松本 優真 | トジョウエンジン https://eedu.jp/blog 途上国のイメージを豊かにするノンストップ・デイリーマガジン Mon, 21 Jul 2014 14:38:15 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.6.15 マンツーマンで夢を応援! シカゴ発、難民の家庭を支える少女たちに寄り添う「GirlForward」の取り組み https://eedu.jp/blog/2014/07/21/girlforward/ https://eedu.jp/blog/2014/07/21/girlforward/#respond Sun, 20 Jul 2014 23:00:05 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=32038 Photo: GirlForward 政府による認定や国内への受け入れの実績が極めて少ないこともあって、日本ではあまり大きな関心が向けられていない難民問題。 トジョウエンジンではこれまでにも、様々な境遇で難民となった人々 […]

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Photo: GirlForward

政府による認定や国内への受け入れの実績が極めて少ないこともあって、日本ではあまり大きな関心が向けられていない難民問題。

トジョウエンジンではこれまでにも、様々な境遇で難民となった人々を支援する様々な取り組みをご紹介してきました。

今回ご紹介するのは、アメリカ合衆国の大都市、シカゴに移り住んだ難民の少女たちの生活をメンターがサポートし、夢を応援してゆくプロジェクト「GirlForward」です。

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Image: UNHCR

難民の再定住先としてのシカゴ

先月発表された国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によれば、2013年度に確認された難民は全世界で1670万人。アメリカ合衆国はそのうち約6万6000人を第三国定住先として受け入れています。

合衆国の中でもイリノイ州のシカゴ市は、1975年のインドシナ難民の受け入れ以降、様々な事情で難民となった人々の有力な移住先となってきました。

World Relief Chicago」や「refugeeONE」といった難民支援団体が拠点を置いているなど、衣食住の支援環境が比較的整っていることがその理由の一つのようです。

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Photo: GirlForward

難民の家庭の少女たちが抱える課題

とはいえ、急激な生活環境の変化に順応しつつ、新天地で一から生活を始めることには、やはり様々な困難や障害が伴います。

特に、兄弟姉妹が複数いる家族で移り住んだ場合、年長の女の子は、学業と並行して、料理や洗濯のような家事や、年少の弟や妹の世話といった、家庭を支える仕事を担うことになります。

しかしそれらは時に、彼女らの時間的・精神的な負担となって、学校などの環境に馴染めず孤立してしまったり、自らの将来像を十分に描くことができなかったりする大きな要因になってしまうことも。

こうしたことは、難民の家庭の少女たちにとって大きな課題になっていました。

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Image: GirlForward

「GirlForward」が展開するふたつのプロジェクト

GirlForward」は、もともとシカゴで難民の再定住支援の活動に携わっていたBlair Brettschneider(ブレア・ブレットシュナイダー、以下ブレア)さんによって、難民の家庭の少女が抱えるこれらの問題に取り組むべく設立された非営利団体です。

2011年の活動開始以来、100名以上の少女をサポートしてきた「GirlForward」が展開しているのは、主に次のふたつのプロジェクトです。

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Photo: GirlForward

メンターがマンツーマンでサポート

ひとつは、所属するボランティアメンバーによるメンター制度です。

「GirlForward」には、メンターとしてのトレーニングを受けた21歳から40歳までの女性がボランティアとして登録されており、出自や家庭事情の様々な難民の少女たち(14歳から19歳)の活動を手助けしています。

家族ともコミュニケーションを取って家庭環境をケアしつつ、生活してゆく上で不可欠な英語の習得や学校の課題などをマンツーマンでサポート。

1年間のコミットや、1週間に2時間以上の面談実施がメンター登録の条件のため、きめ細かく、長期的な見通しを持って支えることが可能になっています。

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Photo: GirlForward

充実した内容のキャンプ・プログラム

もうひとつは、「GirlForward」のサポートを受けている難民の少女たちが集団で参加するキャンプ形式のプログラムです。

毎年6月20日の、世界難民の日に合わせて開催されるこのプログラムでは、難民問題や世界の社会情勢への理解を深める座学や、シカゴ市内の野外で行うフィールドワークやレクリエーション、さらにはプレゼンテーションやライティングのスキルを身につけるレクチャーなど、多彩なメニューを無料で提供。

同じ年代、同じ境遇の少女たちが、仲間意識を持って楽しみながら、難民として育つ自らの在り方を見つめ直したり、将来取り組みたいことに思いを馳せたりする機会になっているようです。

