8月10日、日本に暮らしている海外ルーツの子どもたち(以下、越境児童)がどうしたら「自分らしく生きる」ことができるのかをテーマに、対談イベントを開催しました。
スピーカーには、e-Education代表の三輪と、特別ゲストとして虹の架け橋教室(NPO法人 静岡県教育フォーラムの運営)の代表・山下様をお迎えし、ともに取り組んでいる越境児童の話を伺いました。
虹の架け橋教室では、越境児童が来日してから学校へ入学する前に、日本語を中心として、七夕や交通安全ルールなど日本の文化や日本の学校の習慣を3〜6ヶ月ほど、教わる場を提供しています。
なぜ日常生活ではカブトムシのことを「虫」と呼ぶのに、理科の教科書では「昆虫」と呼ばれているのか。算数にも同じように、数字を紙に書いて行う筆算のように「算数方言」といった算数の教科書でしか使われていない専門用語があります。
ここで、越境児童たちにどのような支援が必要か?を考えてみてください。
まず”日本語”は、越境児童たちが日本の学校に通うようになると、友達との会話など学校生活を通しての学習が期待できます。
さらに母語が十分に定着していない状態で、家でも学校でも日本語を学ぼうとすると、どっちつかずの状態になってしまい、母語と日本語の両方の習得が難しくなると言われています。
つぎに”算数”は、学校へ編入しても友達や先生から母語で学べる機会はほとんどありません。
算数ができるようになると、母語の学びが進んだという事例も多くあり、算数の学びによる論理的な思考のおかげで文法や構造の理解が深まることがあるのです。
さいごに”頼れる人の存在”を考えると、虹の架け橋教室では卒業した生徒たちは、今度は教える側にまわって活躍する循環が生まれています。
実は、これまでe-Educationが活動してきた途上国では、支援を受けた卒業生が今度は授業や相談など先輩として現役の生徒たちをサポートするという正の連鎖が起きており、同様のことが起きています。
「子どもが日本語を話せるようになっても、子どもたちに負けないくらい日本語の勉強を頑張ってほしいですし、何かあった時は子どもの通訳に頼れば良いとは思わないでください」自ら経験した苦労をもとに、保護者に訴えかけていました。
虹の架け橋教室の児童の保護者からも、楽しく勉強に励む息子の姿をみて、
「日本に来て良かった。あなたたちに出会えて良かった」というメッセージもいただきました。