尾崎 綜志 | トジョウエンジン https://eedu.jp/blog 途上国のイメージを豊かにするノンストップ・デイリーマガジン Wed, 16 Jul 2014 23:04:52 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.6.15 【インドネシア教育開発vol.42】大学最後の大勝負!部活一本だった僕が、インドネシアで始めた新たな挑戦の集大成 https://eedu.jp/blog/2014/07/17/indonesia42/ https://eedu.jp/blog/2014/07/17/indonesia42/#respond Wed, 16 Jul 2014 23:04:52 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=31426 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるために活動しています。 前回の記事ではプロジェクトのコンセプトを説明させて […]

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こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるために活動しています。

前回の記事ではプロジェクトのコンセプトを説明させて頂きました。
今回は僕のプロジェクトの最終段階の様子をお話しさせて下さい。

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パートナーの心に火をつける

「僕にはチューターなんてできない」

パートナーの一人で英語が大得意なヨガにチューターを頼んだところ、予想外の返事が返ってきました。他人に教えられる自信がない、というのが理由のようでした。しかし、ヨガは英語のエキスパート。僕なんかより百倍英語がうまく、彼以外に頼める人はいないと思われました。

「モチベーションをあげるにはまず授業に来てもらうしかない」

僕はコミットの深さ(=それに割く時間)はモチベーションを大きく左右すると常々感じていたので、彼が授業に来るようにする方法を考えました。そうして僕が立てた作戦は、「ヨガに楽しい雰囲気を見せる」というものでした。

その頃には撮影も終盤にさしかかり、授業開始を控えて体験授業のようなものをやる機会がありました。授業に来たがらないヨガに対し、僕やリアンはその授業風景を写真に撮り、メールしたのです。

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このような写真にコメント付きでメールしました。

するとある日のことです。

ヨガ:「今度ちょっと授業見てみるよ!」
僕: 「OK!今度の月曜にマスター来てね!」

ついにヨガが重い腰をあげたのでした。

迫り来る授業開始日

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授業開始日は迫っていました。同時に僕がインドネシアにいられる時間もあとわずか。最後の数週間は睡眠時間を削って動き回りました。

撮影がうまく進んでいるか、編集はどんな様子か、授業の時間割はどうするか…やることはたくさんあります。リアンやテヨ、ヨガはもちろん、マスターの先生やアイさん、協力してくれている先生達と毎日ミーティングを重ねてプロジェクトに没頭しました。

そして気がつけば、あっという間に授業開始前夜。

緊張と不安に包まれていた時、インドネシアの友人がパーティーに誘ってくれました。僕がもうすぐ日本へ帰るということ、また友人であるカリスも日本の企業に就職するためもうすぐインドネシアを出るということで、皆集まってくれたのです。

一緒に普段食べないパスタを食べ、2次会と称してミー・アチェというとても辛い焼きそばを体験し、最後はドリアンを皆で食べました。皆が集まって会を開いてくれたことが本当に嬉しく、本当に楽しい時間でした。

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授業、始まる

そしてついに本番の日がやってきました。

それまでに何度か体験授業はやってきたものの、時間を決めて小テストなども行いながらやる本格的な授業は初めてだったので朝からそわそわしていました。授業前にレジュメを印刷し、各パソコンに授業データを入れて準備していると、生徒が入ってきました。

「ついに来た、ついに授業が始まる!」

生徒達が席に着いたのを確認して、僕とリアンは生徒達の前に立ちます。打ち合わせ通りリアンが口を開きました。

「今日から授業が始まる。今までにない、新しいビデオの授業だ。これを使って勉強すれば希望の大学合格も決して夢じゃない。さあ、授業を始めよう!」

最高の時間

授業が始まりました。

生徒達は一斉にビデオを見始めます。ビデオを見終わった生徒達は問題を解き始めました。するとあちこちで手があがりました。「この問題がわからない」「これで合ってるか」様々な質問に僕たちはあちこち走り回って答えていきます。気がつくと授業終了まで残り5分。今までの人生で最も短い2時間でした。

授業が終了し生徒を帰したあと僕とリアンは顔を見合わせました。

僕  :「どうだった?」
リアン:「最高だった。」
僕  :「うん、最高だった。」

生徒達の出来が思っていたよりも良くない、そんな不安もありましたが、この数時間でも成長する生徒の姿を見て僕は本当に幸せな気持ちになりました。

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生徒達と

帰国3日前

授業をなんとか開始したものの、僕に残された時間はあとわずかでした。欲を言えば彼らが大学に合格するまではインドネシアにいたい気持ちでいっぱいでしたが、帰らなければならない日が迫っていたのでした。

帰国3日前、僕は空港である人を待っていました。それはプロジェクトの後任である慎治です。慎治にはリアンやアイさんらと共にプロジェクトを進めて行ってもらう必要があります。空港で慎治を見つけると、何にせよ時間がありません、初対面でしたが挨拶もそこそこにタクシーに乗り込み、プロジェクトの話をしました。

その後も眠そうな慎治を関係各所に連れまわしました。

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マスターの生徒達と慎治

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ヌロヒムさんと

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リアンとテヨと

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さすがにお疲れの慎治

帰国

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こうして僕のプロジェクトは区切りを迎えました。

一緒に活動して来たリアンやテヨ、アイさんやファルスに別れの挨拶をして空港に向かい、いつものように搭乗手続きをすませます。達成感と今後の不安と、いろいろな気持ちが入り交じる中で飛行機を待っていると一通のメールが届きました。送り主はヨガでした。

「ソウシ、もう飛行機に乗ってしまったかい?僕は今日シンジと初めて授業をやったよ。本当に楽しくてファンタスティックだった。シンジもとても良いやつだった!本当に素晴らしいプロジェクトだ!」

チューターは無理だと言っていたヨガの頼もしい一言。彼の声が、僕の不安を消し飛ばしてくれました。

「きっと大丈夫だ!」

僕は笑顔で日本行きの飛行機に乗り込みました。

次回から後任の慎治の記事が始まります。大学を休学して単身途上国に乗り込んだ慎治の奮闘記を是非楽しみにして下さい!

これまでご愛読ありがとうございました!

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【インドネシア教育開発vol.41】スペシャルゲストが到着して楽しいひと時。授業開始に向けてのプロジェクトも一気に加速! https://eedu.jp/blog/2014/05/30/indonesia41/ https://eedu.jp/blog/2014/05/30/indonesia41/#respond Fri, 30 May 2014 06:50:25 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=29911 アイさんとのいつものミーティング風景 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるために活動しています。 前回の記事で […]

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アイさんとのいつものミーティング風景

こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるために活動しています。

前回の記事では難航する先生探しの様子についてお話しました。
今回は、新しく決まった英語の先生や撮影風景についての様子を伝えたいと思います。

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ゲストのお出迎え

「空港に行くには何時に出れば良いんだっけ?」
僕は頭で考えます。
「道が空いていれば空港から家まで1時間半位だけど、渋滞を考えると…」

そう、今日はゲストが空港に来る日です。そのゲストとは「沼さん」。ミャンマープロジェクト代表の小沼武彦です!

