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みなさん、こんにちは。e-Education事務局長の薄井大地(うすいだいち)です。

2009年、当時大学3年生でバングラデシュを訪れて以来、アジアの開発途上国での教育及び環境プロジェクトに携わり約8年。現在は、各国を飛び回りプロジェクトを推進するe-Education職員たちを支える「自称・東京お留守番係」として、日々業務に取り組んでいます。

このトジョウエンジンでは、なかなかイメージしずらい「国際協力NGOの国内業務」を解説しつつ、現在の仕事に役立っているなと感じたオススメ書籍をご紹介していこうと思います。

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代表〜職員〜サポーターが同じ1枚の絵を見られるか

代表の右腕「事務局長」として果たすべき役割は何かと聞かれた際に、私はよく「まとめ役」「つなぎ役」と答えています。

ビジョンやミッションをどれだけ綺麗な文章に落とし込んでも、10人いれば10通りの方法で受け止められ、解釈され、そしてそれぞれの行動に移されます。

それらが時間とともに1つの強力な力として結集されていくのか、はたまた年々ほころびが大きくなりバラバラになっていくのか。ここに「まとめ役」「つなぎ役」の腕の見せ所があると思っています。

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昨年3人だった職員も気がつけば6人に

例えば、意識をして行なっている仕事として次の3点があります。

  1. 代表者の思考を、現場に浸透する言葉に”翻訳”する
  2. 暗黙知で許されてきたことを明文化する
  3. 既存の業務をシステム化・サイクル化する

これらの仕事は、「代表」が担うことが出来ないだけでなく、「海外担当職員」「国内担当職員」いずれも目まぐるしく変化する日々の業務に追われている状態ではなかなか着手出来ない仕事です。

こうしたいわゆる「グレーゾーン」に落ちてしまう業務を拾い上げ、エネルギーのロスを最小限にする。そうすることで「チーム全員で共有する1枚の絵」が見えてきて、その絵が多くの人々の心を掴み、大きな支援の輪の創出へと繋がっていくのです。

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職員だけでなく、サポーター皆さんとも同じ絵を描かなければなりません

完璧があり得ない中で、どのように最善を尽くせるか

しかし、どんなにうまく組織運営しようとしても、絶対の答えはありません。

海外の現場を飛び回り現地パートナーや生徒たちと接している海外担当職員と、様々な公的手続きや支援者の方々と交流をしている国内担当職員との間に、前提知識や見えている景色の差が無くなることはありませんし、それにより意識やモチベーションがすれ違う事態も基本的には避けられません。

そこで今回は、常に完全な組織はないという意識のもと、できる限り「ビジョンに向けて強い推進力を持つ組織であり続ける」ために必要な視点と思考法を学んだ書籍『プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動』をご紹介します。

問題解決とプロデュース

「ビジョン」とセットで「プロデュース」が求められるという本書のメッセージは非常に明確。組織運営の一端を担う者としてすぐに実行できるアクションや心がけをたくさん学びました。

特に重要なのは、「ビジョン」という言葉を曖昧に捉えず、その存在意義までさかのぼって理解することでした。

以下、本書から学んだことについて一部参考になった箇所を引用しつつご紹介します。

①プロデュースとプロデュース思考

プロデュースとは、「一つのビジョンのもとに、人々の力を借りて『新しい何か』を創りだし、現状を変えること」

「自分の思いに従って自分ができるプロデュースをやり、自分の所属する会社やお客さまや社会に役立つように着地させてやればいい。だから、まずは一歩踏み出そう」と考えるのがプロデュース思考である。

「組織」ではなく「自分」を主語に置く習慣を取り戻すことが、ひいては組織のパフォーマンスを最大化させるということを、この2年間の実践で再確認しました。

プロデュース思考は、合理的な思考だけでは乗り切れない局面で特に力を発揮します。

②ビジョンの正しい認識

「思い」と「ビジョン」の間に、大きな差はない。
個人の思いに共感が集まり、「私もその思いの実現を応援したい」という人が多数現れてきたとき、「思い」より「ビジョン」のほうが言葉としてふさわしいかもしれない、という程度の違いである。

途中で何か想定外のことが起きても、思っていた方法がうまくいかなかったとしても、予定していた順番が狂っても、どんなに回り道をしても、最後にそこに行き着けばいいというのがビジョンである。

NPOに限らず、組織の大目的をきちんと共有しているのになぜか認識に齟齬が出るということはありませんか? 「ビジョン」などの言葉で意味するところは、人によって違うものです。

上記の定義が絶対ではありませんが、「自分はこういう意味・ニュアンスでビジョンという言葉を使っている」ときちんと表明するだけで、他者と目線をすり合わせることが容易になることは多いです。

③難しく考えない

プロデュースは、自分のなかにある自由で遊び好きな子供の要素を大事にして、大人社会で新しいものを創造したり、大人社会のおかしなところを変革したりすることを企てる作業だということもできる。

物事を難しくしているのは実は自分自身だった、というのはよくある話。前述の通り「完全な組織はない」という意識を前提として、ポジティブに新しい一手を打ち続けるために必要な物事の捉え方を持つことは重要です。

以上、いかがだったでしょうか?NPOやNGOで働いている人でなくても、参考になる点があったのではないでしょうか?

これからも、なかなかイメージしずらい「国際協力NGOの国内業務」を解説しながら、オススメ書籍をご紹介していこうと思います。

それでは、次回もお楽しみに。

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