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みなさん、こんにちは!

e-Education Projectマニラ担当の磯部香里です。フィリピンの首都マニラの公立高校に通う高校生達に「最高の授業」を届ける活動をしていました。そして8月の中旬に、生徒達が目標としているフィリピンの東大・フィリピン大学入学試験を見届け、先日帰国しました。

前回の記事では、フィリピン大学入学試験当日の様子をお伝えしました。今回の記事では、本年度のプロジェクトの総まとめとして、私が担当していた10ヶ月間を振り返りたいと思います。

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マニラプロジェクトとは?

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e-Educationマニラプロジェクトでは、大学受験を目指している、フィリピンマニラ首都圏のケソン市にある公立高校の生徒たちを対象とした大学受験対策の特別授業を提供してきました。

フィリピンサイエンスハイスクールという、フィリピン国内トップの高校の先生たちに協力をお願いをし、大学受験対策の映像授業を作成しています。

それらの映像授業を用いながら、ボランティアとして集まってくれた現地の大学生が公立高校に行き、授業を実施しました。

本年度の実施校は、12校。400人以上の生徒がe-Educationの授業に参加し、そのなかでも継続して毎回の授業に参加してくれた生徒たちが約250人ほど。

特に、フィリピンの東大であるフィリピン大学を受験する生徒たちを中心にサポートをし、8月中旬に行われたフィリピン大学入学試験を見届けてきました。

なぜこのプロジェクトが実施されたのか

そもそも、なぜフィリピンのマニラで大学受験対策を行っていたのでしょうか?

フィリピンは学歴社会です。大学に出なければ、しっかりとした職に就くことが出来ません。

しかしながら、現地の多くの公立高校では生徒数に対して先生の数や教室が足りていません。授業時間を午前と午後に分け、低学年は午前、高学年は午後の2つのシフトで授業が行われていました。よって生徒達は学校のカリキュラムを消化するのみで、大学受験対策の授業などのサポートを受けることが難しい状況です。

日本のように塾や家庭教師もたくさんありますが、受講費が高く、公立高校に通う生徒は通うことができません。頭が良くても、受験対策ができず希望していた大学に進学できない子どもたちもたくさんいます。

それに比べ、比較的裕福な子どもたちが通う私立高校では、十分な授業時間数があり受験対策もしっかりと行っており、私立高校と公立高校の格差が顕著に見られました。

そこで、環境によって大学進学という将来を左右するための準備を行う「きっかけ」を得ることができない現地の高校生たちに、より良い機会を提供したいという思いのもと、本プロジェクトは2012年の冬にスタートしました。

現地のひとが、現地のひとへ

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私が本活動をする上で、特に気をつけていたのは「現地目線である」ことです。

フィリピンに住んでいたこともなく、この国で教育を受けたことがない私が、私だけの目線でプロジェクトを進めてしまうと、現地の意向に沿わない一方的な支援、ただの自己満足になってしまいます。

そこで現地の大学生にボランティアで協力をお願いし、彼らの意見を確認しながらプロジェクトを進めていました。

また、授業を行っていたのも現地の大学生たちです。現地の公立高校の生徒のなかには英語があまり話せない子もたくさんいます。現地の言葉が話せない私が授業を行っても、生徒のためになりません。

現地の生徒たちとしっかりコミュニケーションが取れ、信頼関係を築き、生徒の「お兄さん」「お姉さん」として、現地の大学生が公立高校に出向き授業を行う体制を創りました。

現地の高校の先生方の反応は?

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現地の学校の先生たちからは、ポジティブな意見を多く頂きました。

通常業務で忙しい先生たちにとって、生徒をサポートしたいけれどできない、そんな思いもあったかと思います。

その一方で、試験1ヶ月前にも関わらず、発表会やスピーチコンテストなどの学校のアクティビティが多く、生徒達が学校側の都合でやむを得ず授業に参加できないという状況も多々ありました。

日本の大学受験の印象が強かった私は、フィリピンの、特に公立高校で見られた受験に対する「意識」に驚いたのを今でも覚えています。

さらに、学校側に事前にお願いしていたにも関わらず、機材の準備等ができていなかったりと、学校側との連携という部分ではかなり苦労し、もっと上手く関係を築いておけばという反省点もあります。

それでも、はじめは「本当に授業ができるのか」「日本人の大学生が何をやっているんだ」と難色を示していたある学校の校長先生から、プロジェクト終了時には「来年もやってほしい」とお言葉を頂けるほど、学校として認めてくださったのは嬉しい限りです。

生徒たちの授業に対する参加度は?

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初回授業に参加していた全ての生徒が、最後まで授業を受けていたかというと、実際はそうではありません。どのクラスにもなんらかの事情で出席率が低くなってしまった生徒はいました。

しかし、多くの生徒が積極的に授業に参加し真剣に勉強しており、チューターである大学生のボランティアに質問を投げかけたり、問題を解きあったりと授業内でのコミュニケーションが多く見られました。

また、各学校にFacebookグループを作り、グループ上でも生徒同士やチューターのやり取りが頻繁に行われていました。これによってクラス内の団結力が芽生え、試験前日には「みんな頑張ろうね!」という生徒やチューターの励ましのメッセージがたくさん飛び交っていました。

受験は一人では乗り越えられません。

大学生という生徒たちの憧れであるチューターの存在は生徒にとって大きなモチベーションになりましたし、何より生徒たちが楽しんで授業を受けていました。

全ての授業が終了し、授業を受講していたうちの196人の生徒に授業に関するアンケートを行ったところ、5段階表記(大変満足・満足・普通・不満足・大変不満足)のうち、チューターに対して「大変満足している」「満足している」と回答した生徒が93%という結果に!

この数字は、生徒達にとって大学生ボランティアのチューターの存在がかなり大きなものであったことの表れであり、生徒たちにとってより良い授業体制を作れて、本当に良かったと心から思います。

プロジェクト3年目はどこへ向かうのか

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私がマニラを去る直前に、プロジェクトパートナーのパトリックはこう伝えてくれました。

実は、途中で教員を目指すのを辞めて普通に働き、お金を稼ごうと思っていたんだ。でも、今回授業で生徒たちに教えていて、やっぱり僕にとって「教えること」は何よりも大好きなことで、お金には換えられない。その思いを再び思い出させてくれたe-Educationに出会えて本当に良かったよ。

教師を目指しているパトリックですが、一度は家庭の事情もあり大学を辞めようかと思っていた時期があったそうです。

でも、e-Educationを通じて自分自身が一番何が好きなのか再認識でき、より多くの子どもたちにより良い教育を届けたいとe-Educationの理念にも共感し、現在マニラプロジェクトの3年目を担当しています。

以前の記事でもお伝えしましたが、教育カリキュラムの改正のため、フィリピンでは今後2年間大学受験がありません。

そこでパトリックは、大学受験に限らず「全ての学年に対応できる映像教材の提供」を目指し、現地の協力者と共にマニラで活動を続けています。

フィリピン大学入学試験の合格発表は冬。

まだまだ先ですが、首を長くして結果を待つとともに、10ヶ月毎日のように会っていた仲間であり、もはや兄弟のような間柄であるパトリックを、日本からしっかりとサポートしていきたいと思います!

そして、次回の記事が、私のドラゴン桜連載の最後の記事となります。
プロジェクトで学んだこと、感じたことなどをお伝えできたらと思うので、最後までどうぞ宜しくお願い致します。

本日もお読みいただき、どうもありがとうございました!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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