軽装で到着した沼さんは、ミャンマーにはない飲食店に興味津々です。

沼: 「うわー、ケンタッキーあるじゃん。食べようよ!」

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幸せそうな沼さん

沼さんの滞在中、せっかくなので僕も滅多に行かないジャカルタ中心部を見学に行きました。ジャカルタで最もハイレベルなモールが「プラザインドネシア」です。

中はブランドショップが並び、一瞬インドネシアにいることを忘れるほど。モールを歩いている人々は煌びやかな衣装を身にまとった、いわゆる「高所得者層」であり、経済発展を続けるインドネシアの勢いを感じることが出来ました。

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ジャカルタのまさに中心部

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日本食レストランを見てはしゃぐ沼さん

もちろん沼さんの滞在中は、活動に同行してもらいました。

マスターの様子や、アイさん、リアンと言ったパートナーを紹介しましたが、さすがだったのは現地に溶け込むスピードです。コミュニケーションをとるのがうまいですし、何よりミャンマーの話が面白いのです。色々な写真を見せて楽しませてくれるため、皆興味津々で沼さんに質問していました。

プロジェクトのその後や自分の将来について話すこともあり、非常に刺激になった3日間でした。

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さらにゲストが!

そして偶然時を同じくして、以前からプロジェクトをサポートして下さっている稲垣さん・片庭さんも応援しに来て下さいました。

一緒にマスターの授業を見学したり、他の高校の授業に一緒に参加しに行ったりと、自分一人だったらやらなかったであろうことも体験することが出来て、非常に有意義な時間を過ごさせて頂きました。

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77高校の生徒と

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みんなで1枚@BTA

英語の撮影

行き詰まっていた英語の先生探しでしたが、ついに希望が見え始めていました。ある先生が協力してくれるという返事をくれたのです!

その先生の名は「ファフミ先生」。パートナーであるリアンの友人で、英語専門塾の講師です。

彼は大学生ですが十分な講師経験があり、長時間の撮影も協力してくれると言ってくれました。なによりも魅力的だったのは、彼が教育で有名なジャカルタ州立大学(UNJ)の生徒であるということでした。

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ただ授業するだけでなく、共に0から授業を考えてくれました。

実は現状でマスターの生徒が合格したことのある最難関大学の1つがUNJであり、UNJに行きたいという生徒は非常に多いのです。以前のアンケート結果でもインドネシア大学(UI)と並んで最も志望者数の多い大学でした。

マスターの生徒にとって、ファフミは言うなれば「憧れの存在」です。そんな彼の授業を撮影することは、非常に大きな価値を生むと考えたのです。

英語の先生も決まり、あとは撮影を進めて授業の用意をしていく段階に入りました。僕に残された時間もあと少し。果たして授業を開始して後任に引き継げるのか、あとは時間との勝負でした。

撮影と授業

最後に、撮影や授業について、今までお話出来ていなかった部分を説明したいと思います。

①撮影

アイさんらと話して撮影のコンセプトが決まりました。

マスターによる、マスターのためのDVDを作る

どういうことか詳しくご説明します。

・マスターのため
先生はマスターの生徒が馴染みのある先生、あるいは目標になる先生を選びました。その結果がBTAであり、ファフミであったのです。先生達にはマスターの生徒の学習レベルを伝え、最終目標の大学入試合格レベルにもっていくためにはどのような授業を組めば良いのか話し合いを重ねました。

・マスターによる
順番が前後しましたが、「マスターによる」とはどういうことかご説明します。
このプロジェクトが他の国のプロジェクトと大きく違うのは、DVDを作ること自体も授業にしてしまおうという点です。実はマスターには芸術系の学部・大学を志す生徒がいます。それは普段から音楽などの芸術を通じて毎日お金を稼いでいるようなバックグラウンドがあるためです。

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音楽を弾いてお金を稼ぎます

それを受けて、今回のDVDの撮影や編集は主にマスターの生徒にやってもらうことにしました。その彼の名はファルス。パソコンを器用に使いこなし、絵も上手な彼に頼むことで、一つのDVDという作品を作ることを体感してもらえればという狙いがありました。

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ファルス

さらに、DVDのオープニングやエンディングに使う音楽に関しては、ゴルガという青年にお願いしました。彼は仲間を集め、自らが作曲した曲を得意のバイオリンで弾き、レコーディングまで行ないました。

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右のバイオリン弾きがゴルガ

もちろん問題点もありました。撮影を生徒に頼むのですが、「朝9時に○○で」といってもまず遅刻してくるため、毎朝マスターへ迎えに行かなければなりません。

また撮影自体もプロではないため、「焦点が動いてしまうのはどうすれば良いか」「もっと明るく撮るにはどうしようか」「ビデオで読める字のサイズはどのくらいだろうか」といったところから一つ一つ一緒に考え試行錯誤していきました。

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先生とファルスと撮影の出来を確認

本当に多くの人に助けてもらいながら撮影を続けていきました。
停電の日は非常用電灯をお借りして撮影に挑戦しました(先生の顔が青白くなってしまったので残念ながら途中で断念しましたが)。

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②授業

授業はただ映像を流すだけでは不十分です。映像授業をうまく活用する必要があるのです。そのために僕らは毎回の授業の確認で使う問題集と、生徒をサポートするチューターという存在を用意する必要がありました。

僕はすでに協力してくれていたティヨやヨガ、リアンに協力をしてもらおうと考えていました。特に英語に関しては、スピーチコンテストで優勝したヨガがいます。彼なら喜んで引き受けてくれると考え、ヨガに話を持ちかけました。

僕: 「授業をサポートする人が必要なんだ。ヨガ、協力してくれないか?」
ヨガ:「ソウシ、僕には出来る自信はないよ。」
僕: 「?? 大丈夫だよ!キミ程の適任はいないくらいだよ!」
ヨガ:「僕は教えるのはあまり得意じゃないんだ。ごめんね。」
僕: 「そんな…」

必ずヨガならやってもらえると思っていただけにかなりショックな返答でした。でも、貧しい環境から必死で勉強してインドネシア大学への切符をつかみ取ったヨガにこそチューターをやってもらいたい!僕はある作戦を試みました。

いよいよ僕のプロジェクトも終盤です。続きはまた次回!お楽しみに!

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【インドネシア教育開発vol.40】立ち止まってはいられない。「もう少しだけ頑張ろう!」と再び僕らは走り出す! https://eedu.jp/blog/2014/05/20/indonesia40/ https://eedu.jp/blog/2014/05/20/indonesia40/#respond Tue, 20 May 2014 09:39:35 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=29393 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 前回の記事では先生探しと進める中で立ち塞がった […]

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こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。

教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事では先生探しと進める中で立ち塞がった壁についてご紹介してきました。

今回は、新たな先生探しの続きについてお話しします。

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パートナーの一言

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パートナーのリアンとティヨ

「ごめんね、もう撮影協力できなくなってしまったの」

雨なのに77高校の先生の声が響きます。撮影できるはずだったのに、せっかく用意して来たのに・・・三脚とカメラを担いだ僕らはただ呆然と立ちすくみました。

先生の話によると、先生が急遽他の学校でも教鞭をとる必要が出て、もともと忙しい先生がさらに撮影に割ける時間はなくなってしまったようでした。

「もう帰りたい」

そんな時、僕を復活させたのは普段物静かなパートナーのティヨの一言でした。

ティヨ:「僕はこんなことでプロジェクトがストップするのは許せない。このまま僕の高校へ行こう!僕の高校にも素晴らしい先生がいる!」
リアン:「そうし、どうする?行こうか?」
僕  :「…行こう!もう少しだけ頑張ろう!」

僕ら3人は悲しみや悔しさをぶつけるように、そのまま新たな高校、「第13国立高校」へと向かいました。

13高校にて

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「第13国立高校」

ティヨの母校である第13国立高校はジャカルタの北部にあります。77高校からバスに乗って13高校へと向かいました。

高校へはたどり着いたものの、もともと先生に協力をお願いする予定ではなかったため僕らの格好はひどいものでした。サンダルに短パン、Tシャツ、ポロシャツといった様相です。案の定、学校へ着くなり「なんだその格好は」と見咎められました。

