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2014年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、ウクライナのVictor Pinchuk財団が、7回目となる「ダボスフィランソロピー会議」をスピンオフのような企画で今年も開催されました。

ビル・ゲイツ、リチャード・ブランソン、ムハマド・ユヌス、そしてモデレーターにトニー・ブレアを迎え、最高に豪華なパネルディスカッションが行なわれたのでその中身をご紹介します。

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社会貢献とビジネスを一体化させることとは

モデレーターは、第73代イギリス首相のトニー・ブレア。スピーカーは、ゲイツ財団共同会長のビル・ゲイツ、ヴァージン・グループ創設者のリチャード・ブランソン、そしてノーベル平和賞受賞者、グラミン銀行の創設者のムハマド・ユヌス氏でした。

ブレア:「ビジネスと社会貢献をどう統合させるのか教えて下さい」

ゲイツ:「フィランソロピー(慈善活動)のゴールは何なのか?システムを査定してみると、いろんな資本主義、政治、全てで小さな慈善活動が驚くほどの結果を見せています。今日に足りていないことは、他から学ぶ、というプロセスです。南スーダン、ウクライナ、シリアの問題だけに直視し過ぎています。

“今”だけに集中するのではなく、過去を振り返り、成功例から答えを導き出していくべきでしょう。サイエンス、ビジネスなどからもまたイノベーションが生まれます。基本的なことです」

ブレア:「ビジネスと慈善活動をする上で必要になってくるスキルに教えて下さい、リチャード」

ブランソン:「私たちは、まさにこの世界でこれらの業界の知恵を出し合うために『Team B』を立ち上げました。アリアナ・ハフィントンや、ユニリーバCEOのポール・コールマンが先頭に立ち、世界に解決されるべき問題について語ります。

スキルとして、さきほどビルが言った通り、一つの国で成功したものが他で成功しない訳がないんだ。例えば、ポルトガルでは、耐えない麻薬中毒者の数を減らすために、政府は中毒者を刑務所にはいれずに、社会復帰を目指すリハビリ施設に入れるようにした。そしたら必然的に麻薬の使用率が下がった。同じ例をもっと政治的な壁を越えてつくっていくべきです」

ユヌス:「ビジネスで社会貢献している企業のことをソーシャルビジネスと呼ぶ。若者は自分たち自身が創りたい世界を創ることができる。機会を創り出す事が解決策になる。利益だけを追うような会社ではない」

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世界は着実に変わってきている

ブレア:「もう一つの視点から、なぜこの10年間で人々はビジネスを使って社会貢献をするようになったのでしょうか?政府がこのようなことはできないからでしょうか?」

ゲイツ:「グローバル資本主義はたくさんの富を生み出している。1900年代からこのような活動をしていた財団などはたくさんあった。しかし、もしその時からテクノロジーの力やスキルを駆使していたら、どのような世界に今なっていただろうか」

ブレア:「Team Bのコンセプトは社会貢献よりもビジネス的、と言われていませんか?」

ブランソン:「ポール・ポールマン(ユニリーバCEO)は、社会貢献事業は大企業でもできる、ということを証明してくれた。さらに、従業員たちも自らの仕事に自信をもって取り組めるようになる、という効果も持っている」

ユヌス:「一番の大きな違いは、ソーシャルビジネスでは投資したお金が戻ってくることです。社会貢献では言ってしまえば、寄付なのでお金が返ってくることはありません」

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オーディエンスも豪華

これ以上ない最高に豪華なスピーカーに加え、オーディエンスも同じように豪華でした。

会議初日に「クリスタルアワード」を受賞した俳優のマット・デイモン、ウィキペディア創始者のジミー・ウェールズ、ザッカーバーグメディアCEOのランディ・ザッカーバーグ(Facebook社CEOのマーク・ザッカーバーグの姉)、HTML設計者のティム・バーナーズ、ARM会長のパトリース・モセペ(南アフリカの億万長者ランキング1位)などでした。

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マット・デイモン

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ティム・バーナーズ

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ジミー・ウェールズ

質問タイム

会場からの質問タイムも設けられました。

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アンドリュー・フォレスト(Fortescue Metals Group社外取締役):「あなたたちの人生をみて、何が一番コミュニティにとって貴重だと思いますか?」

ブランソン:「そうだねぇ・・・ビル(世界長者番付第2位)は”お金”だからビルに聞こうか・・・笑」

(爆笑)

ブランソン:「ゴメン、ゴメン、ビル」

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ゲイツ:「制度が世界の問題と共に動きます。つまり時間こそが全てを動かしていると言えるでしょう」

ブランソン:「航空ビジネスも、やはり時間とお金が非常に重要です」

ユヌス:「たとえ少額で始めたビジネスでも、クリエイティブにするには画期的なパワーが必要です」

ブレア:「もちろんお金は重要です。私が思うに、社会貢献(フィランソロピー)の最高の方法は、ビジネスパーソンが彼ら彼女たちの事業的なスキルを、違う分野に適合させて使うことでしょう」

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ザッカーバーグ:「たくさんの人は、財団の名前を彼ら彼女自身の名前に名付けます。しかし、これは長期的にスケールアウトするには難しいのでは?」

ユヌス:「ユヌスセンターは、創設時からソーシャルビジネスでしたので、持続的でした」

ブランソン:「良い質問ですね。我々の財団名は『Unite』です」

ゲイツ:「『Virgin』は?」

ブランソン:「笑。『Virgin Brides』も過去に試してみたんだけど、失敗だったよ」

ゲイツ:「私たちのゴールは、問題を解決することだ」

ブレア:「そのためのアイデアであり、活力も大事になってくる」

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モセペ:「一つだけ、いま一番必要だと思うことは何ですか?」

ゲイツ:「ビジネスの所有者がもっと社会貢献していくことだと思う」

ブランソン:「ビジネスがまずは政府と一緒の椅子で考えることが大事だと思う。そして世界の問題について共に話し合う事だ」

ユヌス:「我々は十分過ぎるパワー、キャパシティ、リソースを持っている。いま行なわれていることに加えて、キャパシティをもっと活かして問題解決につなげていきたい」

多方面での話し合いが必要

以上、豪華な面々のパネルディスカッションは、いかがでしたか?

様々なバックグラウンドを持ちながら、今は同じ業界で働いているこのような人たちのディスカッションを聞けるのは滅多に無いでしょう。

やはり、政府・財団・企業・当事者、全てを含んでもっと話し合い、お互いが納得する解決策を練っていく必要があると思います。そして、これらを行動に移し、世界をより良くしていくことが求められてくるでしょう。


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