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世界保健機関(WHO)は7月、西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアの3ヵ国で「エボラ出血熱」感染が確認または疑われる死者が2月以降、539人に達したと発表しました。

国際医療支援団体の「国境なき医師団」もまた前例のない勢いで広まっており、制御不可能な状況に陥ったと発表しています。

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「史上最悪」「制御不能レベル」とも言われる

これまでトジョウエンジンでも度々取り上げられてきたエイズやマラリアという病名には馴染みがあっても、エボラ出血熱をよく知らない人は多いのでは。

様々なサイトのニュース記事をみると「史上最悪」「制御不能レベル」といった表現がなされていますが実際はどうなのでしょうか。

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エボラ出血熱ウイルス (Ebola Virus Pictures.com)

時間がない人はこちらの動画をご覧ください。

西アフリカ、特にギニア、シエラレオネ、リベリアなどのギニア湾岸で、感染者が増えているようです。

そんなに酷い状況なのか?

西アフリカ3ヵ国で死者が539人と聞くと、年間1~2億人の患者数で約60万人死亡しているマラリアのことを考えると少ないように感じます(出所:FORTH)。

では、なぜメディアで大々的に取り上げられているのでしょうか。

理由は例年と比べて急増しているということです。世界保健機関の資料によると、1976~2002年の感染者数は約1,700人であるのに対し、今月6〜8日の間に合計44人の感染が判明しています。

このペースでいくと1ヵ月で感染者が約450人、年間では3000人以上にものぼる計算になり、例年の約60人を50倍以上も上回ってしまいます。爆発的に感染者が増えているのです。

確立された治療法がなく生存率約10%という驚異の低さのため。マラリアなどとは違ってワクチンもありません。対処療法が主流です。

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医療従事者は感染しないように完全防備

一方ここで少し冷静になってみると、エボラウイルスは感染力は強いですが毒性が強すぎるため、感染者がすぐ死亡し感染拡大につながりにくいとも考えられるかもしれません。元医師のStuさんは次のように述べています。

エボラ出血熱は、アフリカでも田舎の貧困地域で発生しました。このような地域はあらゆる面での支援を必要としています。エボラ出血熱のような感染症が発生した時は、恐怖に煽られて動揺するのではなく、そのようなアフリカの地域では他にも同じくらい悲劇的なことが起こっているという事実を思い出しましょう。あらゆる人がもっと心を痛め、関心を持てたらと思います

今回、よく報道されている内容とは少し違う視点から書いてみました。エボラ出血熱だけではなく、他のことにも関心をもつきっかけになれば幸いです。

[REUTERS / Doctor Stu’s Science Blog]


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