【僕がダッカ大学法学部を目指した理由】2021年度合格者ナジムくんインタビュー
7/2〜7/7、バングラデシュへ行ってきました!
その間、バングラデシュの様子を少しだけInstagramストーリーズで配信していましたが、ご覧いただけていたら嬉しいです。
バングラデシュでは、ダッカ大学やe-Educationの活動がスタートしたチャンドプール県を訪れた他、ダッカ大学合格者へのインタビューも行なってきました。
その中から、本日は、以前ご紹介したダッカ大学法学部に見事合格を果たしたナジムくんの想いをお届けします。
僕がダッカ大学法学部を目指した理由
ナジム・ウッディン くん チャンドプール出身。父・母・弟妹の5人家族。 2021年、ダッカ大学の法学部に合格。2022年の大学受験支援では、e-Educationの大学生コーチとして後輩の受験をサポート。 |
ダッカ大学の法学部に入学した一番の目的は、貧しかったり、お金に苦しんでいて、お金(弁護士や政府に払わなければいけない費用)が十分に払えない人を法的にサポートしたいからです。貧しくてお金がないからと言って正しい判決や本来、人が持っている権利が得られないということがないように。だから、ダッカ大学の法学部を目指しました。
法的にサポートしたいという想いをもった原体験
小さい頃の、ある苦労した原体験があります。
僕が3歳だった頃、父は外国に出稼ぎに行っていました。
稼いだお金は、両親や兄弟が生活に困らないようにと、おじさんの元に送っていました。
おじさんは教育を受けた人だったので、きちんとお金を管理してくれるだろうと考えて、全てのお金をおじさんの元に送っていました。
しかし、おじさんは自分の家族や自分の興味のあることにお金を使っていました。
父はそうとは知らないまま、僕たち家族は以前よりも少しは生活が良くなっただろうと、今度は自分の土地を買うためにおじさんの元にお金を送りました。
父がバングラデシュに戻ってきた時、自分の土地は存在しませんでした。
全ての署名がおじさんの名前になっていたのです。
最悪だったのは、父が元々持っていた家の土地もなくなっていたことです。
祖父から得られるはずだった土地も、全てがなくなっていました。
それも全て、おじさんが持って行ってしまったのです。
父は十分な教育を受けていませんでした。
法律についてもあまり知りませんでした。
だから、土地に関する法律についてよく知らず、父はどこにも相談にいけず、ただ我慢していました。
なぜ、こんなことが起きたのか?
それは彼らに法がなかったからです。
不正に全ての土地を彼らは持って行ってしまいました。
今でも父は苦労して働き続けています。1日20時間以上もです。
僕たちは今でも幸せを手にすることはできていません。
父が笑った姿を今でも見ることはありません。
おじさんたちの不正のせいで。
だからと言って、昔のその時にもう戻ることはできないし、今はもうどうすることもできません。
でも、僕自身がこれからできることはあります。
父のような人たちに、おじさんが父にしたような不正をすることがないように。
決して苦労することがないように。
僕のような悲劇を他の人が経験しないように。
だから僕は今、ダッカ大学法学部で、人々に寄り添って人々を助けたいという想いで法を勉強しています。
自分と同じような目にあっている人を全力でサポートしたいです。
法律についてあまり知らない人々や、法律については知っていても法の保護を受けられない人々を助けることによって、自分も幸せを感じたいです。
これからの人生について
これからの人生をどう生きていきたいかを考えてみると、生きていくために大きな車や家は僕にとっては全く必要ありません。
3度の食事と、住む場所、着る物、そして美しい心があれば良いと思っています。
優しく親切な心です。
人々を助け、サポートをすることを通して、心は幸せになれます。
「幸せ」とは、娯楽や贅沢を通してではなく、人を助けることによって自分の心に幸せを感じられることだと思います。
そういう心が必要だし、僕はそういう人生を過ごしたいです。
支援をしてくれた全ての人へのメッセージ
1つの目標を達成するためには、プロセスや達成するための方法を知っている誰かの助けが必要です。
僕のダッカ大学法学部合格という目標も、誰かの支えなしに一人では合格できませんでした。
僕の夢を叶えるためのパートナーがe-Educationでした。
e-Educationが全ての必要なサポートをしてくれました。
どんな問題が生じても、e-Educationは助けてくれました。
いつもそばにいてくれました。
e-Educationのスタッフの方、サポーターの皆さんに、感謝の気持ちを伝えたいです。
※写真は、ナジムくん(写真中央)&同期合格の女子生徒(右から2番目)と、e-Educationスタッフ鬼澤(左端)・住谷(右から3番目)、インターン生の禾(右端)、現地パートナー団体スタッフ及び撮影スタッフ
編集後記:e-Educationの大学受験支援によって切り開かれる未来
いかがでしたでしょうか。
今回のインタビューではベンガル語が話せるe-Education事務局長・住谷を通して質問させてもらっていたのですが、通訳してくれた住谷は最後の質問を終えた後、涙を浮かべて「ナジムくんの話を聞いていて泣きそうになった」と呟いていました。
私は、その場ではナジムくんがどの様な話をしているのか分かりませんでしたが、ナジムくんが「Justice(ジャスティス※英語では“正義・正当”)」「Injustice(インジャスティス※英語では“不正・不当”)」と、真剣な眼差しで、言葉に力を込めていたのが印象的でした。
帰国後、住谷の翻訳全文を見た時、あの時の真剣な眼差しと言葉の力強さが、辛い経験からくる苦悩と固い意志によるものだと知り、ナジムくんがe-Educationと巡り合ってくれたことに感謝しました。
ナジムくんにとってダッカ大学法学部合格は、間違いなく人生の大きな転換点となりました。
今、ナジムくんはダッカ大学で、自分と同じような誰かを支えるため、誰かが自分と同じような目に合わないようにするため、法を学んでいます。
この先、ナジムくんは私たちに語ってくれた通り、法によって誰かを救うかもしれません。
そう考えると、1人の先にたくさんの未来があることを感じずにはいられません。
e-Educationの支援は、教育支援ですが、「最高の教育を世界の果てまで」というミッションを果たした先に、私たちのビジョン『人生に誇りを、社会には想いやりを』があります。
ナジムくんがまさにこのビジョンを体現してくれた気がしています。