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メンタープログラムを修了した少女と担当ボランティア。 Photo: GirlForward

“夢は将来そのもの”

こうした「GirlForward」の一連の活動の根底にあるのは、「強い心と能力と自信を備えた少女こそ、自分だけでなく家族や地域全体を支えられるような自立した女性になる」というビジョン。

2008年にイラクから難民として渡ってきたのち、サポートを受けている14歳のある少女は、ファッションデザイナーになることに加えて、イラクに戻って貧しい人のために孤児院と病院を開くことを自分の夢として掲げた上で、次のように話しているそうです。

私は自分の夢を信じています。夢は将来そのものだから、持ち続けることが人生で一番大切なことだと思うのです。

夢が無ければ、きっと将来もありません。

先のビジョンが彼女たちによって形になる日も、そう遠くないかもしれません。

[truthAtras]

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まだ使えるパソコンを途上国へ! 不要な人と必要な人をつなげるリサイクルプロジェクト「Globetops」 https://eedu.jp/blog/2014/06/30/globetops/ https://eedu.jp/blog/2014/06/30/globetops/#respond Sun, 29 Jun 2014 23:00:51 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=31375 Photo courtesy: Globetops 先日ご紹介した、ラテンアメリカやアフリカのコーヒー農家をモバイル技術でサポートする取り組みのように、情報化の動きは途上国の一部でも花開きつつあります。 しかし、パソコン […]

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Photo courtesy: Globetops

先日ご紹介した、ラテンアメリカやアフリカのコーヒー農家をモバイル技術でサポートする取り組みのように、情報化の動きは途上国の一部でも花開きつつあります。

しかし、パソコンなどの情報デバイスに対するニーズは依然としてまだまだ満たされていないようで、国際電気通信連合(ITU)の報告によれば、途上国における1世帯当たりのコンピューター普及率は30%程度にとどまっています。

今回ご紹介する「Globetops」は、パソコンが不要になった人と必要としている人とをマッチングすることを通して、途上国内のニーズと環境への配慮に同時に貢献するようなリサイクルシステムの構築を目指しています。

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途上国の環境に暗い影を落とす「電子廃棄物問題」

先のITUのデータによれば、先進国における1世帯当たりのコンピューターの普及率は約80%。パソコンが普段の生活や仕事に欠かせないモノとなっている現状がうかがえます。

しかし、こうした先進国におけるパソコンの高い普及状況は、一方で途上国の人々の健康や環境に暗い影を落とす問題を惹き起こすこととなりました。それが、パソコンやタブレット、デジタルカメラなどの電子機器の廃棄物を意味する”E-waste”です。

この問題に焦点を当てた国連の取り組み「StEP(Solving the E-waste Problem)」で実施された調査によると、昨年排出された電子機器の廃棄物は全世界で4,890万トン、重さにしてエジプトのピラミッド約8個分にも上ると言います。

また、国際刑事警察機構(インターポール)が発表しているように、ヨーロッパで出された電子廃棄物は、一部が違法な形でアフリカの途上国に持ち込まれ、不法投棄されていることが分かっています。

さらに問題はこれにとどまらず、そうした廃棄物に含まれる鉛や水銀などの有毒な化学物質が、周辺の住民の健康や生活環境に深刻な影響をもたらすことも懸念されているのです。

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Photo courtesy: Globetops

「Globetops」の3つのユニークポイント

Globetops」は、このような電子廃棄物問題に一石を投じることをミッションの一つに掲げ、まだ使用可能にもかかわらず処分されたり放置されたりしているようなパソコンをリサイクルし、途上国で活躍させることを目指してスタートしました。

現在、インド、ギニア、ハイチ、そしてアメリカ合衆国内の4地域を対象にプロジェクトが展開されています。

不要なパソコンの寄付をウェブサイト上で募り、提携企業やボランティアスタッフの協力のもとでメンテナンスを施した上で、パソコンを必要としている途上国の人々の元に届けられるという仕組みですが、注目したいユニークなポイントが3つあります。

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Photo courtesy: Globetops

①プロフィールを通じて寄付先を自ら選択

第一に、パソコンを必要としている人(レシピエント)のプロフィールがウェブサイト上で公開されており、どの人物に自分のパソコンを提供したいかを、寄付する人(ドナー)が自ら選択・決定できる点です。