謝りつつ来校の用件を伝えます。しばらくすると事務室のような場所に通されました。

奥には強面の先生がいました。ノーアポイントメントの失礼な来校ということもあり、口を開くと強い口調で畳み掛けられました。

先生:「お前達は何者だ。何しに来た?」
僕 :「僕らは映像教育を届けるための先生を探しに来ました!」
先生:「プロポーザルは出したのか?」
僕 :「いえ、出していません」
先生:「出してもいないのか。で、今持っているのか?」
僕 :「実は…」
リアン:「(アレがある!)」
僕 :「(そうだ、ありがとう!)はい、あります。こちらです!」

びくびくしながら書類を提出します。実を言うと撮影のことしか考えていなかったため、もともと書類の用意はしていませんでした。しかし第8国立高校を訪問した際に用意していた書類があったため、なんとか提出することが出来ました。

強面の先生はさらに顔を険しくしながら書類を読んでいました。やはり今回は難しそうだ、この後はどこに行こう、そんなことを考えていると先生は口を開きました。

先生:「今は授業中なので後で2人の先生に声をかけておく」
僕 :「はい!」
先生:「時間の交渉などは直接してくれ」
僕 :「はい!」

そういうと先生は部屋から出て行きました。僕らは顔を見合わせます。

僕  :「今のって、OKってことなのかな?」
リアン:「多分」
僕  :「喜んで良いんだよね?」
リアン:「Probably, yes」
僕  :「良かった…」

一気に緊張がほぐれました。

その後実際に協力して下さる先生とお会いし、撮影についての話などをしました。先生はプロジェクトに対して理解を示してくれました。

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ティヨと恩師の先生

難航する英語

数学と経済は授業撮影を進めて行く目処が立っていたのですが、問題は英語です。BTAからは、「頼む予定の英語の先生に拒否されてしまった。代わりの先生を用意するから待ってくれ。」と連絡がありました。

しかし、時間にそれほど余裕があるわけではありません。僕はBTA以外に長時間の撮影に協力して下さる先生を探す必要がありました。

現状の候補は第8国立高校の先生です。高校から許可が出れば長時間の撮影に協力してもらえます。しかし高校からは未だ連絡が来ませんでした。先日お会いした先生に確認のメールを送ってもなかなか返信が来ません。

「これは直接高校へ行くしかない!」

僕は第8国立高校へと向かいました。

驚きの光景

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バイクタクシーはオジェックと呼ばれます。

高校の最寄りの駅に着き、バイクタクシーおじさんに行き先を伝えます。

おじさん:「あそこは浸水だよ?」
僕   :「良いんです、連れてって下さい!」

バイクで10分、見えて来たのは想像を超えた光景でした。バイクのおじさんがニヤニヤしながらこちらを向いて来ました。

おじさん:「ほら、すごいだろ!」

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もはや浸水ではなく、洪水でした。雨期の豪雨に耐えきれず、下水や川から水があふれてしまっている状況でした。軍隊が出動するほどの事態に、先生から返信が来ない理由もわかりました。

新たな先生候補

第8国立高校が撮影どころではなく、その状況が落ち着くのを待っていては撮影開始がいつになるかわかりません。早急に新たな先生を探す必要がありました。

リアンと相談していくつか候補を出す中で、最も良い選択肢は「リアンが通っていた英語の塾の先生に頼む」というものでした。

その先生であれば、長時間の撮影に協力してくれる可能性が高く、またクオリティの高い映像を作ることが出来て、生徒にとっても刺激的なビデオになると考えたのです。

果たしてどんな先生なのか?
その様子はまた次回!!

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【インドネシア教育開発vol.39】なんでこんなにうまく進まないのだろう?立ちふさがる壁の先にあったものは、また壁だった。 https://eedu.jp/blog/2014/05/14/indonesia39/ https://eedu.jp/blog/2014/05/14/indonesia39/#respond Wed, 14 May 2014 10:04:12 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=29133 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 少し間があいての記事となりました。前回までの記 […]

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こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

少し間があいての記事となりました。前回までの記事では進まないプロジェクトの様子その合間に見たインドネシアの文化についてご紹介してきました。

今回は、授業撮影の開始、そして形となって立ちはだかってくる壁の連続についてお話ししたいと思います。

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塾BTAとの交渉

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左からマイケルさん、アイさん

何度も延期されていた地元の塾BTAとの交渉がついに始まりました。パートナーのアイさんに仲介してもらいながらBTAのトゥーチルさんやマイケルさんとお話をします。議題は撮影内容や支払う金額、そして今後の予定についてでした。

事前に内容を伝えていたこともあり概ねスムーズに議論は進みましたが、一つ問題になったのは英語でした。BTAは英語の先生から協力的な返事をもらえていないとのことなのです。原因はお金でした。我々もボランティア事業であり、決して高い金額を先生に支払うことが出来るわけではないからです。

その日は一日中塾に居座り、空いた時間を狙って先生と直接お話をさせてもらう機会を作りました。数学、経済の先生とはお話をしてプロジェクトの趣旨を理解してもらい、より具体的な話をすることが出来ました。

英語の先生とも直接お話をして、プロジェクトの可能性や先生にとってのメリットを必死で説明したところ、「協力しよう」と言って頂きました。
最後に今後のスケジュールを確認して最初の撮影日を決め、長い一日が終わりました。

ついに撮影開始

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経済のウィム先生

次の週の月曜日、ついに撮影初日です。場所は相変わらずBTA校舎。当日はあいにくの大雨でしたが、そんなことも気にならないくらい楽しみにしていました。塾に着いて先生を待ちます。しかしなかなか先生が現れません。1時間遅れで経済の先生が到着しました。

「ごめんね、雨が強くて遅れてしまった」

日本だったら通用しない遅刻の理由ですが、インドネシアではれっきとした理由です。というのは、降る雨が非常に強く下水も完備されていない為にすぐに浸水被害が出てしまうからです。案の定、他の先生は浸水のため家から出られずその日は経済の撮影のみにとどまりました。その後も浸水被害は続き、ついにその週は経済と数学のみに終わりました。

第2の英語の先生探し

BTAの授業の撮影が開始したとはいえ決して順調ではなく、またどんなアクシデントが起こるかもわかりません。リスクを回避する目的もあり、英語と数学についてはもう1人の先生、すなわち第2の先生の授業を撮影しようと動き始めました。

数学については以前第77高校の先生に協力して頂く約束をしていたので、問題は英語です。候補に上がったのは第8国立高校でした。

第8国立高校へ

第8国立高校はインドネシアで最も難関かつ有名な高校。そこの先生ならば良い授業を行なう先生が絶対にいるはずです。

第77高校に数学の先生を探しに行った時と同様、直接高校に乗り込もうと考えていましたが、名門の第8高校はそうは行かない様子でした。あらかじめ必要な書類を提出していないと入る事すらできなかったのです。そこで僕らは第8高校出身のインドネシア大学生を探してプロジェクトを説明し、アポイントメントをとってもらうようお願いしました。

協力してくれた大学生の名前はアリファ。アリファは僕の作った英語の書類をわざわざインドネシア語に訳してくれました。彼女のつてを使ってアポイントの約束もお願いし、連れて行ってもらってようやく第8国立高校にたどり着きました。

感じるもどかしさ

受付で来校の理由を伝えると応接間のような所に通され、英語の先生にお会いすることができました。早速先生にプロジェクトの説明をします。しかし返事はあまり良いものではありませんでした。

