ジョージ・クルーニーがスーダンで逮捕された！それでも彼が押し進めようとした人権擁護プロジェクトとは？

「オレの家をGoogle Earthで誰もが探し出せるご時世に、なんだってクソ野郎どものアジトを探し出すことができないんだ？」

そんな１人の男の単純な発想から、あるプロジェクトが始まりました。

アフリカのみならず、世界中で行われる(虐殺)ジェノサイドの根絶を使命に対して、衛星から虐殺者の監視を行う人権擁護プロジェクト『Satellite Sentinel Project（SSP）』です。

虐殺者を衛星で監視する『Satellite Sentinel Project（SSP）』

日本で生活している分には気にすることも少ないかもしれませんが、世界では今なおアフリカ等の国々で罪なき市民を狙った虐殺が繰り返されています。

非人道的な虐殺者の行動を阻止するにはそうしたらいいのか？その誰もが悩み続けている問題に、「衛星」というキーワードで取り組み始めた１人の男がいました。

彼の名はジョージ・クルーニー。アフリカで今なお続く残虐な虐殺行為を止めるべく、2010年12月29日に『Satellite Sentinel Project（SSP）』を立ち上げ、活動を開始します。

「メディアが目を光らせれば、集団的な残虐行為はやりにくくなる」

そう考えた彼は、緊迫するスーダンの南北境界付近を監視するために自ら資金を投じ、人工衛星での監視体制を整備しました。映像を分析し、攻撃や虐殺の事実を公表することで、各国の政府が世論の圧力を受けるよう仕向けたのです。

アフリカで出会った強力なパートナー

「Not On Our Watch」という集団暴力の根絶を目指す非営利組織があります。ジョージ・クルーニーはこの組織を、ドン・チードル、マット・デイモン、ブラッド・ピットといった俳優仲間たちとともに立ち上げていました。

その活動の一環で2010年10月に暴力渦巻くスーダンを訪ねたときに、衛星で虐殺者を監視するというアイデアを思いつきました。そして、このアイデアに賛同してくれたのが、アフリカ問題のエキスパートであり、NPO「Enough Project」の共同創設者であるジョン・プレンダーガストでした。

「民間でやることに意味があり、国連や政府にやらせても救いの手は届かない」

こう考えたプレンダーガストは、仲間と共に市民やメディアを巻き込んでいく動きに出ます。

協力を申し出たのは、まずグーグルでした。そしてサテライトイメージングにおける最先端の民間企業デジタルグローブ。さらに、ハーバード・ケネディ・スクールの人権政策部門も参加を表明とトントン拍子にプロジェクトは進みます。

ジョージ・クルーニー自身はプロジェクトの初期費用として25万ドルを集めて投資しました。虐殺屋たちの一挙手一投足を宇宙から監視するためのスタートアップは、彼がスーダンでつぶやいてから、わずか3カ月で立ち上がったのです。

「逮捕」をチャンスに変える

またセレブの知名度を新たな方向で使っているのも彼です。クルーニーはニュース番組に出演したり、アメリカ上院公聴会に出席してスーダンの現状を訴えるなどの活動をしており、スーダンの人権問題に対する抗議活動中には、立ち入り禁止区域に足を踏み入れて「逮捕」されたこともありました。

罰金を支払い釈放された後、「自分の知名度でスーダンに注目が集まることを期待する」と語りました。そんな彼の思惑通り、このニュースを通じて世界中の人々がスーダンの悲劇を知ることとなったのです。

「ぼくらに政策はつくれない。ぼくらの手に及ばないことはたくさんある。けれどもこうした見過ごせない問題の所在を声高に叫ぶことはできるし、スポットライトを当てることもできる。それは有名であるからできることでもある。ぼくらがやっているのは、まさにそれだよ」

彼はこう語り、SSPは次のようなメッセージを発信しています。

“The world is watching because you are watching.”

私たちが監視する事で、世界の非人道的な行為は抑制されるのかもしれません。

この活動をもっと知りたいという方や、スーダンの現状をもっと知りたいという方はぜひ以下の動画もぜひチェックしてみて下さい。

[George Clooney: Endgame in Sudan – YouTube]

[George Clooney Witnesses War Crimes in Sudan’s Nuba Mountains – YouTube]

[via. Satellite Sentinel Project]