レシピエントのプロフィールには、①使用できる言語、②パソコンを必要しているプロジェクト名、③プロジェクトの詳細、④そのプロジェクトでパソコンが必要な理由、の4点が本人の言葉で記載されています。

例えば西アフリカのギニアでレシピエントとして登録している下の女性のプロフィールを見ると、英仏2カ国語と2つの現地語を話し、首都コナクリに拠点を置く女性団体の代表を務め、現地の伝統的な食物を通じた栄養教育に取り組んでおり、パソコンはそうした活動の広報や記録のために利用したい、などと書かれています。

このように、ドナーがレシピエントの置かれている現状を知り、目的と意義を十分に理解した上でパソコンの寄付を決定できるようになっているのです。

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Image: Globetops

②操作スキルを習得できる研修も提供

第二に注目したいのは、パソコンを受け取ったレシピエントが、基本的な操作技術やインターネットの利用方法、メールアドレスやMicrosoft Officeのソフトウエアのセットアップの仕方などを習得できる研修を受講できる点です。

研修は対象各地域に設けられた”Hub”(ハブ)と呼ばれる拠点で実施され、料金はなんと無料。情報技術についてのリテラシーの向上が期待できる、画期的な”付録”ですね。

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Photo courtesy: Globetops

③双方向のコミュニケーションを実現

第三に着目したいのが、伝統的な寄付事業では難しかった、レシピエントとドナーとの関係構築や相互交流が可能になっている点。

直接連絡を交わして、パソコン到着後にレシピエントのプロジェクトがどのように変化したか報告・確認し合うこともあれば、時には、パソコンを手にした瞬間にレシピエントが見せた歓喜の様子がビデオに収められ、ドナーのもとに届けられることもあるようです。

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Photo courtesy: Globetops

アンバランスなモノの在り方に目を向けることを第一歩に

まずパソコンから始めましたが、携帯電話でもできるし、靴でだってできると思います。モノは世界中に十分な数あるんです。ただ本当に必要なところにない、ということですよね。

「Globetops」のファウンダー、Beckyさん(写真後列右から二人目)はこう話します。

冒頭に紹介したように、電子廃棄物問題は規模が非常に大きいため、草の根的な活動で解決を図るには限界があります。

しかしそれでも、「Globetops」のような取り組みを知り、可能であれば参加することを通して、様々なモノの在り方をめぐるアンバランスな状況に一人ひとりが問題意識を向けてゆくことが、解決に向けた第一歩としてやはり大切ではないでしょうか。

[truthAtlas]

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アフリカのエイズ孤児に”ぬくもり”を! 世界中から募ったニットでブランケットをつくる「Knit-a-square」 https://eedu.jp/blog/2014/06/23/knit-a-square/ https://eedu.jp/blog/2014/06/23/knit-a-square/#respond Sun, 22 Jun 2014 23:00:13 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=31108 Photo: Knit-a-square 日本は梅雨に入り、本格的な夏に向かいつつあります。 南半球に位置するアフリカ南部の国々では対照的に冬が訪れ、これからの季節、最低気温が氷点下になるところも。 今回ご紹介する「Kn […]

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Photo: Knit-a-square

日本は梅雨に入り、本格的な夏に向かいつつあります。

南半球に位置するアフリカ南部の国々では対照的に冬が訪れ、これからの季節、最低気温が氷点下になるところも。

今回ご紹介する「Knit-a-square」は、こうした地域に暮らすエイズ孤児の子どもたちに、寒さをしのぐためのニットを届けるチャリティープロジェクトです。

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Some rights reserved by khym54

アフリカのエイズ孤児とその問題

エイズ患者の多いサハラ砂漠以南のアフリカ。ここで深刻になっている問題の一つが、片方または両方の親をエイズで失った「エイズ孤児」と呼ばれる子どもたちの増加です。

ユニセフの報告によれば、2012年時点で東部・南部のアフリカには約950万人ものエイズ孤児が暮らしていると推測されており、ジンバブエやナミビアといった国々では、エイズ孤児が15歳未満の子どもの3~4人に1人にも上るとされています。

さらに、HIVやエイズへの適切な理解が乏しいこともあって、そうした地域ではしばしばエイズ孤児が食生活や教育環境などの面で不当な扱いを受けることがあり、寒さや空腹に苦しむなど身体的・精神的に大きなストレスを抱えていることが多いと考えられているのです。