先生: 「良いプロジェクトね。ただ、学校の許可がおりないと協力することが出来ないのよ」
僕: 「そんな…先生が個人的に協力して頂くことは出来ないのですか?」
先生: 「私にはあまりフリーの時間がないわ。でも私の仲間を集めて1人1レッスンずつくらいの授業なら出来るかもしれない」
僕: 「わかりました。ありがとうございます。もし学校の許可が出るとしたらいつ頃になるのでしょうか?」
先生:「学長次第だからわからないわ」

複数人の先生に1レッスンずつお願いするのも1つの方法ですが、教え方の違いで生徒が混乱するのではという懸念がありました。一番良いのは1人の先生に全面協力してもらうこと。それが学長次第ならば学長に直接会うのが一番です。そのまま学長に会えないか聞こうとするとアリファに止められました。

アリファ: 「力になれなくてごめんね。でもいきなり学長に会いにいくのはいくらなんでも失礼だと思う」

インドネシアは先生など目上の人に対する礼儀を非常に重んじる文化があります。ここまで協力して時間を割いてくれたアリファにこれ以上迷惑をかける訳にもいかず、泣く泣くこの日は帰ることにしました。

数学の先生がまさかの…

英語はうまく行きませんでしたが、落ちこんでいる暇はありません。数学の第2の先生の撮影があります。数学は既に77高校の先生と撮影開始の約束を取り付けていました。

撮影開始は朝7時。77高校は住んでいるところから2時間以上かかってしまうため、高校の近くにあるティヨの実家にお邪魔することにしました。パートナーのリアン、ティヨと共に撮影に向かいます。

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夜には大学の経済学部に通うティヨのお兄さんとティヨで経済の問題を作ってもらいました。

朝はティヨのご両親に車で高校まで送って頂きました。

「頑張れよ!」

お父さんに見送られ、77高校の先生と約束した教室へ向かいます。しかし時間になっても先生が現れません。

「また浸水かな…」

半分諦めかけていた頃、慌てた様子で先生が現れました。良かった、撮影できる、と思ったのも束の間、先生が発した一言は衝撃的なものでした。

「ごめんね、もうこれから撮影協力できなくなってしまった。」

僕ら3人の期待は見事に絶望へと変わりました。

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【インドネシア教育開発vol.38】インドネシアの年末年始に迫る!実際に体験して学んだ独特の文化や宗教。 https://eedu.jp/blog/2014/04/29/indonesia38/ https://eedu.jp/blog/2014/04/29/indonesia38/#respond Tue, 29 Apr 2014 02:27:50 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=27521 観光に連れて行ってくれた友人、フィーとキミー こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 […]

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Fi&Kimmy

観光に連れて行ってくれた友人、フィーとキミー

こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事ではなかなか進まないプロジェクト、そしてそんな自分に初心を思い出させてくれたパートナーについての話をさせて頂きました。

今回は、少し寄り道してインドネシアの文化や年末年始についてご紹介したいと思います。

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独立記念塔モナス

プロジェクトが急にストップして息詰っていた時、インドネシア人の友人が観光に誘ってくれました。彼らによると「モナスを見ていないうちはインドネシアに来ていないようなものだ」とのこと。モナスとは一体どんなものなのか。気分転換も兼ねて連れて行ってもらう事にしました。

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ジャカルタにある独立記念塔「モナス」

電車とバジャイと呼ばれる三輪タクシーに乗ってたどり着いた場所には大きな塔「モナス」がありました。

モナスはインドネシア独立を記念する塔であり、スカルノ大統領によって立てられました。休日や年末には多くの家族連れが訪れ、とてもにぎわう場所です。インドネシア人からとても愛されており、友人がモナスを見てほしいという理由もわかりました。

インドネシアと言えば

モナスも重要ですが、インドネシアを語る上で切っても切れないワードが一つあります。それは・・・

「イスラム教」

です。
突然ですが、皆さんはイスラム教に対してどんなイメージを持っているでしょうか?あまり良いイメージを抱いていない方も多いかもしれません。

しかしインドネシアは国民の8割以上がイスラム教の国。まさに触らぬ神に祟りなしといった所で、最初の頃は僕も出来る限り宗教の話を避けていました。

しかし様子を見ていると、宗教に対する自分の考え方がすこし極端であることに気付きました。彼らは決して排他的ではなく、他の宗教への理解もあるようだったのです。

お祈りに潜入

ある日パートナーのリアンとプロジェクトについて話していたところ、お昼になりました。お祈りの時間です。
リアンももちろんムスリム。彼らは通常一日5回のお祈りをします。インドネシア大学にもモスクが併設されており、時間になると音楽が流れ、皆モスクへ向かうのです。リアンを待つ間どこで時間をつぶそうかと考えていると、リアンはこう聞いてきました。

リアン:
「俺はお祈りに行くけど、一緒に来る?」

お祈りを生で見た事などありません。見てみたい気持ちがある一方で、触れてはいけないのではないかという気持ちもありました。数秒葛藤の後、

僕:「行って良い??」

好奇心が勝り、ついて行く事にしました。

彼らはまず頭や口、手足などを水でお清めし、その後お祈りの場所へ向かいます。お祈りには順番があり、皆その方法に従ってお祈りをするのです。

僕がそわそわ、うろうろとしていると、

リアン:「もし写真撮りたければとっても大丈夫だよ」

僕:「え、大丈夫なの?」

リアン:「みんながお祈りしている前で堂々と撮られたら嫌だけど、後ろから撮るくらいなら全く問題ないよ」

その時に撮らせてもらったのがこの写真です。
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お祈り中

その後もリアンからイスラム教に関していろいろな事を教えてもらいました。イスラム教に対し何か「触れてはいけない」イメージを持っていた自分にとっては非常に新鮮な体験でした。

インドネシアのクリスマス

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ホワイトクリスマス(30℃)

12月25日といえばクリスマス。実はインドネシアでは25日は祝日に定められています。クリスマスといえばご存知の通りキリスト教徒の祝日です。

インドネシアにおいてはイスラム教が8割以上を占めていますが、他にもキリスト教やヒンドゥー教といった他の宗教が存在します。政府は宗教間の調和をとるため、それぞれの宗教における祝日を国の祝日として取り扱っているのです。

あるイスラム教の友人にこんな質問をしました。

僕:
「クリスマスはお祝いするの?」

するとこんな答えが返ってきました。

友人:
「クリスマスは別に祝わない。でも街は華やかになって奇麗だから好きだよ」

決して他宗教と争っているのではなく、むしろ違いを受け入れているという事実が日本人の僕にとってはとても勉強になりました。

年末年始

BBQ

クリスマスが終わると、年末年始を迎えます。クリスマスを胃腸炎とともにベッドで過ごし、年末年始も一人で過ごすことを覚悟していた矢先、インドネシア大学生の友人カリスが「うちに来なよ!」と誘ってくれました。行かない理由がありません。喜んでカリスの実家にお邪魔させて頂き、彼の家で新年を迎えました。彼の家ではバーベキューをし、とても楽しいひと時を過ごしました。

花火大会

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ところで、年末年始はクリスマスと同様にイスラム教にとって本来祝う対象ではありません。しかし国民の休日ではあるため、独特の新年の迎え方をします。なんと、各家から打ち上げ花火が上がるのです。

午後11時頃から上がり始め、カウントダウンに向けてかなりの花火が上がります。一つ一つは決して大きくないのですが、その量がとても多いのでかなり迫力がありました。とても面白い体験をさせて頂きました。

花火を見終わった後家に戻ると、カリスのお母さんが「年越し蕎麦」ならぬ「年越しミー(麺)」を作って下さいました。
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味は塩ラーメンのよう

ミーを食べ、また1年頑張ろうと気持ちを入れ直して新年を迎えました。

来週は再びプロジェクトのお話を進めていきます!どうぞお楽しみに!

