本当にすごいことだなと思います。
僕は音楽に関しては素人ですが、そんな僕でもわかるほど、日本での演奏を終えた子どもたちの演奏が明らかに良くなったように感じました。たぶん彼らの音楽に対する熱意、内面で変わる何かがあったのでは、と思います。
この演奏会の後には、セブンスピリットの子どもたちが、日本で演奏会をしたフィリピン人ということで、フィリピン国内でも大きな注目を浴びるようになりました。
セブで行われた、ホリエモンこと堀江貴文さんのイベントで演奏したときの様子
メディア出演の影響もあり、なんとセブンスピリットに通う子どもたちは、セブ内の大学に無償で行けるようになりました。
最終的に道はつながっている。自然体だからこそやってこれた5年間。
――スラム出身の子どもたちが、大学に、しかも無償で行けるなんて、本当に革命的なことだなと思います。ここまでの活動になるのに5年という歳月を経てきたわけですが、田中さんがここまで活動を続けられた熱意はどこからくるのでしょうか?
実は、僕は何かを意気込んでやってきたわけではありません。そんなことをすると、自分は3年とかで燃料切れになってしまいます。自然体でいて楽しいから、やってこれたんじゃないかなあと思っています。
ビジョンとか理念とかに囚われてやるのもあまり好きじゃなくて、それよりもやってみて、一年間楽しかったらまた1年やってみよう、という感じです。僕は、人生は思いでづくりだ、と思っているのであまり先は考えていません。
僕自身は9年間フリーランスのライターをやった後に、NPO法人の理事という道に進みました。180度違うキャリアに進みましたが、ライターをやってたときの知り合いがNPOを立ち上げてまた一緒に活動していたりなど、何かしらで二つのキャリアはつながっているんですね。
結局どの道を選択しても、人生の道はちゃんとつながっているなとおもっています。だから逆に、その時に動けない人は動けなくても良いと思います。その時は動けなくても、そこから先は必ず道はあるから、動かない時期も大切じゃないかなと思っています。
(インタビュー終わり)
NPO法人セブンスピリットは、定期的に日本人むけのワークショップやスタディツアーを行っています。また、楽器や譜面台などの支援も常時受け付けています。詳しくはこちらからどうぞ!
[Photo credit by NPO Seven Spirit]
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