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Photo: Knit-a-square

8インチ四方のニットを編み合わせて

こうした不遇なエイズ孤児の子どもたちに“ぬくもり”を届けようとスタートしたのが、「Knit-a-square」プロジェクトです。

この取り組みは、その名の通り、8インチ(約20センチメートル)四方のニット生地の寄付を募り、それらを一つに編み合わせたニット製品を、アフリカのエイズ孤児の子どもたちにプレゼントするというもの。

潜在的なエイズ患者の子どもたちにとって、免疫力を強く保っておく上で身体を温かくしておくことはとても大切なため、このブランケットにくるまって暖を取ってもらおうというわけです。

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Photo: Knit-a-square

こちらが35個の四角いニットを編み合わせて作られたブランケット。組み合わせのデザインは多種多様で、とてもカラフルです。

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Photo: Knit-a-square

このように、世界各地から寄せられた色とりどりのニット生地を編み合わせて作られた、世界で一つだけのブランケットや衣服、帽子、さらにはぬいぐるみが、子どもたちに届けられています。

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Photo: Knit-a-square

かけがえのない一人ひとりを包む“ぬくもり”

私たちはニットを通して、みんな大切な存在であるということを子どもたちに伝えているのです。彼らがみんな未来そのもので、かけがえのない特別な存在なんだよ、と。

そう語るのは、このプロジェクトを運営しているオーストラリアの孤児支援団体「KasCare」の共同設立者の女性です。

彩りや肌触りが一枚一枚異なる、手作りのニット・ブランケットを届けること。

それは、単に身体の温度を保つ道具というだけではなく、お父さんやお母さんの温かみを十分に感じられることができなかった子どもたちに、一人ひとりの存在をしっかりと受け止めて包み込むような“ぬくもり”を贈る取り組みと言えるのかもしれません。

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コーヒー農家をテクノロジーで支援! 南米とアフリカでスタートした2つのモバイル技術活用プロジェクト https://eedu.jp/blog/2014/06/09/mobile-apps-for-coffee-farmers/ https://eedu.jp/blog/2014/06/09/mobile-apps-for-coffee-farmers/#respond Sun, 08 Jun 2014 23:00:56 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=30608 Some Rights Reserved by CIAT トジョウエンジンではこれまでにも、地方のコーヒー農家を支援するプロジェクトをいくつかご紹介してきました。 フェア・トレードやサステナブルといったキーワードへの関心 […]

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Some Rights Reserved by CIAT

トジョウエンジンではこれまでにも、地方のコーヒー農家を支援するプロジェクトをいくつかご紹介してきました。

フェア・トレードやサステナブルといったキーワードへの関心の高まりと共に、消費する立場にある人々の意識は徐々に変わりつつあるのかもしれませんが、生産者の置かれている状況が依然として厳しいことに変わりはないようです。

今回お伝えするのは、テクノロジーの導入によってコーヒー農家の情報インフラを支えることで、彼らの生活環境の改善を目指すふたつの取り組みです。

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Some Rights Reserved by CIAT

コーヒー農家が抱える課題とは

コーヒー豆を栽培する零細な農家にとって、コーヒー豆特有の病気や、生育にとって悪条件となるような気象にどのように対処するかということは、大きな課題となっています。

例えば「コーヒーさび病」という感染性の病気は、葉から葉、木から木、農園から農園、さらには国から国へと広がり、コーヒー栽培に壊滅的な打撃を与える脅威であり、また時おり発生する干ばつも、ほかの作物と共に生産量を大きく落ち込ませてしまう不利な気象状況です。

コーヒー豆の生産を左右するこうした問題は、市場の状況を不安定化させる大きな要因になっています。

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Some Rights Reserved by Simon Law

正確で迅速な情報収集のニーズ

そんな状況の下で生産に取り組むコーヒー農家にとって、経営をやりくりする上で欠かせないものの一つが、市場でのコーヒー豆の取引価格の変動や協同組合での商品の売れ行きなどに関する情報です。

価格が一定しないコーヒー豆を収入源とする生産者が自らの生活を安定させるためには、適当な時機に、適当な価格でコーヒー豆を販売することがとても大切なのです。

しかしこれまで彼らは、そうした情報を手に入れるためにはるばる最寄りの市場まで実際に足を運ばなくてはならず、それに伴う時間的・金銭的なコストが経営面の負担として重くのしかかっていました。