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【インドネシア教育開発vol.37】突如現れた壁。初心を思い出させてくれたのはやっぱり仲間だった! https://eedu.jp/blog/2014/04/01/indonesia37/ https://eedu.jp/blog/2014/04/01/indonesia37/#respond Tue, 01 Apr 2014 07:49:20 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=27045 左からヨガ、尾崎、カリス、三輪さん こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 前回の記事 […]

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左からヨガ、尾崎、カリス、三輪さん

こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事では先生達との出会いとプロジェクト予算決め、そしてマスターの歴史や背景についてご紹介させて頂きました。

今回は、新たな先生探し、そして迎えた壁についてお話ししたいと思います。

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BTAとの交渉

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いつもBTAに行くとお菓子を出して下さいます

先週撮影をお願いしていた塾「BTA」に、決まったスケジュールや予算の計画について連絡します。すると、お願いしていた英語、数学、経済について協力してくれるとの返事が!現地パートナーのアイさんが別に話をしてくれていた様子でした。

詳しいカリキュラムについてなど、具体的な話をするためにミーティングのアポイントメントをとり、一息つきます。

「ミーティングをしたら、あとは撮影を進めるだけだ!」

ここまでは順調です。この時は計画が狂うことなど全く予想していませんでした。

新たな先生探し

BTAに承諾をもらい、基本となる授業は撮影できそうです。僕は更に、新たな先生を探そうと考えました。

数学と英語は、自分の受験経験上、特に問題を解く量が重要になります。その2教科のコンテンツの拡充は、生徒の成績アップの大きな助けになるのではと考えたからでした。

数学の先生は誰が良いのか、あれこれ考えてふとパートナーのリアンに相談すると「俺にとってベストな先生は、自分が通っていた高校の数学の先生だ」
とのこと。よくよく聞いてみると、リアンの出身高校である第77国立高校はインドネシア大学に毎年30人程度合格者をだす進学校で、数学の先生は彼が人間的にも尊敬する先生だという話です。

「リアンが言っているのだから間違いない」

リアンにお願いしてアポイントメントをとり、早速一緒に77高校へ向かいました。

第77国立高校

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スポーツ大会をやっていました

77高校はジャカルタの中央部で、電車とバスで乗り継ぎ2時間程度の場所にありました。本当に走るのだろうかと疑いたくなるようなバスでの旅を終えてようやく辿りついた学校は、日本の学校と同じくとてもにぎやかな場所でした。
早速職員室に向かうと、久々のリアンの登場に職員室の雰囲気が明るくなります。

「久しぶりね」「元気?」「今何やっているの」「彼は誰?お友達?」「そういえばあなた日本語学科だったわね」

先生方が次々にリアンに声をかけます。ある先生は、「リアンは優秀だったのよ」と嬉しそうに僕に紹介してくれました。

一通りの挨拶を終え、ついに数学の先生のもとへ伺います。
お名前はソラヤ先生で、きらきらとした目が印象的な女性でした。

リアンは、僕やe-Educationのこと、今行なっている活動のこと、そして先生にお願いしたい事を彼女に説明してくれました。

リアン:「先生、協力して頂けませんか?」
ソラヤ先生:「あなたの言う事なら。お金はいらないわ」

素晴らしい返事を頂きました。僕はリアンがこの活動を全て説明してくれたこと、そして先生から良い返事を頂いた事で本当に幸せな気持ちになりました。

突如立ちこめる暗雲

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インドネシアは3月頃まで雨期です

ここまで大きな問題もなく順調に進めて来たプロジェクトでしたが、そのペースは予想もしないところから崩されました。

まず、重要パートナーのアイさんが感染症で入院、2週間以上動けない状態になりました。丁度同時期、自分もついに体調を崩し、数日間寝込みました。

頼れるのはリアンやテヨ、ヨガといったインドネシア大学生メンバーですが、この時期は12月末で、期末試験真っ最中。忙しくて皆ほとんど時間がとれない時期に入っていました。撮影を始めようかという場面でプロジェクトの進行がストップしたことにかなり焦りを感じていました。

ミーティングまでも…

少なくともBTAとのミーティングは進め、カリキュラムを決定する必要があります。なんとか体調を戻し、約束していたミーティングへ行こうと用意していた矢先、携帯が鳴ります。

BTA:「今日は出来なくなった。4日後金曜日にリスケできないか」

焦る気持ちを抑えつつ返信します。

僕:「わかりました、金曜日に必ずミーティングしましょう。」

数日後、再び携帯が鳴ります。

BTA:「申し訳ないが来週の月曜日にしてくれ」

来週では予定が大幅にずれてしまいます。

僕:「なんとか今週出来ませんか」

BTA:「この時期はとても忙しいんだ。申し訳ないがよろしく頼む」

迎えた月曜日。

BTA:「申し訳ない、来週にしてくれ」

僕:「どうしてですか?」

BTA:「先生達が全ての仕事を終えて旅行に行ってしまった。先生を集められない。」

年末年始の予定が空っぽになりました。

ヨガが気付かせてくれた事

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考えていた予定がなくなり、プロジェクトが止まりました。

「どうすれば良いのだろう・・・」

初めて迎えた壁は、体力的にも精神的にも衰弱していた自分にとって高く感じました。日本の友人が休暇を楽しんでいる様子をFacebookで見て「なんでインドネシアに来たんだろうな」と思わざるを得ませんでした。

プロジェクトをやる意思が消えそうになり。答えを求めるように、協力者のヨガにこんな質問をしました。

「なんでヨガはプロジェクトに協力してくれているの?」

返って来た答えは僕をはっとさせるものでした。彼自身の言葉を伝えたいため、英語のメールをそのままご紹介します。

 I come from a rural area where education does not take priority for many people. Most of them still hold the thought that working is the most essential thing everyone should strive for, putting education aside. Going to University of Indonesia turns out to be something near completely impossible for us, but I believe in God’s power to change life.

 I started to study English so hard that I did not come out much from my room. I utterly immersed myself into study and thought that I was to change the lives of my family. I lost the two English competitions at first, but I started to become much more challenged to win. A year later, I became the 1st winner in English Olympic, 1st winner in English Speech and ranked the 1st in the try-out test for the university admission in University of Brawijaya. I still definitely remember when I was first declared to be accepted in UI.

 That was the most incredible thing I never thought would have happened!!! That is why, I am sure that students in Sekolah Master can do the same thing like I do. They deserve for better future.

田舎出身で、誰もが教育の可能性を諦めている環境で育ったヨガ。しかし勉強すれば人生を変えられると信じて必死に勉強した彼は、最終的に英語弁論オリンピックで1位をとり、模試でも良い結果を残してその高校から初めてインドネシア大学への推薦を勝ち取りました。

「マスターの生徒にも、勉強を通じてより良い未来を築いて欲しい」

そんな彼の想いに触れて、忙しさに追われどこかへ沈んでいた想いが自然とわき上がってきました。ヨガ、本当にありがとう!

「マスターの生徒の未来を、少しでも良いものにする手助けをしたい!」

来週は少し寄り道してインドネシアの年末年始についてお話したいと思います。

お楽しみに!

