オロユースと集合写真
こんにちは、特例認定NPO法人e-Educationの鈴木です。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今月8日(木)〜13(火)に「フィリピンフィールドスタディ’19」が開催されました。
今回のフィールドスタディの目的は「参加者がフィリピンの社会課題を解決するための一歩を考えること」です。
この記事では、9日(金)・2日目の様子を参加者でもある私がご報告させて頂きます。
2日目の流れ
- ブルア中学校訪問
- セイント・ジョン小学校訪問
- セービア中学校訪問
- オロユースとディスカッション
ブルア中学校の平日の教室を訪問しました
今日は公立校・ブルア中学の訪問からスタートです。
平日はレギュラークラス(月曜から金曜までの一般的な教室)の授業が行われています。
フィリピンの中学はGrade7(日本の中学1年生)からGrade10(日本の高校1年生)までの4学年で、ブルア中学では約50人が一緒に授業を受けます。
到着するとすぐに、ブルア中学校のミンダ校長先生が私たちを出迎えてくださいました。
訪問当日はちょうど、Grade10の数学の学期末テストの真っ只中とのことでした。
ブルアの生徒たち
レギュラークラスは朝6時半からスタートします。
日本の学校と比べると、随分朝が早いですね。
事実、朝が早すぎて通えない生徒も多く、必要な授業を受けられずに進級できない生徒もいるそうです。
そこで進級率を上げるために、始業時間が6時スタートだったのを30分遅らせて、今に至るとのことでした。
校舎の様子
今回はレギュラークラスの見学だけでなく、知的障害を持っている子どもの教室を見学したり、実際に生徒へ質問させて頂いて交流する時間もありました。
生徒からは
「数学が好きで将来は計算を通して問題解決をしたいから、銀行マンになりたい」
「法律家になって貧しい人を減らしたい、フィリピンにはもっと正義が必要で、お金がない人も助けたい」
こんな声が返ってきました。
想像していた回答以上に、世の中のために、ということを考えている生徒が多く驚きました。
少数民族バッジャオとセイント・ジョン小学校
次に訪問したのが、セイント・ジョン小学校です。
セイント・ジョン小学校には、バッジャオという民族に生まれただけで、就職で受け入れてもらえなかったり、通常の学校に通えなかったりと、差別を受けている子どもたちが通っています。
学校へ私たちが来たことが分かると、大歓迎ムードで子どもたちの大歓声が上がり、子どもたちが私たちの手を握って誘導してくれました。
歌で歓迎してくれています!
プログラムは最初の挨拶の後、幼稚園生から小学6年生までお母さんたち含めてダンスを、それからバッジャオの子たちはバッジャオの伝統舞踊をお披露目してくれました。
子どもたちとの触れ合いや笑顔、時には真剣な顔に参加者の中には目に涙を浮かべる方も。
日本人からはささやかなお返しとして、ソーラン節を披露させていただきました
日本のソーラン節を披露しました!
学校訪問の後には近くに住まわれているバッジャオの家庭を訪問しインタビューをさせていただきました。
バッジャオのあるご家庭の話を紹介します。
お父さんは幼稚園しか出ていない方、お母さんは幼稚園すら行ったことがない方で30歳という年齢ながらも7人の子どもを養っている家庭です。
「私たちとは同じ想いをさせたくないから子どもには学校へ行かせてやりたい」
私たち日本人からすると一見、貧しそう、不自由かも、と思ってしまっても、「困ってることはないけど子どもたちを学校にちゃんと通わせてあげたい」という声だけはしっかり芯が通っていました。
バッジャオ家庭訪問
バッジャオが移住をせざるを得なかったこと、貧困層のための支援はあるものの充分ではないと感じていることなどについても話をしてくれました。
私がご家族からお話を伺った時は「こんな不条理がまかり通っていいのだろうか・・」と一度は気持ちが落ち込んでしまったのですが、
「いや、私はこうした問題をもっと日本の皆さんに知ってもらうこと、そして社会を変えていくきっかけとなるためにe-Educationに支援しているんだ」と気持ちを新たにしました。
将来の夢は「医者」や「弁護士」、セービア中学校
続いて訪問したのが、私立トップのセービア中学校です。
全校生徒はなんと約1,700人!カガヤンデオロ市でセービアの名前を知らない人はいないと言っても過言ではない、いわゆるマンモス校です。
とても綺麗な校舎ですね
セービア中学の敷地に入ると、綺麗な体育館、陸上トラックにプール、図書館にPCルームに進路相談室まで、ありとあらゆる設備が整っていました。
先程まで訪問していたセイント・ジョン小学校との差を感じずにはいられず、いたたまれない気持ちになったのが、正直な感想です。
セービアの一番の特徴は、卓越した学習方法です。
バディを組んで数学のレポートを作成したり、プログラミングの勉強をしたり、科目横断型の英語スピーチの練習をしたりと、アクティブラーニングの要素が至る所に垣間見ることができました。
完備されたPCルーム
生徒たちに将来の夢を聞くと、お医者さん、弁護士やエンジニアと、いかにも高収入のイメージの強い職業が並びます。
「親の経済格差が、子の教育格差に繋がるのは、フィリピンでも同じなんだ」と感じずにはいられませんでした。
カガヤンデオロの若者・オロユースとディスカッション
この日の最後は、カガヤンデオロ市役所で、オロユース(Oro Youth)とのディスカッションでした。
オロユースは、カガヤンデオロ市直轄の議会で、18〜30才の若者によって構成されます。
オロユースからカガヤンデオロに関する説明
カガヤンデオロの様々な社会課題についてディスカッションを行なったのですが、その一部を紹介すると・・
- メンタルヘルス
- 望まない早期妊娠
- 自営業を始めるための支援
- 学歴偏重の社会と就職
- 宗教差別
- 性的マイノリティ(LGBT)
などなど、これらの社会課題とオロユースの取り組みについて、セットでプレゼンテーションをして頂きました。
参加者一同、「フィリピンの社会課題を解決するための一歩を考える」という今回のミッションを一層深化することとなりました。
e-Educationは「最高の授業を世界の果てまで届ける」を使命に、フィリピンのオープンハイスクールの支援をはじめ、発展途上国で教育支援の活動をしています。
ぜひ私たちと一緒に、世界の子どもたちを寄付で応援しましょう!
SPONSERD LINK