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Image: 3BL Media

タブレットを通じて有益な情報を提供

この課題を解決するため、ヨーロッパ最大のソフトウエア会社であるSAPが、非営利団体のコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)と協力してスタートさせたのが、こちらのタブレット型端末を利用した取り組み。

コーヒーを栽培する農家にタブレットを支給し、内蔵のアプリを通じて、各生産者が市場でのコーヒー豆の取引価格や商品の売れ行きをリアルタイムでチェックできるようにしたのです。

さらにSAPはCSR活動の一環として、FNCが生産者向けに行っている技術研修もバックアップしており、タブレットとアプリの利用方法のレクチャーや、農場の管理体制やコーヒーの生産方法の改善のための講習など、幅広い活動を支援しています。

FNCは、現時点で約500戸の生産農家を対象に実施しているこの取り組みを、最終的に56万戸を対象とする規模にまで拡大させることを目指しているそうです。

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Image: 3BL Media

各地に広がる農家支援の取り組み

同様の試みはアフリカでもスタートしています。

欧州宇宙機関のサポートを活用し、ルワンダでのコーヒーの生産環境の向上を目指すのは、イギリスのスタートアップ企業である「WeatherSafe」。

行政向け、農家向け、協働組合向けと、それぞれのニーズに合ったソフトウエアを開発し、マクロからミクロまで幅広い視点からの管理・改善を支援しています。

例えば農家向けのソフトウエアの場合は、衛星からの観測データを基にしたピンポイントな気象予報を各生産者に提供。注意が必要な気候が予測される場合には警告を通知し、該当する地域の農家が事前に対策をとれるようにしています。

またこのソフトを通して農家が協同組合や行政機関のオペレーターと直接コンタクトを取れるようになっており、遠隔地域のサポート体制の向上が期待されます。

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Photo: Weather Safe Ltd

SAPとFACの取り組みやWeatherSafeの活動は、途上国で農業を営む人々にとって、単なる生産環境の改善にとどまらず、テクノロジーへのリテラシーの向上という成果も期待できるものです。

これからますます拡大していくと考えられるモバイルテクノロジーと一次産業のコラボレーションの可能性には、引き続き注目していきたいですね。

[Fast Company]

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子どもたちの絵とプロのイラストがコラボ! Tシャツをインドネシアの学校に変える取り組み「Face This」 https://eedu.jp/blog/2014/06/02/t-shirts-with-drawings-from-indonesian-school-kids/ https://eedu.jp/blog/2014/06/02/t-shirts-with-drawings-from-indonesian-school-kids/#respond Sun, 01 Jun 2014 23:00:19 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=30297 Photo: Jaap Vliegenthart 子どもたちが発揮する自由な発想力や大胆な表現力は世界共通。 今回ご紹介する「Face This」がインドネシアで進めているのは、そんな子どもたちの力を彼ら自身の生活・教育 […]

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Jaap Vliegenthart

Photo: Jaap Vliegenthart

子どもたちが発揮する自由な発想力や大胆な表現力は世界共通。

今回ご紹介する「Face This」がインドネシアで進めているのは、そんな子どもたちの力を彼ら自身の生活・教育環境の改善に活かしていこうというプロジェクトです。

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Photo: Face This

2008年にスタート、3地域で展開

「Face This」は、オランダに拠点を置くNGOです。インドネシアの子どもたちが描いた絵と、欧米で活躍中の著名アーティストらが描いたイラストとをコラボレーションさせたTシャツの制作に取り組んでいます。

目指すのは、このTシャツの販売で得た利益をもとに、インドネシア国内各地の子どもたちの学習の拠点となる学校をつくること。

2008年にスタートしたこの活動は、すでに3つの地域で展開されており、今年は西部の都市、Bogor(ボゴール)で新たにプロジェクトがスタートしています。

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Photo: Face This

コミュニティセンターのリノベーションに向けて

ボゴールでの取り組みが目標とするのは、年齢から出生事情まで幅広く異なる65人の子どもたちの孤児院として利用されていたコミュニティセンターのリノベーション。

環境維持が困難になった所有者により手放されようとしていたこの施設を、「Face This」のプロジェクトを通じて、子どもたちの新たな暮らしの空間として生まれ変わらせようということになったのです。

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Photo: Face This

このボゴールプロジェクトにボランティアで参加しているのは、欧米で活躍する9名のイラストレーターたち。いずれも、ルイ・ヴィトンやH&Mなどの有名ブランドやニューヨーク・タイムズやフォーブズなどといった有力メディアをクライアントに持つ実力派のアーティストです。