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【インドネシア教育開発vol.36】共同代表・開人さん登場!1週間でプロジェクトを一気に加速させる!(後編) https://eedu.jp/blog/2014/03/25/indonesia36/ https://eedu.jp/blog/2014/03/25/indonesia36/#respond Mon, 24 Mar 2014 23:00:34 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=26590 インドネシア大学生、カリスと こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 前回の記事では三輪 […]

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Charis

インドネシア大学生、カリスと

こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事では三輪開人さんが到着し、マスターでのプロジェクトが正式に始まったこと、また先生探しで壁にぶつかった時の話をさせて頂きました。

今回は、先生達との出会いとプロジェクト予算決め、そしてマスターの歴史や背景をご紹介したいと思います。

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BTAとの出会い

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BTAの方々と

前回、最大手の塾にきっぱりと協力を断られた僕らでしたが、アイさんに紹介してもらい、新たなる塾BTAに足を運びました。

  • BTAの先生はマスターの生徒を知っている
  • マスターの生徒もBTAの先生の事が好き
  • インドネシア大学を始めとした難関大学への進学実績がある
  • World Educationと関係をもっていて交渉しやすい

という理由から現状最も有力な候補です。

着くなり、「ハロー!」歓迎して頂きました。インドネシア人は親日の方が多いのですが、BTAの方々も日本が大好きでした。「侍はいるのか」「お前は刀を持っているか」「お化けはどうだ」などといった日本についての話をし、楽しいひとときを過ごしていましたが、「なんでウチに来たの?」という質問で、一瞬空気が変わります。気付くと開人さんがパソコンを開いてくれていました。僕はパソコンを使い、プレゼンを始めます。

プレゼン

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プレゼンを聞くBTAの方々

僕はこのプロジェクトがマスターにとって必要なプロジェクトである事、また今後インドネシア全土に広がっていく可能性のあるすごいプロジェクトなんだ、という事を説明しました。英語が完全に通じる訳ではないのでアイさんに通訳をお願いしながら進めます。

以前もアイさんにプレゼンの手伝いをしてもらった事があったため、僕が言う前から説明出来てしまうほどアイさんも理解してくれていました。最後まで真剣に聞いてくれたBTAの塾長トゥーチルさんが口を開きます。

「わかった、先生に話してみよう。予算が決まったらまた連絡してくれ!」

先生候補は決定です。第一関門は突破しました。

予算決め

続いてアイさんと開人さんと一緒に予算を決めます。生まれてこの方一度も予算など組んだ事がない僕にとっては戸惑う事ばかりです。

アイさん:「あとはどんなフィーがあるかしら」

僕:「あー、えーっと…」

開人さん:「あとは移動費や会場費がありますね」

アイさん:「そうね、あと食事の費用もあるわね」

僕:「うんうん(なるほど…)」

特に先生への撮影費に関しては非常にピリピリとしたディスカッションが行なわれました。僕にとっては非常に新鮮で貴重な体験でした。

資料作り

予算が決まり、今度はそれを資料にしていく段階に入りました。プロジェクトを進めていくにあたっては予算についての資料はもちろん、具体的なスケジュールの作成やWorld Educationとの覚書きも作らなければなりません。こういった資料を作ったことのない僕は、何を書く必要があるのか考えながら0から進めていきました。

辞書を使いながら資料を作り、それを開人さんに提出してダメだしをもらい、修正し、またチェックをもらい…。難しかったですが、非常にチャレンジングな体験でした。

マスターという学校

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Save Master

この記事の最後に、マスターという特異な学校について、少しお話出来ればと思います。

多くの行動を共にしてくれていたアイさんは、その間僕たちにマスターについていろいろな事を教えてくれました。

マスターは現校長のヌロヒムさんがゼロから作り上げた学校で、所属している生徒は現在1000人以上いること。今でこそ多くの学生が通っているが、政府の開発計画によって一度取り壊しの危機にあったこと。それに対して近隣住民やインドネシア大学生が中心となり「Save Master」運動を行い、乗り越えたこと。

マスターの生徒にとったインタビューの内容も見せてもらいました。ある生徒は以下のように語っていました。

僕は経済的な理由の為に、父さん、母さんと別れて暮らさなければいけなかった。寂しかったけれど、仕方なかった。道端で音楽を弾いたりしながら小銭を稼いでいた時、マスターの話を聞いた。「マスターに行けば勉強できるらしい」。勉強したかった僕はすがる想いでマスターに向かった。そんな僕をマスターは快く受け入れてくれたんだ。僕はマスターで、第2の家族に出会う事が出来たんだ。

また、ある日アイさんは「マスターはまるでトットちゃんみたいなのよ」と教えてくれました。マスターの校舎はコンテナで造られており、小説『窓際のトットちゃん』に出てくる「鉄道学校」ならぬ「コンテナ学校」なのだ、というのです。

アイさんがトットちゃんを知っていた事にまず驚きですが、「コンテナ学校」という響きが僕は大好きでした。いろいろな人の想いが詰まったマスターの暖かみを表現する、まさにぴったりな言葉だと感じました。

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コンテナで造られた校舎

来週は今週作った資料を提出、その結果について書きたいと思います。お楽しみに!

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【インドネシア教育開発vol.35】共同代表・開人さん登場!1週間でプロジェクトを一気に加速させる!(前編) https://eedu.jp/blog/2014/03/18/indonesia35/ https://eedu.jp/blog/2014/03/18/indonesia35/#respond Tue, 18 Mar 2014 09:00:10 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=26251 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 前回の記事ではマスターが実施校として決まった経 […]

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こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事ではマスターが実施校として決まった経緯、また生徒達にとったアンケートの結果についてご紹介しました。

今回は日本からやってきた強力助っ人、e-Education共同代表・三輪開人(以下、開人さん)の登場と、その時の出来事を2回に分けて書きたいと思います。

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開人さん到着

三輪さん

出口を間違え使えずに終わった歓迎ボード

アジアのe-Educationプロジェクト実施国を飛び回る開人さんが、インドネシアへやってくる日が来ました。スカルノハッタ空港まで迎えにいきます。
数週間にわたる視察のため、さぞかし大きなスーツケースを持っている事を予想していましたが、現れた開人さんは小さめのバッグ1つでした。

開人さん:「今日は少し遅くまで起きて、明日以降の準備をしようか!」

その時夜中の1時。新たなプレゼン資料が作り終わり、結局就寝したのは午前4時でした。

勘の鈍い僕でも「これは大変なことになるな」ということはわかりました。

プレゼンというコミュニケーションツール

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プレゼンをする開人さん

僕は早速World Educationのアイさんや、協力してくれているインドネシア大学生達を紹介しました。開人さんから彼らに対し直接プレゼンをしてもらうためです。内容としては特別新しいことを説明している訳ではないのですが、聞いているうちにどんどん現実味がわいてくるプレゼンで、非常に勉強になりました。

特に力をいれていたのはアイさんに対するプレゼンでした。パソコンを提供したWorld Educationのメンバーである彼女を見方にできなければ、マスターで授業を進めていくことは難しいからです。

開人さん:「…このように、e-EducationはマスターにDVD授業を届けようと考えています」

アイさん:「わかりやすかった。ソウシからも話は聞いていた。私たちはDVD授業に関心がある。あなた達はナイスタイミングで来てくれた!ではこんなこともやってみてはどうだろう、例えば…」

終始和やかで、ワクワクするような時間でした。アイさんは非常に好意的に私たちを受け入れ、一緒に活動していくことを了承してくれました。

いざマスターへ

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ヌロヒムさんへのプレゼン

そんなプレゼンを勉強させてもらった後、向かった先はマスターでした。目的は、マスターでプロジェクトを進めることを校長のヌロヒムさんに認めてもらう事。アイさんに取り計らってもらって一緒にマスターへ向かい、彼にプレゼンをさせてもらいました。ヌロヒムさんは英語が通じないため、僕が説明し、アイさんが通訳し、またアイさん自身にも補足説明をしてもらいながら進めます。