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Photo: Face This

彼らは、ボゴールの子どもたちが描いた絵に合わせてイラストを制作。ユニークなデザインがスタイリッシュな12種類のTシャツが完成しました。「Face This」のホームページを訪れれば、それぞれのイラストに込められたメッセージを知ることもできます。

「君の夢は君のもの」

こうしたチャリティーとしての取り組みの中で、単なるイラスト上のコラボだけではなく、ボゴールの子どもたちとアーティストたちの間で実際の交流があったのも注目したいポイント。

プロジェクトの一環として、ボゴールの子どもたちが参加した9人のアーティスト全員にインタビューを行っているのです。自分が描いたイラストの意味を尋ねる素朴な質問から、絵を描くことの初心を思い出すような刺激を受けたアーティストもいるようです。

また中には、「もし僕が宇宙飛行士だったら、ネコを宇宙に連れて行くことはできますか?」という無邪気な質問を投げかける子も。

ちなみにこの質問に対し、上のTシャツで宇宙飛行士のイラストを描いたアーティストはこう答えています。

うん、ネコだってなんだって、好きなものを連れていけるさ。どんなことでも夢見ることができるし、君の夢は君のものだよ。

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Photo: Face This

プロジェクトの根底にある「ゴトン・ヨロン」精神

このようにコラボレーションや交流といった要素が色濃く見える「Face This」プロジェクトですが、その根底にあるのは、インドネシアの地域社会に根付く「ゴトン・ヨロン」と呼ばれる精神です。

これは「相互扶助」を意味する考え方で、地方に暮らすインドネシアの人々の間に「協力すればより高い目標を達成することができる」という信念を育んできたそう。

「Face This」がTシャツを通して発信しているのは、子どもたちの自由な独創性が持つ魅力であると同時に、大きな課題に協力して取り組むことで生まれる可能性なのかもしれません。

How incredible artists design T-shirts with drawings from Indonesian school kids from Face This on Vimeo

[Face This]

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世界初のエコなパネル掃除ロボット! イスラエルの太陽光発電所で全自動ケアが実現 https://eedu.jp/blog/2014/05/26/israel-debuts-the-worlds-first-self-cleaning-solar-park/ https://eedu.jp/blog/2014/05/26/israel-debuts-the-worlds-first-self-cleaning-solar-park/#respond Sun, 25 May 2014 23:00:43 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=29655 Photo: Ecoppia 環境意識の高まりと共に注目を集めている太陽光エネルギー。中東やアフリカなどの途上国でも、太陽光発電の活用が進められています。 今回ご紹介するのは、その代表的な国の一つ、イスラエルにある太陽光 […]

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Photo: Ecoppia

環境意識の高まりと共に注目を集めている太陽光エネルギー。中東やアフリカなどの途上国でも、太陽光発電の活用が進められています。

今回ご紹介するのは、その代表的な国の一つ、イスラエルにある太陽光発電所に世界で初めて導入された、全自動のパネル掃除ロボットです。


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Photo: Ecoppia

太陽光発電と言えば、日本でしばしばピックアップされるのは、発電に適した土地を調査して取得したり、パネルを一帯に設置したりといった稼働前のプロセス。

しかし、稼働後の発電パネルのケアが、太陽光発電が抱える大きな課題となっていることはあまり知られていないのではないでしょうか。

とりわけイスラエルのように、砂漠地帯に太陽光パネルを設置しているところでは、パネルに付着した砂ぼこりや土によって、発電効率が最大で35%も低下してしまうこともあり、この課題は深刻でした。

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Photo: Ecoppia

そんな中、イスラエルの企業「Ecoppia」が開発したこちらのロボットは、パネルのケアに関わる様々な問題を一度に解決するものとして注目を集めています。

すでに、イスラエル国内の砂漠地帯にある東京ドーム約2個分の広さの太陽光発電所に100機設置され、稼働を開始。クリーニングが全自動化された世界初の太陽光発電所となりました。

それでは、このロボットがどのような課題を解決しようとしているのか、ロボットの特徴と共に見てみましょう。

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Photo: Ecoppia

一つは、メンテナンスに余分な資源を費やす必要がなくなることです。

従来のクリーニング作業では、パネルを洗浄するために砂漠地帯ではとりわけ稀少な水と電気を使用していました。

しかしこのロボットでは、柔らかいマイクロファイバーの羽を回転させることで水を使わずに砂ぼこりや土を除去することが可能になっています。

また駆動のために必要な電源は個別の太陽光パネルから供給され、そのパネルも自らクリーニングできる設計がなされているのです。

このように、これまで必要だった資源の削減につながることが期待されます。

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Photo: Ecoppia

もう一つは、リモートコントロールによる全自動でのパネルのクリーニングが可能になり、メンテナンスにかかる時間と労力が大幅に小さくなることです。

これまでこの発電所では、毎回人手をかけて、約8ヘクタールの広大な敷地に設置されたパネルを最長5日がかりで清掃していました。

しかしこれほどの時間と労力を頻繁に費やすことはできないため、年間のクリーニング回数はわずか9回にとどまっていました。こうしたメンテナンス不足が、先に書いたような発電効率の大幅な低下につながっていたのです。

6畳ほどの広さのパネルの汚れを1分間で99%除去できるこのロボットの導入により、身体的にも時間的にも負担の大きかった従来の作業が大きく改善されることになります。

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Photo: Ecoppia

イスラエルは、2020年までに電力の10%を再生可能エネルギーによるものにするという高い目標を掲げています。

こうした画期的なプロジェクトの登場によって、途上国における再生可能エネルギー分野の技術開発は一層活発になってくるのではないでしょうか。これからも注目していきたいところです。

[inhabitat]

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アラームで手洗い忘れをお知らせ! フィリピンのトイレに導入されたハンドソープマシン「Germ Alarm」 https://eedu.jp/blog/2014/05/21/philippines-germ-alarm/ https://eedu.jp/blog/2014/05/21/philippines-germ-alarm/#respond Tue, 20 May 2014 23:00:46 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=29437 Photo: Safeguard トイレに入ったら手を洗う。 日本では比較的当たり前のこととして意識されていそうなこんな習慣でも、ひとたびほかの国に目を向けてみると、必ずしも十分に定着していないのが実情です。 今回は、そ […]

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Photo: Safeguard

トイレに入ったら手を洗う。

日本では比較的当たり前のこととして意識されていそうなこんな習慣でも、ひとたびほかの国に目を向けてみると、必ずしも十分に定着していないのが実情です。

今回は、そんな手洗い習慣への意識の向上を図ろうとフィリピンの公衆トイレで導入され始めた、アラーム付のハンドソープディスペンサー「Germ Alarm」をご紹介します。


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Photo: Germ Alarm

約3人に1人がトイレ後に手を洗わない?

公衆トイレに生息している病原性の細菌の数は、切手1枚分ほどの面積あたりで300万にも上ると言われています。

SARSなどの感染症を防ぐためにも、手洗いで清潔さを保つことは必要不可欠なこと。

ところが、アメリカ微生物学会が昨年アメリカ合衆国内の空港で実施した調査では、平均して約3人に1人もの割合で、公衆トイレを使用した後に、手を洗わずに出てきていたことが報告されました。

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Photo: Safetylab South Africa

手洗いの習慣が病気予防になる

衛生環境の悪い途上国では、このような状況は一層深刻な問題につながってしまいます。

国によっては最悪で年間数千人もの人々が、下痢や肺炎など、手洗いを習慣づけさえすればかなりの程度発症の予防が可能な病気で死亡しているのです。

そんな中、この度フィリピン国内で実験的に設置され始めたのがこの「Germ Alarm」です。

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Photo: Germ Alarm

センサーを使ったシンプルな仕組み

P&Gのケアブランド「Safeguard」によるキャンペーンの一環で開発されたこのマシン。その仕組みは実にシンプルです。

個室トイレのドアと、ハンドソープのディスペンサー本体とをセンサーでつなぎ、ドアの開閉を感知した後、ディスペンサーのボタンが押されなかった場合に、本体のアラームが鳴るというもの。

ボタンを押してハンドソープを手に取らない限りアラームが鳴り止まないので、トイレを使った後はせっけんで手を清潔にしてから出るという意識を向上させることができるのではないか、というわけです。

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Photo: Germ Alarm

現在は、レストランや学校など一部施設で試用されている「Germ Alarm」。

どれだけの効果を上げられるかは未知数ですが、とても簡単な仕組みで多くの人々の衛生意識の向上を目指すものとして、ぜひ注目したいプロジェクトです。

[Springwise.com]

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