僕:「…このような形でプロジェクトを進めていきたいです。いかがでしょうか?」

ヌロヒム:「マスターの生徒のためになるんだね?なら良いですよ。やってみて下さい!」

その瞬間、マスターでのプロジェクトが正式にスタートしたのです。

先生探し

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聞き込み調査をしたインドネシア大学

プロジェクトを始めるにあたって最初に何をするかというと、まずは先生を探さなければなりません。

「マスターの生徒にとって最高の先生とは誰か?」

パッと思いつくのは東進ハイスクールの林先生のような有名予備校教師です。

実は以前、「有名な先生はいないか、あなたが思う最高の先生は誰か」ということをインドネシア大学の生徒に聞いて回った事がありました。日本であれば、「A塾の英語の先生はすごい」「数学ならB塾」といった情報が得られるのですが、実際に返って来た答えはバラバラでした。多くの答えが「通っていた高校・地元の塾の○○先生」というものだったのです。日本とは教育事情が少々異なるようでした。

大手塾の壁

しかしそんな中でもよく名前の出てくる大手塾がありました。「ここに第2の林先生がいるかもしれない!」そう考えた僕らは早速その塾に向かいます。ノーアポイントメントでしたが、話だけならということで僕らを受け入れてくれました。

話を聞くと、カリキュラムが整っており、また生徒達の評価に基づいて先生達の評価をランク分けしているようです。最高ランクの先生であればきっと良い授業が撮れるに違いないと考えた僕は、直球の質問を投げかけます。

僕:「マスターという学校でプロジェクトを始めます。授業を撮影する事は出来ないでしょうか?」

塾の先生:「塾の財産が流出してしまうので難しいですね」

僕:「そこをなんとか!」

塾の先生:「インドネシアではすぐにDVDのコピーが出回ってしまいます。そのため、いかなる撮影も許可できないです。」

あえなく撃沈。当然と言えば当然なのですが、思っていた以上に塾にお願いする事は難しい問題でした。

BTAという塾

そんな時、アイさんからBTAという塾を紹介してもらいました。BTAという名前は以前の聞き込みの中でも出て来ていたものです。

話によると、BTAはマスターの生徒に対して授業を行なった事があるようでした。

「マスターを知っている彼らなら、もしかすると協力してくれるかもしれない」

とにかく当たって砕けろの精神です。僕らはBTAに向かいました。(後編に続く)

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【インドネシア教育開発vol.34】「ここにこそe-Educationが必要だ!」実施校の決定、そしてドキドキのアンケート調査 https://eedu.jp/blog/2014/03/11/indonesia34/ https://eedu.jp/blog/2014/03/11/indonesia34/#respond Mon, 10 Mar 2014 23:00:31 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=25839 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 前回の記事では新メンバーの参加、そして知れば知 […]

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こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。

教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事では新メンバーの参加、そして知れば知るほどわからない「マスター」という学校についてご紹介しました。

今回は、現地で活動する団体World Educationについて、そしてマスターで実施したアンケートについてお話出来ればと思います。

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World Educationとの出会い

先週、マスターに存在する未知なる団体「World Education」の情報を得た僕は、担当の方(アウディさん)に早速アポイントメントのメールを送ります。すると早速返事が。

「面白そうですね!是非お会いしましょう」

緊張しながらマスターに向かった僕を出迎えてくれたのは、穏やかそうな方でした。

僕:「スラマシアン、ナマサヤ、ソウシ」(こんにちは、そうしです)
アウディ:「シアン、アウディ」(こんにちは、アウディです)

挨拶をし、自己紹介をすませるやいなや、見かけからは想像もできない程の熱い演説が始まり、圧倒されます。しかし、全てインドネシア語。頑張って聞き取ろうとしましたが、ほとんど理解できませんでした。

そうとわかったアウディさんは英語を使うようにチャレンジしてくれましたが、話す方も聞く方もたどたどしい英語です。1時間後、お互いの顔に疲労と絶望の色が浮かんでいました。

アイさん登場

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左がアイさん、右が尾崎

そんな時、新たな女性が登場しました。彼女の名前はアイさん。口を開くなりすらすらと英語が出てきます。救世主登場です。話を聞くと以下のような内容でした。

  • マスターには日中と夜、2種類の授業がある
  • マスターの去年の合格実績は、国公立大学に4人程度。インドネシア大学の合格者は出た事がない(以前の情報は間違っていた!!)
  • マスターには文系の授業しかない
  • WEは先生の教育を主に行っている。しかし先生はボランティアなので契約を結んでいるわけではなく、来ないこともしばしば
  • 自分の好きな分野を教える先生も多く、カリキュラムはあまり機能していない
  • WEはPCを教育面で活用したいと考えている。しかしどう活用するのかが課題

アイさんはそれ以外にも、マスターのことや、生徒達の話をとても楽しそうに話してくれました。

人を引きつける笑顔、そして落ち着いた雰囲気がとても印象的でした。

モヤモヤがワクワクに!

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SAVE MASTER

アイさんと話しているうちに自分の中のもやもやした気持ちがすっきりしていくのがわかりました。

World Educationという強力なパートナーがいて、設備面で高いレベルの補助があるマスター。しかし、先生の質やカリキュラムのレベルはまだ低く、現状PCを有効活用できていない・・・。アイさんからの言葉を思い出しながら、一つの結論にいたります。

「僕らがデジタル教育コンテンツを提供することで、マスターの教育レベルを格段にあげられるかもしれない。まさに今、e-Educationが必要とされている!」

そうわかった瞬間、ニヤニヤが止まりません。プロジェクト実施校が決まりました。

マスターでのアンケート

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アンケートをとるリアン

「マスターでやりたい、マスターで良いコンテンツを提供したい!」

そう息巻いていた自分でしたが、ふとあることに気付きました。

「果たして生徒は僕らの存在を望んでいるのだろうか?」

こうなれば直接聞くしかありません。僕とリアンはアンケートを作成しました。内容は以下のようなものでした。

  • 映像授業の説明
  • 映像授業についてどう思うか
  • 得意な教科、苦手な教科
  • 大学受験したいか
  • 受験したいなら、どの大学、学部に入りたいか

マスターの授業にお邪魔し、アンケートをとらせてもらいます。100人ほどの生徒から回答をもらうことが出来ました。

アンケートの結果

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アンケートを集め終わり、恐る恐るアンケートの結果を読みます。

最初に気になるのは映像授業に関しての意見です。読んでみると「いつでも勉強できるのが良い」「英語は先生がいないから助かる」「授業を受けてみたい」といった非常に好意的な意見が多く安心しました。

そして次に気になるのは大学受験したいかどうかです。結果によって、受験サポートになるのか卒業試験サポートになるのか、というようにプロジェクトの方針が変わってきます。

その結果をみて驚きました。予想に反し、ほとんどの生徒が「受験をしたい」と回答していたのです。そして志望大学で最も多かったのは「UI」、マスターの近くに位置する最高学府、インドネシア大学でした。

これだけの生徒がUIや他の難関国立大学に行きたいのであれば、彼らをサポートしない理由はありません。

「絶対にプロジェクトを成功させる!」

そう決意してマスターを後にしました。

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左が女の子、右が男の子の回答。違いが一目瞭然で可笑しかったです。

インドネシアの教育制度

最後に、インドネシアの大学受験について簡単に説明します。実はこの情報を得るのに思いの外苦労しました。誰に聞いてもわかるものだと思っていましたが、人によって回答が違うのです。

そもそも受験に対する情報が日本ほど出回っていないことに加え、受験制度が近年変わったことが影響している様でした。大学の担当部署や大学生に直接聞いてわかったのは以下のような流れでした。

  • ①高校卒業試験 4月頃
    これに受からないと大学を受験する事が出来ません。
  • ②SBMPTN 6月中旬
    国が行う大学受験統一試験です。日本のセンター試験と似ています。違うのは、SBMPTNで良い点数を取るとインドネシア大学などに合格できること。難易度は高くないものの、時間内で解ききる能力が求められます。
  • ③個別試験(インドネシア大学は「Simak UI」) 6月下旬
    主にSBMPTNで受からなかった人が受ける個別試験。難易度は高いです。またこれで合格しても、学費が②で受かった人の3〜5倍かかることがほとんどです。
  • ④推薦
    高校などからの推薦。インドネシア大学において、実は推薦で合格する学生が一番多いです。

SBMPTN

これらの状況を鑑みて、僕は「SBMPTN」にフォーカスする事にしました。理由は大きく2つです。

  • 難易度が高くないため、短期間で難関大学合格レベルまで持って行くことが可能
  • マスターの生徒にとって、学費が高い個別試験枠での受験は厳しい

また、アンケートにも苦手な科目として非常に多くあがり、また自学自習の難しい「英語」「数学」「経済」の3教科の授業を提供することに決めました。

決まった方針

ついにプロジェクトの方針が決まりました。
次はプロジェクトを形にしていくため動いていく段階に入ります。

「どんなプロジェクトになるのだろう?」
「マスターの生徒にとって最高の授業とは何なのだろう?」

ワクワクと不安でいっぱいです!

来週はe-Education協同代表の開人さんが登場します。開人さんの登場でプロジェクトがどう進むのか、どうぞお楽しみに!

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【インドネシア教育開発Vol.33】知れば知るほどわからない学校「マスター」、そして迎える新メンバー面接 https://eedu.jp/blog/2014/03/04/indonesia33/ https://eedu.jp/blog/2014/03/04/indonesia33/#respond Mon, 03 Mar 2014 23:00:21 +0000 https://eedu.jp/blog/?p=25552 コンテナで作られたマスターの校舎 こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。 教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。 前回の記事で […]

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コンテナで作られたマスターの校舎

こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。
教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事ではインドネシアへ旅立ち、初めて目にした途上国の現実について書きました。

今回は実施校候補地「マスター」への再訪問、そして迎えた新メンバー面接の様子についてお話できればと思います。

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マスターの驚き

前回、前任の健さんとマスターを訪問した時は休日で、校舎は閑散としていました。怖そうな若者やホームレスの人々が目につき、とても授業が行なわれている様には思えません。非常に苦しい教育環境に見えました。

しかし授業は行なわれているとのこと。その様子を確認すべく、協力者のインドネシア大学生(UI生)ディディらとともに平日改めて訪問しました。

そこには多くの子どもたちがいました。とても明るい雰囲気で、先週感じた暗さは跡形もありません。子どもがいるのといないのでこれほどまでに雰囲気は変わるのかと思い知りました。

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マスターの子供たちと

マスターの状況を知るために聞き込みをしていると、マスターの校長先生「ヌロヒムさん」にお会いすることが出来ました。早速お話を伺います。といってもインドネシア語しか通じないため、仲間たちに通訳してもらいながらです。

まずはこちらの自己紹介もかね、PCを使って簡単な説明を。

僕:「…映像授業を通じて教育機会を提供するためにインドネシアに来ました。マスターについて教えて下さい!」

校長:「なるほど、わかった。もし実施する場合、PCはどうするつもり?」

僕:「こちらで用意する予定です」

校長:「でもうちにはPCあるよ」

僕:「え??」

校長:「ちょっとついて来なさい!」

どこからどうみてもこの学校にPCがあるとは思えません。第一机すら見当たらないのです。半信半疑でついて行き、2階にある教室をみせてもらったところ、信じられない光景が広がっていました。

驚きの光景

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そこには整然と並べられたコンピューターが30台ほど。エアコンまでついています。僕のイメージしていた「マスター」ではありません。

ヌロヒムさんは説明を続けます。混乱しながら聞いた内容は以下のようなものでした。

  • 生徒は1学年300人くらいいて、受験するのも150人程度いる。
  • 近年では毎年インドネシア大学に4人程度合格している。
  • 大学とは無料で進学できる契約を結んでいる。
  • PCはWorld Educationが寄贈したもの。

「これはもしかして普通の進学校なのではないか?設備も良いし、人数も多いし、最難関のUIにも合格しており、DVD授業は導入できるかもしれないが、果たしてそのニーズがあるのか?そもそもこれだけのPCを寄贈したWorld Educationとは一体どんな団体なのか?」

疑問で頭がいっぱいになった僕は、ひとまずWorld Educationの方の連絡先を聞き、先週とは全く別の不安を抱えてマスターを後にすることになりました。

ヒーロー募集

一方で、プロジェクト参加メンバー募集のための面接が迫って来ていました。場所はインドネシア大学。一人でも多くの学生に教育を届けるには多くの人たちと強力なチームを作る必要があります。

面接は、健さんとも仲の良いUI生カリスと、パートナー・リアン、そして自分で行います。呼びかけるためのポスターはリアンが作ってくれました。そのポスターがこちらです。

poster

“ヒーローになりたい人募集”

とても格好良いポスターに仕上がりました。リアンの夢はデザインの出来る起業家になることであり、彼のデザイン技術はとても高いのです。

初めてのプレゼン準備

自分はというと、活動を説明するためのプレゼンの準備に取りかかりました。
15~20分程度のプレゼンで、団体や活動の説明をします。今までの生活でプレゼンをする機会が全くなかった自分にとって、英語でのプレゼン作りはとても骨の折れる作業でした。

フィードバックをもらうため、自分のプレゼンを撮影し、動画サイトにアップしてe-Educationのメンバーに見てもらいました。するとメンバー達から続々と指摘が。涙がでるほど嬉しかったです。それを参考にしつつ、改善を重ねて本番に挑みました。

迎える面接

presentation@ui

当日。僕のプレゼンによる説明から面接は始まりました。緊張しつつも、予定していた時間通りに無事終了。拍手をもらい、ほっと胸をなで下ろします。

しかし、これで終わりではありません。続いてこちらからの質問の番です。

「どうして応募したんですか?」
「強みと弱みは何ですか?」
「人からどんな人と言われていますか?」

ざっと2時間程度。全ての質問が終わり、カリスやリアンと相談して、最終的に2人のメンバー「ティヨ」と「ヨガ」に協力をお願いすることになりました。

ティヨの夢は農業で有名な自分の出身地をアピールして、外国からの観光客を呼び込むこと。ヨガの夢は外交官、英語で賞をとりUIに推薦入学を果たした強者です。

2人とも元々は田舎の出身であり、教育格差是正を目指すこのプロジェクトに共感して応募してくれた学生でした。2人のことは後々詳しく紹介したいと思います。

期待と不安

2人の新たな頼もしい仲間を見つけ、いよいよプロジェクトが進みだしました。しかし、なんといっても気になるのは「マスター」の状況。そして突如現れたWorld Educationという団体。

「まずはWorld Educationにアタックだ!」

すぐにメールを送ってアポイントメントをとり、期待と不安を胸に抱えながら次の週を迎えます。

続きはまた来週!ありがとうございました。

The post 【インドネシア教育開発Vol.33】知れば知るほどわからない学校「マスター」、そして迎える新メンバー面接 first appeared on トジョウエンジン.

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